オオゼキの坪効率1,276万円を支える客数と店舗面積!
12/18、オオゼキがすでに公表した2009年2月期の中間決算の説明会資料と説明会補助資料が公開された。この中で、オオゼキがなぜ食品スーパーマーケットとして日本一の坪効率1,276万円(2008年2月期現在)が達成可能であったのかの一端を垣間見ることができる。そこで、ここでは、その資料をもとに、その要因を客数と店舗面積に焦点を当てて、解明してみたい。坪効率は坪当りの売上のことであり、この数値を高めるには、売上最大化をはかる一方で、売場面積と売上とのバランスを最適にする必要がある。
一般的に食品スーパーマーケットの売上は客数と客単価で決まるが、客単価は通常の食品10大分類ぐらいであれば2,000円前後に集約し、それ以上伸ばすためには、商圏を広げ、まとめ買いを誘発するとか、ディスカウント路線に走り、容量を大きくするとか、品揃えを最大にし、あらゆる客層に対応するかなど、何らかの極端な政策を打たないと難しいのが実態である。一方、客数は商圏、すなわち、立地によって左右される要素が大きく、人口密集地であれば、自然客数は多くなり、郊外など人口が薄いところでは、食品スーパーマーケット単独では集客が難しく、NSC(近隣型SC)、SC業態の核店舗のひとつとして、集客をはかり、一定の客数を維持することになる。
こう考えると売上はどのような商圏環境にあっても無限に伸びることはなく、グラフで示せば、どこかでピークになり、その後は横ばいか、漸減してゆくことになるのが実態であろう。これに対し、店舗面積は極論すれば、どこまでも拡大することが可能である。ここ30年ぐらいで見ると、食品スーパーマーケットは100坪ぐらいの時代からはじまり、150坪、200坪、300坪、400坪、500坪、そして、1,000坪と売場面積を拡大し続けており、最近では400坪前後が主流となりつつあるのが実態であろう。ただ、興味深いことに、店舗面積の拡大と比例するように坪効率が下がりはじめ、以前は、坪効率1,000万円の食品スーパーマーケットがざらにあったが、最近では、500万円はおろか、数100万円台の食品スーパーマーケットも多く、収益が厳しい状況となりつつある。
そこで、オオゼキの実態であるが、まず、売上から見てみたい。オオゼキの1日当たりの全29店舗の平均売上は、この中間決算時では622.95万円である。その中身であるが、客数は3,647人、客単価は1,708円であるので、通常の食品スーパーマーケットと比べて客数が極めて高いのが特徴である。 客数は最大の下北沢店の6,376人から座間店の1,712人まであるが、4,000人を超える店舗が下北沢店を含め10店舗あり、約1/3となる。また、3,000人未満の店舗が8店舗であり、残りは3,000人以上4,000人未満であり、いかに客数が多い店舗が多いかがわかる。これに対して、客単価は最高2,589円の松原店であり、最少は1,154円の千歳烏山店である。2,000円以上が松原店を入れて4店舗であり、1,500円以下が千歳烏山店を入れて7店舗であり、大半が1,500円以上2,000円未満となる客単価であり、通常の食品スーパーマーケットと比べ客単価は若干低めであるといえよう。したがって、オオゼキの売上は通常の食品スーパーマーケットと比べ高めであるが、その要因は客単価ではなく、客数にあるといえ、この客数の高さが坪効率日本一を支える要因のひとつといえよう。
では、もう一方の売場面積についてであるが、これが何と195.4坪という全29店舗の平均が200坪を下回る小ささである。ここ最近の食品スーパーマーケットは400坪前後が主体となりつつあるので、195.4坪はほぼ半分であり、いかにオオゼキが店舗面積を圧縮しているかがわかる。店舗面積最大の店舗は378.2坪の高井戸店であり、最も小さい店舗面積の店舗は、118.2坪の経堂店である。150坪以下の店舗が経堂店を含め8店舗であり、300坪以上の店舗が高井戸店を含め4店舗であるので、大半は200坪前後であり、食品スーパーマーケットとしてはかなり小規模な食品スーパーマーケットであるといえよう。
したがって、この小規模な面積の店舗に、大量の客数がなだれ込むという現象が起きているといえ、オオゼキはこの数字を見るだけでも滅茶苦茶混んでいる超忙しい食品スーパーマーケットであることが想像できる。そして、これが、驚異的な坪効率をたたき出しているといえ、2008年2月決算時には年間平均1,276.0万円という日本一の食品スーパーマーケットの坪効率を達成したといえよう。ちなみに、この中間では年間最高の売上月である12月が入っていないので、1,163.8万円であるが、この時点で、坪効率が最高の店舗は2,258.8万円の池上店であり、No.2が1,981.1万円の旗の台店、No.3が1,909.2万円の目黒不動前店である。逆に最も低い店舗は相模原中央林間店の443.7万円である。
このようにオオゼキの坪効率日本一、1,276.0万円(2008年2月期現在)の要因を直近の2009年2月期中間決算の数字で見てみたが、その理由は、平均客数3,647人に支えられた集客力の高さによる高い売上と、食品スーパーマーケットの約半分の圧縮された店舗面積とのバランスにあるといえ、このバランスがオオゼキの経営内容にも波及し、安定した経営を支えているといえよう。坪効率の高さはダイレクトに利益に結びつく重要な経営数字であるので、食品スーパーマーケットはオオゼキのような高い数字を達成することは難しくとも、現状のバランスを見直すことは可能といえ、再度、坪効率の改善に取り組んで見ても良いのではないかと思う。
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