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December 25, 2008

酒のマーチャンダイジングを考えてみる!

   酒は実におもしろい商品群である。食品スーパーマーケットの中でも、ごく最近加わったラインといえ、まだ、マーチャンダイジングの歴史も浅い。食品スーパーマーケットはそもそも、歴史の中で、様々な商品を加えてきた経緯がある。食品スーパーマーケット独特の言葉に「ラインロビング」という言葉があるが、まさに、食品スーパーマーケットはラインロビングの歴史であり、これが現在まで続いている。ラインロビングとは、ラインを盗むという意味であり、ラインとは商品群のことである。もともと食品スーパーマーケットは生鮮3品、青果、鮮魚、精肉からスタートした場合が多いが、その後、日配、グロサリー、菓子、雑貨、惣菜と、まさにラインを盗み、売上を大きくしてきた歴史である。その流れの中で、酒は、ごく最近、ラインロビングしたため、マーチャンダイジングのノウハウが現在進行形といえよう。

   そこで、その歴史の浅い、酒のマーチャンダイジングについて、考えてみたい。まず、酒をどう商品分類するかであるが、家計調査データに沿って分類してみると、清酒、焼ちゅう、ビール、ウィスキー、ぶどう酒、発泡酒、他の酒の7つである。この7つの商品群で構成されるのが酒であり、この7つの商品群をどう品揃えし、どう顧客に訴求してゆくかがマーチャンダイジングのポイントであるが、まず、酒全体の状況を見てみてみたい。直近の家計調査データ10月度の数字を見ると酒は1世帯1日当り、112.52円となる。この数字は外食を除く食品の数字が1,982.81円であるので、5.7%である。したがって、食生活の約5%強が酒であるといえ、食品スーパーマーケットの中では雑貨、菓子に近いボリュームといえよう。ちなみに、魚介類224.16円(11.30%)、肉類212.74円(10.7%)、野菜と果物290.26円(14.6%)であるので、生鮮食品と比べるとほぼ半分のボリュームであることがわかる。

   ただ、酒はその意味で、食品スーパーマーケットの中では中核部門にはなりきれていないといえるが、実は、他の商品群と違い決定的な特徴が酒にはある。それが酒のマーチャンダイジングを考える時の最大のポイントであるともいえる。それは、全世帯の中でも購入世帯の割合が他の商品群と比べ、限られているということである。いいかえれば、酒は限られた世帯のみが購入する限定マーケットの商品群であるということである。家計調査データから、独自にその割合いを算出してみると、酒以外でもっとも購入世帯が限定されるのは果物であるが、その数は96.0%であり、それ以外はすべて、それ以上、100%に限りなく近い数字である。これに対し、酒は63.4%であり、約40%弱の世帯が酒を1ケ月に1回も購入しないという数字である。季節により若干変動があるが、70%を超える8月、12月などもあるが、それ以外はほぼ60%前後となる。

   したがって、酒のマーチャンダイジングは世帯の約60%を対象としている特別な商品群であるという認識が必要であり、約40%の方にとっては、全く関心がないということである。この瞬間に、レイアウトも誰もが通過する一等地に必ずしも配置することはなく、むしろ、二等地、三等地でも良いので、約60%の限られた世帯にきめ細かな対応を考えるというマーチャンダイジングが望ましいということになる。これをさらに、酒の各カテゴリーに落し込むと、より、このことが明確になる。

   実際、この直近の10月度の家計調査データを見ると、それは歴然としている。清酒20.8%、焼ちゅう18.9%、ビール31.7%、ウィスキー3.3%、ぶどう酒9.1%、発泡酒17.2%、他の酒20.7%である。これを見ても、ウィスキーは何と3%強であり、ぶどう酒(ワイン)は10%弱であり、これらはいかに、限られた世帯のみしか購入していないかがわかる。ところが、このウィスキーも購入世帯のみの消費金額を見ると、1世帯1日あたり、110.49円であり、これは約30倍近い世帯が購入しているビールの数字120.78円とほぼ同じ数字である。ビールがいかに広く、多くの世帯が購入するカテゴリーであり、逆にウィスキーがごく限られた世帯であるが、その世帯はビール並みに、ウィスキーを購入しているかがわかる数字といえよう。

   したがって、酒のマーチャンダイジングを考えるポイントは、酒全体でも他の商品群と大きく違う商品であることを認識する必要があるが、そのカテゴリーに入った場合は、さらに、ごく限られた世帯のみへのマーチャンダイジングを実践する必要があり、ウィスキー、ぶどう酒(ワイン)などは、不特定多数のマーチャンダイジングが、ほとんど意味がない世界といえ、いかに、購入世帯を店舗の来店者から見つけ出し、その特定された世帯にきめ細かな対応を行い、継続的に自店で購入してもらえるようなマーチャンダイジングというよりも、マーケティング的な対応がポイントといえよう。

   その意味で、酒のマーチャンダイジングはこれまでの、POS分析ではなく、ID-POS分析による顧客一人一人の来店頻度を引き上げ、同時に、その顧客一人一人の購入内容に踏み込み、より、付加価値の高い酒の提案ができるようなマーチャンダイジングが求められるといえよう。マーチャンダイジングは奥が深い世界であるが、酒はその中でもさらに奥が深い、顧客一人一人への対応を確立してゆくマーチャンダイジングが決め手といえよう。

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