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March 19, 2009

食品スーパーマーケット、2009年本決算、公表はじまる!

   いよいよ、2009年度の食品スーパーマーケット業界の本決算の公表が始まった。食品スーパーマーケット上場企業の決算月は1月度が3社、2月度が38社、3月度が9社となり、この3ケ月で全体が約60社であるので80%以上となる。これ以外では4月、5月、9月、12月度がそれぞれ数社となる。その1月度の決算企業の1社、マックスバリュ中部が3/17、2009年1月度の本決算を公表した。今回の決算は昨年が変則の10ケ月決算であったため、昨年対比はないので、率だけの比較となる。その結果であるが、営業収益1,151.91億円、営業利益20.61億円(営業収益比1.78%)、経常利益21.65億円(営業収益比1.87%)、当期純利益6.20億円(営業収益比0.53%)となった。

   売上は一昨年の1,002.05億円と比べると114.9%と順調に伸ばしているが、昨年の10ケ月決算時の2008年1月度の店舗数が89店舗であり、今期の店舗数は、新店がマックスバリュ郷津店(4月、三重県松阪市)、マックスバリュ多気店(6月、三重県多気郡多気町)、マックスバリュ垂井店(10月、岐阜県不破郡垂井町町)、マックスバリュ鈴鹿住吉店(11月、三重県鈴鹿市)、マックスバリュ金剛坂店(11月、三重県多気郡明和町)の5店舗に対し、閉店が7店舗あり、差し引き2店舗減の87店舗となっており、やや厳しい状況であるといえよう。

   また、営業利益に関しても、同じく一昨年が20.27億円(営業収益比2.0%)と比べ、ほとんど増加しておらず、率に関してはむしろ下がっており、厳しい状況であるといえよう。マックスバリュ西日本の経営目標は2012年度までに中部圏で確固たるスーパーマーケットの地位を築くことを目指しており、その目標数値のひとつが営業利益率4.0%以上であるので、現段階では利益率が目標数字の半分以下となっており、今後、いかに、売上をあげてゆくかはもちろん、営業利益をも引きあげてゆけるかが、大きな経営課題となった今期決算であったといえる。

   そこで、今期のキャッシュフローの流れを見てみると、営業キャッシュフローは46.03億円であり、これは過去5年間では最高の数字となった。特に、税金等調整前当期純利益が14.75億円、さらに減価償却費が18.72億円と多額となったためである。これを受けて、投資キャッシュフローも-35.81億円と過去5年間で最高の投資となり、特に、有形固定資産の取得に35.91億円と積極的な新店開発への投資がなされた。結果、フリーキャッシュフローは10.22億円となる順流であった。そして、財務キャッシュフローであるが、-7.58億円となり、主に長短借入金の返済と配当、そして、自社株買いであった。

   一方、財務の方であるが、気になるのは自己資本比率であるが、今期は31.8%となり、この数字は過去5年間で最も低い数値であり、積極的な投資がむしろ、自己資本比率を引き下げた構図となっており、財務バランスが厳しい状況である。その要因をまず、負債面から見てみると、負債の中の主要項目である長短借入金の状況であるが、今期は67.54億円となり、総資産427.38億円の15.8%である。一昨年の78.14億円、昨年の72.34億円と比べても減少しており、長短借入金等が自己資本比率を大きく下げる要因ではない。したがって、これ以外で自己資本比率を引き下げている負債の項目を見てみると、預り保証金36.95億円(総資産の8.6%)、未払い金及び未払費用27.23億円(総資産の6.3%)、設備支払手形21.81億円(総資産の5.1%)等があり、これらを合わせると20.1%となる。この大部分が新店開発関連と見られるので、新規出店の設備投資が借入金以外の負債を増加させ、自己資本比率を引き下げていると思われる。

   そして、資産の方であるが、その新規出店がらみの出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計であるが、289.85億円となり、これは総資産の67.8%となり、到底、自己資本比率では相殺できず、出店余力、自己資本比率は、31.8%-67.8%=-36.0%となった。したがって、新規出店関連の資産の半分以上を負債に負う出店構造となっており、さらにその内の半分を長短借入金、半分を保証金、未払い費用、手形で賄っている構図であり、新規出店が財務的には厳しい構造をもたらしたといえよう。ちなみに、1店舗当たりの出店にかかわる資産は4.9億円である。

   こう見ると、マックスバリュ中部の2009年1月期の決算は昨年が10ケ月の変則決算であったため、昨対比較が十分にできず、今期決算の評価が難しいところであるが、店舗数が昨年よりも減少したことに加え、一昨年の営業利益高とほぼ同じ数字であり、率は下がっていることを見ると、やや厳しい決算結果であったといえよう。また、財務面を見てみると、新規出店への投資が過去最高となり、キャッシュフロー上は営業キャッシュフローの範囲内で回っているが、結果、自己資本比率はこの5年間で最も低い数値となり、負債に大きく依存する新規出店構造となってしまった。結果、財務バランスが負債依存型になり、不安定な財務構造となり、今後の新規出店余力が厳しい状況となりつつある。

   したがって、これを踏まえて、今期、2010年1月度はまず、中期経営目標に掲げた営業利益率4.0%へいかに近づけ、営業キャッシュフローを豊かにし、長短借入金等を含め他の負債の削減を行い、自己資本比率を引き上げ、出店余力をいかに引き上げるかが急務といえよう。マックスバリュ中部は一昨年が64店舗であり、その後、M&A、新規出店を行い現在87店舗へと急激に拡大したが、その急成長が財務バランスを崩したといえ、再度、財務バランスの立てなおしが今期の経営の最優先課題といえよう。マックスバリュ中部が今後、財務戦略をどのように打ち出すかに注目したい。

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