原信ナルスホールディングス、第3四半期、増収減益!
原信ナルスホールディンスが2/4、2009年3月期の第3四半期決算を公表した。売上高は885.57億円(104.6%)、営業利益23.27億円(86.0%:売上対比2.62%)、経常利益22.57億円(79.1%:売上対比2.54%)、)当期純利益10.17億円(102.3%:売上対比1.14%)と増収減益となる決算となった。また、同時に公表された通期の予想であるが、売上高1,150.00億円(103.1%)、営業利益32.00億円(88.2%:売上対比2.78%)、経常利益31.00億円(83.2%:売上対比2.69%)、当期純利益14.00億円(91.2%:売上対比1.21%)と同様に増収減益の予想であり、やや厳しい決算といえよう。
原信ナルスホールディングスは、食品スーパーマーケットの原信とナルスが2006年4月1日に経営統合してでき た持株会社であり、今期決算で3期目を迎えることになるが、これまでの決算結果を見ると、2008年3月期は増収減益(営業利益ベース)、そして、2007年3月期は増収増益であった。ただ、初年度はナスルの売上、利益がそっくり乗った上での増収増益であり、昨年、そして、今期予想と2年連続で減益となる予想であり、売上面での効果は堅調な結果が出ているといえるが、利益面ではやや苦戦気味であり、まだ、明確な経営統合効果がはっきりしない状況といえよう。
本来であれば、経営統合3年目からは売上はもちろんであるが、営業利益の効果が共通コストの経費削減等により、効果がでても良いのではとも思われるが、この第3四半期決算を見る限り、まだ、明確な数字となってあらわれてこないようである。ただ、原信ナルスホールディングスが同時に公開した四半期ごとの決算推移を見ると、営業利益は第1四半期2.5%、第2四半期2.4%、そして、第3四半期2.9%と、この第3四半期が最も高い数字となっている。その要因は、特に、経費比率が23.9%、24.7%、23.5%と、この四半期で最も低い数字となっており、この第3四半期での経費削減が営業利益を押しあえげたといえよう。したがって、この状況が今後継続してゆければ、経費比率が下がり、来期は営業利益の改善が期待できるといえよう。
では、逆に売上面であるが、今期、原信ナルスホールディングスは104.6%という堅調な結果となったが、その中身を原信とナルスに分けてみると、原信が106.1%(既存店103.1%)と堅調な数字であったのに対し、ナスルは99.7%(既存店100.2%)と伸び悩んでおり、ナルスの方が売上ではやや厳しい状況であったといえる。原信とナルスの違いであるが、まず、客数1日当たりは原信が約3,000人であるのに対し、ナルスは約1,850人であり、客数が大きく違う。ただし、客単価は原信が1,782円であるのに対し、ナルスは1,864円となり、ナルスの方が逆に高い数字となる。その要因は原信のPI値1,025%、平均単価が173.8円であるに対し、ナルスはPI値が1,096%、平均単価が170.0円とPI値の違いによるところが大きいといえる。
一方、原信ナルスホールディングスのキャッシュフローの流れであるが、この第3四半期は営業キャッシュフローが減益になったとはいえ、この四半期では最高の数字となり、26.36億円となり、第3四半期までの累計では51.30億円となった。ここから投資キャッシュフローとして、-24.11億円、その主な中身は新店への投資と思われる有形固定資産の取得24.83億円であり、健全な投資である。結果、フリーキャッシュフローは26.89億円と典型的な純流のキャッシュフローの流れである。そして、財務キャッシュフローであるが、-1.22億円となり、主に配当と社債の変換に当てられている。残念ながら、借入金の削減には今期はつながっていないが、結果、トータルでは25.96億円のプラスとなった。
また、出店余力を見てみると、今期の自己資本比率は41.5%(昨年43.7%)となり、若干下がっているのが気になるところである。キャッシュフローのところでも見た負債の主要項目、長短借入金の状況であるが、この第3四半期は142.92億円(前期決算時139.49億円)と若干増加しており、総資産522.94億円に占める割合は27.3%と、かなり重い財務構造といえよう。したがって、出店にかかわる資産、土地、建物、敷金及び保証金の合計は288.83億円と総資産の55.23%となり、出店余力、自己資本比率-出店にかかわる資産は-13.7%と約25%近く負債に依存する出店構造となっており、今後、借入金の返済による一層の自己資本比率の引き上げが、安定的な新店の出店による成長戦略を確保するめには必要といえよう。
このように原信ナルスホールディングスの2009年3月期の第3四半期決算は増収減益、通期予想も同様のやや厳しい決算結果となった。ただ、これまでの四半期の中では最も高い営業利益率を特に経費削減により実現しており、次の四半期、そして、来期の増益にはつながる流れができつつあるともいえる。また、減益になったとはいえ、キャッシュフローの流れは典型的な順流であり、この好調なフリーキャッシュフローを通じて、この第3四半期決算では改善できなかった借入金の削減が次の第4四半期、そして、来期に改善と進んで行けば、自己資本比率が飛躍的に改善され、出店余力が高まり、安定成長へとつながってゆく。その意味で、今後、原信ナルスホールディンスが安定成長に向けて、どのような財務キャッシュフロー戦略を打ち出すかに注目したい。
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