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February 07, 2009

バロー、2009年3月、第3四半期決算、増収増益!

   バローが2/5、2009年3月期の第3四半期決算を公表した。営業収益2,573.33億円(106.6%)、営業利益77.11億円(104.4%)、経常利益81.07億円(104.1%)、当期純利益34.86億円(96.3%)と、当期純利益はやや昨年を下回ったが、営業、経常ベースでは増収増益となる好決算であった。当期純利益が昨年を下回った理由は、「「棚卸資産の評価に関する会計基準を当連結累計期間に適用したため、特別損失にたな卸資産評価損7.82億円を計上し、・・」ということであり、今期からの会計基準の適用が影響したといえる。

   バローは食品スーパーマーケットの他にホームセンター等、多角的に事業展開しており、通常の食品スーパーマーケットと比べ、たな卸資産がやや多めである。この第3四半期では商品および製品が206.80億円であり、これは総資産1,812.83億円の11.4%となり、通常の食品スーパーマーケットは5%前後であるので、約2倍となり、今回の会計基準では当期純利益に影響が生じたといえる。

   今期、バローが好調であった要因であるが、売上に関しては、スーパーマーケット13店舗、ホームセンター4店舗、ドラックストア22店舗及びスポーツクラブ4店舗を開設した一方、スーパーマーケット1店舗及びドラックストア1店舗を閉鎖し、結果グループ店舗数が442店舗となったことが大きいといえよう。ただ、既存店は97.7%、食品スーパーマーケット97.5%、ホームセンター98.4%と昨対を割っており、積極的な新店戦略に支えられた売上増であり、今後、既存店の活性化が課題といえよう。

   一方、増益となった要因であるが、売上原価は76.6%(昨年76.7%)と0.1ポイント下がっており、結果、売上総利益は23.4%(昨年23.3%)となった。これに対して、販売比及び一般管理比は24.0%(昨年23.6%)と0.4ポイント増加しており、今期は経費が増加している。したがって、マーチャンダイジング力は、差し引き-0.6%(-0.3%)となり、昨年よりも厳しい数字となった。これに不動産等の営業収入が3.7%(昨年3.5%)と0.2ポイント昨年よりも増加し、結果、営業利益が売上対比で3.1%(昨年3.2%)となったが、売上増とあいまって、増収となった。今期は、原価は改善しているが、経費増がやや重くなっており、マーチャンダイジング力が昨年よりも下がっているのが気になるところである。今後、一層、原価改善、経費削減を進める一方、既存店の坪効率を引き上げ、相対的に固定費を引き下げるマーチャンダイジング政策が課題といえよう。

   これを受けて、キャッシュフローの流れであるが、営業キャッシュフローは121.19億円となったが、投資キャッシュフローがこれを上回る-135.63億円となり、フリーキャッシュフローが-14.44億円の逆流となった。その要因は、新規出店関連の有形固定資産の取得による支出が-142.39億円、差入保証金の差入による支出が-18.45億円と多額になったためである。積極的な新規出店戦略への投資といえ、バローの強気の成長戦略の意思が表れているといえよう。したがって、財務キャッシュフローは87.68億円のプラスとなり、このマイナスを埋めているが、その中身は長短借入金、社債による収入であり、負債の増加で補っている構造である。

   結果、今期のバローの自己資本比率は30.4%(昨年32.4%)と、昨年と比べ0.2ポイント下げている。その要因を負債の主要項目である長短借入金等を見てみると、640.62億円(昨年決算時548.40億円)と、約100億円増加しており、総資産の1,812.83億円の35.3%となり、かなり、財務を圧迫しつつあるとえいよう。結果、出店余力であるが、出店にかかわる資産、土地、建物、差入保証金等の合計が1,131.09億円となり、総資産の62.4%であるので、自己資本比率30.4%から差し引くと-32.0%と約5割を負債に依存する財務構造となる。今後、安定的に新店をつくり、成長を目指してゆくには、自己資本比率の充実が課題といえよう。

   これを受けて、バローのここ最近の株価の状況であるが、ここ数日は株価が上昇気味で推移しており、投資家はこの第3四半期の決算結果を買いと見ているといえよう。ただ、バローの株価は昨年暮れまでは、右上がりに順調に上昇していたが、今年に入り、急激に株価が下がり続けている。一時は1,000円を超えていた株価が、現在800円強とわずか1ケ月で20%の下落である。この決算がどこまで株価をもどすか、ここしばらくはバローの株価の推移に注目といえよう。

   このように、この第3四半期のバローは好調な決算であり、株価も上昇ぎみに推移しはじめたといえる。ただ、キャッシュフローを見ると、営業キャッシュフロー以上の新規出店等への投資がなされ、それを借入等の財務キャッシュフローで補い、結果、自己資本比率を下げ、負債に依存する出店構造になっていることが気になるところである。いまが新規出店の機会とみた積極的な経営戦略をとったといえるが、既存店の状況、この第3四半期のマーチャンダイジング力等を見ると、一方で内部体制を充実させ、財務状況を改善することも、重要な経営課題といえよう。今後、バローが既存店の活性化にどう取り組み、財務状況をどのように改善してゆくのかに注目したい。

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