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March 09, 2009

ウォルマート、2009年2月度売上速報、既存店104.5%!

   ウォルマートが今期最初となる2009年2月度の売上速報を3/5公表した。2月期は1/31(土)から2/27(金)までの4週間の売上集計であり、2010年1月期決算の最初の売上速報となる。結果は全体の売上が102.8%と1月度の101.8%を上回り、堅調な数字となった。これに対して既存店は104.5%(燃料費を抜くと105.1%)と好調な売上となり、日本以上に節約志向が厳しい状況のアメリカの消費環境の中で、消費者から強い支持を得た結果といえよう。既存店に関しては1月度が101.5%(燃料費を抜くと102.1%)であったので明らかに、この2月度は数字が改善しており、ウォルマートの強さが際立った数字となった。

   全体の数字の中身であるが、ウォルマートは大きくウォルマート部門、海外部門、サムズクラブ部門と3つに売上集計を分けているが、この中で、売上構成比66.8%と約70%%を占めるウォルマート部門が108.1%と2桁近い伸びを示しており、この数字がウォルマート全体を大きく牽引した結果となった。

   これに対して、全体の21.5%を占める海外部門はドル高により、大きな影響を受け、89.2%となり、1月度が92.7%であるので、さらに数字が悪化しており、厳しい状況である。ウォルマートによれば、ドル高の影響を除けば、海外部門は109.9%であるとのことであり、ドル高は差し引き20.7%の売上のマイナス要因となっており、いかに、世界経済の金融不安の影響で各国がドル買いに走っているかが顕著に表れているかがわかり、当面、この影響が継続するのではないかと思われる。余談だが、今回のアメリカの金融不安の世界経済の影響を知るには、このウォルマートの海外部門の状況がひとつのバロメーターともいえ、この数字が改善した時、世界経済も改善の方向に動き出したといってもよいといえよう。今回1月度よりも、この2月度の数字がさらに悪化しているので、まだまだ、今回の金融不安による世界経済は厳しい状況にあるといえよう。

   海外部門については、これまであまり言及がなかった日本の西友について、この2月度はかなり踏み込んだコメントをウォルマートが公表している。それによれば、日本では既存店が堅調であり、EDLPの効果が表れ始めたと見ているようである。約100のカテゴリーの47%をEDLPでカバーしたといい、特にグロサリー(加工食品)が好調であるという。世界中からの商品調達、たとえばイギリスのASDAからのワインなどが好調であるという。実際、西友は昨年の年末頃から本格的なKY(カカクヤスク)キャンペーンを展開しはじめており、その成果が、この2月度くらいから顕著になってきたと思われ、ウォルマートもこれまでとはうって変わり、日本の状況についてのコメントを増やしたものと思われる。その意味で、西友に関してはウォルマート本体もその動向に注目しはじめたといえよう。

   そして、サムズクラブ部門であるが、全体の売上構成比は11.5%と3部門の中では最も小さいが、伸び率は103.1%で堅調な数字となった。ただし、既存店は燃料の影響が相場の影響もあると思われるが、-3.8%もあり、これが全体へ影響し、102.1%と伸び悩んだ。燃料を除けば、105.1%であるので、この金融不安によるアメリカの経済情勢の悪化がもろに自動車、ガソリンに現われたものといえよう。ウォルマートもコメントの中で、「stay at home」という言葉を使っているが、アメリカの消費者の節約志向が鮮明となっており、車を買わないだけでなく、車に乗らないという生活パターンが定着しつつあるようである。これは1月度の数字を見ても燃料の影響は-3.9%であるので、2月度も状況は変わってはおらず、サムズクラブにとっては厳しい状況が続いているといえよう。

   ちなみに、3/6の日経新聞に「米小売売上高、小幅減に、安売り店持ち直す」という記事が掲載され、ウォルマートを含めた主要なアメリカの小売業の2月度の売上速報の一覧が公表された。これを見ると、百貨店関係は全滅であり、サックス-26.0%、ニーマンマーカス-20.9%であり、衣料品のギャップも-12.0%、ドラックストアのウォルグリーンも-1.9%、そして、ディスカウントストアのターゲットも-4.1%という状況である。一人、ウォルマートのみ104.5%というプラスであり、アメリカではウォルマートの一人勝ちという状況であるといえよう。この104.5%はウォルマートの既存店の燃料を入れた数字であり、サムズクラブを抜いたウォルマートのみでは、105.0%とさらに高い売上の伸び率である。
 
   これを受けてウォルマートの株価の推移であるが3/4(48.49ドル)、3/5(49.75ドル)、3/6(48.91ドル)とほぼ横ばいであり、投資家は冷静にウォルマートの株価を見ているといえよう。ウォルマートの株価は今年に入り、49ドル近辺で推移をしており、あまり大きな変化がない状況が続いている。
 
   このように、ウォルマートのこの2月度の売上は既存店が104.5%と大きく伸び、全体でも海外部門の-10.8%という厳しい状況があるにもかかわらず、102.8%と堅調な数字となっており、既存店が全体を押し上げているといえよう。ウォルマートの以外のアメリカの小売業は非常に厳しい状況の中で、まさに、ウォルマートの一人勝ちの状況といえ、ウォルマートの強さが際立った2月度であったといえよう。当面、このウォルマートの好調さは続くと思われ、来月以降、どこまで数字を伸ばすかに注目である。

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