Chain Store Age、1月15日号でパワーカテゴリーを特集!
Chain Store Age、2009年1月15日号で恒例のパワーカテゴリー2009の特集が組まれた。これは、TOPNAVI-NETの全国約100チェーン、約400店舗のGMS、SM、ミニSM、CVS、ドラックのPOSデータをPI値をもとに分析し、注目カテゴリーのランキングをまとめたものである。今回の期間は2008年上半期であり、2008年4月から9月までの6ケ月間であり、ちょうど値上げ問題がピークを迎えた時期でもあり、アメリカ初のサブプライムローンの問題に端を発する未曾有の金融危機が本格化する直前までの期間である。その意味で、値上げの影響がどのように消費に影響が出たのかを知る上で貴重な時期のPOSデータであるといえよう。
誌面構成は、売上の構造、直近のトレンド、成長のための視点というテーマのもとに簡単なコメントが掲載され、そのコメントを裏付ける形で、各種PI値のグラフ、数表が掲載されている。対象期間6ケ月間の月別PI値昨対比較の表、地域別PI値比較の表、そして、カテゴリー内売上シェアトップ20の一覧表である。
そして、今回の対象カテゴリーであるが、食品では、畜肉ハム、漬物、中華調味料、風味調味料、ルウカレー、スパゲティ、お茶漬の素、インスタントカップめん、冷凍めん、魚肉ソーセージ、ドレッシング、味噌、ガム、ドリンク剤、インスタントコーヒー、簡易抽出型コーヒー、マヨネーズ、卵、機能性ゼリー、ファミリーアイス、食パン、緑茶ドリンクの22カテゴリーである。酒では、ビール、発泡酒、ワイン(果実酒)、ウィスキー、RTD、日本酒、焼酎甲類、本格焼酎、新ジャンルアルコール飲料の9カテゴリーである。そして、雑貨であるが、フェースクリーム、シェービング、ティシュペーパー、ヘアカラー、トイレ用芳香剤、室内用芳香剤、防虫剤、除湿剤、・スポンジ、家庭用手袋、からだ洗い用品、大人用紙オムツ、キャットフード、ローソク、ライター・点火棒、線香、乾電池の19カテゴリーである。全部で、ちょうど50カテゴリーであり、グロサリーの主要かテゴリーをほぼ網羅しており、貴重なPOS分析データであるといえよう。
ひとつ、今回の特集で特につけ加えてみたらおもしろかったと思うのは、平均単価、ないしは金額PI値の月別トレンドである。特に、この時期は値上げの影響がどのように売上に表れるかが、最大の関心事であるので、ダイレクトに平均単価の推移を示すか、金額PI値=PI値×平均単価であるので、PI値と平均単価をかけ合わせた金額PI値で、月別推移を比較すると、PI値で見るよりも、値上げの影響が鮮明になったのではないかと思う。たとえば、値上げ商品の典型的なインスタントカップめんであるが、PI値の月間推移表では、昨年よりも明らかにグラフが下回っており、厳しい状況であるが、金額PI値では恐らく、平均単価がかかるために、同じか上昇している可能性が高いのではないかと思われる。同様な商品はマヨネーズ、ビールなどにいえることであり、PI値だけでは見えない世界を金額PI値は見せてくれるので、POSデータの分析では、金額PI値を起点に、PI値、平均単価を分析すると、より、精度の高い、現状の分析が可能だったと思う。
さて、今回の50カテゴリーをざっと見てみると、2つの特徴があるように思える。ひとつは、この時期が先にも触れたように値上げまっただ中の期間であるので、この厳しいい消費環境の中でも明らかにPI値を伸ばしたカテゴリーは何かということである。実際に各ページをめくってみると、風味調味料、ルウカレー、お茶漬の素、魚肉ソーセージ、ファミリーアイス、本格焼酎、新ジャンルアルコール、除湿剤等である。特に、魚肉ソーセージと新ジャンルアルコールは堅調なPI値の伸びである。
もうひとつは、重点商品の集中度である。カテゴリーによっては、上位5品で30%以上超えるものもあれば、数%どまりのものもあり、両極端なカテゴリーが見られるということである。これは、メーカーの寡占化が進んでいる、いないもあるが、消費志向が重点商品に集中しているか、バラついているかにもあるといえよう。ここでは、この中で、上位5品の売上シェアが10%以下のカテゴリーをこの50カテゴリーから抽出してみると、漬物、ワイン、ヘアカラー、キャットフードなどである。これらのカテゴリーはまさに品揃えが命ともいえ、重点商品に絞り込んだマーチャンダイジングは売上を落とす結果を招くだけであり、いかに、顧客の嗜好に合わせたマーチャンダイジングができるかどうかが課題である。
このように、2008年4月から9月までのPI値にもとづくパワーカテゴリー2009を見てみると、この時期はちょうど、値上げ問題の嵐の中での商品動向が表れたPOSデータであり、非常に興味深い内容となっている。また、次回は、9/15のリーマンブラザーズ破綻以降のまさに、未曾有の厳しい経済情勢の中での数字となるので、次回の結果もさらに興味深い内容となろう。次のパワーカテゴリー2009の特集がどのような結果となるか気になるところである。
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