消費者物価指数(CPI)、2008年12月度、落ち着く!
1/30、総務省統計局から2008年12月度の消費者物価指数(CPI)が公表された。概要は、以下の3点に集約される。(1) 総合指数は平成17 年を100 として101.3 となり、前月比は0.4%の下落。前年同月比は0.4%の上昇となった。(2) 生鮮食品を除く総合指数は101.1 となり、前月比は0.5%の下落。前年同月比は0.2%の上昇となった。(3) 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は99.5 となり、前月と同水準。前年同月とも同水準となった。という状況であり、前月比ではいずれの指標も下落しており、総合指数、生鮮品を除く総合指数はわずかな伸び、食料および総合指数は下落となり、これまで上昇気味で推移していた消費者物価指数が明らかに下落傾向となり、落ち着いた数字となったといえよう。
これは公表されたグラフを見るとさらに明らかであり、(1)、(2)はピークは8月、9月、10月であり、11月からは急激に数字が下降し、ほぼ昨年並みの数字に追いついた形である。また、(3)については、もともと物価の上昇は見られず、ほぼ昨年並みで推移しており、3年前の平成18年度よりも常に下回っている状況であり、この12月度はこの3年間で最も低い水準に近付きつつあるといえよう。これを見ても、今回の消費者物価指数は資源、エネルギー関連の相場高の影響による関連商品の値上げが原因であることが明らかであり、エネルギー関連の価格下落、資源関連による生鮮以外の食品の値上げが終息し、むしろ下落傾向になり、全体の物価を押し下げはじめたという状況である。ただ、その傾向は、明らかに、この数ケ月の動きであり、逆にいえば、今度は急激な逆流が起こりはじめたといえ、デフレへの懸念がではじめたといえよう。
ここで、この12月度の主要な項目の消費者物価指数、前年同月比を見てみたい。まず、急激な変化があったのはエネルギーであり、これまで大幅な上昇を続けてきたが、ここ数ケ月では、はじめて-6.8%と下落した。特にガソリン-24.8%、灯油-18.6%が大きく下がったのが大きかったといえよう。ただ、プロパンガスは7.6%、電気代は4.6%、都市ガス代は7.1%と下がっておらず、これらが今後どのように推移するかにより、さらに、エネルギー関連は下がる可能性があるといえよう。
また、これまでも消費者物価指数が大きく下がっていた家庭用耐久財は先月よりもさらに下がり、-3.2%となった。特に、ノートパソコン-45.3%、ディスクトップパソコンも-27.3%と大幅な下落である。さらに、カメラ-27.5%、テレビ-24.6%と家電関係はのきなみ下がっているのが現状といえよう。
これに対し、生鮮食品を除く食料品は依然として、高値水準を維持しており、全体が4.0%という状況である。この中でもチーズ35.1%、マーガリン29.0%、うなぎかば焼き23.9%、スパゲティ23.0%、チョコレート22.8%、ひじき22.0%、ちくわ21.9%、小麦粉21.6%、ビスケット21.2%、そして、即席めん20.3%と、これらが20%以上、この12月度も消費者物価が高値水準を維持している商品群である。ちなみに、これら食品を中分類で見た場合の全体への寄与度であるが、穀類と菓子類が0.16と最もこの12月度、物価を上昇させている分類である。ついで、調理食品0.13、乳卵類0.06、油脂・調味料0.05、肉類0.05、酒類0.03となる。
では、生鮮関連の消費者物価指数はどうかを見てみたい。3.0%以上上昇した商品を見てみると、生鮮魚介では、さば6.4%、たこ6.3%、かき(貝)6.3%、あさり4.4%、さんま3.7%、かつお3.5%、いわし3.3%であり、生鮮肉では、鶏肉9.4%、牛肉B4.3%、豚肉B3.4%である。さらに、生鮮野菜では、にんじん19.6%、はくさい10.2%、ごぼう7.6%、ながいも6.4%、かぼちゃ5.8%、えだまめ5.4%、しめじ4.7%、ねぎ4.5%、だいこん4.2%、さといも3.6%、生しいたけ3.2%であり、生鮮果物ではバナナ4.2%のみである。生鮮は以上の商品が3.0%以上、物価が上昇した商品であり、限られた商品であり、全体としては、大きな上昇はみられない状況である。
ちなみに、食品以外で、この12月度の消費者物価指数が前年比で5%以上、上昇した項目は、自動車バッテリー27.6%、指輪12.0%、外国パック旅行10.5%、運動靴(子供用)9.2 %、ポリ袋8.8%、出産入院料(国立)8.8%、移動電話機8.0%、航空運賃7.0%、自動車タイヤ6.9%、OA用紙6.4%、トイレットペーパー6.2%、ヘアリンス6.2%、殺虫剤5.9%、女子学校制服5.9%、男子学校制服5.2%、タクシー代5.2%などである。
このように、ここへ来て、消費者物価指数が急激に下がりはじめており、消費環境は明らかに、しかも急激に変わりつつあり、冷え込み始めたという表現がぴったりのように思える状況である。つい最近までは、値上げ問題が食品スーパーマーケットでは主要なテーマであったが、ちょうど、9.15のリーマンブラザースショック後の10月頃がまさに転機となっており、この11月、そして、今回の12月と物価が急激に下がりはじめているのが確認できる。おそらく、1月はさらに、下降している可能性が高く、さらに、時間とともに下降することが予想され、消費は明らかに転機をむかえ、デフレ基調になると判断してよさそうである。来月、1月度になるが、どのような消費者物価指数になるか注意深く見守ってゆきたい。
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