時価総額1/5、小売業、食品スーパーマーケットの現状!
1/5、今年も株式の取引が始まった。そこで、年頭に当たり、1/5時点での上場小売業約350社、食品スーパーマーケット約50社の時価総額がどのくらいの水準にあるかを見てみたい。今年は、間違いなく、流通再編の年となると思われ、様々なM&Aが起こることが予想される。そのM&Aにあたっての重要な決め手となる指標のひとつが時価総額である。また、企業経営にとっては時価総額はPER、PBRとも密接な関係があり、株主にとっても重要な指標のひとつであり、経営者としては、いかに時価総額を高める経営を行うかは、株主に対しての責任を果たす意味でも重要な指標である。そこで、ここでは、1/5、大初会時点での小売業、そして、食品スーパーマーケットの時価総額を見てみたい。
ちなみに、時価総額と企業経営の関係であるが、PER(株価収益率)=時価総額÷純利益、PBR(株価純資産倍率)=時価総額÷株主資本となり、さらに、PBR=PER×ROE(株主資本利益率)となるので、時価総額を高めることは、PER、PBRを高めることにつながり、さらには、ROEとバランスをとることにより、PBRの向上にもつながる。ただし、単純にROEを高めるには、ROE=純利益÷株主資本であるため、利益を高めるのではなく、株主資本を小さくすれば、高まることになり、いわゆる、負債、特に借入金の多いレバレッジの高い財務内容の場合、ROEは高まるので、その中身も見ることがポイントである。
さて、1/5の小売業の時価総額ベスト10であるが、7&I-HD27,193億円、ファーストリテーリング14,097億円、イオン7,188億円、ヤマダ電機5,845億円、ローソン5,100億円、ニトリ3,971億円、Fマート3,751億円、三越伊勢丹H3,006億円、ABCマート2,676億円、しまむら2,487億円である。No.1の7&I-HDとNo.10のしまむらとはちょうど10倍の差があり、いかに小売業界は上位数社のみが突出した時価総額であるかがわかる。また、イオンの時価総額がNo.3、No.1の7&I-HDの1/4、No.2のファーストリテーリングの1/2であり、これは企業規模からすると、かなり厳しい時価総額であるといえよう。今後、三菱商事との資本業務提携を活かし、いかに時価総額を高めるかが喫緊の経営課題であるといえよう。その三菱商事であるが、22,927億円であり、ほぼ7&I-HDと同じ規模である。残念ながら、このベスト10に食品スーパーマーケットが1社も入っていず、いかに、食品スーパーマーケットの時価総額が低いかがわかる。
次に、食品スーパーマーケットのベスト10であるが、イズミ1,698億円、ライフコーポレーション933億円、平和堂827億円、マルエツ697億円、オークワ620億円、フジ617億円、アークス613億円、ヤオコー600億円、サンエー588億円、バロー527億円という規模である。No.1のイズミは小売業の中では15番目の時価総額である。現在、時価総額1,000億円以上の食品スーパーマーケットはイズミのみであり、食品スーパーマーケット業界は、まだまだ、時価総額が低い状況であり、今後、いかに時価総額を高めるかが課題であるといえよう。
さらに、ベスト20まで食品スーパーマーケットの時価総額を見てみたい。イズミヤ519億円、いなげや469億円、タイヨー445億円、MV西日本 363億円、オオゼキ338億円、カスミ324億円、丸久272億円、MV東海272億円、丸久261億円、イオン九州254億円となる。No.11までが、時価総額500億円以上の食品スーパーマーケットであり、No.12からは500億円を下回り、No.20では250億円となる。このベスト20の中には、食品スーパーマーケットの中でも業績が好調で、経営内容の安定した企業、ヤオコー600億円、サンエー588億円、オオゼキ338億円などが登場しており、その時価総額は500億円前後といえる。
逆に、食品スーパーマーケット業界で時価総額が低い企業を見てみると、PLANT18億円、丸和19億円、マルミヤストア25億円、マルヤ27億円、北雄ラッキー28億円、ジョイス52億円、ドミー59億円、マルキョウ61億円、エコス 69億円、MV東北82億円、天満屋ストア98億円であり、この11社が、1/5現在、100億円を下回る食品スーパーマーケットの時価総額の企業である。
最後に、小売業約350社の上場企業の中で、トップ10を除き、時価総額が1,000億円以上の企業を見てみたい。マクドナルド2,419億円、高島屋2,203億円、Jフロント1,952億円、ユニー1,912億円、イズミ1,698億円、サンドラック1,656億円、丸井G 1,644億円、スギHD1,504億円、H2Oリティル1,389億円、サークルKS1,389億円、ポイント1,284億円、ドン・キホーテ1,278億円、コメリ1,194億円、良品計画1,154億円、松 屋1,033億円である。
このように、1/5現在の小売業、そして、食品スーパーマーケットの時価総額を見てみたが、小売業約350社の内、時価総額が1,000億円を超える企業は25社しかなく、1割にもみたない。この中にはイズミが食品スーパーマーケットとして唯一入っているが、食品スーパーマーケットにとっては、時価総額1,000億円が大きな壁であるといえる。今後、食品スーパーマーケットはもちろん、小売業界としても、時価総額をまずは1,000億円を目指し、どのような経営戦略を作るかが、企業の価値を上げる上にも重要な経営課題といえ、来るべき、流通再編のM&Aの嵐の中で生き残ってゆくための目標といえよう。今期、この1/5時点の小売業、食品スーパーマーケット各企業の時価総額が、この1年でどこまで価値があがるかに注目したい。
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