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November 03, 2008

消費者物価指数(CPI)横ばい、9月度、今後下がるか?

   今月は公表が10/31ぎりぎりとなったが、2008年9月度の消費者物価指数(CPI)が、総務省統計局から公表された。8月度と全く同じ水準、102.7%(平成17年度を100とする)となり、横ばいであった。ただ、細かく見ると、影響の大きいエネルギー関連の数字が横ばいから下げ始めており、10月以降は、CPIが下がる可能性も見え、これ以上の物価高はひとまず終結となりそうな兆候もみられる数字といえよう。ちなみに、この9月度の概況は以下の3点である。(1) 総合指数は平成17 年を100 として102.7 となり、前月と同水準、前年同月比は2.1%の上昇となった。(2) 生鮮食品を除く総合指数は102.6 となり、前月と同水準、前年同月比は2.3%の上昇となった。(3) 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は99.6 となり、前月比は0.2%の上昇、前年同月比は0.2%の上昇となった。

   この概況に見るように、消費者物価指数(CPI)は、その原因を明確にするために3つの角度から分析を試みている。ひとつは(1)の総合指数である。2つ目は、相場変動が激しい生鮮品を除いた指数である。そして、3つ目は食料品とエネルギーを除いた指数である。そして、この3つのこの1年間の月別推移を過去3年間、2008年、2007年、2006年で折れ線グラフで示している。これを見ると、興味深いことに、(1)、(2)は明らかに2008年が突出して高い傾向を示しているのに対し、(3)は過去3年間ほとんど変化がないことである。これは、ここ最近の消費者物価高(CPI)を102.7%へと押し上げた要因は、明らかに、限定的な突出した要因によるものであり、それが、食品の一部とエネルギー関連に限定されることを明確に示しているといえる。したがって、全体的な物価高ではなく、食品の一部とエネルギーによる物価高であり、逆にいえば、この2つが落ち着けば、消費者物価指数(CPI)は一気に低下するともいえる現状であるといえる。

   では、この2つの項目が全体へ対して、どのくらいのインパクトを与えているかであるが、これを前年同月比、102.1%で見てみると、2.1%の上昇率の内、0.91ポイントは生鮮食品を除く食料であり、0.65ポイントは光熱・水道であり、0.53ポイントは交通・通信である。この3つを足すと何と2.09ポイントであり、ほぼこの3つに消費者物価指数(CPI)の上昇要因は特定できるといえる。いかに、今回の消費者物価指数(CPI)が限定的な要因であるかがわかる。

   そこで、これら3つの中で、特に影響の大きい生鮮食品を除く食料品の中身をさらに大分類で見てみると、0.91ポイントの寄与度の大きい順では、チョコレート(24.7%、寄与度0.05ポイント)、うなぎかば焼き(21.4%、寄与度0.04ポイント)、即席めん(22.0%、寄与度0.03ポイント)、食用油(23.2%、寄与度0.02ポイント)、ビスケット(19.5%、寄与度0.02ポイント)であり、これ以外は、寄与度は0.1ポイントであるが、チーズ(38.0%)、スパゲティ(33.5%)、マーガリン(26.5%)、ちくわ(20.9%)、小麦粉(20.0%)である。これをすべて足した寄与度は0.21ポイントであるので、これ以外にもまだ数多くの項目があるが、主な項目は以上である。

   そして、最も今回、消費者物価指数(CPI)へのインパクトが寄与度で1.17ポイントと大きかったエネルギーであるが、最大の項目はガソリンであり、昨対20.7%(寄与度0.53ポイント)である。ついで、灯油(50.3%、寄与度0.34ポイント)、電気代(5.1%、寄与度0.15ポイント)、プロパンガス(11.3%、寄与度0.09ポイント)、都市ガス代(6.0%、寄与度ポイント)となる。

   このように、ここで上げた項目が特に、ここ最近、そして、今月の消費者物価指数(CPI)に大きなインパクトを与えたものであるといえ、逆に、見れば、特に、エネルギー、そして、資源の高騰が治まってくれば、自然、消費者物価指数(CPI)は大きく改善するといえ、ここ最近の数字は明らかに異常値といえ、よく精査して、個々の数字を見極める必要があるといえよう。事実、すでに、アメリカ発の金融不安の影響をうけ、エネルギー、資源ともに、相場が下がり、さらに、空前の円高により、輸入価格はここ最近急激に下がっており、恐らく、来月以降、消費者物価指数(CPI)は下げに転じる気配も見せはじめており、今後、数ケ月の動向は注意深く見る必要があろう。

   最後に、食品の細かい分類で、昨年同月比で大きく上昇している小分類と、逆に、大きく下落している小分類を生鮮食品も含め、見てみたい。まず、急上昇している小分類であるが、先ほどの項目を除き、10.0%以上のものをピックアップすると、食パン18.7%、揚げかまぼこ18.1%、落花生17.3%、バター16.1%、わかめ14.2%、あんパン13.8%、レタス13.7%、カレーパン12.7 %、ひじき12.6%、鶏肉10.9%、干しうどん10.5%、かまぼこ10.4%、鶏卵10.4%、しょう油10.3%である。逆に、急下降している小分類は、さやいんげん-27.9%、キャベツ-25.7%、なし-17.6%、はくさい-15.7%、オレンジ-13.9%、もも-13.5%、えだまめ-12.6%、ピーマン-12.1%、りんごA-12.0%、みかん-11.1%、あじ-7.8%、ねぎ-7.8%、れんこん-7.6%、ほうれんそう-6.5%、トマト-6.1%、ミネラルウォーター-6.0%、ぶどうB-5.8%である。こう見ると、生鮮食品はむしろ物価を押し下げている傾向が鮮明であり、加工食品の資源高が一段落し、円高傾向が続けば、加工食品も下がる可能性が高く、消費者物価指数(CPI)は今年後半から、来年にかけて、反転する可能性もあるといえよう。

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