東京ディズニーシー、ロングライフスティングを体感!
つい最近、東京ディズニーシーをじっくり見る機会があり、久しぶりに、ゆったり時間を使うことができた。東京ディズニーランドは1983年オープン以来、何度かいったことがあるが、東京ディズニーシーは2001年オープン以来もう7年目になるが、はじめての体験だった。着いて、すぐ、人気のアトラクション、「タワー・オブ・テラー」に乗り、その後、東京ディズニーシー特有の様々な壮大な海上ショーを見た。隣の東京ディズニーランドにもモノレールで行ってみたが、客数と客層が全く違うことにびっくりした。特に、この時期、ハロウィーン期間でもあり、ちょうど、ハロウィーンパレードにぶつかり、異常な人ゴミともいうべき活気にあふれ、まさに、両テーマパークの違いが鮮明であった。
事前に東京ディズニーランドの経営については全く調べずに、まず体感してみたが、中身を知れば知るほど、実におもしろい経営である。食品スーパーマーケットとは対極にある経営といえる。その決定的な違いは、時間であるように感じた。食品スーパーマーケットは1回当たりの買い物時間をいかに短くするか、ショートタイムショッピングが極意であるが、東京ディズニーシーは全く反対であり、いかに滞在時間を長くするか、ロングタイムスティングがテーマといえる。ただ、共通点もあり、それは、来店頻度をいかにひきあげるか、すなわち、もう一度、来店を促す印象をどのように顧客に持ってもらえるかである。実際、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの平均滞在時間は平均8.4時間であるといい、そのために、それぞれ、41、26、合計67のアトラクションが用意されている。さらに、飲食店、お土産店が各アトラションに併設され、東京ディズシーではじめから、ホテルミラコスタまで併設されているなど、宿泊も可能である。実際、ホテルミラコスタの稼働率は約90%であるといい、客単価約5万円、婚礼組数は年間約850組もあるという。びっくりである。ちなみに、アトラクションやショーの収入は売上の約45%、商品販売収入は約30%、飲食販売収入は約20%、その他約5%であり、アトラクションやショーだけではなく、商品販売、飲食が一体となったビジネスモデルであるといえ、まさに、ロングタイムスティングと再度来店を促す仕掛けがいたるところで実現されているといえよう。
ただ、その東京ディズニーシーを含め、東京ディズニーランドもここ最近は売上が伸び悩んでおり、この2008年3月の経営主体であるオリエンタルランドの本決算の数字をみると、やや厳しいものがある。売上高3,424.21億円(99.5%)、営業利益311.44億円(91.3%:売上対比9.09%)、経常利益275.10億円(91.1%:売上対比8.03%))、当期純利益147.30億円(90.3%:売上対比4.30%)と減収減益となった。特に、前年が東京ディズニーシー5周年でもあり、その反動があったことに加え、減価償却費が、2008 年3月期税制改正(残存価額廃止・加速償却)に伴う減価償却費の増加や、2つの新規施設(東京ディズニーランドホテルとシルク・ドゥ・ソレイユ.シアター東京)の開業前準備費用といった特殊なコストが発生したこともあるという。これらを考慮すると、実質横ばいというところか。
東京ディズニーシー、東京ディズニーランドの合計客数は昨年が東京ディズニーシー5周年記念でもあり、過去最高の客数、2,581万人が来場したが、ここ数年、約2,500万人で横ばいである。もちろん、この顧客がもたらす売上は日本のテーマパークの中ではシェア約40%という、断トツのNo.1である。1983年に東京ディズニーランドがオープンした時が約1,000万人の客数であったので、この25年で2.5倍に客数が増えており、特に、東京ディズニーシーがオープンした2001年以降は、直前が約1,700万人、オープン1年後が約2,500万人に達しており、その後、横ばいという状況である。ちなみに、客単価は9,370円(昨対100.7%)であり、その内訳は、先にも見たように、チケット収入4,226円(約45%)、商品販売収入3,096円(約35%)、飲食販売収入2,048円(約20%)である。客数は全体では確かに、横ばいから、やや減少気味ではあるが、客単価がやや増えており、中身はライトユーザーが減少し、会員、ヘビーユーザーが増加したという。年齢は18歳から39歳が51.8%で年々低下傾向にあり、40歳以上が約17%で年々増加傾向にあるという。また、4歳から11歳の子供が19.9%で横ばいであり、12歳から17歳が11.3%でやや減少傾向となっているという。まさに、少子高齢化を絵にかいたような先取りの顧客構成といえよう。また、海外は107万人(4.2%:昨対116.6%)であるというが、この状況をみると、今後は、これまでのボリュームゾーンである、18歳から39歳から、40歳以上へ徐々にシフトする可能性が高いといえ、まさに、東京ディズニーシーが今後ますます重要な位置を占めるようになろう。
オリエンタルランドは今後、中期経営計画「Innovate OLC 2010」(2008 年3月期~2011 年3月期)の中で、この4年間を「OLC グループの新たな成長に向けた取り組みを推進する期間」と位置づけている。その重点項目は、①コア事業(東京ディズニーリゾート)の更なる強化による利益の成長、②新たな成長基盤の確立、③OLC グループ価値の向上であるという。具体的には、利益成長(2011 年3月期の連結当期純利益目標270 億円レベル)と適正な資源配分(直接的な利益還元重視、有利子負債の削減、事業開発の推進)により長期的に安定した成長を可能にする経営基盤を作り上げることであるという。そして、テーマパークの根幹ともいえる、お客さまに、“涙が出るくらい”の感動を創造し続けることをスローガンとしており、今後、東京ディズニーシーはもちろん、東京ディズニーランドがどのように変わってゆくのか楽しみである。次回はさらにゆっくり、じっくり各アトラクション、そして、ショーを見てみたい。
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