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February 15, 2009

インテージ、スマーツジャパン業務提携、POS、ID-POSは?

   2/5、インテージとスマーツジャパンの業務提携が公表された。提携内容は次の3点である。1. メーカー営業部門に向け、小売業とその顧客の情報共有と活用の促進のためにソリューション商品群を構築、2. 小売業の営業・販促部門、出店開発部門に向け、自社データ・顧客情報の活用促進のためにソリューション商品群を構築、3. 各種データ活用分析の場面でのユーザーに対するコンサルティング活動である。1がメーカー向け支援、2が小売業向け支援、3が製販共同業務向け支援となる内容であり、これまで両社が競合していた分野が一転、協業分野となり、両社の強みを活かした新たな商品サービス開発につながる業務提携である。

   食品スーパーマーケット業界にとって、今回の両社の提携において特に重要な内容は2の小売業向けの支援内容と、3の製販共同業務支援、いわゆる最近はやりのMD研究会への支援体制づくりであるといえよう。当然、POSデータの分析がメインになり、ここ最近進歩が著しいID-POS分析も今回の提携内容の対象となっている。この分野では定評のあるCCL(カスタマーコミュニケーションズ)、プラネット、インテック連合と激しい競争が繰り広げられることも予想される。また、3の製販共同業務支援では、先行しているコープさっぽろをはじめ、ニチリウグループとの関係、最近急激にシェアを伸ばしているKSP-SP社などがあるが、今後、どのようなMD研究会支援用のサービスが開発されるかが気になるところでもある。

   少し、詳しく、2と3の提携内容を見ると、まず、2では大きく3つに業務提携内容が分かれている。Merchandising eye (自社POSデータの活用サービス)、Promotion eye(ID-POSデータ・購買者情報の活用サービス)、そして、Store-planning eye(商圏データ・消費者/購買者情報の活用サービス)である。いずれも、eyeがキーワードとなっており、Merchandising eyeでは、スマーツジャパンのSEIL MD-proにインテージの市場リサーチの視点を付加し機能を拡充し、小売業のPOS分析支援を強化するという。いわゆる、POS分析の購買者視点に消費者視点が付加されたイメージのPOS分析ツールといえよう。

   次のPromotion eyeでは、ID-POS分析がメインになり、スマーツジャパンのSEIL CRMにインテージの市場リサーチの視点を付加し、機能を拡充した販促活動支援のID-POS分析の活用であるという。ID-POS分析はマーチャンダイジングにも十分活用可能であるが、この内容を見る限り、販促に軸足を置いた仕組みの開発といえよう。ID-POS分析はまだまだ研究開発の余地が十分にあるといえ、今後、小売業にとっては、通常のPOS分析を補完してゆくことになり、将来的にはID-POSがメインになると思われるので、今回の業務提携が業界のためにも 販促だけに終わらず、マーチャンダイジングの支援にもつながってゆくことを期待したいところである。そして、Store-planning eyeであるが、商圏情報を活かし、出店開発や既存店の活性化につなげてゆこうというものである。これは主に店舗開発等に活かす内容といえよう。

   そして、3の製販共同業務支援であるが、ポイントはインテージとスマーツジャパンが共同で、「製販コラボレーションプラットフォーム」を構築するとのことである。これは、「小売業データ、小売業顧客情報、商品マスター、市場データなど協業活動に必要な各種情報を集約・一元管理し、ソリューション商品群のベースインフラとします。」とのことである。これまでの、MD研究会がPOSデータの開示に重点が置かれていた状況から、製販協業に必要な情報を一元的に集約、管理し、本格的なSCMに活用できるようにしようとする試みであるといえよう。特に、小売業のPOSデータ、小売業顧客情報のID-POSデータも一元管理するとのことであり、これが出来上がれば、小売業にとっても、メーカーにとっても有用なプラットフォームとなろう。

   ちなみに、イネテージがこの業務提携の前日、2/4に公表した2009年3月期の第3四半期の決算内容であるが、売上高241.84 億円(104%)、営業利益21.01億円(95.1%:売上対比8.7%)、経常利益20.87億円(94.2%:売上対比8.6%)、当期純利益10.99 億円(93.5%:売上対比4.5%)と増収減益とやや厳しい決算であった。インテージは業務分野を市場調査・コンサルティング事業(約70%の売上構成比)、システムソリューション事業(約15%強の売上構成比)、医薬品開発支援事業(約15%弱の売上構成比)の大きく3つに分けており、主力のパネル調査分野は好調であったが、その他が今期は厳しい状況であったという。今回のスマーツジャパンとの業務提携により、来期、どこまでインテージの収益の改善につなげることができるかが、今回の目的のひとつといえよう。

   このように、POS、ID-POS分野で業界のリーディング企業、インテージがスマーツジャパンとの業務提携に踏み切り、そのコア業務の強化に入るという。折しも、昨年はID-POS分析で定評のあるCCLがプラネットと資本業務提携をし、そのプラネットがインテックの傘下に入り、事実上インテック連合ができあがったばかりである。これにより、この分野も本格的な合従連衡の時代に入ったといえ、今後、各社から、様々な新サービスが開発され、POS、ID-POSの研究開発も一層進むことが予想されよう。今回の業務提携を含め、今期、各社から、どのようなPOS、ID-POSを活用した新たなサービスが登場するか注目したいところである。

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