日経MJで、アメリカ小売業の8-10月期決算特集!
11/28の日経MJでアメリカの小売業の8-10月期決算の概況が特集された。ちょうど、この期間は、9/15のリーマンブラザーズ破綻後のアメリカの金融不安をもろに受けた最初の四半期決算でもあり、注目の決算である。結果は、ウォルマートの一人勝ちという状況となった。売上に関しては、掲載された約10社の内、ウォルマートの107.4%、ターゲットの101.9%、ロウズの101.4%以外、すべて減収となり、最終損益に関してもウォルマートの109.8%、ギャップの103.3%以外、すべて減益となる厳しい決算となった。日経MJの見出しも、「米小売り8-10月期決算、ウォルマート一人勝ち9.8%増益、低価格戦略に軍配、ターゲット23%減益、サックスは赤字転落」という見出しである。また、関連記事でも、「カード消費、逆回転、価格競争負担重く」という見出しでの特集があり、アメリカの消費構造が根底から変わり始めたことが浮き彫りになったといえよう。
記事の中では、ウォルマートと同じ、ディスカウントストア、ターゲットについても言及しているが、ターゲットもわずかではあるが、売上はプラスであったが、利益は厳しいものとなった。その要因はクレジットカード事業が足を引っ張ったという。クレジットカードは、これまで、アメリカではクレジットで借金を膨らませ、それが消費に転じ、好景気を生み出していたが、これが、サブプラムローンの崩壊で一転、いまや消費者は借金の返済に精いっぱいで、消費にお金がまわらない状況であるという。
この決算でホームデポも減収減益の厳しい決算となったが、記事の中で、ホームデポのフランク・ブレーク最高経営責任者(CEO)は、「顧客がローンを組むのが難しくなったことで、高単価商品の売れ行きが著しく落ち込んだ」という。特に500ドル以上の商品が2桁以上の落ち込みであるといい、高額商品の消費が急減しているという。また、百貨店はさらに厳しい状況であるといい、数字で見ても、高級店のサックス、そして、メーシーも赤字転落となり、ノードストロームも減収減益、特に利益は半分以下となる厳しい状況であるという。衣料品、雑貨の強いJCペニーも減収減益、減益幅は50%を割っており、厳しい状況である。
アメリカではこれから年間最大の売上となるクリスマス商戦、年末年始を迎えることになるが、厳しい状況となりそうである。ウォルマートと競合しているディスカウント業態のターゲットのグレッグ・スタインハフェルCEOは、「今年の年末商戦に向けて価格訴求力を最大の武器として、目玉商品は一番安い、ということを徹底して周知させる。過去に経験のないことだが、この環境ではやむを得ない。」と、コメントしており、今年の年末商戦はウォルマートも含め、空前の価格競争となる様相を呈しており、厳しい年末となりそうである。
さて、ここで、この四半期決算後のここ最近の主要小売業の株価の状況を見てみたい。まずは、ウォルマートであるが、リーマンショック後、46ドル近辺にまで落ち込んだ株価は、徐々にもどし、現在55ドル近辺で推移しており、小売業の中でも最も安定している株価といえよう。同じくディスカウトストアのターゲットであるが、リーマンショック後、株価は下げ止まらず、厳しい株価が続いている。9月上旬には55ドル近辺で推移していたが、その後、ほぼ右下がりに株価が落ち、11月に入り、やや持ち直したが、その後、また反転、現在35ドル近辺で推移しており、厳しい状況であるといえよう。ホームデポについては、もともと上がり下がりが激しい株価ではあったが、リーマンショック前は 一時は30ドル近辺まで株価が上昇したこともあったが、その後、株価は急落、10月に入ると、20ドルを割るところまで落ち込み、現在、22ドル近辺で推移しており、これまでにない低水準の株価である。
一方、百貨店業界では、サックス(サックス・フィフス・アベニュー (Saks Fifth Avenue))であるが、本当に厳しい株価である。現在、わずか4ドルとなっており、この1年間ほぼ右下がりで下げ続けており、昨年は20ドルを超えていたので、1/5となる落ち込みようである。メーシーズも、サックス同様、厳しい株価であり、現在5ドル前後で推移しており、昨年は30ドルを超えており、ほぼ1年に渡っての段階的な右下がりの株価であり、1/6となる株価である。そして、ノードストロームであるが、リーマンショック前までは比較的堅調な株価であり、35ドル前後で推移していたが、その後、株価は急落、10月に入ると20ドルを割り込み、11月に入ると15ドルを割り込み、現在、10ドル前後で推移している。百貨店業界はいずれも厳しい株価であり、まだ、底が見えない状況といえよう。
このように、アメリカのリーマンショック後のはじめての小売業の四半期べースでの決算数値が明らになったが、特に、クレジット関連での消費構成比の高い業態、高額商品関連の業態、特に百貨店は厳しい状況である。また、それを見越すかのように、株価も急落しており、投資家も売り一色となる様相である。ただ、その中でも、ウォルマートは独り勝ちであり、株価も下げたとはいえ、安定しており、改めて、ウォルマートの強さが浮き彫りになった結果となった。今後、クリスマス、年末年始後のアメリカの小売業の状況がどのような結果になるか、注意深く見守る必要があろう。
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