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January 13, 2009

ウォルマート売上速報、2008年12月、マイナス成長!

   ウォルマートの2008年12月期の売上速報が1/8、公表された。結果は、マイナス0.1%(99.9%)となる厳しい数字となり、さすがのウォルマートも、未曾有の金融危機による経済情勢の悪化には勝てなかったといえよう。特に、海外部門が約20%近いドル高になり、これが急激にドル換算ベースでの売上を悪化させたのが主な要因である。では、国内はどうかというと、サムズクラブ部門もマイナスとなり、主力のウォルマート部門はさすがにプラスにはなったが、48週累計と比べると、この12月度は数字が下がっており、明らかに失速気味であるといえよう。

   これを受けて、ウォルマートの株が1/8以降、異常な投げ売りをされており、株価がストンと落ち、投資家もこの売上速報を売りと判断したようである。この売上速報が公表されたのが1/8であるので、その前後のウォルマートの株価を見てみると、以下の通りである。1/2(57.18ドル)、1/5(56.52ドル)、1/6(56.02ドル)、1/7(55.54ドル)、そして、1/8(51.38ドル)、1/9(51.58ドル)という状況であり、1/8、約10%の株価の下落である。しかも、この日、商いが約9,300万株の大商いとなり、通常が約3,000万株前後の商いであるので、投げ売りに近い状況であったことがわかる。

   1/8、恐らく、このウォルマートの失速を、全米の急激な消費後退に陥らない歯止めを掛けなければならないとの強い意志で打ち出されたのが、オバマ次期大統領の経済対策であろう。日経ヴェリタスによれば、「勤労者世帯の95%を対象に、1000ドルの減税を実施する。オバマ次期米大統領は8日、昨年から検討を続けてきた大型景気対策を発表した。減税以外に雇用創出策なども盛り込む幅広い内容で、総額は当初段階で年間7750億ドル規模に上るとみられ、・・」という、日本円に換算して約70兆円の日本の国家予算なみの経済対策である。ウォルマートの失速は、投資家だけでなく、アメリカ経済をも左右する衝撃とオバマ次期大統領は見たのではないかと推測される。

   では、1/8に公表されたウォルマートの売上速報をじっくり見てみたい。まず、全体売上であるが、465.09億ドル(約4.2兆円)であり、昨年対比99.9%とマイナス0.1%となった。48週累計が106.5%であるので、明らかに、この12月度は失速といえ、厳しい売上であった。その内訳をみえると、海外が-10.4%と大きく落ち込んだのが大きく、海外部門は現在107.06億ドル(約1兆円弱)、ウォルマート全体の12月度の売上が465.09億ドル(約4.2兆円)であるので、約25%弱の構成比であり、海外部門の失速はウォルマート全体に大きな影響を与えたといえよう。48週累計の海外部門は107.8%の成長であるので、いかに、サブプライムローンの影響がここ数ケ月急激にウォルマートへの影響が大きかったかがわかる。

   では、ウォルマート全体の65%強を占めるアメリカ国内のウォルマート本体はどうであったかを見てみたい。売上は309.69億ドル(約2.8兆円)であり、104.3%であった。これは、48週累計が106.3%であったので、やはり、ここへきて、失速感が否めない状況といえよう。また、既存店の売上を見ると、101.9%であり、48週の既存店の売上累計が102.8%であるので、既存店も全体もこれまでよりは、明らかに売上が失速しており、さすがのウォルマートもここへきて厳しい状況に追い込まれつつあることが明らかである。

   ちなみに、サムズクラブ部門であるが、-2.1%(97.9%)であり、48週累計が105.6%であるので、ウォルマート部門以上に厳しい状況である。既存店については、さらに厳しく、-3.2%(96.8%)であり、48週累計の既存店が104.7%であるので、この12月度はサムズクラブ部門も苦戦したことがわかる。

   問題は、このウォルマートの厳しい状況が、年末年始の12月特有の売上の失速であるか、それとも、今期はウォルマートも厳しい状況となり、ひいては、アメリカの消費環境がより一層悪化し、比較的不況に強い、低価格戦略を強く打ち出しているウォルマートすらも厳しい状況に陥るほど、消費環境が悪化するのではないかという懸念であろう。

   1/8のウォルマートの株価、投資家の反応、そして、オバマ次期大統領の経済対策を見る限りでは、これは、短期的な現象としてとらえているのではなく、中長期的な観点から、アメリカの経済、そして、消費環境の悪化をとらえていると判断して良いと思われるので、今期のアメリカは新年早々ではあるが、今後、厳しい状況になることが確実な情勢になったといえよう。

   このように、ここ数ケ月、売上が失速してきたウォルマートであったが、ついに、マイナスという衝撃的な数字となり、この状況を投資家、オバマ次期大統領も深刻に受け止め、投資家は投げ売り、オバマ次期大統領は大型経済対策を、この1/8のウォルマートの12月度の売上速報の公表に合わせて行っており、いかに、ウォルマートがアメリカ経済にとって象徴的な企業であり、しかも、実際、強い影響があるかが改めて明らかになったといえよう。ウォルマートの決算も残すところ、あと1ケ月であるが、問題は、今期の決算ではなく、今後、ウォルマートがこの状況を踏まえ、どのような経営戦略を打ち出すかにあり、ウォルマートの来期の経営戦略に注目である。

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