ティシューペーパーのPI値を、直近のPOSデータで見る!
食品スーパーマーケット約300店舗のティシューペーパーのPOSデータを独自に入手した。2008年10月度の直近のデータである。今回入手したPOSデータは金額PI値、PI値、平均単価、カバー率は算出されているが、この金額PI値、PI値が導入店舗のみの数字であるため、全体象がいまひとつ見えにくい。そこで、各数字を逆算して、全体の金額PI値、PI値、さらに、参考にティシュー1枚当たりの単価を計算して、MD評価表を作成し、ティシューのPOS分析を試みてみた。その結果、得られた結論は全体の金額PI値2,369.9円=全体のPI値8.66個×平均単価274円という結果であった。この単位は、1,000人当たりであるので、金額PI値は1,000人当たり2,369.9円(1人当りでは2.36円)、PI値は1,000人当たり8.66個(1人当り0.0086個、0.86%)、平均単価274円となる。
ちなみに、今回対象の約300店舗の客数は述べ約1,750万人、ティシューペーパーのSKUは約350、総売上金額は約4,000万円強、総売上点数は約15万個である。また、ティシューペーパーの家計調査データの直近の数字を9月度で見ると、ティシューペーパーは1世帯1日当り5.26円(昨対108.7%)、購入世帯のみ14.74円(昨対113.2%)、購入世帯の割合35.7%(昨対96.0%)という状況である。今回のPOSデータは、全体の金額PI値が2,369.9円(1人当りでは2.36円)であるので、家計調査データの約半分である。これは、ティシューペーパーの購買行動が食品スーパーマーケットだけではなく、ドラックストア、ホームセンターなど他の業態での買い物がかなりの割合を占めると思われ、その分、家計調査データと食品スーパーマーケットの金額PI値との誤差が大きいものと思われる。その意味では、食品スーパーマーケットは、まだ、チャンスロスが多いともいえるが、逆に見れば、ティシューぺーパーは激しい業態間の価格競争にさらされており、食品スーパーマーケットはシェアが十分に取りきれていないともいえよう。
また、家計調査データの数字を見ると、購入世帯の割合は昨対96.0%と下がっているが、購入世帯のみでは113.2%と大きく伸びており、結果、全体が108.7%と好調であるが、これは、恐らく値上げ等の問題があり、家計は購入数量は控えたが、値上げ分が加味され、金額ベースでは落ちなかったということであろう。その意味で、今後、ティシューペーパーは、現在は金額ペースでは好調であるが、引き続き、平均単価アップ路線を堅持するか、それとも、PI値アップ路線にもどすか、ないしは、両極を追求するのかの戦略の明確化が必要と思われる。それを踏まえて、次に、今回入手した食品スーパーマーケットのPOS分析データを単品レベルで見てみたい。
まず、ティシューペーパーの全体象であるが、先に見たように、約350SKUで金額PI値は2,369.9円である。この内、ベスト5で約50%のシェアとなり、重点商品の重みが極めて重いカテゴリーである。ベスト10で約70%、ベスト20で約80%、ベスト30で約90%となる。したがって、マーチャンダイジング上の最優先課題はまずはベスト5をしっかり抑えることである。ついで、次の5品を抑えて、約70%の売上を抑えることであろう。そして、残り30%を10から20SKUぐらいの品揃えを行い、プラスアルファを確保することであろう。このように、食品スーパーマーケットのティシューにおけるマーチャンダイジングはA(最重点商品5SKU)、B(重点商品5SKU)、C(品揃え商品10から20SKU)の3つに分けてマーチャンダイジング戦略を策定するのが良さそうである。
ちなみに、今回のPOSデータ分析では、ベスト5は、スコッティフラワー160W×5BOX(日本製紙クレシア)、金額PI値459.7円(導入店のみ925円)、ネピアネピネピティシュ160組×5個(王子ネピア)、金額PI値315.1円(810円)、ナクレコンパクトティシュ200W5個(三菱製紙)、金額PI値220.5円(2,187円)、エリエールキュート160W5P(大王製紙)、金額PI値121.9円(439円)、ネピアティシュ200組×5個(王子ネピア)、金額PI値119.2円(420円)の5品であった。
いずれも、1枚当たりの単価を見ると、0.36円、0.34円、0.30円、0.36円、0.34円と0.35円前後であり、3番目のナクレコンパクトティシュ200W5個(三菱製紙)のみが、ベスト5では0.30円と価格訴求がなされていた。また、カバー率は49.7%、39.9%、10.1%、26.6%、28.8%とNo.1のスコッティフラワー160W×5BOX(日本製紙クレシア)、No.2のネピアネピネピティシュ160組×5個(王子ネピア)が飛びぬけているのが特徴といえる。
このように、ティシューペーパーのベスト5は以上の状況であるが、これ以外の1枚単価を見ると、0.3円ぐらいから1.0円を超えるものまであり、最近は高級感溢れる商品も登場しており、プライスラインによる品揃えもこのPOSデータを見ると、特に品揃え面では、今後の課題といえよう。さらに、今回は約300店舗全体の数字をもとに重点商品を見たが、カバー率は低くとも、その導入店舗では高い数字の商品もあり、ティシューペーパーのマーチャンダイジングも様々な角度から、特に、C(品揃え商品10から20SKU)については、慎重に商品選定をする必要があろう。食品スーパーマーケットのティシューペーパーの金額PI値は、2,369.9円(1人当りでは2.36円)であるが、まだまだ伸びるチャンスがあるといえ、3,000円(1人当り3.00円)、4,000円(1人当り4.00円)を目指し、マーチャンダイジングの改善に取り組んでみてはどうだろうか?
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