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March 22, 2009

イオンの反省、3/19、イオン、日経全面広告を掲載!

   イオンの反省、私たちイオンは、世の中の変化に対応できず、お客さまを見失っていたことを反省します。百年に一度と言われる不況の中、イオンは、お客さまが本当に求めている商品やサービスを提供できていませんでした。「◎イオンの価格は、他店にくらべて、決して安くはありませんでした。◎イオンの売場には、欲しいと思える商品が並んでいませんでした。◎イオンは、お客さまへのサービス改善を、怠っていました。」私たちは、反省します。お客さまの声に深く耳を傾け、他の優れた企業から積極的に学びます。もう一度、お客さまが求める本当の低価格、売場、サービスを取り戻すことに全力を尽くしていきます。

   という、イオンの反省というイオンの全面広告が日経に掲載された。また、この前日、3/18には、イオンの反省と題し、NBと同等の品質をディスカウンター価格で販売する「ベストプライス by トップバリュ」を本格展開、毎日の生活に必要な品々5,100品目を 値下げ、が公表された。

   その中身であるが、3点ある。① NBと同等の品質をディスカウンター価格で販売するPB「ベストプライス byトップバリュ」に500品目を新たに導入し、展開します。② 現行5,000品目で展開している「トップバリュ」全体のうち、34%にあたる1,700品目の価格を引き下げます。昨年度から6回の価格引下げを行なってまいりましたが、これにより累計でのべ2,200品目の価格を引き下げます。③ NB商品についても、毎日の生活に必要な食品を中心に新たに3,400品目の価格を引き下げます。これまでもイオンは、「がんばろう日本!とことん価格」を通じ、お客さまのご要望の高い生活必需品を月替わりで価格引下げを行なってまいりました。

   ということであるが、さらに、その内訳は、①ベストプライスbyトップバリュの500品目の内、200品目が衣料品、200品目が食品、100品目が住関連用品である。②のトップバリュ1,700品目の内、300品目が衣料品、700品目が食品、700品目が住関連用品である。そして、③のNB3,400品目の内、2,500品目が食品、900品目が住関連用品である。

   これはイオン創業以来、最大の価格戦略の発動といえ、来月初旬にはイオンの今期2009年2月期の決算発表を控えているが、その結果を踏まえてではなく、その結果がでる直前での経営戦略の根本、特に、小売業は価格戦略が最大の経営戦略ともいえるので、この時期に、これほど思い切った経営戦略の変更にはやや違和感がある。

   イオンは、この価格戦略が可能な理由として、1)イオン商品調達などグループ調達会社による、国内外からのベストソースからの原料・商品の調達ならびにグループ一括購入による調達コストの削減、2)自社物流網の活用による物流コストの削減、3)メーカー各社との直接取引拡大による商品仕入れ値の低減、4)自動発注システムなどグループ共通のITインフラを用いた高度な商品管理手法を用い、在庫削減、欠品率削減、5)単品の量をまとめることによる物流コストや管理費の削減の5つをあげている。

   ただ、問題は売上であり、ここであげている理由は原価と経費の削減がこれまで以上に可能になるということであり、売上が仮に、下がるようであれば、その削減分が相殺されてしまいかねない。そこで、イオンの直近の売上速報、2009年2月度を見てみると、イオンリテールの全体は91.6%(既存店92.1%)であり、その中身は客数が99.5%に対し、客単価が92.1%である。これを商品別に見ると、衣料品83.7%、食品95.9%、住居余暇87.3%であり、業態別に見ると、GMS92.6%、SM82.5%である。特に客単価が92.1%と厳しい状況である。客単価は金額PI値のことであり、これは、PI値×平均単価で構成されるので、今回のこの平均単価を5,100品目で下げるとのことで、PI値が大幅に改善しないと、平均単価当たりの原価と経費の改善により粗利がアップしても、客単価は改善できず、さらに、客数増に結び付かないと全体の利益に跳ね返り、経営の根幹を揺るがしかねないことにもなる。

   少なくとも、5,100品目の平均単価が下がることが確定したことになるので、イオンとしては、PI値か客数を大幅に増加させる政策を同時に打ち出さないと客単価、売上が思うような数字を獲得できず、結果、利益に跳ね返らざるをえなくなり、さらに、価格を下げるか、西友のようにディスカウント路線への業態転換かの選択を迫られることになろう。

   特に、イオンはこれまで、PBのトップバリュを5,000品目開発し、NBとの圧倒的な価格差をつけることで安さを演出してきた価格戦略をとってきただけに、ここへきて、NBを大幅に値下げし、さらに、PBのトップバリューをさらに値下げせざるをえないという状況は、トップバリュのPB戦略の見直しにもつながりかねないといえよう。そして、これは、単に価格を下げるという問題を超え、イオンの経営戦略そのものの見直しに直結しかねない問題であるともいえよう。今回、今期決算発表直前でこのような思い切ったイオンの価格戦略が公表されたが、来月初旬に公表されるイオンの本決算の結果を受けて、イオンがどのような次の経営改革を打ち出すかに、その決算内容とともに注目である。

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