セブン&アイHとイオン、対照的な第3四半期決算!
セブン&アイホールディングスが1/8、2009年2月期の第3四半期決算を公表した。それによると、営業収益4兆3,253.13億円(101.6%)、営業利益2,182.76億円(104.4%:営業収益比5.04%)、経常利益2,168.67億円(104.1%:営業収益比5.01%)、当期純利益1,016.67億円(99.4%:営業収益比2.35%)と、当期純利益はわずかに昨対を切ったが、営業、経常段階では増収増益となる好決算となった。一方、イオンも1/7、2009年2月期の第3四半期決算を公表したが、営業収益3兆8,777.57億円(102.7%) 、営業利益659.24億円(81.7%:営業収益比1.70%)、経常利益678.72億円 (74.4%:営業収益比1.75%)、当期純利益-294.45億円 となる増収減益、特に、当期純利益は赤字となる厳しい決算であった。
両企業の決算内容は対照的な内容となり、イオンの経営の厳しさが一段と鮮明になったといえよう。特に、この第3四半期では、イオンが最終赤字となったことに加え、営業利益率がセブン&アイホールディングスの5.04%に対し、1.70%と決定的な差となった。実際、両企業のマーチャンダイジング力、売上総利益から販売費及び一般管理費を引いた差、すなわち、商品売買から得られる粗利から経費を引いた差を見てみると、セブン&アイホールディングスは25.3%-30.4%=-5.1%に対し、イオンは、28.2%-37.4%=-9.2%という状況であり、どちらもマイナスではあるが、その差が約2倍近い開きがあり、特にイオンの経費比率が異常に高いことが決定的な差となっていることがわかる。
これに、不動産収入等の営業収入がのり、営業利益はプラスに転じるが、それを見ると、セブン&アイホールディングスは10.7%、イオンは11.0%であり、どちらも通常の食品スーパーマーケットでは考えられない数字であり、この多額の営業収入でマーチャンダイジング力の大幅なマイナスをカバーしている構造である。それにしても、イオンの経費比率が37.4%は異常な数値であり、この経営構造を根本的に変革しない限り、今後、安定的な高い利益を生み出すことは極めて難しいといえよう。
その結果、キャッシュフローではさらに決定的な差が生じている。セブン&アイホールディングスの営業キャッシュフローは2,086.69億円に対し、イオンは871.84億円と決定的な差となっている。これは、減価償却費の差はほとんどないので、純利益、すなわち、収益率の差がそのまま表れており、セブン&アイホールディングスが1,981.22億円であるのに対し、イオンが200.12億円と約10倍の差となったことが大きいといえる。そして、ここから投資キャッシュフローとなるが、セブン&アイホールディングスは-727.15億円となり、フリーキャッシュフローが1,359.54億円と順流のキャッシュフローとなるが、イオンは-2,548.23億円となり、フリーキャッシュフローが-1,676.39億円と大幅なマイナスとなり、営業キャッシュフローで投資キャッシュフローを賄えない逆流のキャッシュフローである。
そして、財務キャッシュフローであるが、セブン&アイホールディングスは-1,469.10億円となり、トータル-109.56億円の若干のマイナスとなったが、財務キャッシュフローの中身は有利子負債関係が借り換え等で相殺されたため、自己株式の取得1,581.06億円がほぼマイナス分となる構造である。これに対し、イオンは長期借入、コマーシャルペーパーの発行などにより、2,071,01億円のプラスとなっており、これで、フリーキャッシュフローのマイナスをカバーし、結果、トータル-477.22億円となり、厳しいやりくりであったといえよう。双方の期末の現金および現金同等物であるが、セブン&アイホールディングスは6,543.66億円となり、イオンは1,933.69億円となり、約3倍強の差である。
このキャッシュフローの流れを見ても、セブン&アイホールディングスは余力のあるキャッシュフローであり、長短借入金等の合計が8,265.63億円(昨年7,837.11億円)となり、総資産の20.9%であり、若干増加しているのは気になるが、イオンは1兆2,422.45億円(昨年1兆1,403.62億円)と1兆円を優に超え、総資産の32.2%となり、昨年よりもさらに約1,000億円増加しており、この厳しいキャッシュフローが経営を大きく圧迫しているといえよう。
そこで、双方の出店余力を見てみてみると、セブン&アイホールディングスの自己資本比率は46.5%である。また、出店にかかわる資産である、土地、建物、長期差入保証金の合計は1兆5,298.46億円であるので、これは総資産の3兆9,463.07億円の38.7%であり、差し引き7.8%のプラスであり、自己資本の範囲内で出店が賄える財務構造であるといえよう。これに対し、イオンの自己資本比率は21.1%であり、出店にかかわる資産は1兆5,218.19億円となり、これは総資産3兆8,465.25億円の39.5%であり、差し引き、-18.4%となり、負債に約50%を依存する出店構造となっており、出店余力が厳しい状況である。
このように、セブン&アイホールディングスとイオンのこの第3四半期の決算を比べて見ると、マーチャンダイジング力の差が歴然であり、これがキャッシュフローに大きな影響を与え、財務構造の差となり、結果、小売業にとって最大の経営戦略ともいえる新規出店戦略に決定的な差となって表れていることがわかる。小売業にとって、マーチャンダイジング力がいかに重要であり、決定的な経営の差を生み出すかが改めて鮮明になった両企業の第3四半期の決算であったといえよう。
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