三越伊勢丹ホールディングス、統合後初の中間決算!
この4/1、三越と伊勢丹が経営統合し、株式移転により共同持株会社を設立し、はじめての中間決算(2009年3月期)が11/13公表された。第1期であるため昨年対比はないが、結果は売上高7,054.36億円、営業利益112.21億円(売上対比1.59%)、経常利益192.36億円(売上対比2.72%)、当期純利益121.98億円(売上対比1.72%)であった。また、通期予想は売上高1兆4,800.00億円、営業利益250.00億円(売上対比1.68%)、経常利益400.00億円(売上対比2.70%)、当期純利益270.00億円(売上対比1.82%)である。
この数字をどう評価するかであるが、単純に昨年度本決算時の三越と伊勢丹の結果を見てみると、三越の2008年2月期の決算数字は、売上高7,739.64億円(96.2%)、営業利益84.55億円(67.0%:売上対比1.09%)、経常利益122.58億円(72.0%:売上対比1.58%)、当期純利益44.27億円(34.2%:売上対比0.57%)と、減収減益の厳しい決算であった。一方、伊勢丹は2008年3月期決算となるが、売上高7,858.39億円(100.5%)、営業利益334.17億円(103.6%:売上対比4.25%)、経常利益336.85億円(100.8%:売上対比4.28%)、当期純利益137.60億円(75.2%:売上対比1.75%)と、当期純利益は減益となったが、営業、経常段階では増収増益の堅調な決算となった。
したがって、この決算結果を単純に合計してみると、売上高1兆5,598.03億円、営業利益418.72億円(売上対比2.68%)、経常利益459.43億円(売上対比2.94%)、当期純利益181.87億円(売上対比1.16%)となり、これを、中間段階での通期予想と比較すると、売上高94.88%、営業利益59.7%、経常利益87.0%、当期純利益148.4%となり、当期純利益はプラスに転じるが、営業、経常段階では減収減益となる厳しい決算となる予想である。経営統合の相乗効果が表れるまでには、相当の時間がかかりそうである。これに加え、アメリカの金融不安が実態経済に影響を与えはじめ、じわじわと日本にも広がり始めており、消費環境は悪化が予想され、百貨店業界は一層、経営環境が厳しいものとなろう。
このような厳しい消費環境を反映してか、この12/1に公表された三越伊勢丹ホールディングスの2008年11月度の売上速報を見ると、三越は全体が92.2%、日本橋店91.9%、新宿店94.4%、銀座店92.0%、池袋店90.6%、千葉店92.6%という状況である。一方、伊勢丹は全体が93.8%、本店(新宿)93.2%、立川店94.2%、吉祥寺店92.5%、松戸店92.9%、浦和店94.9%、相模原店95.7%、府中店96.1%であり、厳しい状況である。三越、伊勢丹ともに、この11月度は厳しい売上であり、今後、経営統合をどう業績に反映させられるかが、当面の課題であるといえよう。
このように、経営統合後の三越伊勢丹ホールディングスのこの中間決算の結果を踏まえての通期決算予想は厳しい結果が予想されるが、この中間決算段階での財務状況についても見てみたい。まず、自己資本比率であるが、35.8%であり、資産の大半を自己資本ではなく、負債に依存している構造となっている。ちなみに、総資産は1兆3,927.04億円である。その負債の中で、長短借入金等の状況を見てみると、合計2,078.66億円であり、これは、総資産の14.9%であり、財務を圧迫するほどの金額ではなく、借入に大きくは依存しない財務構造であるといえよう。負債の中で最も大きな項目は、流動負債その他の2,153.27億円、固定負債の繰延税金負債の1,948.98億円であり、合計4,102.25億円となり、総資産の29.4%である。一方、資産の方であるが、土地、建物が大半を占めており、合計7,692.02億円であり、これは総資産の55.23%である。ちょうど、自己資本と長短借入金等の合計でほぼバランスがとれている構図である。
このような財務状況の中で、この中間期のキャッシュフローであるが、営業キャッシュフローは合併にともなうのれん代等がかさみ、48.29億円にとどまったのに対し、投資キャッシュフローは、固定資産の取得等への投資がかさみ、-151.32億円となり、フリーキャッシュフローは-103.03億円となり、逆流のキャッシュフローとなった。したがって、財務キャッシュフローを、特にコマーシャルぺーパー、短期借入金等で補い、120.88億円のプラスとし、結果、14.92億円のプラスとはなったが、今後、営業キャッシュフローの一層の増加策が課題となろう。
このように、経営統合後の三越伊勢丹ホールディングスの初の中間決算の結果を見てみたが、売上の伸び悩みが、財務を圧迫する状況となっており、財務が安定するまでに時間がかかりそうである。消費環境はより厳しさを増しており、売上のアップで営業キャッシュフローを増加させるのは難しい状況といえ、より、原価改善、経費の削減が重要な経営課題となろう。
最後に、伊勢丹の子会社である食品スーパーマーケット、クイーンズ伊勢丹の決算状況を見てみたい。この中間期の決算数値は、売上高270.60億円、営業利益-2.53億円、経常利益-3.15億円、当期純利益-2.03億円という厳しい状況であり、通期予想も553.03億円、営業利益-3.92億円、経常利益-4.89億円、当期純利益-3.94と同様に厳しい予想である。百貨店全体も厳しい状況であるが、子会社の食品スーパーマーケットはさらに厳しい状況といえ、都市部の消費構造が急激な構造変化をとげている結果であろう。今期は、百貨店はもちろん、このクイーンズ伊勢丹に見るように、アップグレード商品主体の小売業は、すでにアメリカでも見られるように、厳しい経営環境となるといえよう。
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