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March 16, 2009

百貨店、深刻、11ケ月連続前年割れ、2009年1月度!

   この1月度、百貨店の売上不振の深刻度が3/13の日経MJの調査で明らかになった。この1月度の売上概況はすでに2/19に日本百貨店協会から公表されているが、これに日経MJが主要都市の個々の百貨店の1月度の売上を独自に調査集計したものを3/13に公表した。それを見ると、全体では-9.1%となり、10%を割りこんだ主要都市は名古屋-14.1%、福岡-12.0%、仙台-11.4%、広島-10.4%、神戸-10.2%となり、これについで、東京-9.6%、横浜-8.6%と続く。逆に、比較的落ち込みが少なかった主要都市は、札幌-5.8%、京都-6.4%、大阪-6.8%であるが、いずれも5%以上ダウンしており、深刻な状況であるといえよう。

   この深刻な数字の落ち込みに対して、日本百貨店協会は、その要因を、「消費者の生活防衛意識が一層高まる傾向を受けて、宝飾品等の高額商材や衣料品等のファッション商材を中心に引き続き苦戦を強いられ、初売りも全般的に伸び悩んだ。」と分析しており、高額商品と衣料品の苦戦が大きかったと、コメントしている。実際、商品別に数字を見た場合、10%以上落ち込んだ分類は、雑貨-13.2%、身の回り品-12.5%、婦人服・洋品-12.8%、紳士服・洋品-10.4%、家庭用品-10.2%と深刻な状況であることがわかる。ちなみに、宝飾品は雑貨の中に含まれており、美術・宝飾・貴金属として集計され、その数字を見ると、-19.1%とすべての商品分類の中で最も落ち込みが大きかった分類である。

   逆に、善戦した商品群は食料品+0.7%、金額は少ないがサービス+0.5%のみである。これをさらに細分化して見ると、菓子+1.6%、生鮮食品+0.8%、惣菜-1.6%という状況であり、菓子がすべての細分類の中では最も健闘している商品群である。また、-13.2%と大きくマイナスとなった雑貨の中でも化粧品は-2.9%と落ち込みが少なく、百貨店で購買する消費者は食品、サービス、化粧品に関しては、比較的しっかり購入をしたといえよう。

   では、この11ケ月連続昨対割れがどのような数字の推移であったかを見てみると、3月(-1.2%)、4月(-3.4%)、5月(-2.7%)、6月(-7.6%)、7月(-2.5%)、8月(-3.4%)、9月(-4.7%)、10月(-6.9%)、11月(-6.4%)、12月(-9.4%)、そして、 1月(-9.1%)という状況である。数字の落ち込み幅が大きくなりはじめたのが9月から10月にかけてであり、やはり、9/15のリーマンブラザースショック後に消費者心理が急激に冷え込みはじめたといえそうである。

   また、同様に商品分類でこの10月度から急激に数字が深刻化しているものは、1月度でも大きな落ち込みとなった美術・宝飾・貴金属であり、9月(-6.4%)、10月(-13.5%)、11月(-15.9%)、12月(-18.5%)、1月(-19.1%)と深刻度が加速化している。さらに、家具、家電、商品券、そして、婦人服、紳士服もほぼ同様な動きを示しており、いかに、この数ケ月、百貨店が深刻な売上ダウンに陥っているかがわかる。特に、百貨店の場合は衣料品の売上構成比が44.0%、雑貨が11.9%あり、この2つで売上の50%を超える。その中でも婦人服・洋品は29.2%と突出しており、この数字が-12.8%となり、相乗積でみると、3.73%となり、全体の-9.1%の約40%分に相当する深刻度である。

   これは見方を変えれば、婦人服を経営の根幹に据えて小売業態を作り上げてきた百貨店のビジネスモデルそのものが崩壊しているともいえ、今後、百貨店は婦人服の復活を待つか、新たなビジネスモデルに転換するかの選択を突きつけられているといえ、このまま、消費環境が深刻化すれば、今期、各社経営戦略の再構築が避けて通れない課題となったといえよう。ただ、逆に考えれば、百貨店はすべての小売業の中で、婦人服の購入層の支持を最も勝ち得た業態であるともいえ、再度、その購入層のID分析を行い、婦人服を含めて、どのようなニーズがあるのかを根本的に見直す機会でもあるといえ、新たな需要を見つけ出し、育成してゆくチャンスでもあるといえよう。

   さて、では、全体の数字がこの1月度は-9.1%となったが、個々の店舗で見て、最も深刻な店舗を見てみると、さくらの仙台店-22.2%、四条河原町阪急-17.%、松坂屋静岡店-17.1%、そごう心斎橋本店-16.2%、神戸阪急-15.8%、そごう柏店-15.1%、小田急新宿店-15.0%、松坂屋本店-14.8%、三越福岡店-14.6%、天満屋(3店)-14.2%、三越新宿店-14.1%、博多大丸(2店)-13.8%、近鉄(7店:大阪)-13.7%、有楽町西武-13.4%、高島屋東京店-13.2%、松坂屋高槻店-13.1%、高島屋(4店:大阪)13.0%という状況であり、以上が13.0%以上この1月度昨対が厳しかった百貨店である。

   このように、この1月度で百貨店は11ケ月連続昨対割れとなる深刻な事態となり、特に、9/15のリーマンブラザーズショック以降、急激に売上のダウンが起こっている。特に、百貨店の根幹ともいえる婦人服、そして、百貨店ならではの高額商品である美術・宝飾・貴金属等が深刻な数字である。消費環境は現在も好転しているとはいえず、むしろ、景気全体が深刻な状況に陥りつつあり、当面、百貨店の数字の回復は厳しいものと予想される。これを受けて百貨店業界の今期決算は厳しい状況が見込まれるが、その結果を踏まえて、来期の経営戦略を各百貨店がどのように打ち出すかに注目である。

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