サンエー、2009年2月期、第3四半期決算、増収減益!
サンエーが、1/7、2009年2月期の第3四半期決算を公表した。営業収益969.97 億円(102.9%)、営業利益63.69億円(97.4%:営業収益比6.5%)、経常利益65.57億円(99.0%:営業収益比6.7%)、当期純利益38.66億円(103.3%:営業収益比4.0%)となり、増収とはなったが、営業、経常段階では減益となるやや厳しい第3四半期決算となった。ただ、営業利益の対営業収益比は6.5%と依然として高水準にあり、食品スーパーマーケット業界の中でもトップクラスを維持している。ちなみに、通期予想であるが、営業収益1,307.63億円(102.5%)、営業利益86.54億円(101.6%:営業収益比6.6%)、経常利益88.03億円(100.4%:営業収益比6.7%)、当期純利益52.81億円(104.9%:営業収益比4.0%)と増収増益の予想である。
サンエーが、食品スーパーマーケットとして、高収益を確保できる要因にはサンエー独特の経営戦略があり、通常の食品スーパーマーケットでは、真似のできないビジネスモデルを作り上げたことが大きいといえよう。サンエーは沖縄という閉鎖商圏での食品スーパーマーケットのビジネスを主体としているため、食品スーパーマーケットだけでは、年商1,000億円を超えるビジネスは難しいのが実情である。したがって、食品スーパーマーケット以外にも様々な小売ビジネス、さらには、外食、ホテルなどの多角化も行っており、これらの周辺ビジネスの収益を含め、相乗効果が働き、総合的に高収益を維持しているのが実情といえよう。
この第3四半期もサンエーの原価は69.8%と極めて低く、結果、売上総利益は30.2%と通常の食品スーパーマーケットと比べ、極めて高い粗利率である。この背景には比較的粗利率の低い食品の売上構成比を56.7%に抑え、粗利率の高い衣料品を11.5%、さらには、売上構成比が4.6%ではあるが、60%を優に超える高粗利率の外食、ホテルがあり、相乗積を取ると粗利貢献度は3.0%に近い数字となる。一方、サンエーの販売費及び一般管理費であるが、26.3%であり、この数字も、通常の食品スーパーマーケットと比べやや高めの数字である。結果、マーチャンダイジング力、商品売買から得られる粗利から経費を引いた数字は、3.9%であり、この中には外食、ホテル等の粗利も入っているので、食品スーパーマーケットの純粋な数字で見ると、ここまで高い数字とはならないといえよう。
また、食品スーパーマーケット以外にも、テナント収入の見込めるNSC、GMS、SC等も積極的に出店しており、今期も不動産収入などの営業収入が2.9%あり、マーチャンダイジング力の3.9%にプラスオンされ、結果、営業利益が売上対比では6.8%と超高収益となる。逆に見れば、食品スーパーマーケットを核とした、沖縄という独特の商圏の中で、収益性の高いビジネスを多角化し、売上、利益を相乗的に積み上げている独特のビジネスモデルを形成しているといえ、食品スーパーマーケットとしては異色の収益構造を作り上げたといえよう。
この高収益を活かし、この第3四半期のサンエーのキャッシュフローの流れであるが、営業キャッシュフローが109.03億円と昨年の53.68億円から倍増し、100億円を超えたが、これは、今期決算の締めが営業曜日の関係で仕入債務が翌月に繰り越されたからであり、実際、営業キャッシュフローに62.88億円、仕入債務が増加されている。今期は多くの食品スーパーマーケットで、このような変則的なキャッシュフローとなっているケースがあるが、サンエーもこれを加味すると、実質、昨年並みの営業キャッシュフローであるといえよう。ちなみに、これは総資産834.00億円の7.5%にもなり、結果、この第3四半期の自己資本比率は昨年の67.2%から61.3%と下がっているが、これは仕入債務が負債に計上されたためである。
また、投資キャッシュフローであるが、50.80億円と大きな投資がなされている。中身は新規出店関連の有形固定資産へ51.11億円投資しているので、今後、新店戦略が組まれるものと予想される。結果、フリーキャッシュフローは58.95億円の順流となり、これに財務キャッシュフローが-6.18億円となり、トータル52.77億円となった。
これを受けて、サンエーの現状の負債の主要項目長短借入金の合計であるが、わずか37.68億円であり、総資産の4.5%といつでも無借金経営が可能な状況であり、自己資本比率も70%以上がいつでも可能な強固な財務状況であるといえよう。したがって、出店余力も、出店にかかわる資産である土地、建物、長期差入保証金の合計は461.14億円と総資産の55.3%であるが、自己資本比率61.3%の範囲内であり、6.0%の余力があり、自己資本比率の範囲内で十分に新規出店ができる財務構造である。
このように、この第3四半期のサンエーの決算は増収とはなったが、わずかな減益となるやや気になる決算となったが、依然として、高収益を確保しており、財務状況も極めて堅固であり、しかも、今期、新規出店へ向けての投資もしており、来期は、今期以上の決算が期待できる体制を整えたといえよう。ただ、消費環境は、予想以上に節約志向が浸透し、さらには家計のリストラにまで進む公算が高くなった現在、今後の売上が今期並みに確保できるかどうかが読めないところであろう。サンエーが来期、2010年2月期、どのような経営戦略を打ち出すかに注目したい。
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