オオゼキ、新規出店を再開、新店戦略、体制整う!
すでに、新聞でも報じられているが、オオゼキが1/23、3年ぶりとなる新規店舗開設を公表した。現在オオゼキの店舗数は29店舗であるが、この3年間、財務内容は業界屈指の高収益であるにもかかわらず、新店が1店舗もない異常な状態が続いていた。食品スーパーマーケットに限らず、一般的にチェーンストアの成長戦略は新店によるところが大きく、既存店のみでは成長に限界がある。オオゼキも3年前の新店を出店していた時期には110%以上の成長を果たしていたが、この数年は既存店のみであったため、数%の成長にとどまっていた。
さて、その新店の概要であるが、時期は2009年4月初旬の予定であり、場所はオオゼキ初出店となる千葉県市川市である。JR総武線の市川駅南口から徒歩1分の駅前立地であるとのことで、オオゼキの得意とする都市型立地といえよう。営業面積がバックヤード等を入れて、488坪とのことで、オオゼキとしてはやや大きめの店舗となる。オオゼキの現在の平均店舗の坪数は200坪弱であり、最も大きな店舗でも340坪の高井戸店であるので、今回の新店はこの高井戸店を超える可能性が高く、オオゼキ最大の店舗面積となると予想される。場合によっては、サブリース方式もとるとのことで、オオゼキの店舗は200坪前後となり、残りをテナントとし、NSCタイプでの出店となる可能性も高いといえよう。
今後、オオゼキは年間2から3店舗での出店を計画しているとのことで、今回の千葉県市川市をはじめ、これまでの東京都、神奈川県のみでのドミナントだけではなく、埼玉県など積極的に新たなドミナトづくりも検討するとのことである。オオゼキの強みは何といっても業界最高の坪売上に支えられた経費比率の低さを武器にした価格競争力にあるといえる。そして、そのためには、店舗の小型化を追求し、かつ、集客力をいかに引きあげるかが課題となる。
現在、オオゼキの平均坪売上は年間1,100万円を超えており、中央林間店、池上店、旗の台店、目黒不動前店等は2,000万円を超える業界屈指の坪売上の店舗である。この高い坪売上が相対的に固定比を下げ、結果、18%前後の経費比率を実現し、価格競争に打ち勝つ原資を生み出しているといえる。今回の新店についても、駅前立地ということで、ほぼこのイメージの店舗コンセプトとなるのではないかと想定される。
ここで、この第3四半期のオオゼキの決算数値から、出店余力を見てみたい。一般的に食品スーパーマーケットは新規出店に必要な要素としては、土地、建物、敷金保証金等があり、この出店にかかわる資産をいかに自己資本で賄えるかがポイントとなる。通常、出店戦略が思うように組めない食品スーパーマーケットは新規出店が自己資本の範囲内では賄えず、借入金に依存した出店となり、その比率が増せば増すほど、財務を圧迫し、いずれ、新規出店がストップし、借入金の返済にキャッシュフローの大半が回り、成長がとまるということになる。
これがオオゼキの場合は、まず、現在、借入金は0の無借金経営であり、自己資本比率は78.7%という食品スーパーマーケットとしては極限に近い数字となっている。また、出店にかかわる資産である土地、建物、敷金保証金の合計は、この第3四半期で158.07億円であり、これは総資産328.57億円の48.1%となる。したがって、ここから出店余力を計算すると、78.7%-48.1%で30.6%となり、これは食品スーパーマーケット業界の中でも超トップクラスである。
ただ、ひとつ気になるのは、1店舗当たりでの出店にかかわる資産が29店舗で割ると5.45億円とやや高めとなることである。これは、通常の食品スーパーマーケットが4億円前後であるので、オオゼキの店舗面積約200坪とすると、かなり高めであるといえよう。立地が不動産価格の高い都市部であるために、このような数値となると思われるが、この点が新規出店にとってはやや気になるところである。ちなみに、オオゼキのこの第3四半期の当期純利益は、23.52億円であり、営業キャッシュフローは27.39億円である。また、昨年決算時は営業キャッシュフローが33.72億円であった。したがって、1店舗5.45億円の出店にかかわる資産で単純に割ると、年間5から6店舗は借入なしで限界可能なキャッシュフローであり、今回、公表している計画が年2から3店舗であるので、営業キャッシュフローで十分可能な範囲である。立地さえ確保できれば、ほぼ安定的に2から3店舗は確実に可能な強固な財務状況であるといえよう。
このように、万を持してといって良いと思うが、オオゼキが来期から3年ぶりの新店を出店し、成長戦略路線に切り替えることが確実になった。財務状況は全く問題がないといえ、むしろ、この3年間、いつでも新規出店が可能であった中、あえて内部体制を固めてきたともいえる。世の中の経済状況は、節約志向がより深刻となり、けっして、楽観できる状況ではないが、オオゼキにとっては、むしろ、これをチャンスとみた積極的な経営戦略の転換といえよう。まずは、3年ぶりとなる30店舗目の新店がどのような店舗となるか期待したいところである。
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