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January 02, 2009

ネットスーパー、住商、今期いよいよ本格展開!

   1/1の日経1面にネットスーパーの記事が掲載された。「住商、ネット専業スーパー、食品や日用品10月から販売、携帯・テレビ連携視野」という見出しの記事である。内容は、住友商事が傘下のサミットと共同で専用のセンターや食品加工センターを設置し、2009年10月から販売を開始するという内容である。ちょうど、2009年1月号の日経トレンディーでもネットスーパーの特集が組まれているが、いよいよ、2009年度はネットスーパーの本格展開の年となりそうである。
  
   まず、日経新聞の住商のネットスーパーの内容であるが、現在、各地の食品スーパーマーケットで展開しているネットスーパーとは違い、本格的な専用の配送センターを持つ方式を採用するという。通常の食品スーパーマーケットのネットスーパーは、店舗が配送センターの機能を兼ねており、店舗周辺からの受注のみとなるため、受注件数、受注地域が限られるのが現状である。記事の中にもあるように、大量の受注が入ると、店舗の運営に支障をきたすため、1日200件程度が限界となるという。これは、通常の食品スーパーマーケットの1日当たりの来店客数が約2,000人であるので、客数の約10%である。
  
   食品スーパーマーケットの通常の最重点商品は約200品ぐらいであるが、そのPI値は1%強である。したがって、客数の10%の10%が同じ商品を注文すると、重点商品に欠品を起こす可能性が高く、ましてや、それ以下のPI値の商品は店舗在庫を絞っていることが多いため、さらに欠品を起こす可能性が高い。そうすると、買い物に来たお客さまにご迷惑がかかるだけでなく、ネットからの注文にも対応できなくなる恐れがあり、客数の10%の壁を超えることが、通常のネットスーパーでは中々できなかったのが現状である。したがって、現状の食品スーパーマーケットで現在の本格的な配送センターをもたない方式では、ネットスーパーの年商は売上の10%強が限界であり、売上は店舗の数に制約されるという状況であった。
  
   今回の住商のネットスーパーはこの限界を打ち破る仕組みでのネットスーパーの展開であり、これが実現すれば、これまでの有店舗ネットスーパーから、まさに、無店舗ネットスーパーができることとなり、受注件数の制限、受注地域の制限がほぼ克服され、年商を飛躍的に増加させることが可能となる。ただ、そのためには、配送センターの建設が大きな課題となるが、今回の住商の計画では、2百数10億円を投資し、36か所にセンターをつくるという。その結果、受注件数は1配送センター、1日当り、1,200件から1,800件の受注が可能となるという。
   
   ここで、住商のネットスーパーの計画内容を記事の内容から整理してみると、今回のネットスーパーの年商目標は1,100億円であり、会員数は50万から60万世帯、配送センターは36カ所、1センター当りの受注件数は1,200件から1,800件となる。逆算すると、1センター当り約30億円の年商であり、1日1,500件の受注とすると、年間では約55万件の受注となるので、1回当たりの受注金額、客単価は5,500円となる。また、会員数は1センター当り、約15,000世帯であり、世帯当たりの受注金額は年間20万円となり、年間では、40回弱の買い物となる計算である。
  
   日経トレンディーを見ると、イトーヨーカ堂、西友、紀ノ国屋、マルエツ、サミット、ユニー、オークワ、イズミヤのネットスーパーの取材記事が掲載されている。これを見ると、会員数は1店舗当たり、マルエツの1,100人を除けば、各社数千人であり、客単価は約6,000円、1日当り1店舗30件程度が多く、1日4便の配送が平均的な数字である。こう見ると、今回の住商のネットスーパーは客単価はほぼ同じ数字であるが、専用の配送センターをもつことによって、センター当りの受注件数と会員数を飛躍的に増加させることが可能となり、結果、ネットスーパーの年商を100店舗クラスの食品スーパーマーケットの年商レベルに引き上げることが可能となる仕組みであるといえる。
  
   課題は、専用センター36カ所への投資額2百数10億円であり、計画通りの会員数50万から60万世帯への加入が可能かどうかということ、それに、生鮮食品、惣菜等の加工がどこまで対応できるかであろう。現状の日本の食品スーパーマーケットの規模では、これだけの投資と体制づくりは無理があるが、商社等が投資主体となり、数社の食品スーパーマーケットが支援する体制ができれば、可能性は高いといえよう。
  
   いまから約20年前にフレッシュシステムズという宅配ビジネスが今回と同様なコンセプトで挑戦し、撤退した歴史があるが、現在は、当時と比べ、IT技術の飛躍的進歩と急速な、特に都市部での少子高齢化が進んでいることもあり、消費環境は様変わりしている。また、日経トレンディーに見るように、各社が有店舗ネットスーパーに取り組み、軌道にのりつつあり、ノウハウも各社蓄積がなされつつある。したがって、ネットスーパーに取り組む時期としては、ビジネス環境が整いはじめているので、住商の今回の試みは、極めて現実性の高い、有望なビジネスであるといえよう。既に、ネットスーパーを展開している食品スーパーマーケット、現在、検討している食品スーパーマーケットの動向に今後、注目である。

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