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November 22, 2008

液体洗剤、好調、各社、本格増産!

  洗剤市場がここ数年伸び悩んでいる中、順調に売上を伸ばしている洗剤分野がある。液体洗剤である。日本の主要石鹸メーカーが加盟する日本石鹸洗剤工業会の調べによれば、洗剤市場は、この2008年1月から6月度の累計売上でちょうど100%であるのに対し、洗濯用の液体洗剤は125%の伸びであり、その中でも中性以外のものは156%と大幅な伸びとなっている。中性ものも106%と堅調な伸びを示している。逆に、粉末洗剤は89%と伸び悩んでいるので、消費者の需要が確実に液体洗剤にシフトしているといえよう。ちょうど、11/21の日経、日経MJでも液体洗剤の記事を掲載しており、これらの記事をも参考に、家庭用洗剤について、現況を見てみたい。

  11/21の日経新聞では、「衣料液体製剤を増産、花王5割、P&Gも2割」、「節水洗濯機対応で需要」という見出しの記事が載った。これまで、液体洗剤については、早くからP&Gが着目し、アリエール、ボールドを中心に綿密なマーケティングをもとに取り組んでいたが、ここヘきて、花王が本格的に動きだしたといえよう。記事の中でも、花王の和歌山工場の生産ラインを改良し、液体洗剤の生産ラインを作るとのことで、これにより、川崎工場と合わせ東西二拠点での液体洗剤の生産が可能になり、全国的な供給体制が整うことになるという。花王の液体洗剤の主力はアタックバイオジェル、スタイルフィットであるが、この2ブランドの攻勢が来春以降は本格化するといえよう。

   一方、P&Gについては、高崎工場での生産能力を2割引き上げ、増産への対応を行っているという。ライオンも大阪工場に約5億円かけて生産ラインを新設するとのことで、花王同様、千葉工場とともに東西での液体洗剤の生産体制が整うという。液体洗剤市場はこの3社で市場シェアの90%を占めるといわれており、現在では、衣料用洗剤の34%のシェアとなったという。恐らく、来春には、新たな液体洗剤の新商品も各社から登場してくる可能性も高いといえ、来春は液体洗剤の本格的な熾烈な市場シェア争いが繰り広げられるのではないかと予想される。
  
  この液体洗剤がここまで、ここ最近、需要が伸びた背景には、ドラム式洗濯機の普及が後押ししているという。通常の洗濯機に比べ、1/3程度に使用する水が抑えられ、ここに液体洗剤がマッチしたという。さらに、液体洗剤は粉末に比べ、溶け残りが少なく、詰め替え用が中心となるため、ゴミ減量にもつながるという。また、P&Gが早くから、液体洗剤に注目したのは、アメリカではすでに洗濯洗剤の80%近くを液体洗剤が占めているといわれ、いずれ、日本でも液体洗剤へ市場がシフトするのではないかとの読みもあったという。これら、様々な背景がその要因として、考えられるが、いずれにせよ、この数年間、日本でも液体洗剤需要が急激に伸びており、34%まで構成比が上がってきたのは事実であり、今後、液体製剤市場がどこまで伸びるかが注目される。
  
  では、実際の食品スーパーマーケット等では液体洗剤はどのような状況であるのかを見てみたい。日経MJ、11/21で、「ヒットを狙え」のコーナーで、「P&G、強敵洗い落とす、洗剤力向上、市場が拡大、アリエールけん引」、「勝利の方程式、①ブランド使い分け、②米での実績いかす、③粉末の劣性坂手に」という見出しでの特集が組まれた。この中には衣料用液体洗剤の売れ筋ベスト10が掲載されているが、その内、ベスト5を見てみると以下の通りである。
  
  No.1、アリエール、イオンパワージェル(詰め替え:P&G)、金額シェア19.9%、No.2、アタックバイオジェル(詰め替え:花王)、金額シェア15.4%、No.3、ボールド香り長続きジェル(詰め替え:P&G )、金額シェア12.0%、ここまで累計金額シェア47.3%と約半数を占める。そして、No.4、ふんわりニュービーズジェル(詰め替え:P&G)、金額シェア8.7%、No.5、香りつづくトップ(詰め替え:ライオン)、金額シェア6.5%である。いずれも、詰め替え用であり、マーケットを先行したP&Gの強さが浮き彫りである。
  
  さらに、これを独自に入手した食品スーパーマーケット約300社の少し前になるが6月度のデータで確認してみると、液体衣料用洗剤では、やはり、アリエールイオンパワージェルがトップであり、金額PI値は1,000人当たり、178円である。No.2もアタックバイオジェルであり、金額PI値は145円である。カバー率も76.9%、78.2%と拮抗しており、売場では併売で訴求され、双方が競い合いながら市場を活性化しているのが現状といえよう。ちなみに、粉末のアタックは金額PI値320円であるので、まだ、約半分の金額PI値であり、今後、どこまで、この数字に迫るかがポイントである。
  
  このように、長らく横ばいで推移していた洗濯洗剤市場であるが、ここへきて、ここ数年、液体洗剤のシェアがじわじわと伸び始め、この数年は2桁以上の成長率となり、シェアも34%となり、今後、洗剤市場を牽引してゆく勢いとなった。トップブランド、P&Gはもちろん、花王、ライオンの追撃態勢も整いつつあるといえ、来春は液体洗剤の熱い戦いが繰り広げられるものといえ、液体洗剤市場に注目といえよう。食品スーパーマーケットの洗剤売場が劇的に変わる可能性もあり、食品スーパーマーケットの棚割、レイアウト、販促の変化にも注目したい。

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