オオゼキ、2009年2月期、第3四半期決算、堅調!
オオゼキが1/9、2009年2月期の第3四半期決算を公表した。売上高497.49億円(102.5%)、営業利益38.95億円(107.3%:売上対比7.8%)、経常利益39.84億円(107.9%:売上対比8.0%)、当期純利益23.52億円(108.5%:売上対比4.7%)と増収増益、堅調な決算となった。売上が伸び悩んでいるが、これは、ここ最近、新規出店が思うように進まず、既存店のみの数字であるためである。ただ、営業利益は7.8%と食品スーパーマーケット業界では断トツの高い数字であり、改めて、オオゼキの収益性の高さを示した決算結果であるといえよう。
オオゼキのこの第3四半期の売上102.5%の中身であるが、この期間、新店がなく、既存店のみの数字である。客数は、101.3%、客単価は101.2%とバランスのよい伸びであり、客数、客単価ともに堅調な伸びとなった。客単価の中身であるが、PI値100.2%、平均単価101.0%であるので、やや、PI値が伸び悩んだ感があるが、差はわずかであり、PI値、平均単価ともに堅調であったといえよう。ちなみに、オオゼキの部門別の売上構成比の状況を昨年と比較してみると、オオゼキNo.1部門の青果が21.9%から22.2%へ、そして、精肉が12.1%から12.4%へ、食品が18.0%から18.2%へ、惣菜が0.4%から0.5%へと伸びている。オオゼキの競争力の源泉である青果と食品が一段と強くなっており、さらに、節約志向の典型的な商品、精肉が伸び、最近強化しはじめた惣菜が伸びるなど、理想的な商品力の強化がはかられたといえよう。逆に、厳しかった部門は鮮魚12.8%から12.5%、酒7.2%から6.7%であった。
では、オオゼキの営業利益率が7.8%となった要因を見てみたい。まず、原価であるが、75.2%(昨年75.4%)であるので、0.2ポイント原価がさがっており、この値上げ攻勢の厳しい中、原価改善ができたことが、利益改善として大きかったといえよう。その結果、売上総利益は24.8%(昨年24.6%)となった。これに対し、販売費及び一般管理費であるが、18.0%(昨年18.2%)と、こちらも0.2ポイント削減している。したがって、差し引き、マーチャンダイジング力(商品売買から得られる粗利から経費を引いた利益)は6.8%(昨年6.4%)と0.4ポイント改善しており、通常の食品スーパーマーケットではまず達成できない高い数字である。特に、経費比率が18.0%へ抑えられていることが驚異的といえ、ここがオオゼキならではの強さの源泉といえよう。そして、これに、不動産収入等の数字が若干のり、結果、営業利益は7.8%(昨年7.5%)と、好決算となった。
この好決算の結果を受け、オオゼキのキャッシュフローの流れであるが、営業キャッシュフローが27.39億円となった。ここから投資となるが、投資キャッシュフローは-22.71億円となり、主な投資は、定期預金、有価証券が大半であり、これ以外では、新店等の固定資産の取得が7.2億円である。この投資を見る限り、新規出店への体制はまだ整っていないと見え、オオゼキがこの豊富な営業キャッシュフローをいつ成長戦略に向けて、投資するかがポイントであろう。
その結果、フリーキャッシュフローは5.19億円となり、キャッシュフローは順流である。ここから、財務キャッシュフローとして、配当金を4.89億円計上し、結果、トータルではわずかにプラスとなった。オオゼキはすでに、無借金経営となっており、財務キャッシュフローに借入関係の科目がなく、今期も配当金のみであり、すっきりしたキャッシュフローの流れであるのが特徴である。
したがって、自己資本比率も極端に高い数字であり、今期は78.7%(昨年77.8%)と昨年よりもさらに数字をあげており、財務面では盤石な体制ができつつある。食品スーパーマーケットで、自己資本比率が80%近い企業はまれであり、装置産業ともいわれる設備投資の金額が大きい食品スーパーマーケットがここまで自己資本比率を高められるケースは珍しい、特異なケースであるといえよう。
では、オオゼキの出店余力を見てみたい。今期のオオゼキの出店にかかわる資産、土地、建物、長期差入保証金の合計は158.07億円(昨年155.59億円)とほぼ昨年と同じ数字であり、これは総資産328.57億円の48.1%であり、1店舗当たりでは5.45億円となる。そこで、出店余力、自己資本比率から出店にかかわる資産を引いた数字は、78.7%-48.1%=30.6%となり、自己資本比率の範囲内で十分な新規出店が可能な状況であり、負債に全く頼ることなく、新規出店が可能な財務構造である。このような豊富な資金を持っている食品スーパーマーケットは稀であり、いつ、10店舗ぐらい同時に新規出店をしても全く問題のない安定した財務体質であるといえよう。
このように、オオゼキが2009年2月期の第3四半期決算を公表したが、増収増益の堅調な決算結果となり、キャッシュフローも順流、自己資本比率も80%に迫る勢いであり、超健全な財務基盤が築かれつつあるといえよう。あとは、残すところ、新規出店による安定成長路線にいつ経営戦略を切り替えるかにあるといえ、オオゼキの戦略転換がいつ行われるかが注目であるといえよう。今期決算もほぼ同様の堅調な決算が予想されるが、オオゼキについては、今期決算よりも、来期の経営戦略、特に、新規出店計画に注目したい。
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