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February 03, 2009

ヤオコー、2009年3月期、第3四半期、増収大幅増益!

   1/30、ヤオコーが2009年3月期の第3四半期決算を公表した。ヤオコーは今期待望の100店舗を達成しており、今期の第3四半期の決算はちょうど100店舗での結果である。その数字であるが、営業収益1,588.56億円(104.6%)、営業利益70.52億円(112.1%:営業収益比4.43%)、経常利益71.11億円(113.4%:営業収益比4.47%)、当期純利益41.84億円(118.1%:営業収益比2.63%)となり、増収、大幅な増益となる好決算であった。この12月度の売上高も105.8%、既存店も101.8%と堅調である。特に、既存店は今期、一度も昨対を割ることなく推移しており、ヤオコーの好調さの源泉となっているといえよう。

   ヤオコーは今期100店舗を達成したが、その内、新店は4月に四街道店(千葉県四街道市)、10月に岩槻西町店(埼玉県さいたま市)、11月に高崎飯塚店(群馬県高崎市)の3店舗である。また、11月には若葉店(埼玉県鶴ヶ島市)を閉店しており、差し引き2店舗増となり、その結果、100店舗ジャストとなった。閉店した若葉店はヤオコーの基幹店舗、若葉ウォークの商圏内にある店舗であり、ここはベイシア、ベルク、イトーヨーカ堂等が乱立する激戦区でもあり、ヤオコーとしては、若葉ウォークに絞っての収益確保を狙ったものといえよう。また、今期、ヤオコーは9店舗の改装を実施しており、100店舗の約10%にあたり、この既存店の積極的な改装も既存店の売上にはもちろん、全店の売上にも大きく寄与しているといえよう。

   この好調な収益を受けて、キャッシュフローの流れであるが、営業キャッシュフローが57.01億円となり、ここから、投資キャッシュフローが-31.40億円、その中には新店への投資である有形固定資産の取得が41.14億円あり、今後とも積極的な出店を継続するための投資がなされている。営業キャッシュフローの範囲内で新規出店への投資が十分に可能な状況であり、結果、フリーキャッシュフローは25.61億円と順流となり、豊富なキャッシュを確保している。そして、財務キャッシュフローであるが、長期借入金の返済、配当などに支出し、-10.76億円となり、結果、トータルでは、14.85億円のプラスとなった。投資キャッシュフローへの割合が55.0%であり、財務キャッシュフローが18.8%、余剰キャッシュフローが26.2%であり、借入金を削減し、株主への配当を行った上で、成長のための新店への投資を積極的に行い、余剰資金を約25%強生み出すという、食品スーパーマーケットとしては健全なキャッシュフローの流れであるといえよう。

   では、この健全なキャッシュフローの流れを生み出した大本の営業利益の状況を見てみたい。今期のヤオコーの原価は71.4%(昨年71.4%)であり、昨年と同様の原価となった。結果、売上総利益は28.6%(昨年28.6%)となり、今期は値上げ環境の厳しい原価管理が求められたが、原価を昨年同様に抑えられたことが大きかったといえよう。そして、販売費及び一般管理費であるが、28.2%(昨年28.4%)となり、0.2ポイント削減することができた。結果、マーチャンダイジング力、売上総利益から経費を引いた数字は0.4%(昨年0.2%)となり、0.2ポイント改善した。ただ、マーチャンダイジング力がわずかなプラスであり、この数字は今後、改善したいところであろう。これに、不動産、物流収入が4.2%(昨4.1%)加わり、営業利益は4.6%(昨年4.3%)となり、これに売上高の伸びが加味され、営業利益が2桁の増益につながった。

   これを受けて、ヤオコーの今期の自己資本比率であるが、46.4%(昨年43.3%)と若干改善している。その要因を見てみると、負債の主要項目である長短借入金の合計が67.87億円(前本決算時86.79億円)と今期約20億円改善されており、総資産680.99億円の9.9%と10%を切った。今期の営業キャッシュフローが57.01億円であるので、自己資本比率は今後さらに改善することが見込めるといえよう。ヤオコーの出店に関する資産、土地、建物、差入保証金の合計であるが、424.82億円であり、これは総資産の62.3%である。したがって、出店余力、自己資本比率-出店にかかわる資産=-15.9%とまだマイナス構造ではあるが、営業利益が潤沢であり、長短借入金の返済とのバランスで新規出店は十分に可能であるが、もう一歩、余裕が欲しいところであろう。そのためにも、もう一段と踏み込んだ営業収入依存構造から脱却し、マーチャンダイジング力の一層の改善が望まれるところであろう。

   このように、今期、2009年3月期の第3四半期の決算の公表がいよいよ始まり、今回、いち早く、決算内容を公表したヤオコーの現況を見たが、増収、大幅増益の好決算であった。なお、通期予想は2,092.00億円(103.4%)、営業利益80.50億円(103.0%)、経常利益80.00億円(102.5%)、当期純利益43.60 億円(103.1%)と堅調な増収増益の予想であり、この第3四半期決算の勢いを見るとやや控え目な予想ではある。ただ、今後、景気が後退局面に入り、消費環境が激変している状況を見ると、現在、ヤオコーは絶好調な状況ではあるが、今後は、予断を許さない消費状況に入るといえる。ヤオコーがこの好調な決算を受けて、来期、どのような経営方針を打ち出すかに注目したい。

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