神戸物産、2009年10月期第1四半期、業績回復!
業務スーパーの神戸物産が3/6、2009年10月期の第1四半期決算を公表した。結果は、売上高310.52億円(127.8%)、営業利益2.06億円(257.3%:売上対比0.66%)、経常利益-0.31億円、当期純利益0.21億円(昨年は赤字:売上対比0.06%)となり、経常利益は営業外費用で為替差損が響き、赤字になったが、売上、営業利益は大幅に改善しており、最終利益も昨年の赤字から黒字に転換した。特に、売上は昨年同時期の2008年10月第1四半期が101.1%であったので、127.8%は大きく改善しており、昨年来厳しかった業務スーパーの売上が回復基調に入ったといえよう。
経常利益が赤字に転落した要因となった為替差損は、今期2.52億円と営業利益の2.06億円を上回る金額であるが、これは神戸物産の海外取引がドル決済であるため、ここ最近の異常な円高が大きく影響したためである。神戸物産にとっては円高はマイナス要因であり、営業段階では業績が上向き始めているにもかかわらず、経常段階で営業外費用として計上せざるをえないため、当面、厳しい状況が続くと思われるが、今後、為替相場が落ち着き、この好調な業績が継続できれば、利益は急回復するものといえ、次の、第2四半期、そして、最終決算までにどこまで改善するかが気になるところである。
その通期予想であるが、現時点で神戸物産は、通期予想について、売上高1,310.00億円(122.3%)、営業利益18.75億円(184.0%)、経常利益18.75億円(235.3%)、当期純利益11.11億円(250.8%)と大幅な増収増益予想としており、経常利益も営業利益とほぼ同じ18億円台を予想しており、為替差損の影響はこの第1四半期決算ほど発生しない予想としているようである。また、今期の好調な売上も通期を通じて継続できると予想しており、現時点の予想としては、業績が急回復する好決算の予想といえよう。
ただ、少し気になるのは、今期のキャッシュフローの流れである。当期純利益が厳しい状況であったため、営業キャッシュフローも当然厳しい状況となるが、今期の営業キャッシュフローは残念ながら、-15.15億円となるマイナスのキャッシュフローとなった。したがって、投資キャッシュフローは当然、借入金で賄うか、現金で賄うかということになるが、今期の投資キャッシュフローは、-16.17億円となった。この主な内訳は有形固定資産の取得による支出16.02億円がほとんどであり、これは、エジプトの土地取得によるところが大きい。神戸物産は昨年の中国冷凍餃子問題から、中国以外への生産拠点の分散をはかっており、その有力な将来の海外拠点のひとつがエジプトであり、今回は、そのエジプトへの投資が主な内容である。
結果、フリーキャッシュフローは、-31.32億円となり、大きくマイナスとなった。したがって、財務キャッシュフローで、賄わざるをえない状況であり、今期の財務キャッシュフローは17.15億円のプラスとなった。この主な内容は、短期借入による収入であり、その金額は20.00億円である。神戸物産は前期決算時の長短借入金等の合計がわずか0.68億円とほぼ無借金経営状況であったが、今回の短期借入金を実施したことにより、長短借入金の総額は20.66億円となり、総資産264.01億円の7.8%となった。その結果、自己資本比率も46.6%(昨年48.3%)と昨年よりもやや下がった。そして、トータルのキャッシュフローであるが、-16.96億円となり、今期の現金及び現金同等物は昨年の91.40億円から74.44億円へと下がった。
こう見ると、売上の方は順調に回復基調にあり、それにともない営業利益もまだ売上対比では0.66%と低い段階ではあるが、昨年の厳しい状況からは回復し、堅調であるといえよう。ただ、さすがに、円高による為替差損に関しては、それを補うだけの業績の向上までには至っておらず、経常利益、そして、最終の当期純利益は依然として厳しい状況が続いている。
さて、これを受けて、神戸物産の株価の推移であるが、この第1四半期決算のあった3/6前後の株価を見てみると、3/4(1,515円)、3/5(1,535円)、3/6(1,495円)、3/9(1,550円)と、特に3/6の次の営業日3/9が跳ね上がっている。3/9の日経平均は-87.07円と下がり、7,086.03円となった中での上昇であり、食品スーパーマーケット上場50社の中でもトップクラスの伸び率である。ただ、神戸物産の株価は1/5に自社株買に入ったことが好感され、2月はじめには一時は2,000円近くまで上昇していた。その後、株価は下がりはじめ、2/19に自社株買いが終了すると株価は1,500円前後で推移していたので、この3/9の1,550円もまだ上昇しはじめたかどうかは、難しいところであり、もうしばらく推移を見守る必要があろう。
このように、神戸物産のこの第1四半期の決算を見る限り、順調に売上、営業利益は改善傾向にあるといえ、昨年のちょうどこの時期の中国冷凍餃子事件のよる経営危機は克服し、回復基調に入ったといえる数字であるといえよう。ただ、如何せん、為替相場の影響が大きく、経常利益が厳しい状況であるが、今後、中国から、現在取り組んでいるエジプト、その他海外への生産拠点の分散が進めば、経営リスクも軽減されると思われる。通期予想はその辺を見込んだ数字と思われるが、今後、神戸物産の好調な売上、営業利益を踏まえ、経常利益、そして、当期純利益が、どこで反転するかに注目である。
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