ウォルマート、2009年1月期決算、増収増益、107.1%!
2/17、ウォルマートが2009年1月期の第4四半期と、年間決算を公表した。結果は、売上高107.1%、当期純利益105.2%の増収増益の堅調な決算であった。ただ、第4四半期のみでは、売上高101.6%、当期純利益は92.2%と、増収減益となり、後半はやや厳しい経営状況であったといえよう。第4四半期は11月から1月までの3ケ月であるが、ちょうど、アメリカのサブプライムローンの崩壊による金融不安の影響が世界中に広まった時期である。そのため、約1/4の売上構成比を占める海外部門の連結が急激なドル高による為替変動により、減収となったことが、経営を圧迫し、四半期ベースでは減益の要因になったという。
さて、本決算の売上高であるが、4,056.07億ドル(約37兆3,158.44億円)となり、107.1%であった。原価は3,061.58億ドル(約28兆1,665.36億円)となり、75.48%であり、粗利率は24.51%である。一方、販売費及び一般管理費であるが、766.51億ドル(約7兆518.92億円)となり、売上対比では18.89%となった。その結果、営業利益は227.98億ドル(約2兆974.16億円)となり、売上対比では5.62%となった。日本の食品スーパーマーケットでいえば、規模はもちろん違うが、ちょうどオオゼキのこの第3四半期に近い決算構造である。オオゼキのこの第3四半期決算は、売上総利益が24.8%、販売費及び一般管理費が18.0%、これに不動産収入等がのり、結果、営業利益が7.8%であったので、オオゼキの方がマーチャンダイジング力は強いが、収益構造は良く似ているといえよう。
そして、最終利益、当期純利益であるが、アメリカの決算には経常利益がないので、いきなり、当期純利益となるが、134.00億ドル(約1兆2,328億円)となり、日本円に換算しても1兆円を超える当期純利益となった。これに対し、ウォルマートのCEO、マイクデユーク氏は、「この四半期の売上は1,080億ドル(約10兆円)を超え、歴史上、最も力強い売上を記録した」と強調している。そして、「これは従業員の懸命な働きにより成し遂げられたものであり、その結果、顧客の節約に寄与し、少しでも良い生活の支えになったと思う」とコメントしている。
これを受けて、ウォルマートのキャッシュフローの流れであるが、営業キャッシュフローが、減価償却費等も加わり、231.47億ドル(約2兆1,295.24億円)と2兆円を超えた。それにしても、一小売業で2兆円を超えるキャッシュフローは史上はじめてといえ、すごい金額である。そして、投資キャッシュフローであるが、107.42億ドル(約9,882.64億円)となり、結果、フリーキャッシュフローは124.05億ドル(約1兆1,412.6億円)となった。投資キャッシュフローの主な中身であるが、設備投資が114.99億ドル(約1兆579.08億円)あり、これが主に新店開発に投資され、今期の成長107.1%につながったといえよう。財務キャッシュフローであるが、99.18億ドル(約9,124.56億円)となるが、その配分は借入金等の返済、配当、自己株式の購入にほぼ1/3づつとなっており、バランスのとれた財務キャッシュフローの中身である。結果、トータル、為替差損等を加味し、17.06億ドル(約1,569.52億円)となった。
全体のキャッシュフローの大きな流れは、約2兆円の営業キャッシュフローの内、約50%の1兆円を新店等の投資に充て、残りの1兆円の内、約30%を返済、配当に約30%、自己株式の取得に約30%、そして、約10%強を繰り越しに充てるという配分であり、将来へ、返済へ、株主へとバランスのとれた配分であるといえよう。自己株式の取得も株主への配分と考えれば、配当と合わせ約60%の財務キャッシュフロー、全体では約30%となり、よく考えられたバランスがとれたキャッシュフローの配分といえよう。
そして、バランスシート(貸借対照表)、特に、出店余力に関して見てみたい。まず、自己資本比率であるが、39.94%である。ちなみに、総資産は1,634.29億ドル(約15兆354.68億円)である。負債の内、長短借入金等の合計は387.03億ドル(約3兆5,606.76円)であり、総資産の23.68%であり、やや重い借入比率といえよう。これに対して、資産の中の、土地、建物、そして、在庫の合計は1,273.67億ドル(約11兆7,177.64億円)となり、総資産の77.93%となり、自己資本比率から引いた出店余力は-37.99%であり、負債に大きく依存した出店構造であるといえよう。キャッシュフロー上は1兆円の投資は問題ないといえるが、財務構造から見ると、自己資本比率をもう少し引き上げ、負債の削減をしたいところであろう。
このようにウォルマートが2009年1月度の第4四半期及び本決算を公表したが、さすがに第4四半期は増収減益とやや厳しい内容となったが、通期では前半の好調さがあり、増収増益の好決算となった。これを受けて、決算発表のあった2/17の株価は48.24ドル、翌日2/18は55.41ドルと上昇しており、投資家は買いとみているといえよう。昨年9/15から本格的となったアメリカ経済、特に、金融と消費環境の悪化の中で、ウォルマートの数字がこの第4四半期決算でも大きく落ち込むことなく、本決算では増収増益となったことが評価されたといえよう。そして、問題はまさに、今期であり、ウォルマートが今後、さらに厳しくなるであろう経済の中で、どのような経営戦略を打ち出すかに注目である。
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