第3のビールと鶏肉、節約志向、昨年の象徴的な商品!
日経新聞1/16にビールの2008年度のシェアの特集記事が掲載された。「ビール系昨年シェア」と題し、見出しは、「第3が明暗分ける」、「サントリー3位に浮上、サッポロ、出遅れ響く」であり、これに、ベスト10の商品別ランキング、ビールメーカー各社の円グラフでのシェアが掲載された。この見出しに見るように、2008年度はビールに異変が起こっており、第3のビールが発泡酒を抜き、それが各社のシェアに微妙な影響を与え、ついには、サントリーがビール参入46年目で3位になるなど、激震が走った。この背景には、ここへ来て、消費者の節約志向が本格化したことがあるといえ、その象徴的な商品が第3のビールであったといえよう。
また、この第3のビールと同様に2008年度の食品の中で、節約志向の典型的な商品として、鶏肉を上げることができよう。鶏肉については、直近の家計調査データ、2008年11月度の数字を見ると、肉類全体も107.2%と好調であるが、その中でも鶏肉は112.8%と極めて高い伸びを示しており、まさに、第3のビール同様、肉の中で、この2008年度、最も数字が伸びた商品である。その背景には、100g当たりの単価が牛よりも豚、豚よりも鶏がお買得という関係があり、これはビールよりも発泡酒、発泡酒よりも第3のビールがお買得という関係と同じ、節約志向からくる消費者の自然な選択といえ、まさに、2008年度の節約志向を象徴する食品の中では2大巨頭の商品であったといえよう。
そこで、ここでは、この典型的な節約志向の2大巨頭の商品について、日経新聞の記事と家計調査データをもとに、その状況を掘り下げてみたい。恐らく、今期、2009年度も消費者の節約志向の意識はより、深まるといえ、この2大商品以外でも様々な商品に影響が広がることは必至といえ、合わせて、今後の節約志向がどのような方向に進んでゆくかについても考えてみたい。
まず、第3のビールであるが、2008年度はまさに第3のビールの1人勝ちといえる状況であり、ビールが93.5%、発泡酒が92.3%と低迷した中、第3のビールは113.8%と数字を伸ばし、発泡酒を逆転し、ビールの中でNo.2のカテゴリーとなった。日経新聞の記事には2008年度のビールの商品別国内販売ランキングベスト10が掲載されているが、これを見ると、7番目までは前年と順番が変わらないが、2008年度は8、9、10番が初登場の商品となっており、しかも、8番目がアサヒのクリアアサヒ、9番目がサントリーの金麦の第3のビールが入った。ちなみに、10番目はサントリーのザ・プレミアム・モルツである。
その結果、ベスト10に2番目となったキリンののどごし<生>の第3のビールを加え、3品がランキングに入り、発泡酒の2品を超え、まさに第3のビールの勢いがベスト10にも表れたといえ、消費者の節約志向が明確に単品レベルでも明らかになったといえよう。このベスト10にサントリーは2品ランクインしたが、金麦の第3のビールとザ・プレミアム・モルツのプレミアムビールと両極端のビールであり、これも2008年度の特徴といえ、節約志向で価格の安さを追求する一方、良いものもしっかり買うという消費者の購買行動の表れでもあるともいえよう。
これに対して、鶏肉はどうかをここ数ケ月の家計調査データから見てみたい。直近の11月度は鶏112.8%、豚107.0%、牛107.9%であったが、10月度は鶏114.7%、豚104.9%、牛100.1%、9月度は鶏115.5%、豚105.8%、牛98.4%、8月度は鶏114.6%、豚109.7%、牛99.4%、7月度は鶏107.3%、豚104.0%、牛97.5%、そして、6月度は鶏117.8%、豚110.5%、牛100.1%という過去6ケ月間の推移であり、明らかに鶏の数字が絶好調であることがわかる。もちろん、この要因には様々なことが考えられるが、消費者の節約志向の表れが、比較的価格の安い鶏へとシフトしたことが大きいといえよう。
このように、第3のビールと鶏肉は、節約志向の典型的な2大商品といえ、2008年度はまさに、この2大商品が消費者から絶大な支持を受け、実際、家計の節約に大きく寄与したのではないかと考えられる。
では、この2大商品と同様な節約志向の商品がないか、直近の家計調査データ、11月度で見てみると、スパゲティが129.2%と異常な伸びを示している。麺類の中では特に、スパゲティに注目が集まったようである。スパゲティは10月度134.8%、9月度138.6%と、ここ数ケ月絶好調であり、まさに、節約志向の典型的な商品といえそうである。また、これ以外では、ウィスキーも11月度125.6%、10月度140.0%と絶好調であり、9月度は95.9%であるが、8月度は125.9%という数字であることから、家庭で飲むようになったともとれ、ある種の節約志向といえないこともない。
こう見ると、2008年度は節約志向元年といえ、その典型的な商品が第3のビールと鶏肉に象徴される商品であったといえ、これを受けて、2009年度は本格的な節約志向に家計が入り、節約志向商品が広範な商品に広がってゆく可能性が高いといえよう。ちょうど、企業経営がリストラを行うように、家計もリストラに入り始めたといえ、これがさらに進むと、構造改革、すなわち、食生活に限らず、生活様式そのものの変革につながるところまで、今年はゆく可能性もあろう。節約志向はその意味では家計のリストラの初期段階に表れる現象でもあり、2009年は予断をゆるさない、家計のリストラに発展する消費の激変をはらんだ1年となりそうである。
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