イズミ、2009年2月期第3四半期決算を公表、増収減益!
売上好調のイズミが2009年2月期の第3四半期の決算を1/6、公表した。営業収益3,641.62億円(107.1%)、営業利益150.21億円(86.2%:営業収益比4.1%)、経常利益 141.10億円(81.6%:営業収益比3.8%)、当期純利益95.58 億円(99.1%:営業収益比2.6%)と増収とはなったが、減益となるやや厳しい決算となった。イズミはこの11月度、売上が絶好調である。11月度は昨年と違い、土日、祝日が多く、GMS、SCが主力業態のイズミにとっては追い風が吹いていたこともあるが、異常値ともいえる数字である。上場食品スーパーマーケット業界で、売上速報を公表している企業の中でイズミは断トツの1位の売上伸び率であった。また、1/7の日経新聞に公表された11月度のスーパー販売実績では、何と、単体では125.4%という前年比の売上伸び率であり、改めて、この11月度のイズミの売上の好調さを示しているといえよう。
日経新聞で公表された11月度のスーパー販売実績は、イズミだけでなく、軒並み、各社の数字は好調である。ベイシア114.7%、ユニー114.1%、マルエツ111.0%をはじめ、サミット109.8%、ライフコーポレーション109.3%、フジ107.1%、ヨークベニマル106.4%と105%以上の好調な企業に続き、イトーヨーカ堂103.4%、ダイエー102.9%とGMSも好調である。逆に、この11月、厳しかった企業は平和堂91.9%、イオン95.1%、コープこうべ98.4%、東急ストア99.6%の4社のみ、昨対を割っただけであった。いかに、11月度は曜日の関係もあるが、各社、売上が好調であったかがわかる。
さて、イズミの2009年第3四半期の決算内容であるが、売上が好調な理由は既存店が99.7%という数字であるので、既存店ではなく、新店が大きく寄与したことがその要因であるといえる。特に、今期は、11 月に四国第2 号店となる「ゆめタウン三豊」(香川県三豊市)の新設に加え、6月にゆめタウン出雲、2月にゆめタウン広島の新規オープン等があり、これらの新店が売上を大きく底上げしたのが大きかったといえよう。イズミはこの12月にもゆめタウン丸亀をオープンさせ、さらに、今後、ゆめタウンみゆき、ゆめタウン新下関を新規オープン予定であり、当面、新規出店が寄与し、売上は大幅増が続くものと予想される。
では利益はどうかを見てみたい。まず、原価であるが、78.9%(昨年78.4%)と0.5ポイント上昇している。今期の値上げによる原価上昇が響いたといえよう。結果、売上総利益は21.1%(昨年21.6%)と、0.5ポイント下がった。一方、販売費及び一般管理費であるが、22.4%(昨年20.9%)と1.5ポイントと大幅に上昇した。その結果、マーチャンダイジング力、商品売買から得られる粗利-経費は-1.3%(昨年0.7%)とプラスから、マイナスに転じた。これに、不動産収入等が5.2%(昨年4.6%)のり、最終的な営業利益は、マーチャンダイジング力のマイナスをカバーし、3.9%(昨年5.2%)とプラスになったが、昨年と比べ、1.3ポイントのマイナス、率にして75%という結果である。
これに対して、イズミは「店舗新設や増床に係る創業経費や販促関連経費など販管費負担が増大したことに加え、有利子負債増加に伴う支払利息増加や有価証券及びデリバティブの評価損の計上(いずれも営業外費用)もあり、当第3四半期は中間期に引き続き営業利益、経常利益ともに減益となり、・・」とコメントしている。新店による成長戦略が、経費の増大、負債の増加をもたらしており、経営を圧迫しはじめているということである。
では、その財務状況であるが、自己資本比率が26.1%(昨年32.5%)と大きく下がっており、自己資本による出店余力が厳しい状況になっているといえる。これは、負債の主要項目である有利子負債が1,773.51億円(昨年1,666.21億円)と約100億円増加しており、総資産に占める割合は44.3%とかなりの比重となっていることである。イズミの出店にかかわる資産である土地、建物、差入敷金及び保証金の合計は2,907.15億円(昨年2,582.40億円)であり、これは総資産の72.6%を占める状況であり、自己資本比率26.1%では賄えず、出店余力は-46.5%と負債、特に、有利子負債に大半を負う構造となっている。今後、さらに成長戦略を継続してゆくには、厳しい財務状況であるといえよう。
これを受けて、2009年2月期通期の予想であるが、営業収益4,965.00億円(105.5%)、営業利益216.00億円(87.1%:営業収益比4.3%)、経常利益205.00億円(82.8%:営業収益比4.1%)、当期純利益124.00億円(90.7%:営業収益比2.4%)と増収の予想ではあるが、この第3四半期決算同様、利益はやや厳しい状況となる予想である。
このように、イズミの2009年2月期の第3四半期決算が1/6に公表されたが、売上は順調に推移し、今期、年商5,000億円に届く勢いであるが、既存店の伸びがなく、積極的な新店による売上増であり、結果、経費、財務を圧迫し、利益がやや厳しい状況である。また、財務も、有利子負債が増加し、結果、自己資本比率が26.1%となり、今後、さらに成長を目指してゆくには厳しい財務状況といえよう。今期は成長戦略に重点をおいた経営戦略を優先してきたが、来期は財務の改善、そして、利益に重点をおいた経営戦略への転換が必須といえよう。イズミが来期、どのような経営戦略を打ち出すかに注目したい。
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