マックスバリュ中部、西日本、第3四半期決算、好対照!
マックスバリュ中部(12/10)、西日本(12/16)が2009年2月期の第3四半期の決算をあいついで公表した。マックスバリュ中部の営業収益855.55億円(101.7%)、営業利益12.67億円(109.1%:営業収益比1.48%)、経常利益13.67億円(210.4%:営業収益比1.59%)、当期純利益4.35億円(69.8%:営業収益比0.50%)と営業、経常段階では増収増益となる好決算ではあったが、当期純利益が昨対を切った。これは、昨年吸収合併したマックスバリュ名古屋の財務的な影響によるものであり、特に税効果会計等の適用が大きかったという。一方、マックススバリュ西日本であるが、営業収益1,597.64億円(110.5%)、営業利益50.74 億円105.4%:営業収益比3.17%)、経常利益53.00億円(104.8%:営業収益比3.3%)、当期純利益27.81億円(101.7%:営業収益比1.74%)と増収増益の好決算であった。
この両食品スーパーマーケットを比較すると、マックスバリュ西日本は顕著な好業績であり、成長性、収益性ともに高い数字であるが、マックスバリュ中部は、マックスバリュ名古屋の吸収合併に手間取っているようであり、昨年、今年と不安定な決算結果となった。特に営業利益の営業収益比がマックスバリュ西日本の3.17%に対し、マックスバリュ中部が1.48%と半分の収益性であり、その差が歴然としている。食品スーパーマーケットの中間決算を見ても、現在、公表されつつある第3四半期決算を見ても、優良食品スーパーマーケットの営業利益率は4%前後であるので、マックスバリュ西日本は近い数字であるが、マックスバリュ中部はやや厳しい数字であるといえよう。
では、この差がどこにあったのかを両食品スーパーマーケットの原価、経費の面から見てみたいい。まず、好調なマックバリュ西日本の状況であるが、売上原価は75.5%(昨年75.7%)と0.2ポイント改善している。今期の厳しい値上げ環境の中で、原価が改善されており、結果、売上総利益は24.5%(昨年24.3%)と粗利が改善された。これに対して、販売費及び一般管理費であるが、23.4%(昨年22.9%)となり、0.5ポイント上昇するという厳しい結果となった。その結果、マーチャンダイジング力、売上総利益-経費は1.1%(昨年1.4%)と0.3ポイント下がったが、プラスの状況である。これに、不動産収入等の営業利益が2.1%(昨年2.0%)のり、営業利益は3.2%(昨年3.4%)と0.2ポイントであるが、減少したが、営業収益が110.5%伸びたので、これをカバーし、堅調な増益となったといえる。
これに対して、マックスバリュ中部であるが、原価は74.9%(昨年75.2%)と0.3ポイント改善した。マックスバリュ西日本同様、この厳しい値上げ環境の中での原価改善であり、結果、売上総利益は25.1%(昨年24.8%)となった。この段階では、マックスバリュ中部の方が高粗利である。一方、販売費及び一般管理費であるが、26.0%(昨年26.2%)と0.2ポイント削減しており、経費改善が進んだといえよう。ただ、マーチャンダイジング力、売上総利益-経費は-0.9%(-1.4%)と0.5ポイント改善してはいるが、マイナスが続いており、ここがマックスバリュ西日本と決定的に収益性において違う点である。これに不動産収入等の営業収益が2.5%(昨年2.3%)のり、結果、営業利益は1.5%(昨年0.8%)と大きく改善はしたが、マーチャンダイジング力のマイナスが響いており、厳しい収益率であるといえよう。
次に、この両食品スーパーマーケットの財務面を見てみたい。ここでは、特に、この決算結果を受けて、資金をどのように活用しているかをキャッシュフローの面から見てみたい。まず、マックスバリュ西日本であるが、積極的な投資を行っており、営業キャッシュフローが39.13億円に対し、投資キャッシュフローを-66.24億円とし、有形固定資産の取得に何と70.02億円を投入している。次の新規出店への布石といえよう。結果、フリーキャッシュフローは-27.11億円のマイナスとなる逆流となった。営業キャッシュフロー以上の投資、成長への布石を打ったのが特徴といえよう。また、財務キャッシュフローは-9.34億円をほぼ配当に支出しており、トータル-36.45億円となった。その結果、現金および現金同等物が59.14億円から22.68億円となったことが、気になるが、将来への成長を目指した積極的な投資に打って出た資金活用である。
これに対し、マックスバリュ中部であるが、営業活動によるキャッシュフローは35.54億円であり、マックスバリュに西日本とほぼ同じ数字である。これに対し、投資キャッシュフローは-26.87億円であり、その大半は新規出店へ備えての、有形固定資産の取得25.78億円である。両食品スーパーマーケットとも成長性への投資に積極的であるが、マックスバリュ中部は営業キャッシュフローの範囲内であり、健全な投資であり、結果、8.67億円の順流のフリーキャッシュフローとなった。そして、財務キャッシュフローであるが、-6.45億円であり、結果、トータル2.21億円のプラスとなり、現金および現金同等物は昨年とほぼ同じ13.53億円となった。
このように、マックスバリュ西日本と中部の2009年2月期の第3四半期の決算結果を見てみたが、対照的な結果とキャッシュフローの活用である。マックスバリュ西日本は好決算をいかして、思い切った成長戦略に踏み込んだ投資を行っているが、やや決算結果のおもわしくなかったマックスバリュ中部は営業キャッシュフローの範囲内での健全な投資を行っており、同じイオングループではあるが、経営戦略の違いが鮮明である。今期本決算まであと数ケ月になったが、両食品スーパーマーケットが最終的にどのような決算となるか、注目である。
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