食品スーパーマーケット、第3四半期決算、公表はじまる!
12/24、オークワの2009年2月期の第3四半期決算が公表された。いよいよ、食品スーパーマーケットの第3四半期決算の公表が始まったといえ、オークワが食品スーパーマーケット業界で、先駆けての公表である。第3四半期は今期決算を占う上で重要な決算といえ、あとは、年末年始の結果のみとなる。そのオークワの決算結果であるが、結果は、営業収益1,988.47億円(107.2%)、営業利益53.12億円(102.9%:営業収益比2.67%)、経常利益53.66億円(100.4%:営業収益比2.69%)、当期純利益28.90億円(100.3%:営業収益比1.45%)となる増益幅はわずかではあったが、増収増益となる好決算であった。
特に、今期は増収幅が107.2%と好調であったが、これは、スーパーセンター、ディスカントストア業態のプライスカットが好調で既存店が100.8%と堅調であったことに加え、10月にSSM業態の忠岡店(大阪府泉北郡)、11月にディスカウント業態のプライスカット明石大久保店(兵庫県明石市)を新規出店し、今期出店が6店舗となったことが大きかったといえよう。さらに、今期は、6月に愛知県、静岡県、岐阜県に17店舗を展開しているパレを子会社化し、この第3四半期決算から連結となったことも増収に寄与したといえよう。
一方、やや苦戦した利益面であるが、原価を見ると、74.8%(昨年74.7%)と、ほぼ昨年並みの原価であり、原価高の中、0.1ポイントの上昇にとどめており、この面での利益への影響はほとんどなかったといえよう。結果、売上総利益は25.2%(昨年25.3%)となった。これに対して、販売費及び一般管理費であるが、26.1%(昨年25.9%)と0.2ポイント上昇し、やや経費の上昇がみられた。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、すなわち、マーチャンダイジング力は-0.9%(昨年-0.6%)と0.3ポイント下がった。残念ながら、マーチャンダイジング力は昨年より下がっているのが気になるところである。これに、不動産収入等の営業収入が加わるが、今期は3.7%(昨年3.5%)と0.2ポイント上乗せとなり、結果、最終的に営業利益は、2.8%(昨年2.9%)と0.1ポイントダウンでとどめたが、率にすると3%強下がったことが、増収分を相殺し、利益が伸び悩んだ要因といえよう。すなわち、原価、経費ともに若干ではあるが改善できなかったことが利益に微妙な影響を与えたといえよう。
これを踏まえてキャッシュフローの流れであるが、営業キャッシュフローが46.76億円であったが、投資キャッシュフローが今期は、昨年と比べ、多額の固定資産の取得による支出118.03億円があり、-137.98億円となり、結果、フリーキャッシュフローが-91.22億円となる大きなマイナスとなる逆流となった。そのため、借入が増加し、財務キャッシュフロー48.01億円となったが、結果、トータル、資金は-43.21億円減少し、今期のキャッシュフローは厳しい状況であったといえよう。固定資産の投資が大きく財務を圧迫しているのが、今後の財務にどのような影響を与えるか少し気になるところである。
そこで、今後の成長のための出店余力を見てみると、自己資本比率は53.8%(昨年56.8%)となり、若干下がっているが、これは、負債の主要項目の長短借入金の合計が266.23億円(昨年236.86億円)と約30億円増加したことによる。結果、総資産1,378.32億円の19.3%となり、財務を大きく圧迫するほどではないが、自己資本比率が下がる要因となった。一方、出店にかかわる有形固定資産は863.23億円と総資産の62.6%であり、自己資本比率53.8%を超え、負債に約10%依存する構造となり、出店余力は、自己資本比率-出店にかかわる資産=-8.8%となり、やや厳しい状況といえよう。
こう見ると、この第3四半期決算は営業収益が好調であり、増収とはなったが、原価、経費がやや厳しい状況となり、営業利益が伸び悩んだ。その結果、キャッシュフローの流れが、固定資産への新規投資も大きかったことにもより、逆流となり、資金繰りが現預金を取り崩さざるをえなくなった。そしてこれが、出店余力にも影響を与え、負債が増加し、自己資本比率をやや下げ、負債にやや依存する出店構造となり、財務を圧迫したといえよう。
ただ、通期予想は、営業収益2,760.00億円(109.8%)、営業利益84.00億円(107.0%:営業収益比3.04%)、経常利益85.00億円(105.1%:営業収益比3.07%)、当期純利益46.00億円(113.2%:営業収益比1.66%)と増収増益予想であり、営業利益もこの第3四半期と比べ、大きく回復が予想されるので、財務状況も最終的には改善が期待されると予想されよう。ちなみに、翌日、12/25のオークワの株価であるが、1,285円(+3円、0.23%)と若干プラスとなったが、12/24(1282円)、12/22(1,325円)、12/19(1,298円)、12/18(1,298円)と、ほぼこの数日は横ばいであり、この間の売買高も低調であり、投資家は今回のオークワの決算に対して、判断をしかねている状況といえよう。
このように、オークワの2009年2月期の第3四半期決算の結果は増収増益とはなったが、増益幅が小さく、キャッシュフロー、財務内容等やや厳しい状況となった。ただ、通期予想は増益幅も大きくなり、増収増益の予想であり、まだ、年末商戦を残してはいるが、財務内容も含め、好決算が期待できそうである。今期は、M&Aを含め、新店開発が積極的であったが、来期、オークワがどのような成長戦略を打ち出すかに注目したい。
有料版プレミアム、リニューアル、今週の内容! お申し込みはこちら!
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ!(現在1250人) 資料集
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!(現在530人)
« オオゼキの坪効率1,276万円を支える客数と店舗面積! | Main | 日経MJ新製品週間ランキング、12/26、厳しい数字! »
« オオゼキの坪効率1,276万円を支える客数と店舗面積! | Main | 日経MJ新製品週間ランキング、12/26、厳しい数字! »
Comments