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December 01, 2008

相鉄ローゼン相模鉄道の完全子会社へ、丸紅と提携!

   11/28の日経に、「相鉄ローゼン、丸紅、最大2割出資へ、傘下スーパーと連携も」という見出しの記事が掲載された。これによると、今後、丸紅が相鉄ローゼンと業務提携を行い、最大20%までの出資を検討するという。丸紅は経営幹部を派遣すると同時に、将来的にはすでに傘下の東武ストアなどとの連携も視野に入れるという。実際、相鉄ローゼンのホームページを見ると、11/27付けで、業務提携に関するお知らせが公表されており、その中で、丸紅との業務提携が11/27に締結されたとのことである。また、同時に、相模鉄道による相鉄ローゼン株式会社の株式交換による完全子会社化に関するお知らせも公表されており、その中で、来年4/8付けで相模鉄道が、相鉄ローゼンを株式交換により、完全子会社化するとの内容も公表されている。したがって、順番としては、まずは、丸紅と相鉄ローゼンとの業務提携がなされ、その後、相模鉄道が相鉄ローゼンを完全子会社化し、上場廃止後、丸紅が最大20%の資本提携をするという内容である。
 
   ここ最近、電鉄系食品スーパーマーケットは親会社への吸収合併が増えており、東急による東急ストア、近鉄による近商ストアなどがあり、電鉄系食品スーパーマーケットは苦戦を強いられているといえよう。それだけ、駅前周辺という好立地であるにもかかわらず、なかなか収益があがらず、逆に、食品スーパーマーケット専業の競合店にマーチャンダイジング面から苦戦するのが現状であるといえよう。

   そこで、10/10に公表された相鉄ローゼンの2009年2月期の中間決算の状況を見てみると、売上高463.65億円(100.9%)、営業利益3.07億円(69.9%:売上対比0.66%)、経常利益2.40億円(66.1%:売上対比0.51%)、当期純利益1.03億円(昨年は赤字:売上対比0.22%)と増収ではあるが、大きく減益となる厳しい決算であった。その要因をマーチャンダイジング面から見てみると、原価は72.0%(昨年71.5%)と0.5ポイント上昇しており、原材料価格高騰の折、原価がやや上昇した。結果、売上総利益は28.0%(28.5%)となり、0.5ポイント下がっており、厳しい数字である。一方、販売費及び一般管理費は31.6%(昨年31.6%)と昨年と同様な数字に抑えたが、31.6%はかなり大きな金額であり、結果、マーチャンダイジング力、売上総利益-販売費及び一般管理費は-3.6%(昨年-3.1%)と厳しい数字である。これに不動産収入等が4.2%(昨年4.1%)のり、結果、営業利益は0.6%(昨年1.0%)とプラスになったが、マーチャンダイジング力は大きく、マイナスであり、その原因が原価の上昇と恒常的な販管費の高さにあり、今後、この両面からの圧縮が急務といえよう。一般的に電鉄系の食品スーパーマーケットはこのような傾向があり、マーチャンダイジング力がマイナスとなることが多い。
   
   これを受けて、キャッシュフローであるが、営業キャッシュフロー26.07億円、投資キャッシュフロー2.91億円、フリーキャッシュフロー28.98億円と投資キャッシュフローがプラスとなる珍しい状況であるが、これは、新規出店の投資等を抑え、逆に、差入保証金・敷金の返還4.18億円あったためである。そして、財務キャッシュフローであるが、長期借入金を16.62億円返済し、-18.69億円となり、トータル、資金は10.29億円となった。気になるのは借入の返済に重点がおかれたキャッシュフローの流れとならざるをえなくなり、新規投資へのキャッシュの配分が十分にできない状況である点である。
  
   その要因は、出店余力にあり、土地、建物、長期差入保証金・敷金の合計は245.79億円となり、総資産421.37億円の58.3%となり、自己資本比率26.0%(昨年25.5%)では賄えない構図となり、その差は32.3%である。したがって、この分を負債に大きく依存する財務構造となっており、負債の主要項目である長短借入金の合計を見ると、139.43億円となり、これは総資産の33.0%であり、ちょうど、出店余力を補う数字となる。この数字を見る限り、かなり厳しい出店構造であり、新規出店が思うようにできない財務構造といえよう。ちなみに1店舗当たりの出店にかかわる資産を見ると、全店が57店舗であるので、4.3億円となる。

   これを受けて、通期予想であるが、売上高929.00億円(100.4%)、営業利益6.40億円(85.7%:売上対比0.68%)、経常利益4.90億円(83.8%:売上対比0.52%)、当期純利益1.30億円(昨年は赤字:売上対比0.13%)と増収とはなるが、大きく減益となる厳しい決算予想である。特に、営業利益率が売上対比で0.52%という状況であり、売上よりも、収益力が厳しい状況であることがわかる。

   このように、相鉄ローゼンも電鉄系の最近の悪い流れを組み、親会社への完全子会社化が決定されたが、親会社に吸収合併されても、今回の中間決算に見たとおり、食品スーパーマーケットの収益構造、財務構造が大きく変化するわけではなく、厳しい経営状況が続くといえよう。したがって、ここは抜本的な構造改革が必要な状況といえ、マーチャンダイジング力、出店余力ともに優良な食品スーパーマーケットの経営構造をそっくり移植するぐらいの思い切った経営改革が必要といえよう。相鉄ローゼンの相模鉄道への完全子会社化後の次の一手に注目したい。

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