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January 03, 2009

ハローズ、2009年2月期、第3四半期決算、増収増益!

   ハローズが、12/26、2009年2月期の第3四半期の決算を公表した。売上465.23億円(110.0%)、営業利益15.75億円(108.8%:売上対比3.38%)、経常利益15.81億円(110.1%売上対比3.39%)、当期純利益8.82億円(113.8%:売上対比1.89%)と増収増益の好決算となった。食品スーパーマーケットは小売業界の中ではコンビニと並び、経営が比較的好調であるが、このハローズの数字も、それを裏づける数字といえ、売上、利益ともに、ほぼ2桁のアップとなった。ただ、通期予想は、売上高こそ630.00億円( 110.2%)と2桁の増収の予想であるが、利益の方は、営業利益21.10億円(103.2%:売上対比3.34%)、経常利益20.70億円(102.3%:売上対比3.28%)、当期純利益11.60億円(102.0%:売上対比1.84%)と増益とはなるが、伸び率が低く、やや厳しい状況が予想される。

   ハローズの売上が特に好調な要因は、ここへきて積極的な新規出店を果たしていることがあげられる。6月に四国1号店となる丸亀店(香川県丸亀市)を出店し、11月に四国2号店となる六条店(香川県高松市)、12月に笠岡店(岡山県笠岡市)、そして、今期中にもう1店舗の新規出店を予定しており、合計、今期41店舗となる予定である。食品スーパーマーケットの成長は新規出店が最大の成長先戦略であるが、ハローズは今期4店舗の新規出店を果たす予定であり、新規出店後の全店舗数が、41店舗であるので、ちょうど110%の店舗数となり、売上も110.2%の予想であり、まさに、店舗数増=売上伸び率というバランスがとれた出店戦略を実現できたことが大きいといえよう。特に、これまでの広島、岡山ドミナントから、今期、新ドミナント地区として、四国、香川県への新規出店が2店舗となり、3つめのドミナト地区が軌道に乗り始めたことも大きいといえよう。

   一方、この第3四半期、利益もほぼ2桁の増となったが、その要因を原価、経費の面から見てみると、売上原価は76.9%(昨年76.9%)と昨年と同水準に抑えることができた。今期は食品の値上げ問題等もあり、原価は上昇傾向にあったが、この第3四半期の段階でも昨年と同じ水準で抑えられたことは利益確保にとっては大きな貢献といえよう。その要因のひとつには、ハローズセレクションというPBの強化も寄与したといえ、昨年は売上構成比が6.1%であったが、今年は、6.8%と111.4%伸びたことも大きかったといえよう。結果、売上総利益は23.1%(昨年23.1%)となった。一方、販売費及び一般管理費は22.2%(昨年22.1%)と、わずかではあるが、0.1ポイント上昇した。結果、差し引き、マーチャンダイジング力は0.9%(昨年1.0%)とわずかに下がったがプラスとなった。これに、不動産収入等の営業収入が2.5%(昨年2.4%)と、0.1ポイント乗り、最終的に、営業利益は3.4%(昨年3.4%)と同水準となり、好調な増益となったといえる。

   この好調な増収増益の結果、財務状況であるが、今期は決算日が金融機関の休業日となったため、仕入債務等の未決済分が32.71億円となったため、総資産の増加が見られ、正確な財務状況とは少し違う数字となっている。そのひとつの指標としては、自己資本比率が34.9%(昨年40.1%)と5%近く下がったが、これも、総資産277.07億円の中に仕入債務相当分が入り、資産および負債に計上されているために、自己資本比率が低くなっている。これを除外すると、自己資本比率は40.0%を優に超えるので、実質、自己資本比率は改善されているといえよう。ただ、負債の主要項目、長短借入金の合計は60.41億円(昨年55.87億円)と、ここ最近の積極的な新規出店により、増加しており、総資産の21.8%となっていることが、やや気になるところではある。

   そこで、ハローズの出店余力であるが、土地、建物、差入敷金保証金等の合計であるが173.42億円(153.44億円)と、ここ最近の新規出店により、約20億円増加し、総資産の62.5%となった。したがって、自己資本比率34.9%から引いた出店余力は-27.6%となり、現状は負債に大きく依存する出店構造となっており、今後、安定成長を維持してゆくには、この好調な決算数字を活かした財務改善が課題といえよう。

   今期、ハローズのキャッシュフローを見てみても、数字上は営業キャッシュフローが55.77億円、投資キャッシュフローが-36.32億円とフリーキャッシュフローは19.45億円のプラスとなっているが、この営業キャッシュフローの中には、仕入債務等の約30億円がプラスとなっているので、実質、マイナスのフリーキャッシュフローといえる。そして、財務キャッシュフローも-4.01億円となり、結果、トータル資金は15.43億円とはなったが、仕入債務の分を考慮すると厳しいキャッシュフローの流れであるといえよう。

   このように、ハローズのこの第3四半期決算はほぼ2桁の増収増益と好調な決算となったが、気になるのは出店余力である。経営としては、増収増益の好決算時には、成長重視か財務の安定重視か判断が難しいところであるが、数字を見る限り、ハローズは成長重視戦略をとっており、今期、四国1号店を出店し、広島、岡山につぐ第3のドミナント圏を築くことを優先した経営戦略をとっているといえよう。当面、この四国戦略が落ち着くまでは、財務の改善はやや遅れるのではないかと思われるが、中長期的には、自己資本比率を50%以上、理想的には60%以上に引き上げ、出店余力を増し、持続的な成長をはかることが経営課題といえよう。

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