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January 23, 2009

薬の家計調査データを見る!

   家計調査データは実に興味深い消費動向を示す貴重な資料である。本ブログでは主に食品スーパーマーケットのマーチャンダイジングへの活用を目的として、この家計調査データを用いているが、家計調査データは、食品だけでなく、国民の生活全般の消費を網羅したデータとなっており、食品以外にも様々なデータが公表されている。ざっと見ても、食料(外食を含む)、住居、家具・家事用品、被服及び履物、保健医療、交通・通信、教育、教養娯楽、諸雑費となり、まさに、生活のすべてが網羅されている。そこで、ここでは、この中の保健医療、特に薬に焦点を当ててみたい。特に、この分野は、今後、食品スーパーマーケットとしても、改正薬事法の施行が、この6月という、まじかに迫っており、今後、注目の商品カテゴリーとなるものと予想される。
  
   本ブログでは、家計調査データを食品スーパーマーケットの金額PI値と比較しやすいように、1日当りの数字に変換し、さらに、購入世帯のみの数字と購入世帯の割合に分けて分析しているので、この保健医療、特に薬につても同様の数字で見てみたい。また、現在の家計調査データの最新は2008年11月度であるので、ここでもこのデータで見てみる。なお、2008年12月度は来週末、1月の末に公表予定である。 
  
   まず、保健医療全体の2008年11月度の数字であるが、454.73円(昨対97.5%)であり、購入世帯のみの数字は497.08円(昨対97.9%)、購入世帯の割合91.5%(昨対99.6%)である。ただ、これは大きく4つに分かれており、医薬品58.73円(昨対99.0%)、健康保持用摂取品32.97円(85.3%)、保健医療用品・器具77.83円(116.1%)、保健医療サービス285.20円(94.6%)である。この中で、改正薬事法がらみの部門は医薬品58.73円(昨対99.0%)であるので、保健医療全体の約10%強である。最も大きいのは何とっても保健医療サービス285.20円(94.6%)であり、保健医療全体の60%強をしめ、その中でも大きな構成比を占めるのが、医科診療代112.90円(85.5%)、歯科診療代50.07円(96.0%)である。歯科診療代の約2倍が医療診療代であり、いかに、医療診療代が大きいかがわかる。
  
   そこで、本テーマの医薬品58.73円(昨対99.0%)であるが、この58.76円は食品スーパーマーケットでいうと、食品(外食を除く)が食品2,019.07円(102.9%)であるので、約3%ぐらいの数字となる。ちなみに、医薬品の購入世帯の割合は56.2%(100.6%)であるので、家計の半分強が1ケ月に1回は購入するといえ、これに近い傾向を示す食品スーパーマーケットの商品群は酒類の64.7%(101.5%)であり、薬の消費傾向は食品スーパーマーケットでは極めて酒に近いといえよう。食品スーパーマーケットでは酒以外の部門の消費世帯の割合はほぼ100%であり、酒だけが約60%強という限られた消費者向けの典型的な商品であるが、今後、薬が食品スーパーマーケットに入ることにより、酒と同様、限られた消費者向けの商品群が登場することになる。その意味で、食品スーパーマーケットにとって薬は酒とほぼ同様なマーチャンダイジング政策が活性化の決め手となるのではないかと想定される。
   
   もう少し、薬を掘り下げてみたい。医薬品58.73円(昨対99.0%)の内訳であるが、感冒薬7.80円(90.0%)、消費世帯のみ53.57円(95.5%)、消費世帯の割合14.6%(94.2%)、胃腸薬2.80円(82.4%)、52.34円(105.6%)、5.4%(78.0%)、栄養剤12.07円(77.7%)、73.94円(82.6%)、16.3%(94.1%)、外傷・皮膚病薬円1.90円(82.6%)、32.99円(91.5%)、5.8%(90.3%)、他の外用薬6.27円(91.3%)、35.79円(101.2%)、17.5%(90.2%)、他の医薬品27.90円(123.8%)、93.81円(100.5%)、29.7%(123.1%)という状況である。
   
   これを見ると、まさに、酒の小分類に良く似ており、数字だけ見ると、酒と言われてもわからないくらいである。この中で、この11月度を見ると、伸びているのは他の医薬品27.90円(123.8%)のみであり、その他は軒並み厳しい状況である。また、栄養剤が突出している数字であり、ついで、感冒が大きいといえ、この部門がその他関連を除けば、2大部門といえる。さらに、医薬品全体では消費世帯の割合が56.2%であったが、小分類になると20%弱となり、少ないものでは数%という数字であり、薬がいかに月間では限られたごくわずかな家計の商品であるかがわかる。
   
   こう考えると、今後、食品スーパーマーケットが薬を取扱い商品群に加え、マーチャンダイジングを強化してゆくには、生鮮食品、日配などのノウハウだけでは全く歯がたたない新部門であり、酒のマーチャンダイジング、特に、ワイン、焼酎、ウィスキーに近いマーチャンダイジング政策が必要であることがわかる。
   
   この6月にはまったなしの改正薬事法が施行され、薬の一部が確実に食品スーパーマーケットで販売資格者をおけば販売できるようになる。すでに、各都道府県で資格試験が施行され、70%から80%の合格率で数万人が資格を獲得しており、今後、数年で、人員体制も整い、本格的な競争が始まるものと予想される。また、マーチャンダイジング政策としては、これまでの延長ではなく、薬特有のノウハウを蓄積してゆくことが必要といえ、ただ品揃えするだけではなく、顧客へのきめ細かなマーチャンダイジング政策が求められるといえよう。今後、本ブログでも新マーチャンダイジング政策とからめ、薬のマーチャンダイジングについても様々な角度から取り上げてゆきたい。

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