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February 05, 2009

関西スーパーマーケット、第3四半期、増収減益!

    関西スーパーマーケットが2009年3月期の第3四半期決算を2/2、公表した。結果は、営業収益827.63億円(103.9%)、営業利益14.22億円(77.8%:営業収益比1.71%)、経常利益16.41億円(81.7%:営業収益比1.98%)、当期純利益6.31億円(56.8%:営業収益比0.76%)と増収減益となる決算となった。増収の要因は4月に出屋敷店(兵庫県尼崎市)、12月に今福店(大阪市城東区)を新規出店したことに加え、3月から7月にかけて伊丹ショッピングデパート(兵庫県伊丹市)、10月に鴻池店(兵庫県伊丹市)を改装したことが寄与したといえよう。関西スーパーマーケットは現在、この今福店により、54店舗となり、大阪27店舗、兵庫27店舗と両地区へのバランスの良いドミナントが形成されつつある。

   一方、営業利益が減益となった要因であるが、まず、原価を見てみると76.2%(昨年75.7%)と0.5ポイント上昇し、結果、売上総利益(商品売買から得られる粗利)は23.8%(昨年24.3%)となり、利益が減少した。関西スーパーマーケットはこれについて、「青果物のディスカウント政策、海産物の産地直送仕入政策を推し進めてまいりました。さらに、競合店対策としましては、全部門にわたり、他店より低い売価を柱とした強化策を打ち出し対抗しております。」とのことで、今期は価格政策を強く打ち出しており、これが売上総利益を押し下げた要因のひとつといえよう。

   これに対し、販売費及び一般管理費についてであるが、23.9%(昨年23.9%)と昨年同様の経費比率となったが、マーチャンダイジング力である売上総利益から販売費及び一般管理費を引いた数字は-0.1%(昨年0.4%)とマイナスに転じた。一般に小売業ではGMSなど、不動産収入の比率が大きい業態では、マーチャンダイジング力が大きくマイナスとなるが、食品スーパーマーケットがマイナスになるのは、収益構造に問題があるといえ、早急にバランスの回復をはかる必要がある。

   これはどちらが良いということではなく、バランスの問題であり、理想は粗利が大きく、経費が小さいであるが、これは稀なケースであり、通常は粗利が大きく、経費も大きく、差し引きプラスとなるか、粗利が小さく、経費も小さく、差し引きプラスになる場合が多い。粗利が小さく、経費が大きい場合は当然、差し引きマイナスとなり、今回の関西スーパーマーケットの第3四半期決算はまさにこの4番目のケースとなり、マーチャンダイジング力がマイナスに転じたといえよう。

   そして、営業収入であるが1.9%(昨年1.9%)と昨年同様の数字を維持し、営業利益が1.8%(昨年2.3%)となり、0.5ポイントダウンしたことが、減益となった要因といえよう。関西スーパーマーケットとしては、いかにマーチャンダイジング力をまずプラスにするかが急務であり、そのためには、一層の経費比率を引き下げることはもちろんであるが、まずは、粗利の改善が課題であろう。ただ、この厳しい競合の中での低価格政策を継続せざるを得ない面もあり、経営判断が難しいところであろう。

   これを受けて、関西スーパーマーケットのキャッシュフローの流れであるが、営業キャッシュフローは40.98億円となったが、この中には、金融機関休業日の影響等による仕入債務の増加42.26億円があり、実質、かなり厳しい状況といえよう。投資キャッシュフローは、11.44億円とプラスであるが、その中身は有価証券の売却による収入が45.07億円、投資有価証券の売却による収入10.00億円があり、これにうより、新店投資と思われる有形固定資産の取得26.63億円が賄われている状況といえ、合計フリーキャッシュフローは52.42億円と大幅なプラスにはなっているが、実質、厳しいキャッシュフローの流れである。本来、純利益を主体にした営業キャッシュフローで、新店への投資等を行い、その余剰資金で、借入金の返済、配当、自社株買いなどを行うのが理想といえるが、今決算では、減益の影響が厳しいキャッシュフローとなったといえよう。財務キャッシュフローであるが、-10.61億円であり、その中身は長期借入金の返済7.5億円、配当5.0億円等があり、結果トータル42.82億円となったが、仕入債務の増加42.26億円を考慮すると、営業キャッシュフローの余裕が欲しいところである。

   また、関西スーパーマーケットの自己資本比率は44.5%であり、負債の主要項目である長短借入金の合計は99.0億円と前決算の2008年3月時点の104.5億円よりも若干削減されてはいるが、総資産557.70億円の17.75%と依然としてやや高い水準である。出店にかかわる資産の合計、土地、建物、差入保証金の合計が300.96億円と総資産の53.96%であるので、出店余力、自己資本比率-出店にかかわる資産は-9.46%と約2割を負債に依存する構造であり、中長期的に安定的な成長を目指すには、もう一歩、財務の改善を推し進めたいところであろう。

   このように、2009年3月期の第3四半期の関西スーパーマーケットの決算が増収減益となり、マーチャンダイジング力がマイナスとなった。その結果、キャッシュフローが圧迫され、財務的にも安定成長を目指す上にはやや重い状況である。今後、消費環境は一段と厳しさが増し、今回、マーチャンダイジング力がマイナスとなった要因のひとつである価格競争はより厳しくなると思われる。関西スーパーマーケットが、今期、残された残り3ケ月、そして、来期に向けて、どのようなマーチャンダイジング戦略を打ち出すかに注目したい。

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