発注を考えてみる、この複雑怪奇な世界!
小売業において発注とは最も重要な業務であるにもかかわらず、意外に経験と勘で、しかも、入社の浅い社員、あるいは、経験の浅いパートさんに任せているケースが多い。最近では自動発注も入りはじめ、経験と勘の部分をコンピュータにまかせ、現場では若干の修正をするにとどめているケースもあり、発注が単純作業のひとつとなりつつあるのが実情であろう。
でも、よく考えてみると、本来、発注とは、その店舗の顧客の需要を予測し、欠品と鮮度という相反する状況の双方を最適な状態にし、結果として、売上と利益を確保する大本の数字の確定であり、最高意思決定が必要な重要な業務であるはずである。特に、店舗の売上、利益に大きな影響を与える重点商品、顧客の来店頻度に影響を与える重要な商品は発注数量を真剣に考え、様々な角度から検討し、時間をかけて、発注数量を確定すべきであろう。
発注とは、最終的には何らかのロジックで数量の確定をしなければならないが、実は、小売業の中では、その数量の確定が一筋縄ではいかない要素がある。よくいわれる、天気、気温、湿度、地域行事などの外部要因の変化に加え、特売(価格)、棚割、レイアウト、POPなどの内部要因が複雑に絡み合い、発注数量が単純に決定できないことに加え、小売業における数量は大きく、2つの角度から分解できるからである。
ひとつは、レシートという角度、そして、もうもうひとつは最近明らかになりつつあるIDという角度からである。数量はレシート分解、ID分解ができ、その分解した複雑な要素ごとの予測なくして、正確な発注数量の確定は不可能だからである。そこで、ここでは、この2つの角度から、数量を分解し、発注数量を確定する上において、どのような点を考慮しなければならないかを考えてみたい。
まず、レシート分解であるが、これは、単純分解は、発注数量=客数×PI値である。PI値とは販売数量÷客数のことであり、顧客一人当たり、正確にはレシート1枚当たりの販売数量である。ここから、発注数量の確定にはまず、客数の予測、そして、次に、PI値の予測がポイントとなる。そして、どちらも、過去のデータを参考にし、そこから平均値、標準偏差などを算出し、発注の精度を高めてゆくことになる。この応用としては、PI値をさらに分解し、PI値=客数PI値×購入レシートのみのPI値(PPI)に分解することも考えられる。通常のPI値の客数、すなわち、レシートはその商品の購入者も未購入者もすべて入ったレシートであるので、客数PI値で購入者のみのレシートの比率を算出し、購入者のみのPI値と掛け合わせる方法である。これにより、商品購入者の割合と購入者のみのPI値の予想が必要となるが、より正確な数量を確定するには、精度の高い予測が可能となろう。
これに対して、IDを活用しての発注数量の確定であるが、発注数量=ID×IDPI値である。ただし、ここで、IDとは店舗全体のIDとその商品の購入IDとがある。これはレシートの時と同様であり、まずは店舗全体のIDが基本となる。その場合は、店舗の来店IDを予測し、次にIDPI値を予測することになる。そして、IDPI値=ID客数PI値×PI値であるので、さらに、IDPI値を確定するために、ID客数PI値(レシート枚数÷ID)と販売予測数量÷レシート枚数に分解し、それぞれの数字を予測することになる。また、レシートの時と同様に、PI値をさらに、客数PI値×購入客数のPI値に分けて考えることも必要であろう。
また、IDそのものも購入IDのみでとらえ、発注数量=ID×ID客数PI値ID×IDPI値とし、購入IDを予測する方法もある。ここで、ID客数PI値IDは購入ID÷全IDとなる。したがって、ここから、発注数量=ID×ID客数PI値×IDPI値=ID×ID客数PI値ID×ID客数PI値×PI値と分解することもでき、さらに、発注数量=ID×ID客数PI値ID×ID客数PI値×客数PI値×購入レシートのみのPI値と分解することが可能となる。
これは何を意味しているかというと、発注数量の確定には、まず、ID数の予測が必要であり、次に、その発注商品の購入ID数の割合がどのくらいになるか、そして、その購入IDはどのくらいの頻度で何か商品を購入し、その内、その商品を購入する割合はどのくらいで、しかも、購入する場合は1回当たり何個かということを意味しており、それぞれのプロセスで様々な外的、内的要因を考慮し、発注数量の数字を確定してゆくことになる。
このように発注数量を確定するということは、レシートのみから考えるとかなりシンプルな思考で解けるが、IDがからむと複雑な要素がからみあい、発注数量の確定には困難がともない、不確定要素が重なる。ただ、発注数量を確定するということは、それほど複雑怪奇な要素が絡んでいるのは事実であり、どのような発注数量の数字も必ず、上記のように分解することが可能であり、発注数量に差が生じる場合はどこかのプロセスで差が生じているといえる。また、同じ発注数量に確定しても、どこかのプロセスではまちまちでも最終的に数字が一致する場合もある。発注数量の確定はその意味で、最終的には数字はひとつに確定されるが、そのプロセスは複雑怪奇であり、マーチャンダイジングそのものともいえる。少なくとも店舗にとって重点商品、顧客にとって重要な商品は様々な要素をじっくり考えて発注数量を確定したいところである。
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