ウォルマート、ドル高直撃、国内堅調、11月度売上!
ウォルマートの2008年11月度の売上速報が12/4、公表された。アメリカの金融不安によるドル高が直撃、海外売上が-11.0%となり、全体がわずか1.6%プラス、101.6%となる厳しい数字となった。先月、10月度は102.3%であり、海外売上は-5.9%であったので、さらに、売上が落ち込んだことになる。当然、これは利益にも跳ね返り、年間最大の売上の季節であるクリスマス商戦、年末商戦を直撃することは必至となり、今期は厳しい決算となりそうである。
ウォルマートの海外依存度はこの11月度の売上で見ると、70.64億ドル(約6,300億円)であり、全体が322.13億ドル(約3兆円弱)であるので、21.9%である。先月の海外依存度は23.6%、先先月は25.8%であったので、この数ケ月で急速に落ち込んだ。これは43週累計の海外の売上高を見ると、さらにその傾向は鮮明であり、この間の売上累計は110.7%であり、いかに、この数ケ月、ドル高が急激に進んだかがわかる。ちなみに、ウォルマートの海外展開はアルゼンチン、ブラジル、カナダ、中国、コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、日本、メキシコ、ニカラグア、プエルトリコ、イギリス、そして、ジョイントヴェンチャーのインドである。
では、国内のウォルマートはどうであったかであるが、スーパーセンター、ディスカウントストア、ネイバーフッドマーケット(食品スーパーマーケット)を集計したウォルマート部門では、106.5%と好調な数字であった。46週累計でも106.6%であるので、この1年間、ほぼ順調に売上を維持してきたといえ、金融不安の影響はほとんどなかったといえる数字である。しかも、既存店の数字は103.4%と昨年の101.0%と比べ、伸びており、既存店はさらに好調な数字である。いま、アメリカの小売業はウォルマートの独り勝ちといわれているが、まさに、それを表すかのような既存店の好調さであるといえよう。ウォルマート部門のこの11月度の売上は214.77億ドル(約1兆9,000億円強)であり、全体の66.7%であり、このウォルマート部門の好調さが、海外のドル高による影響を相殺し、全体をプラスにもっていった要因であるといえる。
そして、ウォルマートのもうひとつの部門、会員性ディスカウントストア、サムズクラブ部門であるが、101.4%とやや厳しい数字となった。43週累計が106.6%であるので、この11月度は厳しい数字であったといえよう。その要因は既存店にあり、これまでの資源高の高騰による石油等の価格が急激に下がったため、これまで、サムズクラブの売上を牽引してきた石油をはじめとする燃料需要が急激に落ち込んだためである。また、アメリカの消費不況により、車での買い物も抑制されたことも大きいようである。実際、燃料等の売上はこれまでのプラスから一転、マイナスとなり、この11月度は-3.0%となり、全体でも既存店は100.5%とわずかな伸びにとどまってしまった。ちなみに、この燃料等の数字を引いた場合には103.5%とサムズクラブ部門は堅調な数字であり、いかに、燃料等への依存度がこれまで大きかったかがわかる。
それにしても、ウォルマートが今年のスローガンとして掲げた、「Saving People Money So They Can Live Better」は、ここへ来て、ぴたりはまり、全米でウォルマートが独り勝ちの様相を呈しており、ウォルマートの経営陣に先見の明があったといえよう。日本の西友もやっと、このスローガンのもとに動き始めたが、いまや、全世界のウォルマートが目指すスローガンとなったといえよう。ウォルマートもこの言葉が、創業者、サム・ウォルトンがウォルマートの1号店をオープンした時の目標であったといっており、今後、一層、ウォルマートにとって、重要なスローガンとなろう。
これを受けて、ウォルマートの株価であるが、12/12の株価は54.63ドル(-0.29%、-0.16ドル)と堅調な数字であった。ウォルマートの株価は、9/15のリーマンブラザーズの破綻以降、アメリカの金融不安が本格化し、それまで一時は64ドルまで上昇していた株価が10月初旬には45ドルまで下降した。ただ、その後は株価をもどし、10月、11月と55ドル前後で推移してきた。そして、12月に入り、国内のウォルマートの好調さが明確になると株価は上昇、ちょうど、この11月度の売上速報が公表された12/4以降には一時は60ドル近辺にまで上昇した。その後、また、やや値をもどしたが、現在は55ドル前後で推移しており、ウォルマートの株価は堅調な動きであるといえよう。
このように、12/4、ウォルマートの11月度の売上速報が公表されたが、数字は海外部門が急激なドル高により、-11.00%となる大幅な減少となったが、国内部門、特に、ウォルマート部門は堅調であり、既存店が昨年と比べ好調に推移し、全体を牽引し、わずかではあるが、101.6%というプラスとなった。今後、ウォルマート最大の年間売上となるクリスマス商戦、年末商戦を迎えることになるが、国内部門の好調をどこまで海外部門のドル高による減収を補えるかがポイントであるといえ、ウォルマートにとって、次の12月度は重要な月となる。ウォルマートの来月度の売上速報がどのような数字となるか、注意深く見守りたい。
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