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February 23, 2009

ポイント引当金の実態を見る!

   消費環境が厳しくなる中、ここへきて、顧客への販促策の有力な手段としてポイントカードに注目が集まりつつある。特に食品スーパーマーケット業界ではポイントカードを活用してのマーチャンダイジングの改善につなげるべく、従来のPOS分析からID-POS分析へと分析手法も進化しはじめており、ポイントカードはますます広がりを見せはじめている。特に、一昨年の2007年度にはセブンイレブンがプリペイド型電子マネーのポイントカード、nanacoを導入、追随する形でイオンもWAONを導入するなど、一気にポイントカードの普及が小売業界に広まりつつあるといえる。そこで、このポイントカードによるポイント残高が現在どのくらいの市場規模となっており、その経営へ与えるインパクト、特に、負債面ではどのくらいになっているかを最新の決算データをもとに見てみたい。

   以前、野村総合研究所が推計した2006年時点でのポイント総額は約6,600億円以上であるという調査結果を公表している。また、帝国データバンクが最近公表した上場企業196社の2008年度のポイント引当金総額は約3,531億円であるという。単純に1社当たりを計算すると18.01億円ということになる。この内、ベスト3はNTTドコモ458億円、クレディセゾン454億円、ソフトバンク438億円となり、通信、クレジット業界のポイント引当金が多いのが特徴である。したがって、すでに、現時点では非上場企業、個人事業等も含めてゆけば、軽く1兆円は超えているのではないかと推計される。

   ちなみに、意外なことであるが、ポイントは会計処理方法がまちまちであり、先にあげた引当金で処理をする場合もあれば、そのまま、販促費として、費用計上する場合もあり、企業により会計への計上方法が異なっているのが実態である。ちょうど、2/20の日経新聞に家電量販店のポイント引当金の記事が掲載されているが、これを見ると、ここへきて、ヤマダ電機が急激にポイント引当金を拡大しているとのことで、この第3四半期決算では昨年と比べ2倍となり、金額で153億円に跳ね上がったという。家電業界ではビックカメラの119億円と昨年はトップであったが、この時点で抜いており、おそらく、2009年度の家電業界ではNo.1になるのではないかといえる急激な伸びである。


   これに対して、エディオンは横ばいであるというが、その理由は発行したポイントの9割は使われており、引当金への積み増しが少ないということである。また、ベスト電器は昨年引当金の会計処理を変更し、これまでのポイントの使用見込金額の計上から原価率を掛けた額を引き当てることにしたという。これにより、従来より、引当金額が下がることになるという。家電各社でも計上方法がこれだけ異なるのが実態であるとのことである。ちなみに、この日経の記事によれば、国際会計基準では、ポイントの会計処理は引当金を計上せずに、売上からポイント相当分を差し引き、繰り延べ収益として負債に計上し、ポイントが使われた時に売上として認識するという。要はポイント分だけ売上が下がることになり、日本ではこのような処理は少ないという。

   さて、では、この直近の決算をもとに、食品スーパーマーケット業界の実態を見てみたい。食品スーパーマーケットNo.1の企業は平和堂である。平和堂の2009年2月期の第3四半期の決算数値を見ると、60.31億円であり、この金額は昨年本決算時が59.06億円であるので、ほぼ昨年と同様な金額である。ちなみに、この金額は上場企業の中でもベスト10前後であり、高い数字である。小売業No.1のセブン&アイホールディンスは販売促進引当金がおそらくポイントカード引当金であると思われるが、中間決算段階で195.09億円であり、イオンは同じく中間決算ではポイント制度引当金が81.19億円である。

   食品スーパーマーケットNo.2はライフコーポレーションであり、この第3四半期であるが、販売促進引当金として13.59億円計上している。No.3はイズミヤであり、中間段階であるが、ポイントカード引当金として10.71億円である。No.4はイズミであり、中間決算段階であるが、ポイントカード割引引当金として8.51億円を計上している。そして、No.5であるが、マミーマートであり、直近の2009年9月期の第1四半期となるが、ポイント引当金として5.52億円を計上している。上場食品スーパーマーケットのポイント引当金上位は以上のような状況である。これを売上対比でみると、0.3%前後であり、一気にポイント還元が起こると利益に影響が出かねないが、徐々に還元されてゆく限りは大きな影響ではないといえよう。ただ、帝国データバンクが算出している流動負債で割った引当率で見ると、平和堂は11.80%とベスト3に入る比率となり、やや財務的にも厳しい数字といえよう。

   このように、ここ最近ポイントカードの普及が進み、ポイント還元が小売業、特に食品スーパーマーケットにとっては既存顧客の来店頻度を引き上げる強力な販促策となりつつあり、競合の厳しい店舗はポイント5倍、10倍などが頻繁に発行されることもあり、今後は販促費という利益面からだけではなく、引当金という負債の増加につながり、財務を圧迫することにもなりかねず、バランスをとりながら、ポイントを効果的に活用してゆくことが求められよう。今期の決算では、この面からも各食品スーパーマーケットの財務状況を見てゆく必要がありそうである。

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