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January 06, 2009

流通再編を考える!

   1/5の日経新聞に流通再編の特集記事が図解入りで組まれた。「流通再編、業種超え加速」との見出しのもとに、コンビニ(ローソン・ミニストップ、連携視野、イオンの動きカギ)、百貨店(電鉄系、焦点に浮上)、家電量販店(消耗戦に拍車、コジマも合従連衡に含み)、ドラックストア(販売規制緩和で荒波、売上高2000億円めざしM&Aも、市場には成長期待)を取り上げての特集記事である。特に、図解は商社、スーパー、コンビニ、ドラックストア、調剤薬局、百貨店、家電量販店と流通業界全体を俯瞰しての内容であり、興味深い記事である。ただ、食品スーパーマーケットは、GMSと一緒に図解されており、食品スーパーマーケットの流通再編の動きがややわかりにくく、残念である。そこで、本ブログでは、食品スーパーマーケットの動きを少し交えながら、今年、間違いなく起こるであろう流通再編について考えてみたい。

   いま起こっている流通再編の注目点は商社が昨年来、本格的に動き始め、GMSを起点に食品スーパーマーケット、コンビニ、ドラックストアを巻き込んだ垂直的な再編に発展するのではないかということが最も大きな動きであると思う。これはどちらかというと質を追い求めた流通再編といえよう。また、西友、ウォルマート連合もいつ、GMS、食品スーパーマーケットへのM&Aの発表があってもおかしくない状況であり、この動きも今年の流通再編のポイントである。一方、これに対して、水平的な流通再編も激しい勢いで起こっており、百貨店、家電量販店、そして、ドラックストア業界でここ最近、動きが激しさを増しているといえよう。これは質に対して、どちらかというと量をもとめた流通再編といえよう。

   この質と量の流通再編は一方的な動きではなく、相乗的に螺旋状にも動いており、最終的にどのような流通業界の再編につながるかは読みにくい状況ではあるが、今年は、何が起こっても不思議ではなく、逆にいえば、何でもありの流通再編の状況といえよう。ただ、流通再編を急がなければならい、待ったなしの状況もある。その大きな要因は、今年6月からはじまる改正薬事法の施行であるといえよう。また、昨年から本格的な規制がはじまった改正街づくり3法の規制の影響もGMSには大きな要因である。そして、もう一点は、未曾有の経済情勢の悪化からくる消費者の節約志向の高まりによる流通業界全体での価格競争の激化であろう。

   まず、改正薬事法の問題であるが、この問題は、この日経の流通再編の記事にあるように、「病院が診療、薬局は調剤に特化する「医薬分業」の流れから、07年度の調剤市場は4兆9,000億円と前年比8.7%の成長した。今後も伸びが期待され、・・」とのことであり、今後、大衆薬の大半が登録販売者をおけば、GMS、食品スーパーマーケット、コンビニでも販売が可能になり、ドラックストア業界が厳しい状況となる。これを打開する有力な方法が成長性の高い調剤を強化することであり、ここにいま熱い視線が注がれているということであろう。実際、日経の記事でも、マツモトキヨシHDと日本調剤との業務提携、セブン&アイHDとアインファーマシーズとの資本業務提携などの動きが解説されている。

   次に、改正街づくり3法の規制であるが、これはSCを主力業態のひとつとしてきたイオンには特に大きな打撃であり、GMS業態、スーパーセンター業界も自由な出店ができず、成長路線の修正を余儀なくされている。特に、イオンは今後の成長戦略をみなおし、国内では収益重視の戦略展開を図っている最中であり、三菱商事との資本業務提携に踏み切っている。また、SC、GMSから食品スーパーマーケット、コンビニへのM&Aを加速させており、マルエツ、カスミ、ベルク、光洋などを子会社化、ないしは、資本業務提携に踏み切っている。さらに、今後、三菱商事との関係が深まれば、三菱商事系列の食品スーパーマーケットのライフストア、コンビニのローソン、ローソン傘下のショップ99などとの連携も視野に入り、大がかりな流通再編に入る可能性も高い。

   そして、消費者の節約志向による流通業界全体の価格競争の激化であるが、すでに、この年末商戦からはじまっており、この動きはますます激化しよう。家電量販店のヤマダ電機の食品ディスカウントへの参入も、成長性に陰りを見せた家電に価格訴求の食品を加えることで既存店の集客力を引き上げる戦略であり、価格訴求はあらゆる流通業界全体で今年は最大のテーマとなろう。

   このように、今年は、この1/5の日経が特集したように、流通業界の質、量を目指した垂直、水平、入り交えた再編がまさに加速するのではないかという情勢であり、いつ、何が起こってもおかしくない状況に入ったといえよう。特に、アメリカ発の金融不安による未曽有の世界経済の悪化は確実に日本経済にも波及しており、流通業界も無傷ではいられない状況であるといえる。流通業界にとっては、今年は歴史的な1年になるのではないかと思う。

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