オーケー、2009年3月期中間決算、大幅増収増益!
注目のオーケーが12/18、2009年3月期の中間決算を公表した。売上高934.60億円(114.2%)、営業利益46.23億円(131.3%:売上対比4.94%)、経常利益47.38億円(132.9%:売上対比5.06%)、当期純利益27.45億円(133.3%:売上対比2.93%)と大幅な増収増益となった。特に、利益はいずれの段階でも130%以上という増益であり、好調な中間決算結果であった。この結果について、オーケー自身は不満であるとのことで、特に、売上が114.2%では低調であるとコメントしている。また、経常利益が5.06%となったが、これは、逆に自力以上の数字であるとコメントしている。
その理由は、売上高は本来、新店がもっと多く出店できる予定であったが、今期は町田森野店(7月)、相模原店(7月)の2店舗のみであり、新店が少なかったからであるという。また、経常利益については、新店が少なくなったことにより、経常総経費率が下がり、利益がかさ上げされたとのことである。ただ、売上高114.2%は食品スーパーマーケット業界の中でもトップクラスであり、十分成長性が高いといえよう。
オーケーはかねてから、スローガンとして、「借入無しで年率30%成長を達成する」を掲げており、その意味で114.2%は130%までにはまだ差があるものといえ、このようなコメントになったものと思われる。また、一方の借入無しについては、今期、短期借入金、社債等が139.9億円、長期借入金、社債等が12.2億円の合計152.1億円であり、これは総資産の23.2%とまだまだ多く、これが結果的に自己資本比率が31.4%と低い要因である。この自己資本比率31.4%は確かに低い数字といえるが、昨年は28.8%であり、数字は若干改善された。オーケーも自己資本の増強には昨年から、積極的に取り組み始めており、今期も昨年同様、2008種類株式を51.56万株発行しており、15.85億円の資金調達を行っている。ちなみに2007種類株式は27.13億円であり、今期の方が金額はやや少なかったが、昨年と合わせ、42.98億円の自己資本の調達であり、若干ではあるが、自己資本比率の向上にはつながったといえよう。ただ、自己資本比率を優良食品スーパーマーケット並みの50%以上に引きあげるには、100億円単位の資金調達が必要であり、今後、財務戦略の改革も経営課題のひとつといえよう。
では、キャッシュフローが回らないのかというと、この中間決算の状況を見ると、営業キャッシュフローは62.69億円と昨年の45.55億円と比べ20億円弱増加している。これは、まさに、増収増益、特に、営業、経常、そして、当期純利益が130%を超える大幅な増益となったためであり、しかも、経常利益が5%を超えるという高収益となったためである。したがって、投資キャッシュフローも新店投資等へ昨年よりも増加させており、今期は49.17億円と昨年の33.53億円と比べ15億円以上行っており、結果、フリーキャッシュフローは13.52億円となり、営業キャッシュフローの範囲内で、投資キャッシュフローを賄う順流のキャッシュフローとなった。そこで、財務キャッシュフローであるが、何と22.09億円の増加となった。これは、今期、自己株式の処分による収入が21.15億円であったことが大きい。ただ、一方で、短期借入金が13.5億円増加し、長短期借入金の返済が7億円弱しか進んでいない点が気になるところではある。結果、トータルの資金は35.60億円のプラスとなり、現金及び現金同等物は昨年と比べ、今回の分が加わり、70億円弱も増加し、194.37億円となった。
そこで、オーケーの出店余力であるが、自己資本比率は31.4%であり、先に見たように負債の主要項目である長短借入金が152.1億円と総資産の23.2%ある。一方、出店にかかわる資産である建物、土地、敷金及び差入保証金の合計は362.64億円(昨年334.60億円)であり、これは総資産の62.9%となる。当然、自己資本比率31.4%では賄えず、負債に大きく依存した出店構造となっている状況である。長短借入金等の合計の23.2%を足しても54.6%であり、さらに、10%弱の負債依存度であり、出店余力=自己資本比率-出店にかかわる資産とすると-31.5%となり、財務的には、負債に大きく依存する、かなり厳しい出店構造であるといえよう。今後、オーケーが安定成長、特に、スローガンに掲げている「借入無しで年率30%成長を達成する」を実現するには、一層の自己資本比率の改善が急務といえよう。
ところで、オーケーの強さはどこにあるかであるが、何といっても経費比率の低さにあるといえる。今期は新規出店も抑制されたことにより、何と14.9%となり、昨年の15.3%と比べて、さらに、経費比率を引き下げている。この経費コントロールは食品スーパーマーケットでも極限に近い数字といえ、これがオーケーの経営の強さの源泉といえよう。これに加え、今期は原価も80.1%(昨年80.4%)と0.3ポイント引き下げており、売上総利益は19.9%(昨年19.6%)と大きく改善し、結果、営業利益=マーチャンダイジング力は5.0%(昨年4.3%)と0.7ポイントと大幅な改善ができたことが、昨対130%を超える増益となった要因である。
このように、オーケーの2009年3月期の中間決算は増収、大幅な増益となる好決算となった。原価および経費も改善し、キャッシュフローも順流となるまさに好決算であったといえよう。ただ、気になるのは、自己資本比率であり、これだけ、好決算であるにもかかわらず、出店余力が大きくマイナスとなっており、今後、いかに借入れを返済し、自己資本比率を高め、出店余力を増してゆけるかが課題といえよう。オーケーの今後の安定成長のためにも、好決算を活かした財務面の改善に期待したい。
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