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March 2009

March 31, 2009

CPI(消費者物価指数)、2009年2月下落、マイナスに!

   総務省統計局から、3/27、2009年2月のCPI(消費者物価指数)が公表された。昨年4月頃から急激に上昇した数字も、昨年10月頃から下落に転じ、とうとう、この2月は前年同月比がマイナスとなった。特に、食料およびエネルギーを除く総合指数が過去4年間で最も低い数字となったのが大きく、CPI(消費者物価指数)がここへきて、明らかに下落傾向になったといえよう。昨年10月は、ちょうどリーマンブラザースショックの9.15の翌月であり、CPI(消費者物価指数)の上昇がアメリカの金融不安の勃発により資源エネルギーの投機を減退させ、各種食料の国際相場が大幅に下落し、それが日本の物価の下落につながりつつあるといえよう。また、これにより、景気も後退を余儀なくされ、節約志向が広がり、住関連分野へ影響が及んだことも大きいといえよう。いずれにせよ、いかに昨年のCPI(消費者物価指数)が異常であったかがわかり、やっと、正常に戻ったようである。

   総務省のコメントであるが、「(1) 総合指数は平成17 年を100 として100.4 となり,前月比は0.3%の下落。前年同月比は0.1%の下落となった。(2) 生鮮食品を除く総合指数は100.4 となり,前月比は0.1%の下落。前年同月と同水準となった。(3) 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は98.5 となり,前月比は0.2%の下落。前年同月比は0.1%の下落となった。」とのことで、どの段階でも数字は下落傾向である。したがって、ここへきて、CPI(消費者物価指数)は明らかに下がりはじめたと判断して良いといえよう。

  では、これまでと具体的に、何が変わったのかを見てみたい。まず、10大費目の状況であるが、10大費目とは、食料、住居、光熱・水道、家具・家事用品、被服及び履物、保健・医療、交通 ・通信、教育、教養・娯楽、諸雑費のことである。この中で、まず、上昇したものであるが、食料の2.6%であり、ついで、光熱・水道の2.2%、そして、教育の1.0%が大きく、これ以外では、家具・家事用品0.2%、保健・医療の0.0%である。この中で、寄与度をみると、食料が0.67ポイント、光熱・水道0.16ポイントが大きく、その他は0.0ポイント以下であり、この2費目、特に食料が依然として、物価が高い状況である。ただ、前月の3.3%、寄与度0.87ポイントと比べると、1月度よりは下落傾向である。また、食料は生鮮食品と生鮮食品を除く食品に分かれているが、生鮮食品は-1.2%と物価は下がっており、生鮮を除く食品が3.3%と依然として高いのが大きい。もちろん、この数字も先月3.7%と比べると下落傾向ではある。

   そこで、この食料の中の生鮮を除く食品の中身を前年同月比で見てみると、チーズ30.2%、マーガリン28.0%と、この2項目がトップ2であり、やはり、乳製品が依然として、現在、食品では最も高い数字であるといえる。これについで、ひじき23.7%、うなぎ蒲焼21.5%と続き、ついで、小麦粉21.4%と小麦粉もまだ高い状況である。ただ、小麦粉は政府売り渡し価格がこの4月から平均14.8%引き下がる予定であり、いずれ、下がるものといえよう。これについで、物価の高値水準のものを見てみると、チョコレート21.4%、ちくわ21.1%、ビスケット20.9%、揚げかまぼこ20.0%、スパゲッティ17.6%、わかめ16.0%、かまぼこ14.9%、バター 14.1%、酢13.4%、落花生12.7%、食用油 12.1%、しょう油11.9%、ポテトチップス11.8%、干しうどん10.1%等と続く。以上が、10.0%以上、この2月度、物価が上昇した項目である。

   次に、同じ10大費目で物価が下降したものであるが、交通・通信-5.5%、教養・娯楽-1.3%、被服及び履物-0.2%、住居-0.1%、諸雑費-0.1%である。また、食料の中で、生鮮食品が-1.2%と先月の1.8%と比べ、下落しており、これらを含めて、この2月度は全体が-0.1%となった。さらに、この2月度の物価を押し下げた中身を見てみると、何といってもガソリン代が-27.7%となったことが大きく、ついで、灯油も-26.5%となり、結果、エネルギー全体が-7.3%となったことが大きい。また、耐久消費財の下落も大きく、パソコン(ノート型)-45.2%、パソコン(デスクトップ型)-35.5%、カメラ-33.1%、テレビ(薄型)-26.8%と大きく下がっているのが特徴である。

   ちなみに、生鮮を含め、食品ではどうかを見てみると、-10%以上物価が下がっているものは、きゅうり-17.5 %、かぼちゃ-14.3%、りんごB-13.6%、なす-13.5%、れんこん-12.4%、さといも-11.1%、ピーマン-11.1%、レモン-10.3%、グレープフルーツ-10.1%であり、生鮮、しかも、青果のみである。生鮮以外では、ミネラルウォーター -5.7%、コーヒー豆-5.4%、コーヒー飲料-3.6%といずれも飲料であり、まだ、食品関係は大きく下がってはおらず、じわじわ下がり始めた状況といえよう。

   このように、この2月度はCPI(消費者物価指数)が、明らかに下落基調となったといえよう。まだ、食品では一部高値水準の商品も見受けられるが、傾向は下落傾向に入ったといえ、今後、さらに、下がることが予想される。昨年後半までの物価上昇が、まさに、9.15のリーマンブラザーズショック以降、反転、この数ケ月で昨年並み、あるいは、それ以下となっており、どの辺で落ち着くかがまだ見えない状況といえる。3月以降もCPI(消費者物価指数)の動向、特に下落幅がどのくらいになるかに注目である。

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March 30, 2009

食品スーパーマーケット業界、M&Aはじまる、北東北!

   岩手日報が3/28報じたところによれば、「北東北最大スーパーへ、4社が業務提携締結」という見出しの中で、「食品スーパーのベルプラス(盛岡市)、伊徳(秋田県大館市)、タカヤナギ(秋田県大仙市)、スーパーマーケットマルイチ(盛岡市)は27日、2012年春をめどに資本統合することを前提とした業務提携締結を発表した。4社を合わせた店舗は78店、営業収益は1,147億円で、イオングループ(食品分野)を除き、北東北の食品スーパー業界トップ。資本統合による持ち株会社の設立を目指しており、実現すれば北東北最大級のチェーンスーパーが誕生する。・・」とのことである。

   同種の報道は、秋田魁新報社、河北新聞、そして、日経、朝日、読売、毎日等でも報じられており、記者会見も盛岡のホテルで行ったとのことで、ほぼ確実な内容であろう。いよいよ、食品スーパーマーケットもM&Aの本格的な時代に入ったといえよう。

   今回の4社業務提携は北東北の食品スーパーマーケットであるが、この4社はいずれも全国各地に約220社約3000店舗が加盟するボランタリーチェーンのCGC加盟企業であり、今後、さらに、加盟企業が加わることも予想される。実際、岩手日報によれば、今回の4社業務提携に際し、複数の企業に参画を打診したとのことである。
 
   CGCグループでは、すでに、北海道で2002年に持株会社アークスが設立され、北海道内のCGC加盟企業が経営統合した実績がある。さらに、ここ最近でも、2006年、新潟のCGCグループの中核企業、原信がナルスと持株会社、原信ナルスホールディングスを設立し、経営統合をはたしている。ナルスはその後CGCに加盟しており、ここ数年、CGCグループ内では盛んにM&Aが起こっており、今回の北東北の4社もCGCグループ内でのM&Aに発展するものといえよう。また、北東北では現在No.1の食品スーパーマーケット、ユニバースもCGCグループであり、先にブログでも取り上げた丸和を事実上M&AしたユアーズもCGCグループである。ここへきて、CGCグループの加盟各社が食品スーパーマーケット業界のM&Aに積極的に動きはじめているようである。
 
   今回の資本統合を前提にした業務提携にいたった経緯は、岩手日報によれば、「ベルプラスと伊徳が2007年12月に締結。2008年4月に共同出資会社ユナイト(代表取締役会長・遠藤須美夫ベルプラス社長、社長・伊藤碩彦(ひろひこ)伊徳社長)をベルプラス内に設立した。仕入れ、物流、システムなどを共同化することでコスト削減し、経営体質を強化している。」とのことで、まずは、ベルプラスと伊徳が2011年の春に経営統合を行い、翌年2012年にタカヤナギとマルイチがユナイトに加わるとのことである。

   ベルプラスの遠藤社長は、「営業収益が1,000億円を超えてやっと一人前。商圏でどれだけシェアをとるかが大切。チェーン展開により、短期間で高いシェアを持てる」と提携の狙いを語ったという。今回の4社のM&Aが実現すると、「営業収益の合計1,147億円は、イオングループ(食品分野)を除くと、ユニバース(八戸市、43店舗)を小差で上回り、北東北の食品スーパー業界でトップ。今後、他社の参加も視野に入れている」とのことで、遠藤社長は、さらに、「1,500億円を目指し、規模、質とも北東北一のスーパーにしたい」と抱負を語ったという。

   そのベルプラスであるが、現在38店舗を岩手を中心にチェーン展開しており、年商は430億円、傘下にはベルセンター、花北、スーパーエイト、スーパーマーケットかしむらがすでに入っており、食品スーパーマーケットチェーングループを形成している。以前から大型ディスカウント業態ビックハウスを開発し、CGC加盟企業でもアークスなどこの業態を導入する企業も多い。また、伊徳であるが、秋田県を中心に現在23店舗を展開しており、年商は384億円である。まずは、この2社が経営統合することになるというが、その後、秋田県を中心に16店舗を展開している年商220億円のタカヤナギ、岩手県を中心に23店舗(食品スーパーマーケットは12店舗)を展開している年商100億円強のマルイチが加わるという。

   こう見ると、今回は岩手県と秋田県の有力な地元食品スーパーマーケットのM&Aであり、これまで1つの県内で食品スーパーマーケットをチェーン展開していた企業が、他県へ参入して自社のエリアを拡大してゆくのではなく、他県の有力チェーンとのM&Aを行うことにより、統合メリットを追求するという形態である。東北地区には、ヨークベニマル、ユニバース、ヤマザワ、そして、イオン傘下のマックスバリュ東北と有力な食品スーパーマーケットチェーンも同様にM&Aに動いており、今回の4社統合は、東北全域でのの、しかも、格別規模の大きい1社が主導権をとるというよりも、同規模に近い企業のM&Aであるのが特徴である。

   今後、食品スーパーマーケット業界は、今回のような同規模に近い食品スーパーマーケットどうしのM&Aと、ヨークベニマル、イオン、そして、着々と体制を整えつつあるウォルマート等、大手チェーンストア主導のM&Aとが入り交えての展開がなされてゆき、まずは、全国が数10社程度に集約されてゆくものと想定される。その意味で、今回の4社のM&Aが他の食品スーパーマーケット各社へどのように波及してゆくか注目である。

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March 29, 2009

丸和、2009年1月期、増収減益、厳しい決算!

   九州、福岡県を中心に食品スーパーマーケットを展開する丸和が3/24、2009年1月期の本決算を公表した。結果は、売上高402.82億円(101.4%)、営業利益-0.43億円、経常利益-3.13億円、当期純利益0.15億円(11.0%:売上対比0.03%)となり、増収減益、営業利益、経常利益は赤字となる厳しい決算となった。

   丸和は現在、広島の食品スーパーマーケットユアーズの全面支援を受けて経営再建途上である。この3/17にはユアーズへ第3者割当増資により、株式を金銭債権の現物出資として受け入れ、これまでのユアーズの持ち株比率が41.13%から66.62%となり、親会社がユアーズへと移った。これで、ユアーズがほぼ2/3の株式を取得したことになり、ユアーズ傘下で経営再建が本格化することになる。

   丸和は現在、59店舗の食品スーパーマーケットチェーンであるが、今期は当初は既存店46店舗での展開であったが、昨年4月に石原商事13店舗を子会社化したため、現在は、59店舗でのチェーン展開となっている。今期売上高が101.4%となった要因は、この石原商事の子会社化が大きいといえる。特に、石原商事が北九州、福岡県を中心にドミナント展開を行っていたため、丸和の18店舗の既存店に加え、13店舗が加わり、31店舗体制となり、北九州地区でのドミナトがより強化されたことになる。親会社のユアーズは、地元が広島であるので、今後、中国から九州へかけての食品スーパーマーケットのチェーン展開が本格化するものといえよう。

   ユアーズは、決算が9月であり、すでに2008年9月期の決算が終了しているが、売上は417.01億円(101.4%)、営業利益6.78億円(74.5%:売上対比1.62%)、経常利益8.10億円(77.1%:売上対比1.94%)、当期純利益1.69億円(54.6%:売上対比0.40%)と増収減益となるやや厳しい決算であった。ユアーズの店舗数は現在41店舗であるが、この内、40店舗が広島県での展開であり、1店舗が岡山県での展開である。したがって、丸和の北九州31店舗、そして、山口県での25店舗とユアーズの岡山県での1店舗、広島県での40店舗とがチェーン化されることになり、今後、この地区でどこまでドミナントを強固にできるかが当面の経営課題となる。
 
   さて、丸和の営業利益が赤字となった要因であるが、売上原価は75.1%(昨年76.4%)と1.3ポイント下げており、原価は大きく改善している。結果、売上総利益は24.9%(昨年23.6%)と上昇しており、粗利は改善した。一方、販売費及び一般管理費であるが、25.9%(昨年22.8%)と、3.1ポイントと大幅に上昇しており、差し引き、マーチャンダイジング力は-1.0%(昨年0.8%)と大きくマイナスとなった。これに、不動産収入等の営業総利益が0.9%(昨年0.9%)のり、営業利益が-0.1%(昨年1.7%)という結果となった。今期はこのように、販売費及び一般管理の大幅増が経営を圧迫した要因である。

   特に経費の増加が大きい項目は賃借料3.5億円、人件費3.5億円、販促費2.4億円、その他2.0億円等である。これについて丸和は、「外食事業を展開する当社連結子会社の業績不振、株式会社石原商事の子会社化に伴う諸経費増加、同社で予定しておりました大型物件の賃貸契約開始がずれ込んだこと等による、・・」とコメントしており、外食の不振と石原商事へのM&Aの諸経費が要因であるとしている。実際、外食については、売上は今期19.78億円と全体の約5%であるが、営業利益は-2.5億円と赤字となり、スーパーマーケット事業の営業利益2.3億円でカバーできず、赤字の要因となっているのが現状である。昨年の外食の営業損失が-0.5億円であったので、さらに悪化しており、丸和にとっては、外食の経営改革が急務の状況である。
 
   これを受けて、丸和の自己資本比率であるが、9.3%(昨年11.7%)と厳しい状況である。これは、決算が1/31であり、ユアーズの3/17の第3者割当増資前の数字であるので、厳しい状況であるといえるが、利益剰余金-54.05億円が重くのしかかっている状況である。また、負債の主要項目である長短借入金の合計は131.14億円と総資産271.69億円の48.2%と多額の金額となっており、これも経営を大きく圧迫している要因である。今回、ユアーズの増資金額が13.91億円であるので、ユアーズが経営権を取得することにはなるが、財務状況は依然として厳しい状況が続くものいえ、丸和としては、ユアーズ主導での一層の経営改革が急務といえよう。
 
   これを受けて、2010年1月期の通期予想であるが、売上高400.00億円(99.3%)、営業利益3.6億円(前期赤字:売上対比0.90%)、経常利益1.7億円(前期赤字:売上対比0.42%)、当期純利益3.60億円(前期0.15億円:売上対比0.90%)と減収増益である。依然として、厳しい経営が続くといえよう。

   このように、2009年1月期の丸和の本決算が公表されたが、増収減益、特に、営業、経常段階では赤字となる厳しい決算となり、財務内容も自己資本比率が9.3%という厳しい状況であった。この3/17にはユアーズが第3者割当増資を受け入れ、親会社となり、やや財務内容が改善してはいるが、依然として、多額の借入金、利益剰余金の大幅なマイナスが財務に重くのしかかり、営業面でも外食が厳しい状況である。この厳しい経営を改善するのには、一層の経営改革が必要といえ、今後、ユアーズ主導でどのような抜本的な経営改革が打ち出されるか、また、今回のユアーズの増資を踏まえ経営数字がどこまで改善するかに注目である。

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March 28, 2009

日経MJ新製品週間ランキング、3/27、異常値続出!

   ここへきて、乳製品関連の再値上げ、実質再値上げの商品が出揃い、これまで定番であった乳製品関連の重点商品が新製品として次々と登場しており、恒例の日経MJ新製品週間ランキングがかつてない活況、異常値が続出している。また、これに、春の実際の新製品も各部門で登場しつつあり、いま、日経MJ新製品週間ランキングは、現状の各部門の売場を再構築する上で参考となる新製品があいついで登場し、マーチャンダイジングの改善を図る上で絶好の機会が突入したといえよう。

   このような中で、今週の注目は何といっても、金額PI値が2,000円を超えた、その他食品部門の明治乳業、ブルガリアヨーグルトLB81プレーン450gである。カバー率は何と100%、対象45チェーン250店舗全店に導入されての数字であり、金額PI値が2,014円(1人当たり2.014円)という驚異的な数字である。おそらく、歴代新製品週間ランキングの中でも間違いなくトップ3に入るのではないかと思う。

   たまたま、3/27の日経MJで明治乳業が全面広告を掲載しており、その中で、プレーンヨーグルトのNo.1商品として、このブルガリアヨーグルトが日経POSデータの数字をもとに、写真入りで紹介されている。この広告には、プレーンヨーグルト以外にも、牛乳、ハードヨーグルトがそれぞれベスト10の商品を掲載しているが、まさに定番中の定番の各社の商品が金額PI値のランキングで紹介されている。そのブルガリアヨーグルトの数字を見ると、金額PI値が1,586円となっている。この時はまだ、500gの時の数字であるが、これは、新製品ではなく、定番の時の2008年度1年間の平均値であるが、その数字を今週3/27の日経MJ新製品週間ランキングでは大きく抜き、2,014円である。したがって、この数字2,014円は定番の中でも十分に高い数字であるといえ、改めて、ここ最近の新製品ランキングのトップ級の新製品は定番でも十分に通用する高い数字であることが実証されたといえよう。

   今週No.2は、家庭用品部門の1位、カネボウ化粧品、ブランシールスペリアホワイトニングコンクルージョンセット45ml+0.9g+0.3ml+25ml+15mlであり、金額PI値はこれも1,271円と極めて高い数値である。No.3も家庭用品部門2位の資生堂、HAKUメラノフォーカスEX45gであり、金額PI値は1,248円とこれも高い数値である。いずれも、平均単価が9,745円、7,276円と高額商品であるが、金額PI値も超Aランクである。

   今週はもう1品、金額PI値1,000円を超える新製品があり、飲料部門1位、全体ではNo.4の森永乳業、まきばの空1000mlであり、金額PI値は1,133円である。先週2位から金額PI値314円アップしての1位であり、注目の新製品といえよう。先の明治乳業の広告にも一般牛乳のカテゴリーがのっているが、No.1は明治乳業、おいしい牛乳紙パック1Lで2,138円、No.2が日本ミルクコミュニティ、メグミルク牛乳紙パック1L、金額PI値939円であり、No.3に森永乳業、森永のおいしい牛乳紙パック1Lが、金額PI値822円で入っているが、No.1には届かないが、今週の1,133円はNo.2の水準であり、高い金額PI値である。十分、定番でも通用する金額PI値の高さであるといえ、まだ、カバー率が23.7%と低いが、今後、各店舗へ導入が進んできた時にどの辺で数字がおちつくかが気になるところである。

   今週はこの金額PI値1,000円を超えた超Aランクの新製品が4品入ったが、これ以外にも金額PI値Aランクの新製品が7品、Bランクの300円以上は16品、Cランクの200円以上は14品と入り、明らかに異常値となっている。先に見たように、これまで定番の中でも重点商品であったものが、値上げのためにリニューアルされたものが増えたことによるところが大きいといえるが、逆に、定番を改めて見直すチャンスでもあり、今後、これた金額PI値の高い新製品をいかに定番に組み込むかが課題となろう。

   これ以外の今週の新製品週間ランキングの中で注目する動きは、菓子部門に今週初登場の新製品があいついでランキング入りしていることである。菓子部門1位に明治製菓、北海道ポテト芳醇バター味80gが、金額PI値224円となった。また、2位にもロッテ商事、プチブッセ<スイートストロベリー>8個が金額PI値196円であった。1位、2位いずれも初登場であり、さらに、5位に明治製菓、北海道ポテト香味のり醤油味80g、金額PI値161円、6位に不二家、カントリーマアム(チョコバナナ)16枚、金額PI値151円、そして13位に、カルビー、じゃがりこバジルトマト58g、金額PI値110円と4品、初登場でランキング入りした。

   このように、今週は、これまでになく、金額PI値が超高水準の新製品が続々と登場しており、さながら、定番商品のPOS分析そのものと勘違いするくらい高い金額PI値である。当面、この傾向は続くと思われるので、今後、この新製品週間ランキングは、金額PI値の高い新製品を見つけ出すことももちろんであるが、それ以上に、いかに定番のマーチャンダイジングに組み入れることが可能な新製品を見つけ出し、既存の売場のリニュールにつなげてゆきたいところである。 

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March 27, 2009

改正薬事法施行真近、6/1、登録販売者6万人に迫る!

   6月1日から施行される約50年ぶりという改正薬事法の施行が目前に迫っている。今回の薬事法の改正は薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号)、薬局等構造設備規則(昭和36年厚生省令第2号)、薬局及び一般販売業の薬剤師の員数を定める省令(昭和39年厚生省令第3号)と、いずれも約50年前の省令の改正となる。その背景には、急速な少子高齢化の中で増大する医療をはじめとする社会保障費により、国の医療財政の立て直しが急務となったことがある。ちょうど、3/26の日経新聞に、「国立病院、後発薬の比率2倍に、厚生省方針13年度までに、普及で医療費抑制」という記事がのったが、いわゆる、Generic drug(ジェネリック)の問題であり、これも医療費の抑制のための行政措置であり、大きくは、改正薬事法の施行とジェネリックの普及が当面の国を挙げての医療費抑制策といえよう。

   食品スーパーマーケットにとって、この国策である改正薬事法の6/1からの施行が重要である理由は、これまで、食品スーパーマーケットでは薬剤師なしに扱うことができなかった薬が、今回改正される改正薬事法によれば、各都道府県で試験の上、合格した登録販売者さえおけば、OTC薬(大衆薬)の大半を販売できるようになることである。もちろん、これは食品スーパーマーケットだけではなく、GMS、コンビニ、ホームセンター、家電量販店でも同様に、登録販売者を置けば、薬の販売が可能になる。ただし、今回、薬が3分類に分かれ、第1分類の特にリスクが高いもの、たとえば、ガスター10(ゼファーマ)、リアップ(大正製薬)などは、依然として薬剤師しか販売できないが、第2類のリスクが比較的高いもの、第3類のリスクが比較的低いものは、登録販売者をおけばすべて販売可能となる。

   そして、この改正薬事法の施行を目前にして、昨年来、全国の都道府県で2回に渡り、登録販売者の試験が実施され、合格者が続々と生まれている。この登録販売者となるためには、試験で合格することはもちろんであるが、受験資格として、1年以上の実務経験が必要であり、そのため、現在は、ドラックストアか薬粧店での実務経験者がほとんどであるといえる。また、今回、特に、登録販売者が必要な理由としては、薬剤師取得のための薬学部が4年制から6年制になったこともあり、今後2年間卒業者がなくなり、その補完の意味もあったといえよう。

   さて、その登録販売者の合格者であるが、様々な情報をもとに集計した結果は、現在、2回の試験の実施を経て、約9万人が全国で受験し、合格者が約6万人となった。合格率は約65%である。第1回目が約6万人受験し、約4万人が合格し、合格率は約70%であり、第2回目が約3万人受験し、約2万人弱が合格し、合格率は約60%であったので、2回目の方がやや難しかったようである。また、2回目は32都道府県での実施となり、1回目の47都道府県と比べると、15都道府県が試験を見合わせており、これらの都道府県が試験を実施していれば、合格者はさらに増えたものといえよう。結果、現在、約6万人が販売登録者の資格を取得しており、この6万人の販売登録者をもとに、この6/1から施行の改正薬事法にもとどく、OTC薬(大衆薬)の販売が各小売業で一斉にはじまることとなる。

   もう少し、この6万人の合格者の状況を都道府県別に見てみると、最も合格者が多かったのは、当然、ほぼ人口に比例することにもなるので、東京都である。東京都は2回試験を実施しており、その合計で見ると、合格者8,180人(受験者10,852人)、合格率75.4%であり、全体平均よりも高い合格率である。ちなみに、全2回合計79回の中で合格率のもっとも高い都道府県は、神奈川県の1回目の3,265人(3,866人)、84.5%である。逆に最も低かったのが、滋賀県の2回目の134人(404人)、33.2%であるので、その差、約50%もあり、都道府県により、かなりの差があるといえよう。さらに、神奈川県を除き、ベスト10の合格率を見てみると、いずれも1回目であるが、山口県704人(855人)、82.3%、東京都4,297人(5,223人)、82.3%、広島県1,058人(1,311人)、80.7%、鳥取県182人(227)、80.2%、千葉県2,144人(2,682人)79.9%、群馬県627人(808人)、77.6%、岡山県1,188人(1,534人)、77.4%、埼玉県2,588人(3,361)、77.0%、長野県724人(959人)、75.5%である。

   このように、当面はこの約6万人の登録販売者を中心に6/1からの改正薬事法の施行により、食品スーパーマーケットをはじめ、各小売業でOTC薬(大衆薬)の販売が始まるとも思われるが、この人数では到底、本格的に各小売業で販売してゆくには人数が足りないといえよう。

   平成19年度の商業統計によれば、ドラックストアは12,671店舗であるので、6万人の合格者がすべてドラックストアに配置されるのであれば問題がないといえるが、食品スーパーマーケットは17,882店舗、コンビニエンスストア43,318店舗、GMS1,583店舗、ホームセンター4,060店舗、・・と見てゆくと、少なくとも数倍の合格者は必要といえ、販売登録者が主だった小売業に配置されるまでには、数年がかると思われる。改正薬事法の施行は目前であるが、当面、今回合格した登録販売者の方は大忙しになるのではないかと思われる。本ブログでは、これらを含め、改正薬事法の最新情報と食品スーパーマーケットの今後のOTC薬(大衆薬)のマーチャンダイジング戦略についても、随時、その状況を取り上げてゆきたい。

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March 26, 2009

ファミリーマート、ポストtaspo、CRMへ!

   3/25の日経新聞に「ファミマ、お得意様優待、大手コンビニで初、ボーナスポイントやイベント招待」という記事が掲載された、前回のブログで、コンビニの2009年2月度の売上速報を取り上げたが、その中でも言及したポストtaspoへ向けたコンビニの経営戦略が動きはじめたといえよう。ちょうど、同じ、日経新聞に消費、見所、カン所という記事でもファミリマートの上田社長の「3つのマーケティング重視」というコラムが掲載されているが、これを見ても、ファミリマートがポストtaspoを強く意識して、新たな方向へ動き出したことがわかる。今後、ファミリーマートに限らず、各コンビニが様々なポストtaspoに向けて一斉に動き出すことが予想されよう。

   まず、日経の記事の内容であるが、この新サービスは今週の秋からスタートとのことで、記事を引用すると、「月間の購入金額が多い顧客らに対して、買い物に使えるポイントを多く付与、商品の提供価格に差を付けるほか、発売前の商品を優先的に販売するといった特典も設ける・・」という内容である。新サービス名も、ロイヤルカスタマー優遇システムというネーミングであるといい、まさに、これはCRMそのものであり、いよいよ、コンビニでもCRMがポストtaspo戦略の本命として登場したといえよう。

   この仕組みの背景には、商品情報と顧客情報が必要であり、しかも、それを瞬時にリンクし、顧客個人個人の購買履歴を分析する体制が必須となる。従来、コンビニでは商品情報はPOSシステムで把握ができ、それにもとづき、商品の売れ筋、死に筋を分析し、マーチャンダイジングにいかす単品管理が中心であった。今回のファミリーマートの仕組みを実現するには、この商品情報から得られる単品ごとの情報に誰が購入したかがわかる顧客データが必須となる。コンビニでもここ最近、セブンイレブンのnanaco、イオンのwaonなどをはじめ、Suica、edyなど電子マネーが導入され、顧客情報を把握する体制が進みつつあり、商品情報とのリンクがすすみつつあるが、まだ、今回のような活用方法は実施されてはいないのが現状といえる。今回のファミリーマートは、独自のポイントカード、ファミマTカードを活用する仕組みであり、このポイントカードの使用者が対象となるが、この対象者の購入履歴を把握し、その履歴に応じた様々な優遇策を個々の顧客ごとに実施するということであり、コンビニでは初めての本格的な試みとなる。

   一般に、このようなことが起こる背景には、小売店舗同士の出店競争が極限となり、市場が飽和状態となり、新規顧客の増加が見込めなくなった時に起こるのが実態である。このような状況になると既存顧客の来店頻度をいかに引き上げるかが戦略目標となり、そのために様々な顧客へのアプローチがなされる。この時、最も一般的な手法はディスカウントであり、競合店よりも1円でも重点商品を安く販売し、既存顧客の来店頻度を引きあげる政策をとることとなる。同時に、ちらしを通じて、NBの破格の値段を訴え、競合店から新規顧客を獲得しようという政策に入る。

   これに対して、もうひとつ、同じ価格政策ではあるが、既存顧客の来店頻度を引き上げるために、商品の価格をさげるのではなく、購入顧客の買い物金額全体、すなわち、顧客個々の生活の節約を支援する方法がある。ただ、この方法を実施するには顧客ごとに、何をいくら購入しているかの購買履歴が必要であり、これまでは、この購買履歴を取得することがなかなか技術的にできない状況であったが、今回のファミリーマートのようにコンビニでもこれが可能となり、この面からのアプローチもできるようになった。

   この政策を採用するメリットは、従来の価格政策と違い、店頭の価格を下げることは全く必要なく、商品の値崩れが起こらないことである。商品の価格は定番価格であるが、その商品を購入した顧客が支払う時点での商品の価格が顧客ごとに、違うということであり、いわば、Everyday Low Priceに対し、Everyday Your Priceとでもいう価格となる。これによって、商品の購入価格が店頭はひとつであるが、購入時点では顧客によって過去の購入履歴に応じて変化し、競合店よりもその商品を安く購入できることになる。その結果、既存顧客の来店頻度を引きあげようという戦略である。

   今回のファミリーマートの仕組みも基本的はこのような考え方であるが、この秋からスタートするロイヤルカスタマー優遇システムは、その初期段階であるといえ、一定の金額を購入していただいた顧客層ごとに一定のポイントとサービスを提供するというものである。その意味で、顧客情報を商品情報とリンクさせて活用するCRMのスタートともいえ、今後、この仕組みはさらに進化してゆくものといえよう。

   このように、いよいよ、ポストtaspoへの対応がまったなしになり、taspo効果が切れる4月から5月へ向けて、コンビニ各社が本格的に動き始めたといえよう。今回のファミリーマートの新サービスはその意味で、これまでの商品情報からだけの商品政策から、顧客情報を活用しての商品政策、そして、顧客政策、すなわち、CRMへの本格的な第1歩といえ、今後のコンビニ各社の動向に注目である。

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March 25, 2009

コンビニ、2009年2月度売上、依然taspo効果で堅調!

   3/23、日本フランチャイズチェーン協会から、2009年2月度のコンビニの売上速報が公開された。結果は104.8%と1月度が109.6%であるので、やや失速しているように見えるが、2月度は昨年と比べ、営業日数が1日少なく、29日分の1日、すなわち3.4ポイント程度低くなるので、ほぼ1月度と同じ伸び率といえよう。したがって、依然として、taspo効果が継続しているといえ、コンビニはこの2月度も、全体としては、堅調な売上を維持しているといえよう。

   今回の集計結果は、日本フランチャイズチェーン協会加盟のコンビニであり、エーエム・ピーエム・ジャパン、ココストア、サークルK サンクス、スリーエフ、セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ローソンの11社であり、ほぼコンビニ業界全体を網羅しており、業界全体の数字といっても過言ではない結果である。この2月度の実際の売上金額は5,828.56億円であり、単純に12倍すると7兆円近い売上となり、平成19年度の商業統計のコンビニの売上が6.9兆円であるので、これを見ても、ほぼコンビニ業界全体の数字を反映しているといえよう。

   全体の売上が104.8%であったが、その中身を見てみると、客数が106.0%、客単価が98.8%と客数が増加しての売上であり、taspo効果により、新たな客数が増加していることがわかる。ちなみに、客数は全42,047店舗合計が995,368人であるので、1店舗当たり845人となる。客単価が585円であるので、平均的なコンビニの売上は掛けて49.4万円となる。

   これに対して既存店の状況であるが、売上は102.0%となり、これも1月度は107.0%であるが、今年の2月が1日少ないことを考慮すれば、ほぼ近い数字ではあるが、全体の伸びと比べ、微妙に低い数字といえよう。Taspo効果で好調なコンビニもこの2月度の既存店はやや苦労したといえる。

   では商品別にみた場合どのような数字であったかであるが、たばこの含まれる非食品の売上が122.7%と好調であるが、これも1月度は128.0%であるのでやや伸び率が下がっているが、依然としてたばこが売上を押し上げている構図である。非食品のコンビニでの売上構成比は32.7%であり、コンビニの柱となっており、ここの伸び率が全体へ与えるインパクトは大きく、まさにtaspo効果が継続しており、たばこ購入客増がたばこの売上をもたらし、全体の売上増に結びついている構図が鮮明である。

   これについで、伸び率が高い部門は売上構成比は4.2%とわずかであるが、サービスの101.3%である。この2部門がプラスとなり、残り2部門は、この2月度はマイナスとなった。そのマイナス幅の最も大きかった部門は売上構成比が33.5%の日配部門であり、96.6%である。コンビニの日配には、米飯類(寿司、弁当、おにぎり等)、パン、 調理パン、惣菜、漬物、野菜、青果、水物(豆腐等)、調理麺、卵、加工肉(ハム、ウインナー、ベーコン等)、牛乳、乳飲料、乳製品(バター、チーズ等)、練物(ちくわ、かまぼこ等)、生菓子(ケーキなどの和洋菓子)、サラダ、デザート類(プリン、ゼリー、ヨーグルト等)等、幅広い商品で構成されており、ファストフードも含む、コンビニの中核部門である。ここが96.6%、昨年より1日少ない営業日数を考慮しても、1月度が101.2%であるので、やや下げ幅が大きいといえ、気になる結果である。そして、売上構成比29.6%の加工食品であるが、同様にマイナスとなり、98.3%となった。

   こう見ると、この2月度もtaspo効果が鮮明であり、依然として売上をたばこの新規購入客が押し上げている構図であるが、1月度と比べ、やや数字、特に既存店の動きが鈍いといえ、ここへきて、コンビニを取り巻く経営環境もやや厳しくなってきたようである。この1年間のコンビニの売上の推移をみると、2008年3月(101.5%)、4月(102.0%)、5月(105.8%)、6月(106.4%)、7月(114.0%)、8月(107.5%)、9月(108.9%)、10月(110.5%)、11月(109.9%)、12月(108.5%)、2009年1月 (109.6%)、2月(104.8%)である。7月は猛暑が重なっているが、taspo効果が表れ始めたのは、この数字を見ても、5月頃からであり、その後、この2月も1日少ない営業日数を考慮すれば、依然としてtaspo効果が続いているといえる。ただ、これも、5月ぐらいまでが限界であるといえ、コンビニとしては、ポストtaspo対策が急務であるといえる。

   そう考えると、今月度の商品分類ごとの数字を見た場合、コンビニの中核商品群であるファストフードを含む日配部門の伸び率が落ち込んでいることは気になることであり、ここの商品部門をいかに強化するかがポストtaspoを考えると課題であるといえよう。現在、コンビニ各社ではポストtaspo対策に向けて、様々な対策を立てて、取り組んでいるところではあるが、この2月度の数字を見る限り、まだ、数字には表れてこないようである。

   このように、この2月度のコンビニの売上もtaspo効果により、依然として堅調な数字とはなったが、やや既存店の伸び率が下がっていることに加え、コンビニの中核商品である日配部門の落ち込みが最も大きく、今後のポストtaspoに向けてやや不安な数字結果となったといえよう。あと数ケ月はtaspo効果が継続すると思われるが、ポストtaspoに向けて、コンビニがどのような経営戦略を打ち出すかに注目したい。

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March 24, 2009

日本トイザらス2009年1月本決算、減収減益、赤字転落!

   ここへ来て、食品スーパーマーケットをはじめ、様々な小売業で2009年1月度の本決算の公表がはじまった。すでに、本ブログでもマックスバリュ中部、マックスバリュ北海道の決算結果を取り上げたが、今回は、専門店の代表格ともいうべき日本トイザらスの2009年1月度の決算を取り上げてみたい。まず、結果であるが、売上高1,801.24億円(94.2%)、営業利益11.30億円(41.7%:売上対比0.62%)、経常利益10.77億円(36.9%:売上対比0.59%)、当期純利益-29.90億円となり、減収減益となり、しかも、当期純利益は赤字となる厳しい決算結果となった。

   日本トイザらスは現在、日本全国に167店舗(トイザらス130店舗、ベビーザらス20店舗、サイド バイ サイド ストア17店舗)を展開しているが、昨年168店舗、一昨年167店舗と店舗数は伸び悩んでおり、これにともない、売上も昨年が98.4%、一昨年が107.9%となり、昨年、今期と厳しい状況である。また、今期の商品別の売上の状況を見てみると、日本トイザらスの売上構成比No.1は35.4%のベビー用品であるが、この部門は105.4%(昨年106.7%)と好調であり、これに加え、No.5の売上構成比8.0%のスポーツ用品・自転車も108.7%(昨年99.3%)と好調ではあったが、No.2の売上構成比24.6%のエンターテイメントが78.8%(昨年92.4%)、No.3の売上構成比18.7%の玩具92.9%(昨年88.4%)、そして、No.4の売上構成比12.3%のその他も95.7%(昨年98.1%)と不調となった。

   さらに、売上のここ数ケ月の推移を見ると、第1四半期こそ85.4%と厳しかったが、その後、第2四半期98.3%、第3四半期97.7%と持ち直しはじめていた。ただ、さすがに、9/15のリーマンブラザーズショック後の10月96.1%、11月・12月(クリスマス、お正月)94.7%、1月89.0%となり、第4四半期は93.5%と落ち込み、この2月度も90.2%で推移しており、ここ数ケ月が特に売上が落ち込み始めたといえる。

   一方、営業利益の状況であるが、売上原価は69.9%(昨年70.8%)となり、結果、売上総利益は30.1%(昨年29.2%)と0.3ポイント改善した。これに対して、販売費及び一般管理費は29.9%(昨年28.3%)となり、1.6ポイントと大幅に上昇し、差し引き、マーチャンダイジング力は0.2%(昨年0.9%)となり、大きく下がってしまった。そして、これに賃貸料利益が0.7%(昨年0.8%)のり、結果、売上対比では0.9%(昨年1.7%)と大きく減少した。なお、ここでは、賃貸収入を売上に入れずに計算しているので、日本トイザらスの決算短信の売上には賃貸収入も入っているので、比率に若干の差がある。こう見ると、営業利益が減少に転じた要因は減価ではなく、経費の増加要因が大きいといえ、売上減にともなう、広告費の増加が大きかったようである。

   また、今回、当期純利益が赤字となったが、これは、減損損失として13.78億円発生したことに加え、日本マクドナルドとのサービス契約の有効性等に関する訴訟の和解に伴う契約解除和解金等15.01億円を計上したためである。したがって、キャッシュフローの流れであるが、営業キャッシュフローは147.25億円と膨らんではいるが、これは金融機関の休日と決済日が重なったため、仕入債務の増加額85.92億円、たな卸資産の増加額30.28億円の合計116.20億円が入ったためであり、実質、厳しい営業キャッシュフローであったといえる。これに対し、投資キャッシュフローはわずか-5.40億円であり、その結果、フリーキャッシュフロー141.85億円となり、ここから財務キャッシュフローとしては長短借入金の返済を行い-142.23億円となり、トータル0.38億円のマイナスとなった。なお、翌事業年度の決済となった債権債務の主な内訳は売掛金及び買掛金であるが、その決済金額はそれぞれ6.99億円(収入)及び140.08億円(支出)となったが、買掛金の決済と同時に126億円の借入れを実行して、相殺したという。

   そして、今期の自己資本比率であるが、32.0%(昨年32.4%)と依然として厳しい状況が続いている。その要因を負債面から見てみると、長短借入金の合計は169.80億円であり、総資産の20.0%となり、昨年の308.60億円と比べると大きく削減しているが、先に見たように、今期は金融機関との関係で、決算後の借入をしているので、実質、やや削減という状況である。一方、出店にかかわる資産である土地、建物、敷金及び保証金の合計は516.91億円であり、総資産846.97億円の61.0%となり、結果、出店余力、自己資本比率-出店かかかわる資産は-29.0%であり、負債に大きく依存する出店構造であり、新規出店がかんり厳しい状況になったといえよう。

   これを受けて、日本トイザらスの通期予想であるが、売上高1,760.00億円(97.7%)、営業利益23.00億円(203.5%:売上対比1.30%)、経常利益22.00億円(204.2%:売上対比1.25%)、当期純利益7.00億円(今期損失:売上対比0.39%)と減収増益であり、売上は依然として厳しい状況が続くと予想しているが、利益は回復する予想である。

   このように、日本トイザらスの2009年1月度の本決算が公表されたが、売上がここへきて厳しい状況となり、その分、広告宣伝費が大きく上昇し、経費比率があがり、利益が厳しい状況になったといえる。特に、売上の中身はベビー用品は好調であるが、エンターテイメント、玩具等が厳しい状況であり、まさに、9/15のリーマンブラザーズショック以降の景気の急激な減退の影響を直に受けている状況といえよう。来期も売上は厳しい予想であり、実際、景気も当面厳しい状況が予想される。来期、日本トイザらスが収益構造改善のために、どのような経営戦略を打ち出すかに注目したい。

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March 23, 2009

食品スーパーマーケット、売上速報2009年2月、失速?

   食品スーパーマーケットの2009年2月度の上場主要企業の売上速報が明らかかになった。食品スーパーマーケットは約60社近くが上場しているが、その内、毎月売上速報を公表している企業は約20社強である。本ブログではこれらの企業の売上速報を毎月集計して公表しているが、月末で売上集計している企業は、この2月度は昨年がうるう年ということもあって1日少ないこともあり、やや全体の数字が下がっているようである。もちろん、10日締め、20日締めなどの企業は3月度に影響がでるので、今月度への影響はないといえ、全体がやや下がっているのは、実際、この2月度がこれまでよりも厳しい結果となったと判断すべきなのかもしれない。いずれにせよ、もう数ケ月、状況を見る必要があるが、この2月度はやや低調な売上となった。

   その数字であるが、全体の2月度は102.3%(既存店96.9%)となり、1月度104.7%(既存店99.7%)、昨年12月度104.0%(既存店99.2%)、11月度106.2%(既存店101.5%)、10月度103.9%(既存店99.5%)、9月度103.5%(既存店98.4%)という状況であるので、失速気味であるといえよう。全体の数字も気になるが、特に既存店の96.9%は、ここ数ケ月の推移の中では最も低い伸び率であり、厳しい状況であるといえる。食品スーパーマーケットは9/15のリーマンブラザーズショック以降も、この動きのように比較的順調に売上が推移してきただけに、この2月度の数字は失速感が感じられる数字であり、当面、注意深く状況を見てゆく必要があろう。

   では、このような中で、この2月度、全体の売上がNo.1となったのはPLANTであり、113.5%(既存店99.0%)という結果であった。何といっても、昨年のPLANT-5鏡野店、PLANT-3福知山店等の新規出店が売上に大きな貢献をしており、当面、この高い成長率が続くといえ、No.1を維持し続けるものといえよう。既存店も全体が96.9%となる中、PLNTの既存店は99.0%と堅調であり、その中身は客数が100.7%、客単価が98.3%と客単価がやや下がっているのが気になるが、客数が安定しており、売上を支えているといえる。

   No.2はスーパーバリューであり、112.6%(既存店100.3%)である。スーパーバリューも新店による売上増が大きく、昨年後半川口前川店、入間春日町店とあいついで新店をオープンしており、全店がこの2店舗を入れて10店舗であるので、売上が大きく上昇したといえよう。スーパーバリューも当面、この高成長が続くといえ、好調な売上であった。No.3は九九プラスであり、全体が109.3%(既存店106.3%)という状況であり、既存店も106.3%と高成長であった。九九プラスはローソンとの資本・業務提携の効果が着々とあらわれつつあるといえ、また、ここきての生活不安による節約志向の高まりが追い風になり、既存店の売上も順調である。現在、九九プラスからローソン100へと急激に店舗の切り変えをかけ、リニューアルを行っていることもあり、当面、既存店のこの好調な数字が続くものといえよう。

   この2月は、このベスト3を見ると、いずれも、純粋な食品スーパーマーケットではなく、スーパーセンター、100円ショップであり、この状況を見ても食品スーパーマーケットはこの2月度は厳しい状況であり、失速感が否めない状況であるといえよう。その食品スーパーマーケットであるが、No.4にハローズが入った。純粋な食品スーパーマーケットでは1位となり、全体が108.7%(既存店 95.0%)という結果であった。ただ、既存店が95.0%という数字は気になるところであり、特に客数96.4%、客単価98.6%と双方が下がっており、この2月度は厳しい状況であったといえよう。ちなみに、1月度のハローズはPLANT、スーパーバリューを抑え、No.1であり、しかも、既存店の客数99.8%、客単価99.7%と堅調な数字であったので、この2月度はやはり、気になる数字である。

   そして、No.5はマックスバリュ西日本であり、全体107.4%(既存店100.2%)であった。以下、101%以上の食品スーパーマーケットは、ダイイチ105.7%(既存店98.3%)、ユニバース102.8%(既存店99.9%)、マックスバリュ東海102.8%(既存店93.9%)、ヤオコー101.2%(既存店97.5%)、アークランドサカモト101.1%(既存店98.2%)という状況であるが、いずれも伸び率は1月度と比べ失速気味であるといえ、やはり、この2月度はこれまでの流れとは一線を画す状況といえよう。

   一方、全体が昨対を下回った食品スーパーマーケットは、マックスバリュ中部99.1%(既存店95.4%)、オオゼキ98.6%(既存店98.6%)、エコス98.3%(既存店95.5%)、Olympic97.8%(既存店93.2%)、いなげや97.5%(既存店94.7%)、カスミ96.4%、トーホー95.6%(既存店93.7%)である。この中でもは昨年来好調であったマックスバリュ中部、そして、オオゼキが入っており、あらためて、この2月度の売上が食品スーパーマーケット業界としても厳しい状況であったことがうかがえる。

   このように、この2月度はこれまでの昨年から今年1月までの推移のように、食品スーパーマーケット各社が堅調な売上を維持していきた流れがピタッととまり、逆回転に転じ始めたような失速感のある売上の伸び率となった。特に、既存店が各社厳しい状況であるといえる。この状況が2月というやや特殊な状況であるがゆえに起こったものか、それとも、今後、食品スーパーマーケット業界も売上が失速してゆく転機なのか、現時点では見極めるのが難しい状況であるが、明らかに違和感がある数字といえよう。来月以降、この状況がどのように変化するか、食品スーパーマーケット業界の売上の推移を注意深く見る必要があろう。

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March 22, 2009

イオンの反省、3/19、イオン、日経全面広告を掲載!

   イオンの反省、私たちイオンは、世の中の変化に対応できず、お客さまを見失っていたことを反省します。百年に一度と言われる不況の中、イオンは、お客さまが本当に求めている商品やサービスを提供できていませんでした。「◎イオンの価格は、他店にくらべて、決して安くはありませんでした。◎イオンの売場には、欲しいと思える商品が並んでいませんでした。◎イオンは、お客さまへのサービス改善を、怠っていました。」私たちは、反省します。お客さまの声に深く耳を傾け、他の優れた企業から積極的に学びます。もう一度、お客さまが求める本当の低価格、売場、サービスを取り戻すことに全力を尽くしていきます。

   という、イオンの反省というイオンの全面広告が日経に掲載された。また、この前日、3/18には、イオンの反省と題し、NBと同等の品質をディスカウンター価格で販売する「ベストプライス by トップバリュ」を本格展開、毎日の生活に必要な品々5,100品目を 値下げ、が公表された。

   その中身であるが、3点ある。① NBと同等の品質をディスカウンター価格で販売するPB「ベストプライス byトップバリュ」に500品目を新たに導入し、展開します。② 現行5,000品目で展開している「トップバリュ」全体のうち、34%にあたる1,700品目の価格を引き下げます。昨年度から6回の価格引下げを行なってまいりましたが、これにより累計でのべ2,200品目の価格を引き下げます。③ NB商品についても、毎日の生活に必要な食品を中心に新たに3,400品目の価格を引き下げます。これまでもイオンは、「がんばろう日本!とことん価格」を通じ、お客さまのご要望の高い生活必需品を月替わりで価格引下げを行なってまいりました。

   ということであるが、さらに、その内訳は、①ベストプライスbyトップバリュの500品目の内、200品目が衣料品、200品目が食品、100品目が住関連用品である。②のトップバリュ1,700品目の内、300品目が衣料品、700品目が食品、700品目が住関連用品である。そして、③のNB3,400品目の内、2,500品目が食品、900品目が住関連用品である。

   これはイオン創業以来、最大の価格戦略の発動といえ、来月初旬にはイオンの今期2009年2月期の決算発表を控えているが、その結果を踏まえてではなく、その結果がでる直前での経営戦略の根本、特に、小売業は価格戦略が最大の経営戦略ともいえるので、この時期に、これほど思い切った経営戦略の変更にはやや違和感がある。

   イオンは、この価格戦略が可能な理由として、1)イオン商品調達などグループ調達会社による、国内外からのベストソースからの原料・商品の調達ならびにグループ一括購入による調達コストの削減、2)自社物流網の活用による物流コストの削減、3)メーカー各社との直接取引拡大による商品仕入れ値の低減、4)自動発注システムなどグループ共通のITインフラを用いた高度な商品管理手法を用い、在庫削減、欠品率削減、5)単品の量をまとめることによる物流コストや管理費の削減の5つをあげている。

   ただ、問題は売上であり、ここであげている理由は原価と経費の削減がこれまで以上に可能になるということであり、売上が仮に、下がるようであれば、その削減分が相殺されてしまいかねない。そこで、イオンの直近の売上速報、2009年2月度を見てみると、イオンリテールの全体は91.6%(既存店92.1%)であり、その中身は客数が99.5%に対し、客単価が92.1%である。これを商品別に見ると、衣料品83.7%、食品95.9%、住居余暇87.3%であり、業態別に見ると、GMS92.6%、SM82.5%である。特に客単価が92.1%と厳しい状況である。客単価は金額PI値のことであり、これは、PI値×平均単価で構成されるので、今回のこの平均単価を5,100品目で下げるとのことで、PI値が大幅に改善しないと、平均単価当たりの原価と経費の改善により粗利がアップしても、客単価は改善できず、さらに、客数増に結び付かないと全体の利益に跳ね返り、経営の根幹を揺るがしかねないことにもなる。

   少なくとも、5,100品目の平均単価が下がることが確定したことになるので、イオンとしては、PI値か客数を大幅に増加させる政策を同時に打ち出さないと客単価、売上が思うような数字を獲得できず、結果、利益に跳ね返らざるをえなくなり、さらに、価格を下げるか、西友のようにディスカウント路線への業態転換かの選択を迫られることになろう。

   特に、イオンはこれまで、PBのトップバリュを5,000品目開発し、NBとの圧倒的な価格差をつけることで安さを演出してきた価格戦略をとってきただけに、ここへきて、NBを大幅に値下げし、さらに、PBのトップバリューをさらに値下げせざるをえないという状況は、トップバリュのPB戦略の見直しにもつながりかねないといえよう。そして、これは、単に価格を下げるという問題を超え、イオンの経営戦略そのものの見直しに直結しかねない問題であるともいえよう。今回、今期決算発表直前でこのような思い切ったイオンの価格戦略が公表されたが、来月初旬に公表されるイオンの本決算の結果を受けて、イオンがどのような次の経営改革を打ち出すかに、その決算内容とともに注目である。

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March 21, 2009

日経MJ新製品週間ランキング、MD見直しのチャンス!

   先週から、日経MJ新製品週間ランキングの新製品が大きく入れ替わり、特に今週、3/20の日経MJ新製品週間ランキングは、値上げ関連によるリニューアル製品を中心とした金額PI値の高いランキングとなった。これまで金額PI値500円(一人当たり0.5円)を超えるAランクの新製品がほとんどなかったが、先週からは、数が増え始め、今週は8品と、ここ数ケ月では最多の数字となった。Bランクの300円以上も14品、Cランクの200円以上は18品と先週よりも一段と金額PI値の水準があがった。ここまで来ると、新製品を超え、定番の重点商品候補といってもよく、現状の定番のマーチャンダイジングを見直す良いチャンスといえよう。

   その金額PI値500円以上の新製品を見てみると、No.1はその他食品の1位、明治乳業、ブルガリアヨーグルトLB81プレーン450g、金額PI値1,781円であった。先週比459円のアップであり、しかも、対象45チェーン、250店舗全店に導入され、カバー率100%である。これ以外にも明治乳業は、2位、3位、4位と上位を独占しており、しかも、その他食品全20品の内、12品ランクインするという、明治乳業のオンパレードである。2位は同じく、プロビオヨーグルトLG21 112g、金額PI値594円、3位はブルガリアヨーグルトLG81そのままで450g、金額PI値482円、そして、4位は北海道十勝ヨーグルト85g×4、金額PI値459円である。しかも、カバー率も99.6%、88.8%、91.2%と極めて高い数字である。

   
   No.2は家庭用品部門、カネボウ化粧品、ブランシールスペリアホワイトニングコンクルージョンセット45ml+0.9g+0.3ml+25ml+15ml、金額PI値1,621円である。金額PI値1,000円を超える新製品は、No.1のブルガリアヨーグルトと並び、この2品であるが、この両新製品は対照的であり、平均単価が146円と9,614円と7倍近い差であり、逆に、PI値は1.2%、0.016%と75倍の差があり、掛けた金額PI値はさほどかわらない、1,700円前後となる結果となる。金額PI値アップにはこのように、両極端の商品があり、バランスよく品揃えをすることがマーチャンダイジング上はポイントとなる。
  
   No.3は飲料部門の1位、日本ミルクコミュニティ、メグミルク牛乳1000ml、金額PI値876円である。No.4も飲料部門であり、2位となった森永乳業、まきばの空1000ml、金額PI値819円である。どちらも牛乳であり、今週はNo.1、No.2がヨーグルト、そして、このNo.3、No.4が牛乳と定番の中でもトップクラスの商品が新製品ランキングでもトップを占めた。そして、No.5、No.6は家庭用品部門であり、資生堂、HAKUメラノフォーカスEX45g、金額PI値776円、コーセー、白澄(ラージサイズ)60ml、金額PI値694円であった。どちらも化粧品の高額製品であり、平均単価7,343円、6,082円である。これについで、No.7は先にもあげたその他食品部門の明治乳業、ブルガリアヨーグルトそのままであり、No.8は飲料部門の日本コミュニティ、雪印コーヒー1000ml、金額PI値502円である。
  
   以上が、今週、金額PI値500円以上の8品であり、これまでにない、高い水準の金額PI値であり、特に、値上げ関連の新製品も多く、そのまま定番の見直しにもつながるといえ、今週は、新製品としてだけ見るのではなく、定番の見直しとしてもじっくり見極めたいところである。この金額PI値超Aランク、Aランクについで、金額PI値300円以上のBランクの新製品も14品もあるので、このBランクも今週はしっかりチェックしておきたいところである。
  
   さて、今週は、これら金額PI値の極めて高い新製品に加え、菓子部門でも異変がおこっている。今週のPOSデータの集計は3/8から3/14の1週間であるため、ちょうどホワイトデーの3/14が入ったため、その関連の新製品がまさにオンパレードである。菓子部門1位から3位、5位から8位とメリーチョコレートカムパニーが上位を占め、これ以外にも3品が菓子部門に入った。その1位であるが、ミニチョコレート14個、金額PI値318円、2位がミニトリフチョコレート9個、金額PI値312円、そして、3位がスプリングハーモニー10個、金額PI値290円となった。しかも、いずれも平均単価が1,000円、600円、1,000円とやや高額のチョコレートであり、これが今週のホワイトデーの重点商品であった。
   
   また、今週の冷凍食品部門であるが、1位は味の素、ギョーザ12個が金額PI値279円で入った。2位は日本ハム、梅薫るチキンカツ108gであり、金額PI値173円である。今週の冷凍食品部門は上位2品が冷凍食品となったが、3位、4位はアイスクリームであり、いずれもハーゲンダッツ、ドルチェブルーベリーチーズケーキ105ml、金額PI値159円、抹茶ラテ120ml、金額PI値159円となった。
   
   このように、今週は、先週からはじまったヨーグルト、牛乳等の値上げ関連のリニューアルの新製品等が矢継ぎ早にランクインし、新製品週間ランキングが活況を呈している。しかも、金額PI値も極めて高水準となり、このまま、定番として組み入れても良い新製品が多数を占めており、この数字をもとに既存のマーチャンダイジングをしっかり見直したいところである。来週以降も当面この傾向は続くといえ、金額PI値の高い新製品をしっかり押さえておきたいところである。

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March 20, 2009

マックスバリュ北海道、大幅減益、厳しい決算!

  2009年1月度の食品スーパーマーケットの決算が公表されはじめたが、3/18、マックスバリュ北海道が3/17のマックスバリュ中部にひき続き、2009年1月度の決算を公表した。イオングループ2社目の食品スーパーマーケットの決算の公表であり、今期のイオンの動向をうらなう上でも重要な決算である。その結果であるが、営業収益774.27億円(149.4%)、営業利益1.68億円(36.0%:営業収益比0.21%)、経常利益2.13億円(41.8%、営業収益比0.27%)、当期純利益2.64億円(155.7%:営業収益比0.34%)と大幅な増収となった一方、大幅な減益となり、厳しい決算となった。大幅な増収となったのは、昨年が10ケ月の変則決算であり、しかも、2008年4月にジョイをM&Aしたためである。

  大幅な減益となった理由を営業利益の面から見てみると、原価は75.8%と昨年の76.1%と比べ下がっており、結果、売上総利益は24.2%(昨年23.9%)となり、改善した。一方、販売費及び一般管理費であるが、25.8%(昨年25.0%)と0.8ポイントと大幅に上昇しており、マーチャンダイジング力、商品から得られる粗利-経費は、-1.6%と大きくマイナスとなり、厳しい結果となった。これに、不動産収入等の営業収入が1.8%(昨年2.0%)がのり、結果0.2%(昨年0.9%)とわずかにプラスになったが、経費増が重くのしかかっており、厳しい状況である。

  これに対し、マックスバリュ北海道は、「ジョイ店舗において、合併に伴うシステム変更や店舗オペレーションに想定以上の時間を要したことや、合併前から実施し定着していたポイントカードを取り止めたこと等により、売上高が想定以上に影響を受けました」とコメントしており、ジョイへのM&Aが想定以上に経営を圧迫したといえよう。

  その結果、キャッシュフローの流れであるが、営業キャッシュフローが17.39億円となったが、その中身は税引き前当期純利益がキャッシュフロー上はマイナスとなり、プラスとなったのは減価償却費10.88億円、仕入債務の増加18.30億円が主な項目であり、キャッシュが極めて厳しい状況である。一方、投資キャッシュフローであるが、16.05億円のマイナスであり、主な項目は有形固定資産の取得19.56億円である。結果、フリーキャッシュフローは1.34億円のプラスの順流にはなったが、当期純利益のキャッシュがマイナスとなっており、財務キャッシュフローで補わざるをえない状況である。そして、その財務キャッシュフローであるが、6.21億円のプラスであり、その中身は長期借入による収入が30.00億円と多額に上り、ここから長短借入金の返済、配当、自己株式の取得を行っており、結果、長期借入金がさらに増加する状況となった。

  したがって、自己資本比率であるが、23.6%と2割台となり、負債に大きく依存する財務状況となった。その負債の状況であるが、長短借入金等の合計が72.70億円(昨年44.71億円)と約30億円増加し、総資産283.34億円に占める割合は25.6%となり、財務を大きく圧迫する状況である。また、今期は金融機関の休日と決算日が重なったことにもより、買掛金が85.32億円(昨年56.91億円)と大きく増加したため、総資産に占める割合が30.1%になったことも大きかったといえよう。ただ、それでも、自己資本比率23.6%は厳しい状況であるといえる。

  一方、資産の方であるが、同様に、現金が11.95億円(昨年2.42億円)と金融機関の休日との関係で増加したが、これ以外では、出店にかかわる資産、土地、建物、敷金の合計が145.42億円(昨年114.08億円)と大きく増加しており、総資産に占める割合は51.3%となり、自己資本比率23.6%を大きく超え、差し引き、出店余力は-27.7%と大きく負債に依存する出店構造となり、財務的には今後の出店がかなり厳しい状況であるといえる。

  これを受けて、マックスバリュ北海道の株価の推移であるが、3/17(1,480円)、3/18(1,530円)、そして、3/19(1,530円)と、決算結果の厳しさとは逆に上昇気味で推移している。実際、最近のチャートを見ると3月前半は1,400円近くまで下がっていた厳しい株価であったが、3/10頃から株価が上昇しはじめ、この決算の発表のあった3/18、株価は上昇し、翌日も株価を維持しており、投資家は買いと判断したようである。特に、ここ数日、本体のイオンが本格的にディスカウント路線を目指す方針が明らかになり、イオン本体の株価も上昇気味で推移しており、その動きとも連動しているとみられるが、マックスバリュ北海道のここ最近の株価は明かに上昇気味である。

  このように、3/18、マックスバリュ北海道の2009年1月度の本決算が公表されたが、大幅な増収とはなったが、利益は大幅な減益となる厳しい決算となった。また、財務内容も自己資本比率が23.6%となる厳しい状況となり、財務的にも負債が重くのしかかる状況である。その要因には積極的な新規出店に加え、ジョイへのM&Aが重なり、予想以上にM&A後の財務改善に時間がかかっており、経費、負債双方を圧迫している状況であるといえる。今後、マックスバリュ北海道としては、いかに、収益性をたかめるかが急務といえ、そのためにも、一層の原価削減とM&A等で膨らんだ経費の削減が急務といえよう。今後、この決算結果を受け、マックスバリュ北海道が今期どのような経営改革を打ち出すかに注目したい。

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March 19, 2009

食品スーパーマーケット、2009年本決算、公表はじまる!

   いよいよ、2009年度の食品スーパーマーケット業界の本決算の公表が始まった。食品スーパーマーケット上場企業の決算月は1月度が3社、2月度が38社、3月度が9社となり、この3ケ月で全体が約60社であるので80%以上となる。これ以外では4月、5月、9月、12月度がそれぞれ数社となる。その1月度の決算企業の1社、マックスバリュ中部が3/17、2009年1月度の本決算を公表した。今回の決算は昨年が変則の10ケ月決算であったため、昨年対比はないので、率だけの比較となる。その結果であるが、営業収益1,151.91億円、営業利益20.61億円(営業収益比1.78%)、経常利益21.65億円(営業収益比1.87%)、当期純利益6.20億円(営業収益比0.53%)となった。

   売上は一昨年の1,002.05億円と比べると114.9%と順調に伸ばしているが、昨年の10ケ月決算時の2008年1月度の店舗数が89店舗であり、今期の店舗数は、新店がマックスバリュ郷津店(4月、三重県松阪市)、マックスバリュ多気店(6月、三重県多気郡多気町)、マックスバリュ垂井店(10月、岐阜県不破郡垂井町町)、マックスバリュ鈴鹿住吉店(11月、三重県鈴鹿市)、マックスバリュ金剛坂店(11月、三重県多気郡明和町)の5店舗に対し、閉店が7店舗あり、差し引き2店舗減の87店舗となっており、やや厳しい状況であるといえよう。

   また、営業利益に関しても、同じく一昨年が20.27億円(営業収益比2.0%)と比べ、ほとんど増加しておらず、率に関してはむしろ下がっており、厳しい状況であるといえよう。マックスバリュ西日本の経営目標は2012年度までに中部圏で確固たるスーパーマーケットの地位を築くことを目指しており、その目標数値のひとつが営業利益率4.0%以上であるので、現段階では利益率が目標数字の半分以下となっており、今後、いかに、売上をあげてゆくかはもちろん、営業利益をも引きあげてゆけるかが、大きな経営課題となった今期決算であったといえる。

   そこで、今期のキャッシュフローの流れを見てみると、営業キャッシュフローは46.03億円であり、これは過去5年間では最高の数字となった。特に、税金等調整前当期純利益が14.75億円、さらに減価償却費が18.72億円と多額となったためである。これを受けて、投資キャッシュフローも-35.81億円と過去5年間で最高の投資となり、特に、有形固定資産の取得に35.91億円と積極的な新店開発への投資がなされた。結果、フリーキャッシュフローは10.22億円となる順流であった。そして、財務キャッシュフローであるが、-7.58億円となり、主に長短借入金の返済と配当、そして、自社株買いであった。

   一方、財務の方であるが、気になるのは自己資本比率であるが、今期は31.8%となり、この数字は過去5年間で最も低い数値であり、積極的な投資がむしろ、自己資本比率を引き下げた構図となっており、財務バランスが厳しい状況である。その要因をまず、負債面から見てみると、負債の中の主要項目である長短借入金の状況であるが、今期は67.54億円となり、総資産427.38億円の15.8%である。一昨年の78.14億円、昨年の72.34億円と比べても減少しており、長短借入金等が自己資本比率を大きく下げる要因ではない。したがって、これ以外で自己資本比率を引き下げている負債の項目を見てみると、預り保証金36.95億円(総資産の8.6%)、未払い金及び未払費用27.23億円(総資産の6.3%)、設備支払手形21.81億円(総資産の5.1%)等があり、これらを合わせると20.1%となる。この大部分が新店開発関連と見られるので、新規出店の設備投資が借入金以外の負債を増加させ、自己資本比率を引き下げていると思われる。

   そして、資産の方であるが、その新規出店がらみの出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計であるが、289.85億円となり、これは総資産の67.8%となり、到底、自己資本比率では相殺できず、出店余力、自己資本比率は、31.8%-67.8%=-36.0%となった。したがって、新規出店関連の資産の半分以上を負債に負う出店構造となっており、さらにその内の半分を長短借入金、半分を保証金、未払い費用、手形で賄っている構図であり、新規出店が財務的には厳しい構造をもたらしたといえよう。ちなみに、1店舗当たりの出店にかかわる資産は4.9億円である。

   こう見ると、マックスバリュ中部の2009年1月期の決算は昨年が10ケ月の変則決算であったため、昨対比較が十分にできず、今期決算の評価が難しいところであるが、店舗数が昨年よりも減少したことに加え、一昨年の営業利益高とほぼ同じ数字であり、率は下がっていることを見ると、やや厳しい決算結果であったといえよう。また、財務面を見てみると、新規出店への投資が過去最高となり、キャッシュフロー上は営業キャッシュフローの範囲内で回っているが、結果、自己資本比率はこの5年間で最も低い数値となり、負債に大きく依存する新規出店構造となってしまった。結果、財務バランスが負債依存型になり、不安定な財務構造となり、今後の新規出店余力が厳しい状況となりつつある。

   したがって、これを踏まえて、今期、2010年1月度はまず、中期経営目標に掲げた営業利益率4.0%へいかに近づけ、営業キャッシュフローを豊かにし、長短借入金等を含め他の負債の削減を行い、自己資本比率を引き上げ、出店余力をいかに引き上げるかが急務といえよう。マックスバリュ中部は一昨年が64店舗であり、その後、M&A、新規出店を行い現在87店舗へと急激に拡大したが、その急成長が財務バランスを崩したといえ、再度、財務バランスの立てなおしが今期の経営の最優先課題といえよう。マックスバリュ中部が今後、財務戦略をどのように打ち出すかに注目したい。

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March 18, 2009

セブンイレブンの最新店舗、富山に出現!

   月刊コンビニ(商業界)、3月号で、「セブン-イレブン北陸攻めの全貌」の特集記事が掲載されているが、この中に、富山ニ口町にオープンしたセブンイレブンの最新店舗の調査データの詳細が掲載されている。レイアウト図に加え、カテゴリー別売り場スペース配分比較表、重点カテゴリーの品揃え状況、地域食材の主な扱い商品などである。特に興味深いのはレイアウトであり、食品スーパーマーケットと比べ、コンビニ特有の工夫がこらされ、食品スーパーマーケットとしも参考になるレイアウトである。

   今回、この特集記事は26ページに渡っての内容であり、その中身も、北陸攻略の全貌、フォーマット分析、コンビニ勢力図、地区MD4社比較、清酒品揃え比較、ドミナント戦略の成否、商圏潜在力激戦地区予測、地区MD戦略を問う、迎え撃つ地場コンビニの9項目に渡って、セブンイレブンの北陸攻めを分析した記事である。これだけ、セブンイレブンの北陸攻めが注目されるのは、セブンイレブンはまだ日本の都道府県で未出店地域が東北、四国、中国、九州、そして北陸など10ケ所近くあり、その残された未出店地域のひとつ、北陸への本格出店であり、しかも、2年以内に、北陸3県に200店舗の出店計画をもっての新規参入であるからである。

   セブンイレブンの出店戦略はドミナト戦略を基本に据えており、一度、その地に出店をはじめると、短期間で数百店舗を出店し、いっきに採算ベースに乗せる戦略をとるのが通常である。今回の北陸への出店もすでに、50店舗が契約済であるといい、今期60店舗以上の出店を果たす計画であり、さらに、今後3年以内に200店舗の出店予定であるという。近々に北陸に工場及び物流センターもオープンし、本格的なドミナント出店の体制も整うという。

   同時にセブンイレブンは情報戦略を重視しており、一昨年、完了した第6次総合情報システムでは、従来、ISDN回線、衛星回線、IP専用回線の3系統であったネットワークシステムが光ファイバーに統合されたため、この情報システムの高度化も前提となったドミナント展開を原則としているため、光ファイバーの整備の遅れていた地区にはなかなか新規出店が難しかったという背景もあり、ドミナト戦略を進めにくい地区には出店を控えてきたという背景もある。

   当然、そのようなセブンイレブン未出店の地区には他のコンビニチェーン、地元のコンビニチェーンがすでに数多く出店しており、今回の北陸3県でも、ローソン、サークルKサンクス、ファミリーマート等が約1,000店舗出店しており、その競合激戦区へのセブンイレブンが満を持して、どのような戦略でのぞむかが注目されたため、今回、月刊コンビニで大々的に特集記事が組まれたといえよう。

   さて、この記事の中で、最も興味深かったのは、このような激戦区へ、セブンイレブンがどのような店舗フォーマット、マーチャンダイジング戦略で参入を図ったのかということであり、その状況が今回の特集記事の中から伺うことができる。特に、食品スーパーマーケットにおいても参考になるのはレイアウトであるが、今回オープンした富山ニ口町のレイアウト図を見ると、大変興味深い。もともと、コンビニは商品分類でみれば、生鮮はほとんど取り扱いがなく、日配も重点商品のみの取り扱いであり、さらに、菓子、食品は売れ筋、新商品に絞った取扱いである。食品はこれに加え、惣菜があるが、FF(ファストフード)、弁当、おにぎりが中心であり、さらに、非食品として、雑貨、各種サービスがあるという商品構成である。

   商品で見ると確かに、このような分類になるが、もうひとつ、コンビニは文字通り時間が重要なキー概念であり、商品分類を縦軸とすれば、横時に時間をとり、5分以内で食べられる商品(食品)、5分以内で使える商品(非食品)が最重点商品であり、ついで、10分以内、20分以内となってゆくのが実態である。まさに、time is money、時間に価値を置いた商品を品揃えするのが原則であり、それゆえ、価格も定価で販売しても十分に価値があるといえる。

   こう見た時、まさに、今回のセブンイレブンの最新レイアウトは入口からまっすぐ、FFコーナーから、米飯、アイス、同様に、右下から雑誌、雑貨と続き、さらに入口から斜めに切って、右上が5分以内の食品、左下が5分以内の非食品となっており、どちらも最短距離(時間)で買い物がしやすく、しかもメインのFFから弁当のゾーンの向かえにアイスクリームと冷凍食品の平台を起き、たまりをつくるなど工夫が凝らされている。同時に、ゴンドラを2つに切り、エンドを10本つくり、回遊性を増すと同時に、販促ポイントを強化するなどの工夫もみられる。
 
   このように、わずか46坪の中に約2,500品を時間というキーワードをもとに商品を最適配置するコンビニのレイアウトは食品スーパーマーケットではなかなか踏み切れない発想でもあり、興味深いレイアウトである。しかも、この内、週100品近く商品の改廃があるので、年間では5,000品を超え、品揃えが2回転する速さで動くというのであるから、ここでも時間がキーワードのマーチャンダイジングが展開されているといえる。食品スーパーマーケットも今後、単純な商品分類にこだわるのではなく、時間をはじめ、様々なキーワードで商品分類を再構築し、顧客にとって買いやすいレイアウトに改善してゆきたいところである。

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March 17, 2009

たばこのマーチャンダイジングを考えてみる!

   食品スーパーマーケット約300社の2009年2月度のたばこのPOSデータを独自に入手した。たばこは現在、taspo効果により、日本全国のコンビニの売上を約10%ひきあげるという異常な状況を作り出している商品であるが、食品スーパーマーケットでの実態はどのようなものであるのか、そして、たばこはどのようなマーチャンダイジングがポイントとなるのかをこのPOSデータをもとに考えてみたい。

   たばこは今回の約300店舗の食品スーパーマーケットで販売実績があるものを見ると271種類に及ぶ商品であることがわかる。その内、カバー率が30%以上の商品で68品、20%で90品、そして、10%で137品となり、残り134品は10%以下のカバー率であり、品揃えがかなりばらついている商品である。この中には、10個まとめた箱売りもあるが、これをざっと見ても、まず、たばこのマーチャンダイジングを考えるには、約100種類ぐらいは品揃えが欲しいところであろう。

   また、たばこは国の独占事業であったために、そのほとんどは日本たばこ産業の商品であるが、1985年に専売法が解除されたために、輸入品等も増え始めた。実際、この271品の中では91品が日本たばこ産業以外の商品であり、率で33.5%である。その内訳であるが、フィリップモリスジャパンが40品、太豊通商(中国たばこ)が9品、残りが、輸入品であり、42品である。

   では、このたばこの金額PI値、PI値、平均単価、すなわち、マーチャンダイジングの根幹の公式、金額PI値=PI値×平均単価に当てはめてみるとどうなるかを見てみたい。まず、全271品の金額PI値であるが、今回のPOSデータが導入店のみの数字であり、正確な客数がつかみにくいために、たばこの扱店の金額PI値、PI値のデータは正確な数字であるが、約300店舗全体の金額PI値、PI値は算出されておらず、独自に算出したおおよその数字となる。

   まず、全体の数字であるが、271品全体では金額PI総店16.53円、PI総店2.10%、平均単価788円である。これはどのようなイメージかというと、食品スーパーマーケットに来店した顧客の総レシートの約2%の個数だけたばこが売れ、その売れた個数の1品当たりの平均単価は788円であり、結果、全レシート当たりでは、16.53円の売上金額となるというものである。

   少しわかりにくいが、ごくおおざっぱにみれば、来店客数の2.10%がたばこを平均788円で買っているという状況であり、結果、約98%のたばこの未購入者も含めると1人当たり16.53円のたばこの平均売上となるというものである。ID分析ができれば、もっと正確なたばこの購入者のイメージを明らかにできるが、残念ながら、今回入手したPOSデータではここまでが限界であり、ここまでの指標でたばこの現状を分析し、そのマーチャンダイジングを考えてみたい。

   さて、この金額PI総店16.53円が高いか低いかであるが、一般に、金額PI値が10円を超えれば食品スーパーマーケットのカテゴリーとしては高いといえ、したがって、16.53円は食品スーパーマーケットのカテゴリーとしてはトップクラスといえる。この中で、たばこの金額PI値のベスト商品を見てみると、No.1は、JTマイルドセブン・スーパーライト20本×10、金額PI値1.24円、PI値0.041%、平均単価3,013円、カバー率74.6%である。No.2はJTマイルドセブン・ライト20本×10、(1.08円、0.036%、3,011円、74.6%)、No.3はJTセブンスター20本×10(1.11円、0.037%、3,014円、74.0%)であり、そして、No.4はJTマイルドセブン20本×10(1.07円、0.036%、3,013、73.6%)である。この4品のみが金額PI値1円を超える超重点商品であり、いずれも箱売りである。No.5以下は金額PI値が0.80、070円台になるので、たばこのマーチャンダイジングはまず、箱売りのこの4品をしっかり押さえるかがポイントとなる。

   以下、ベスト10までを見てみると、マイルドセブンワン100’S BOX20×10(0.83円、0.028%、3,005円、70.7%)、JT キャスター・マイルド20本×10(0.78円、0.027%、2,912円、73.0%)、JTマイルドセブンスーパーライト20本(0.74円、0.24%、302円、59.5%)、JTマイルドセブンエクストラライト20本×10(0.71円、0.024%、3,007円、71.7%)、JT セブンスター20本(0.71円、0.23%、302円、58.5%)、JTマイルドセブン・ライト20本(0.62円、0.20%、302円、59.2%)という状況である。この中には箱売りではなく、バラ売りがマイルドセブンスーパーライト、セブンスター、マイルドセブン・ライトと3品入っており、しかもPI値が約0.2%と箱売りの10倍近くあるので、いかに欠品させずに、在庫を確保するかがポイントとなる。

   この10品でたばこ全品の金額PI総店の約40%であり、たばこは重点商品をしっかり押さえることに加え、残り60%の売上を確保するために、いかに品揃えを広げるかがマーチャンダイジングのポイントであるかがわかる。ちなみに、ベスト100までで、たばこ全品の金額PI総店が約90%になるので、やはり、たばこは100種類前後の品揃えが欲しいところである。

   このように、食品スーパーマーケットのたばこの現状とマーチャンダイジングの課題をざっと見てみたが、たばこは、箱売りとバラ売りをバランスよく押さえることが重要であり、しかも、重点商品だけでは売上を確保するのが難しく、幅広い品揃えが決めてとなる独特な商品であるといえる。実際コンビニのたばこ売り場を見ると、どこのコンビニでもレジの上に約100種類ぐらいのたばこを品揃えしているが、今回のデータから見ると、理に適ったマーチャンダイジングであることがわかる。食品スーパーマーケットとしても、再度、たばこのマーチャンダイジングを見直したいところである。

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March 16, 2009

百貨店、深刻、11ケ月連続前年割れ、2009年1月度!

   この1月度、百貨店の売上不振の深刻度が3/13の日経MJの調査で明らかになった。この1月度の売上概況はすでに2/19に日本百貨店協会から公表されているが、これに日経MJが主要都市の個々の百貨店の1月度の売上を独自に調査集計したものを3/13に公表した。それを見ると、全体では-9.1%となり、10%を割りこんだ主要都市は名古屋-14.1%、福岡-12.0%、仙台-11.4%、広島-10.4%、神戸-10.2%となり、これについで、東京-9.6%、横浜-8.6%と続く。逆に、比較的落ち込みが少なかった主要都市は、札幌-5.8%、京都-6.4%、大阪-6.8%であるが、いずれも5%以上ダウンしており、深刻な状況であるといえよう。

   この深刻な数字の落ち込みに対して、日本百貨店協会は、その要因を、「消費者の生活防衛意識が一層高まる傾向を受けて、宝飾品等の高額商材や衣料品等のファッション商材を中心に引き続き苦戦を強いられ、初売りも全般的に伸び悩んだ。」と分析しており、高額商品と衣料品の苦戦が大きかったと、コメントしている。実際、商品別に数字を見た場合、10%以上落ち込んだ分類は、雑貨-13.2%、身の回り品-12.5%、婦人服・洋品-12.8%、紳士服・洋品-10.4%、家庭用品-10.2%と深刻な状況であることがわかる。ちなみに、宝飾品は雑貨の中に含まれており、美術・宝飾・貴金属として集計され、その数字を見ると、-19.1%とすべての商品分類の中で最も落ち込みが大きかった分類である。

   逆に、善戦した商品群は食料品+0.7%、金額は少ないがサービス+0.5%のみである。これをさらに細分化して見ると、菓子+1.6%、生鮮食品+0.8%、惣菜-1.6%という状況であり、菓子がすべての細分類の中では最も健闘している商品群である。また、-13.2%と大きくマイナスとなった雑貨の中でも化粧品は-2.9%と落ち込みが少なく、百貨店で購買する消費者は食品、サービス、化粧品に関しては、比較的しっかり購入をしたといえよう。

   では、この11ケ月連続昨対割れがどのような数字の推移であったかを見てみると、3月(-1.2%)、4月(-3.4%)、5月(-2.7%)、6月(-7.6%)、7月(-2.5%)、8月(-3.4%)、9月(-4.7%)、10月(-6.9%)、11月(-6.4%)、12月(-9.4%)、そして、 1月(-9.1%)という状況である。数字の落ち込み幅が大きくなりはじめたのが9月から10月にかけてであり、やはり、9/15のリーマンブラザースショック後に消費者心理が急激に冷え込みはじめたといえそうである。

   また、同様に商品分類でこの10月度から急激に数字が深刻化しているものは、1月度でも大きな落ち込みとなった美術・宝飾・貴金属であり、9月(-6.4%)、10月(-13.5%)、11月(-15.9%)、12月(-18.5%)、1月(-19.1%)と深刻度が加速化している。さらに、家具、家電、商品券、そして、婦人服、紳士服もほぼ同様な動きを示しており、いかに、この数ケ月、百貨店が深刻な売上ダウンに陥っているかがわかる。特に、百貨店の場合は衣料品の売上構成比が44.0%、雑貨が11.9%あり、この2つで売上の50%を超える。その中でも婦人服・洋品は29.2%と突出しており、この数字が-12.8%となり、相乗積でみると、3.73%となり、全体の-9.1%の約40%分に相当する深刻度である。

   これは見方を変えれば、婦人服を経営の根幹に据えて小売業態を作り上げてきた百貨店のビジネスモデルそのものが崩壊しているともいえ、今後、百貨店は婦人服の復活を待つか、新たなビジネスモデルに転換するかの選択を突きつけられているといえ、このまま、消費環境が深刻化すれば、今期、各社経営戦略の再構築が避けて通れない課題となったといえよう。ただ、逆に考えれば、百貨店はすべての小売業の中で、婦人服の購入層の支持を最も勝ち得た業態であるともいえ、再度、その購入層のID分析を行い、婦人服を含めて、どのようなニーズがあるのかを根本的に見直す機会でもあるといえ、新たな需要を見つけ出し、育成してゆくチャンスでもあるといえよう。

   さて、では、全体の数字がこの1月度は-9.1%となったが、個々の店舗で見て、最も深刻な店舗を見てみると、さくらの仙台店-22.2%、四条河原町阪急-17.%、松坂屋静岡店-17.1%、そごう心斎橋本店-16.2%、神戸阪急-15.8%、そごう柏店-15.1%、小田急新宿店-15.0%、松坂屋本店-14.8%、三越福岡店-14.6%、天満屋(3店)-14.2%、三越新宿店-14.1%、博多大丸(2店)-13.8%、近鉄(7店:大阪)-13.7%、有楽町西武-13.4%、高島屋東京店-13.2%、松坂屋高槻店-13.1%、高島屋(4店:大阪)13.0%という状況であり、以上が13.0%以上この1月度昨対が厳しかった百貨店である。

   このように、この1月度で百貨店は11ケ月連続昨対割れとなる深刻な事態となり、特に、9/15のリーマンブラザーズショック以降、急激に売上のダウンが起こっている。特に、百貨店の根幹ともいえる婦人服、そして、百貨店ならではの高額商品である美術・宝飾・貴金属等が深刻な数字である。消費環境は現在も好転しているとはいえず、むしろ、景気全体が深刻な状況に陥りつつあり、当面、百貨店の数字の回復は厳しいものと予想される。これを受けて百貨店業界の今期決算は厳しい状況が見込まれるが、その結果を踏まえて、来期の経営戦略を各百貨店がどのように打ち出すかに注目である。

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March 15, 2009

九九プラス、バリューローソンと合併、株価急騰!

   九九プラスの株価が急騰している。今週3/13(金)現在の株価は125,000円(+20,000円、+19.04%)となり、異常な株価急騰となった。今週の上場小売業約400社の中でも5日移動平均乖離率は実質No.1となり、投資家の熱い視線がここ数日集まっている状況である。今週小売業No.1の5日移動平均乖離率はイチヤの100.0%であるが、現在の株価が2円であり、現在、JASDAQ市場の上場時価総額基準に係る猶予期間に入っているので、九九プラスが小売業界実質No.1の5日移動平均乖離率といってよく、3/13現在23.46%である。ちなみに、25週は52.37%、13週は75.08%、そして、26週は88.12%という状況であり、どの段階でも九九プラスの株価は上昇しており、実際、チャートを見てもきれいな右上がりの典型的な上昇カーブとなっている。

   その要因は、この3/6に公表されたローソン100%子会社のバリューローソンとの「合併契約書締結に関するお知らせ」の公表にあるといえ、3/6前後の株価の推移を見ると、3/4(78,000円)、3/5(78,500円)、3/6(80,200円)、明けて、月曜日、3/9(90,200円)、3/10(91,000円)、3/11(95,000円)、3/12(105,000円)、そして、3/13(125,000円)という急騰であり、もちろん、年初来最高値の更新である。

   今回の合併の内容であるが、すでに3/6に両社の取締役会で承認がなされ、契約書が締結されており、その後、5/1に合併がなされる予定である。合併比率はバリューローソンの普通株式1株に対して、九九プラスの普通株式0.97 株を交付することになるという。存続会社は九九プラスであり、バリューローソンは消滅会社となる。

   ここで、両企業の概要を見ておくと、九九プラスはすでに、本ブログでも何度も取りあげているが、2008年3月期の決算数字は売上高1,229.97億円(98.8%)、営業利益4.01億円(41.9%:売上対比0.32%)、経常利益3.56億円(41.5%:売上対比0.28%)、当期純利益0.47億円(前期は赤字:売上対比0.03%)と厳しい状況であった。また、直近の第3四半期決算は赤字決算であり、依然として厳しい状況が続いている。ただ、この第3四半期の3ケ月だけの数字を見ると黒字転換をしており、さらに、直近のこの2月度の売上を見ると、109.3%(既存店106.3%)と売上は好調であり、ここへ来て、業績が回復基調であるといえよう。

   一方、バリューローソンについてであるが、2008年2月期の決算数字は、売上高123.20億円(140.1%)と急成長している。店舗数は現在73店舗であり、売上は順調であるが、利益の方は厳しい状況が続いており、営業利益は5.35億円の赤字、経常利益も6.17億円の赤字、当期純利益も6.88億円の赤字である。しかも、直近の3年間、営業利益、経常利益、当期純利益が赤字であり、厳しい経営が続いていた。

   したがって、この2社が合併することにより、売上への貢献は存続会社九九プラスにとっては約10%近い効果が単純には期待できるが、利益に関しは、一層の経営改善が急務といえ、この合併を機に現在よりも、さらに踏み込んだ経営改革が必要といえよう。ただ、この両社はちょうど2年前の2月に締結した九九プラスとローソンとの資本・業務提携以来、共同での様々な業務改革に取り組んできており、その成果は着々と表れはじめている。今期の決算はまだ厳しいものがあると予想されるが、来期、2010年3月期、両社合併後の初の決算時には業績の好転が期待できるのではないかと思われる。

   現在、この両社は大きく、合併を前提に4つの経営改革に取り組んでいる。その4つとは、①商品の共同開発・共同仕入、②店舗統合に向けた「SHOP99」の「ローソンストア100」への改装実験及び検証、③新FC(フランチャイズ・チェーン)パッケージの構築、④商品カテゴリーごとに点在していた物流センターの集約による物流合理化の推進である。特に、②については、昨年の2月から新規出店及び既存の「SHOP99」を「ローソンストア100」へ改装し、今年の2月末で415店の新型「ローソンストア100」をオープンさせたという。バリューローソンの店舗数が現在73店舗、九九プラスの店舗、ショップ99の店舗数が853店舗であるので、約半数の店舗がローソンストア100へと改装したことになり、急ピッチでローソンストア100化が進んでいるといえよう。

   そして、この先にある経営戦略がショップ99という100円ショップの食品スーパーマーケットとローソンストア100という100円コンビニとの融合した生鮮コンビニの新業態を軌道に乗せ、その結果、経営効率化と競争力強化を促すとともに、企業価値の向上を目指すことであるという。

   このように、今回の九九プラスとバリューローソンとの合併は投資家からの強い関心を呼び、九九プラスの株価急騰という異常事態を招いた。先月2月上旬までは九九プラスの株価は6,0000円強であったが、わずか1ケ月で2倍の120,000円を超えた株価となり、明らかに加熱気味で推移しているといえよう。来週以降、九九プラスの株価がどの辺で落ち着くかわからないが、今回の合併を投資家は強い買いと見たといえる。ただ、親会社のローロンの株価は3/13現在、3,680円(-20円、-0.54%)と下げており、しかも、ここ最近のチャートを見ると明らかに右下がりの傾向であり、子会社の九九プラスとは対照的な株価となった。来週以降、九九プラスの株価がどの辺で落ち着くか気になるところである。

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March 14, 2009

日経MJ新製品週間ランキング、3/13、異変!

   今週の日経MJ新製品週間ランキング、3/1-3/7までの1週間の食品スーパーマーケット45チェーン、250店舗の新製品のPOSデータが公開された。期間が3/1-3/7ということでもあり、3/1から、明治乳業等の乳製品の値上げにともなう商品の見直し等もあり、今週の日経MJ新製品ランキングに異変が起こっている。金額PI値500円以上のAランクの新製品が5品、しかも、1,000円の超Aランクも登場するなど、いきなり、金額PI値の水準が引きあがった。Bランクの300円以上も8品、Cランクの200円以上は12品とこれまでの新製品週間ランキングでは見られなかった高い金額PI値の新製品のオンパレードとなった。当面、この傾向は続くと思われ、新製品に活気が帯びてきたといえよう。

   まず、注目は、今週No.1のその他食品部門の明治乳業、ブルガリアヨーグルトLB81プレーン450gであり、金額PI値は何と1,322円(1人当たり1.322円)という、新製品としては驚異的な数値である。ただ、この新製品は内容量を500gから450gへと1割減らし、価格を若干下げての商品リニューアルであり、もともと食品スーパーマーケットの中でも最重点商品のひとつであるので、高い数字は当然といえば当然であるが、それでも、1,322円はカバー率も96.4%であり、極めて高いといえよう。

   乳製品関連では、飲料部門の1位、全体ではNo.4となった森永乳業、まきばの空1000mlが初登場で金額PI値606円となった。まきばの空は今週初登場でのいきなり飲料部門1位であり、カバー率はまだ21.2%と低いが、今後期待がもてる新製品といえよう。飲料部門では金額PI値は473円と、わずかに500円のAランクを下回ったが、日本ミルクコミュニティ、メグミルク牛乳1000mlが2位に入った。カバー率も86.0%であり、今後、当面、両新製品ともトップクラスを維持するのではないかと思われる。

   そして、今週、金額PI値のAランクが集中した家庭用品部門であるが、3品登場した。1位はコーセー、白澄(ラージサイズ)60ml、金額PI値748円(平均単価6,113円)、2位は今週初登場のカネボウ化粧品、ブランシールスペリアホワイトニングコンクルージョンセット45ml+0.9g+0.3ml+25ml+15ml、金額PI値616円(平均単価9,699円)、そして、3位は先週1位の資生堂、HAKUメラノフォーカスEX45g、金額PI値603円(平均単価7,303円)である。いずれも、高額商品であり、PI値は低いが、金額PI値は今週の新製品の中は、No.2、No.3、そして、No.5とトップクラスである。

   以上が、今週金額PI値Aランクの500円を超えた5品であるが、ここ数ケ月の新製品ランキングでは見られなかった高水準の数値であり、この3/1をさかいに新製品週間ランキングも様変わりした状況である。今週は、この5品についで、金額PI値300円以上のBランクの新製品も数多く登場している。

   飲料部門では、先ほどのメグミルクについで、日本コカ・コーラ、コカ・コーラゼロ1.5l、金額PI値418円、同じく、500mlペットボトル、金額PI値381円、アサヒ飲料、三ツ矢サイダー1.5l、金額PI値336円である。そして、その他食品部門では、永谷園、すし太郎黒酢入り200.6g、金額PI値465円、キューピー、深煎りごまドレッシング170ml、金額PI値387円、そして、ここから明治乳業であるが、ブリガリアヨーグルトLB81そのままで450g、金額PI値357円、北海道十勝ヨーグルト85g×4、金額PI値356円である。以上が、金額PI値Bランク、300円以上の新製品であり、全部で8品となる。

   ついで、金額PI値200円のCランクも12品あるが、その中でも特に金額PI値の高い新製品を見てみると、飲料部門ではキリンビバレッジの生茶2L、金額PI値280円、同じく500mlペットボトル、金額PI値255円、菓子部門では先週同様1位となった不二家、カントリーマアム(バニラ&いちご)22枚、金額PI値234円、冷凍食品部門では、やはり先週同様1位となったハーゲンダッツジャパン、ドルチェブルーベリーチーズケーキ105ml、金額PI値236円、その他食品部門では明治乳業、プロビオヨーグルトLG21 112g、金額PI値272円、そして、家庭用品部門では、マックスファクター、SK‐ⅡWSダーム・デフィニションUVローション30g、金額PI値288円である。

   さらに、今週はこれまであげたように金額PI値の高い新製品が数多く登場しただけではなく、今週初登場の新製品も3/1からのPOSデータであるためか、数多く登場しているのが特徴である。その数を部門ごとにあげてみると、飲料部門では9品、菓子部門では4品、冷凍食品部門では3品、その他食品部門では7品、そして、家庭用品部門では3品と合計26品も登場しており、まさに、新製品のオンパレードといえよう。

   このように、今週はPOSデータの集計期間が3/1-3/7と値上げ関連商品の値上げの時期と各社の新製品の発売タイミングとが重なったためか、金額PI値がこれまでの数字とがらっと変わり、異変が起きたといえる。また、今週初登場の新製品もラッシュとなり、新製品の入れ替えもいっきにすすみ、ランキング全体の新製品が大きく入れ替わったのが特徴である。今後、当面、この傾向は続くものと思われ、食品スーパーマーケットとしては、この数字と新製品の動向をしっかり押さえ、マーチャンダイジングの改善に取り組みたいところである。

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March 13, 2009

いよいよ、本命、セブン&アイ、大衆薬市場に本格参入!

   3/12の日経新聞1面に「セブン&アイ、大衆薬で低価格店、調剤最大手と共同展開、コンビニにも供給」という見出しの記事が掲載された。いよいよ、本命、セブン&アイホールディングスが総力をあげて、この6月度の改正薬事法施行へ向けての本格的な対応がはじまったといえよう。これで、セブン&アイホールディングスはSC、百貨店、GMS、食品スーパーマーケット、コンビニ、ホームセンター、外食、ネットスーパー、そして、今回のドラックストアと小売業のほとんどの主要業態を網羅する総合小売業となり、今後、自前での店舗展開はもちろん、それぞれの業態で競合各社へのM&Aも本格化するものといえ、今後のセブン&アイホールディングスの動向には注目である。

   さて、日経の記事によれば、今回のドラクストアは低価格店ということで、ディスカウント型のドラックストアであり、昨年8月に資本・業務提携したアインファーマシーズとの共同の運営会社を5月を目途に設立し、PBの医薬品の開発、販売も含めて展開していくという。しかも、その運営会社はイトーヨーカ堂の医薬品販売やアインファーマシーズのドラックストア等を基盤にし、売上高600億円規模で立ちあげ、年30店舗の新店を開発し、2年以内に1,000億円(アインファーマシーズのほぼ年商に近い規模)、ドラックストア業界10位前後を目指すという。

   さらに、新店について、日経の記事では、郊外に単独で出店するほか、イトーヨーカ堂やヨークベニマルなどグループのスーパー内に入居するという。また、コンビニのセブンイレブンとの共同出店も進めるという。セブンイレブンに関しては、今後、大衆薬の取扱いもはじめる考えであるといい、すでに、本格参入を表明しているファミリーマートを含め、この6月移行、コンビニ業界でも大衆薬の販売が徐々にはじまり、数年後にはコンビニ業界で本格化する方向が確実になったといえよう。

   今回のセブン&アイホールディングスのドラックストアへの本格参入の最大のポイントは低価格であり、運営コストを下げた新ドラックストアの開発、アインファーマシーズとの医薬品のPB開発、グループのPB、セブンプレミアムの導入、そして、短期間での規模の拡大とグループの仕入れ力をいかした仕入コストの削減をミックスした、まさにセブン&アイホールディンウスの総力をあげての低価格を武器にしてのドラックストアへの新規参入であるといえる。

   当然、既存のドラックストアとの競合関係はより激しさを増すといえ、現在、約1兆円強といわれる大衆薬市場の争奪戦が本格化することになるといえよう。ただ、ドラックストア全体は小売業の中では年々市場が伸びている状況であり、しかも、国民医療費はすでに30兆円を突破し、国の財政を圧迫しつつあり、国自身が医療費抑制に向け大衆薬を増やす、いわゆるスイッチOTC(オーバーザカウンター)政策を推し進めており、大衆薬市場は拡大の方向であるといえる。したがって、大衆薬は市場が拡大する中での、低価格での市場シェア確保が今回のセブン&アイホールディンスの方向であるといえ、今後、各社がこの流れの中でどのような対応をするかが注目されよう。

   ここで、一方の当事者、アインファーマシーズの最新の決算、2009年4月期の第3四半期決算を見てみたい。売上高が860.58億円(110.7%)、営業利益35.94億円(123.3%:売上対比4.17%)、経常利益34.33億円(122.2%:売上対比3.98%)、当期純利益15.41億円(121.9%:売上対比1.79%)と増収増益、特に利益はいずれの段階でも2桁となる好調さである。また、昨年8月のセブン&アイホールディングスとの資本・業務提携により、資本金が増加したことにより、自己資本比率が20.9%から25.3%へと上昇した。ただ、まだ長短借入金等の合計が192.75億円と総資産612.22億円の31.44%と多額に上っており、財務を圧迫しているのが現状といえ、今後一層の財務改善を目指したいところである。

   これを受けて、今期の決算予想であるが、売上高1,153.00億円(108.5%)、営業利益49.20億円(110.7%:売上対比4.26%)、経常利益47.20億円(109.4%:売上対比4.09%)、当期純利益21.08 億円(130.5%:売上対比1.82%)と増収増益予想であり、この第3四半期同様、好調な決算予想である。

   では、今回、日経1面に載ったことによる、セブン&アイホールディングスとアインファーマシーズの3/12時点の株価の状況であるが、日経平均が-177.87円、7,189.25円となる厳しい状況に連動するように、セブン&アイホールディンスは-99円(-4.93%:1,906円)、アインファーマシーズは-50円(-3.01%:1,610円)と下げで終わった。投資家は今回の記事内容を積極的な買いとは判断していないようであり、冷静に今回の動きを見ているといえよう。

   このように3/12の日経新聞によれば、セブン&アイホールディングスが資本・業務提携先のアインファーマシーズと組み、この6月の改正薬事法の施行に合わせ、低価格のドラックストアに参入するとのことである。改正薬事法の施行への対応について、小売業の本命であるセブン&アイホールディンスの方針が決まったことで、これで、ドラックストア業界はもちろん、コンビニ、食品スーパーマーケット等の小売業界、各社が、今後、どのような対応を打ち出すかが注目である。

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March 12, 2009

ID-POSの新マーチャンダイジング、実践はじまる!

   食品スーパーマーケット最新情報、有料版プレミアムでは、新マーチャンダイジングと称し、ID-POSのマーチャンダイジングについての解説を様々な角度から取り上げているが、いよいよ、その新マーチャンダイジングがクライアントでも実践段階に入りはじめた。新マーチャンダイジングの基本方程式は、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値、ただひとつであり、この基本公式をもとに様々な角度から、ID、すなわち、顧客の購買実態を掘り下げ、マーチャンダイジングの改善につなげてゆくことが新マーチャンダイジングの目的である。

   この基本公式は実によくできており、また、応用範囲も広く、従来のマーチャンダイジングでは見えなかった世界が見え、これまでのマーチャンダイジングの常識が時にはくつがえされたり、時には、ますます深められたりし、日々、新たな発見がある。ここ最近、これまでのマーチャンダイジングの常識がくつがえされた事例としては、従来のマーチャンダイジングでは金額PI値を最大にすることが目的であり、正しい方向にマーチャンダイジングが進んでいると思っていたが、新マーチャンダイジングから見た場合は、必ずしも正しいとは限らなかったということである。

   これは新マーチャンダイジングの基本公式が示すように、新マーチャンダイジングの目的は金額PI値を引きあげることではなく、ID金額PI値を引き上げることであり、金額PI値は、ID客数PI値とともに、目的ではなく、手段のひとつであるからである。したがって、金額PI値が下がっても、ID客数PI値がそれ以上に上がれば、ID金額PI値は高くなり、従来のマーチャンダイジングでは失敗とみなされた結果が、新マーチャンダイジングでは成功とみなされるからである。

   これは、金額PI値がレシート当たりの売上を見ているのに対し、ID金額PI値がID当たりの売上を見ており、ID当たりの売上は、ID当たりのレシートの枚数、すなわち、ID客数PI値で決まるからである。従来のマーチャンダイジングはレシートの世界しか見ることができず、そのレシートが誰のレシートかはけっして判別がつかなかった。ところが、新マーチャンダイジングではID管理が前提であり、レシート1枚1枚にID番号がふられ、レシート1枚1枚が誰のレシートかが分かるようになり、商品の購入状況が何個と個数しかわからなかった情報が、商品の購入状況が回数、誰が何回買ったかまでわかるようになった。その何回を表す新たな指標がID客数PI値(レシート枚数÷ID数)であるが、このたったひとつの指標が見えるようになったことにより、これまで見えなかった顧客の購買実態の細部が見えるようになったことが大きいといえる。

   つきつめれば、従来のマーチャンダイジングと新マーチャンダイジングとの違いはID客数PI値にあるといっても過言ではなく、このたったひとつの指標が生まれたことにより、新たなマーチャンダイジングの世界がはじまったともいえる。しかも、この新マーチャンダイジングの基本公式は応用範囲が広く、たったひとつの公式が様々に変化し、次々と顧客の購買実態を掘り下げてゆくことができる。

   たとえば、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値のID客数PI値のレシートに着目し、このレシートをIDの全レシートで見た場合、購入レシートのみで見た場合、さらには、購入点数が多い場合で見た場合など様々なレシートで見た場合の購買状況に分解することができる。これがレシート変換である。また、今度はIDに着目し、ID客数PI値のIDをその商品の全購入ID、リピート購入ID、男女別、年齢別など様々なIDで見ることもできる。これがID変換である。さらには、IDの購入商品に着目し、特定商品のみで見た場合、あるいは購入全商品で見ることもできる。これが商品変換である。新マーチャンダイジングは基本公式はひとつであるが、顧客の購買実態をこのように、レシート変換、ID変換、商品変換という様々な角度から掘り下げることが自由自在にできるので、これまでのレシートのみでの断片的な顧客像から、ほぼ、等身大の顧客像を描くことができるようになるのが最大の特徴といえる。

   実際、この新マーチャンダイジングが現在、メーカー、小売業等で徐々に実践投入が始まっており、これまでのマーチャンダイジングでは得られなかった結論をもとに新たなマーチャンダイジングの仮説を立案し、検証に入りはじめている。特に、いま最も注目されているのが、商品変換であり、ある特定の商品を購入されている顧客がその商品以外にどのような商品、まずは、買い物かご全体の商品をどのような頻度で、どのくらい購入しているか、そして、その特定の商品と他の特定商品との関係はどのような構造になっているかである。これがわかることにより、その商品の購入顧客の店舗全体への貢献度、他の特定商品との購入実態がつかめ、これまでのマーチャンダイジングでは踏み込めなかった領域へ踏み込むことができるようになり、マーチャンダイジング戦略そのものの再構築につながってゆく。まだまだ、はじまったばかりの新マーチャンダイジングの実践ではあるが、時々、本ブログでもその成果を取り上げてゆきたい。

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March 11, 2009

神戸物産、2009年10月期第1四半期、業績回復!

   業務スーパーの神戸物産が3/6、2009年10月期の第1四半期決算を公表した。結果は、売上高310.52億円(127.8%)、営業利益2.06億円(257.3%:売上対比0.66%)、経常利益-0.31億円、当期純利益0.21億円(昨年は赤字:売上対比0.06%)となり、経常利益は営業外費用で為替差損が響き、赤字になったが、売上、営業利益は大幅に改善しており、最終利益も昨年の赤字から黒字に転換した。特に、売上は昨年同時期の2008年10月第1四半期が101.1%であったので、127.8%は大きく改善しており、昨年来厳しかった業務スーパーの売上が回復基調に入ったといえよう。
  
   経常利益が赤字に転落した要因となった為替差損は、今期2.52億円と営業利益の2.06億円を上回る金額であるが、これは神戸物産の海外取引がドル決済であるため、ここ最近の異常な円高が大きく影響したためである。神戸物産にとっては円高はマイナス要因であり、営業段階では業績が上向き始めているにもかかわらず、経常段階で営業外費用として計上せざるをえないため、当面、厳しい状況が続くと思われるが、今後、為替相場が落ち着き、この好調な業績が継続できれば、利益は急回復するものといえ、次の、第2四半期、そして、最終決算までにどこまで改善するかが気になるところである。

   その通期予想であるが、現時点で神戸物産は、通期予想について、売上高1,310.00億円(122.3%)、営業利益18.75億円(184.0%)、経常利益18.75億円(235.3%)、当期純利益11.11億円(250.8%)と大幅な増収増益予想としており、経常利益も営業利益とほぼ同じ18億円台を予想しており、為替差損の影響はこの第1四半期決算ほど発生しない予想としているようである。また、今期の好調な売上も通期を通じて継続できると予想しており、現時点の予想としては、業績が急回復する好決算の予想といえよう。

   ただ、少し気になるのは、今期のキャッシュフローの流れである。当期純利益が厳しい状況であったため、営業キャッシュフローも当然厳しい状況となるが、今期の営業キャッシュフローは残念ながら、-15.15億円となるマイナスのキャッシュフローとなった。したがって、投資キャッシュフローは当然、借入金で賄うか、現金で賄うかということになるが、今期の投資キャッシュフローは、-16.17億円となった。この主な内訳は有形固定資産の取得による支出16.02億円がほとんどであり、これは、エジプトの土地取得によるところが大きい。神戸物産は昨年の中国冷凍餃子問題から、中国以外への生産拠点の分散をはかっており、その有力な将来の海外拠点のひとつがエジプトであり、今回は、そのエジプトへの投資が主な内容である。

   結果、フリーキャッシュフローは、-31.32億円となり、大きくマイナスとなった。したがって、財務キャッシュフローで、賄わざるをえない状況であり、今期の財務キャッシュフローは17.15億円のプラスとなった。この主な内容は、短期借入による収入であり、その金額は20.00億円である。神戸物産は前期決算時の長短借入金等の合計がわずか0.68億円とほぼ無借金経営状況であったが、今回の短期借入金を実施したことにより、長短借入金の総額は20.66億円となり、総資産264.01億円の7.8%となった。その結果、自己資本比率も46.6%(昨年48.3%)と昨年よりもやや下がった。そして、トータルのキャッシュフローであるが、-16.96億円となり、今期の現金及び現金同等物は昨年の91.40億円から74.44億円へと下がった。

   こう見ると、売上の方は順調に回復基調にあり、それにともない営業利益もまだ売上対比では0.66%と低い段階ではあるが、昨年の厳しい状況からは回復し、堅調であるといえよう。ただ、さすがに、円高による為替差損に関しては、それを補うだけの業績の向上までには至っておらず、経常利益、そして、最終の当期純利益は依然として厳しい状況が続いている。

   さて、これを受けて、神戸物産の株価の推移であるが、この第1四半期決算のあった3/6前後の株価を見てみると、3/4(1,515円)、3/5(1,535円)、3/6(1,495円)、3/9(1,550円)と、特に3/6の次の営業日3/9が跳ね上がっている。3/9の日経平均は-87.07円と下がり、7,086.03円となった中での上昇であり、食品スーパーマーケット上場50社の中でもトップクラスの伸び率である。ただ、神戸物産の株価は1/5に自社株買に入ったことが好感され、2月はじめには一時は2,000円近くまで上昇していた。その後、株価は下がりはじめ、2/19に自社株買いが終了すると株価は1,500円前後で推移していたので、この3/9の1,550円もまだ上昇しはじめたかどうかは、難しいところであり、もうしばらく推移を見守る必要があろう。

   このように、神戸物産のこの第1四半期の決算を見る限り、順調に売上、営業利益は改善傾向にあるといえ、昨年のちょうどこの時期の中国冷凍餃子事件のよる経営危機は克服し、回復基調に入ったといえる数字であるといえよう。ただ、如何せん、為替相場の影響が大きく、経常利益が厳しい状況であるが、今後、中国から、現在取り組んでいるエジプト、その他海外への生産拠点の分散が進めば、経営リスクも軽減されると思われる。通期予想はその辺を見込んだ数字と思われるが、今後、神戸物産の好調な売上、営業利益を踏まえ、経常利益、そして、当期純利益が、どこで反転するかに注目である。

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March 10, 2009

食品スーパーマーケットで自社株買い、株価は?

   昨年9/15のリーマンブラーズショック以来、日経平均が低迷するなか、食品スーパーマーケット業界の株価も例外ではなく、厳しい状況が続いている。このような中で、食品スーパーマーケット業界も決算を控え、株価対策として、自社株買いを実施する企業がここ最近見受けられる。自社株買いは株式市場での流通株数を抑え、1株当たりの価値を引き上げる株価対策の有力な手段のひとつであるが、キャッシュに余裕がないと、自社株買いを行うための原資が捻出できず、自然、キャッシュに余裕のある財務の安定した企業が行うのが一般的である。

   通常、自社株買いを実施する企業のキャッシュフローの流れをみると、営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを引いたフリーキャッシュフローに余裕がある場合、投資家への配当、借入金などの債務の返済、次期への繰り越しの3つのバランスをとり、さらに余裕がある時に自社株買いを実施するのが通常である。したがって、配当が不十分であったり、借入金が多額であったりした場合には、この2点が最優先のキャッシュフローの使途となり、中々、株価が低迷していても、自社株買いまでは余裕がないのが実情である。また、本来、好調な業績により、財務が安定している場合、株価は自然上昇する傾向があり、逆に、優良企業が自社株買いをするケースは少ないといえるが、今回の未曾有の金融危機は、企業の業績の如何に関わらず、株価全体が下げに転じており、優良企業でも株価対策が必要な異常状況といえる。その意味で、ここ最近は優良企業があえて自社株買いを行っているともいえ、食品スーパーマーケットでも同様な動きが見られる。

   その典型的なケースのひとつといえるかと思うが、オオゼキが2/9、「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ」を公表し、自社株買いに踏み切った。内容は、60万株(4.90%)、総額16億円を上限とする自社株買いであり、しかも、2/10から2/13までの短期間での株式購入である。オオゼキはその目的を、「株主価値の向上を図るとともに、経営情勢の変化に対応した機動的な資本政策を遂行するため」としており、株価対策だけでなく、機動的な資本政策を遂行するためとしており、将来的な株式交換などによるM&Aにも備えたものともいえよう。

   結果であるが、2/10に532,500株を1株2,565円で合計1,365,862,500円で取得し、終了した。2/9発表、2/10終了のわずか1日での早業であり、これで、約5%弱のオオゼキの株価が市場から減ったことになる。ちなみに、その前後のオオゼキの株価の推移であるが、2/9(2,565円)、2/10(2,615円)、2/12(2,620円)、2/13(2,610円)、2/16(2,620円)という状況であり、やや上昇したといえるが、3/4(2,540円)、3/5(2,535円)、3/6(2,485円)であるので、現在は自社株買い以前の水準にもどりつつあり、自社株買い以上に、市場全体の下げ圧力が高いといえよう。

   オオゼキのこの第3四半期のキャッシュフローの流れであるが、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの合計のフリーキャッシュフローは4.68億円であり、これに若干の現金を取り崩し、この第3四半期は財務キャッシュフローで4.89億円を配当のみに費やした。オオゼキは現在、無借金経営であり、債務の返済は必要なく、自己資本比率は78.7%と超健全な状況であり、現金及び現金同等物も100億円を超えている。今回、この原資を自社株買いに充てたものと思われる。今後オオゼキは積極的な新規出店を表明しているので、投資キャッシュフローは増加する傾向になると思われるが、財務キャッシュフローでの返済が必要ない分、今後とも機動的に自社株買い、配当等にキャッシュフローを当てることができ、成長路線と株価対策の双方をバランスよく実施できる状況にあるといえよう。

   また、オオゼキ以外にもここ最近自社株買いを実施している食品スーパーマーケットは平和堂、神戸物産等がある。平和堂は昨年の11/5に200万株(3.57%)、30億円を上限とする自社株買いであり、期間は今年の2/20までである。結果は11,600株(14,824,400円)と目標を大きく下回ったが、2/20に「自己株式の市場買付及び取得終了に関するお知らせ」で終了の宣言をしている。そして、神戸物産であるが、1/5に175,500株(1.99%)、273,631,200円を上限する自社株買いを実施し、2/19に終了したが、結果は30,100株、44,814,200円となり、平和堂同様、目標を大きく下回った。

   このように、食品スーパーマーケットは2月期決算、3月期決算が大半であり、ここへきて、全体的な株価の低迷に連動するように食品スーパーマーケットの株価も低迷しており、今回、その対策の一環として、オオゼキ、平和堂、神戸物産等が自社株買いに踏み込んだ財務戦略を実施したが、オオゼキはほぼ目標どおり、平和堂、神戸物産は目標を大きく下回るという対照的な結果となった。また、目標どおり自社株買いを終了したオオゼキも一時的には若干株価の上昇も見られたが、ここへきて、また、株価は厳しい状況を示しており、自社株買だけでは株価対策が厳しい状況といえよう。今後、オオゼキを含め、各食品スーパーマーケットがどのような株価対策を打ち出すかに注目したい。

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March 09, 2009

ウォルマート、2009年2月度売上速報、既存店104.5%!

   ウォルマートが今期最初となる2009年2月度の売上速報を3/5公表した。2月期は1/31(土)から2/27(金)までの4週間の売上集計であり、2010年1月期決算の最初の売上速報となる。結果は全体の売上が102.8%と1月度の101.8%を上回り、堅調な数字となった。これに対して既存店は104.5%(燃料費を抜くと105.1%)と好調な売上となり、日本以上に節約志向が厳しい状況のアメリカの消費環境の中で、消費者から強い支持を得た結果といえよう。既存店に関しては1月度が101.5%(燃料費を抜くと102.1%)であったので明らかに、この2月度は数字が改善しており、ウォルマートの強さが際立った数字となった。

   全体の数字の中身であるが、ウォルマートは大きくウォルマート部門、海外部門、サムズクラブ部門と3つに売上集計を分けているが、この中で、売上構成比66.8%と約70%%を占めるウォルマート部門が108.1%と2桁近い伸びを示しており、この数字がウォルマート全体を大きく牽引した結果となった。

   これに対して、全体の21.5%を占める海外部門はドル高により、大きな影響を受け、89.2%となり、1月度が92.7%であるので、さらに数字が悪化しており、厳しい状況である。ウォルマートによれば、ドル高の影響を除けば、海外部門は109.9%であるとのことであり、ドル高は差し引き20.7%の売上のマイナス要因となっており、いかに、世界経済の金融不安の影響で各国がドル買いに走っているかが顕著に表れているかがわかり、当面、この影響が継続するのではないかと思われる。余談だが、今回のアメリカの金融不安の世界経済の影響を知るには、このウォルマートの海外部門の状況がひとつのバロメーターともいえ、この数字が改善した時、世界経済も改善の方向に動き出したといってもよいといえよう。今回1月度よりも、この2月度の数字がさらに悪化しているので、まだまだ、今回の金融不安による世界経済は厳しい状況にあるといえよう。

   海外部門については、これまであまり言及がなかった日本の西友について、この2月度はかなり踏み込んだコメントをウォルマートが公表している。それによれば、日本では既存店が堅調であり、EDLPの効果が表れ始めたと見ているようである。約100のカテゴリーの47%をEDLPでカバーしたといい、特にグロサリー(加工食品)が好調であるという。世界中からの商品調達、たとえばイギリスのASDAからのワインなどが好調であるという。実際、西友は昨年の年末頃から本格的なKY(カカクヤスク)キャンペーンを展開しはじめており、その成果が、この2月度くらいから顕著になってきたと思われ、ウォルマートもこれまでとはうって変わり、日本の状況についてのコメントを増やしたものと思われる。その意味で、西友に関してはウォルマート本体もその動向に注目しはじめたといえよう。

   そして、サムズクラブ部門であるが、全体の売上構成比は11.5%と3部門の中では最も小さいが、伸び率は103.1%で堅調な数字となった。ただし、既存店は燃料の影響が相場の影響もあると思われるが、-3.8%もあり、これが全体へ影響し、102.1%と伸び悩んだ。燃料を除けば、105.1%であるので、この金融不安によるアメリカの経済情勢の悪化がもろに自動車、ガソリンに現われたものといえよう。ウォルマートもコメントの中で、「stay at home」という言葉を使っているが、アメリカの消費者の節約志向が鮮明となっており、車を買わないだけでなく、車に乗らないという生活パターンが定着しつつあるようである。これは1月度の数字を見ても燃料の影響は-3.9%であるので、2月度も状況は変わってはおらず、サムズクラブにとっては厳しい状況が続いているといえよう。

   ちなみに、3/6の日経新聞に「米小売売上高、小幅減に、安売り店持ち直す」という記事が掲載され、ウォルマートを含めた主要なアメリカの小売業の2月度の売上速報の一覧が公表された。これを見ると、百貨店関係は全滅であり、サックス-26.0%、ニーマンマーカス-20.9%であり、衣料品のギャップも-12.0%、ドラックストアのウォルグリーンも-1.9%、そして、ディスカウントストアのターゲットも-4.1%という状況である。一人、ウォルマートのみ104.5%というプラスであり、アメリカではウォルマートの一人勝ちという状況であるといえよう。この104.5%はウォルマートの既存店の燃料を入れた数字であり、サムズクラブを抜いたウォルマートのみでは、105.0%とさらに高い売上の伸び率である。
 
   これを受けてウォルマートの株価の推移であるが3/4(48.49ドル)、3/5(49.75ドル)、3/6(48.91ドル)とほぼ横ばいであり、投資家は冷静にウォルマートの株価を見ているといえよう。ウォルマートの株価は今年に入り、49ドル近辺で推移をしており、あまり大きな変化がない状況が続いている。
 
   このように、ウォルマートのこの2月度の売上は既存店が104.5%と大きく伸び、全体でも海外部門の-10.8%という厳しい状況があるにもかかわらず、102.8%と堅調な数字となっており、既存店が全体を押し上げているといえよう。ウォルマートの以外のアメリカの小売業は非常に厳しい状況の中で、まさに、ウォルマートの一人勝ちの状況といえ、ウォルマートの強さが際立った2月度であったといえよう。当面、このウォルマートの好調さは続くと思われ、来月以降、どこまで数字を伸ばすかに注目である。

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March 08, 2009

新製品週間ランキング、3/6、新製品続々!

   2月度最後の日経MJ新製品週間ランキングが公表された。今回のPOSデータ集計期間は2/22から2/28であり、2月度最後の集計となった。今週の結果を見ると、全新製品No.1、No.2は先週同様、高額商品の家庭用品部門の化粧品、資生堂、HAKUメラノフォーカスEX45g、金額PI値835円、そして、マックスファクター、SK-ⅡWSダーム・ディフィニションUVローション30g、金額PI値634円であった。いずれも、金額PI値ではAランクの500円(一人当たり0.5円)を超えた2品であり、平均単価が7,270円、8,392円とまさに高額商品である。

   金額PI値は一人当たりの売上であり、分解すると、金額PI値=PI値×平均単価となる。PI値は買上点数÷客数のことであるので、PI値×平均単価は、(買上点数×平均単価)÷客数となり、買上点数×平均単価は売上であるので、売上÷客数、すなわち、金額PI値となる。したがって、金額PI値を引きあげるには、PI値を引きあげるか、平均単価を引きあげるか、あるいは双方を引きあげるかとなる。今回のNo.1、No.2はまさに、平均単価を極限まで引き上げ、逆に、PI値は見えないくらいまで下がるが、結果として、金額PI値がAランクになる典型的な製品である。これと同様な、製品は、食品スーパーマーケットでは米がこれにあたり、さらに、酒、生鮮では牛肉、果物、鮮魚のたいなどがある。

   一方、これに対して、PI値を極限まで引き上げて、金額PI値が高くなる製品もあり、今回の日経MJ新製品週間ランキングでは、No.3となった、その他食品の日清食品、どん兵衛鴨だしそば106g、金額PI値425円がある。平均単価は113円であり、PI値は逆算すると0.37%となる。0.37%のPI値は食品スーパーマーケットの中では極端に高い製品ではないが、グロサリーの中では比較的高い方であり。新製品週間ランキングの中ではトップクラスである。ちなみに、No.1の資生堂、HAKUのPI値は0.01%であり、どん兵衛の37分の1であり、約40倍近いPI値の差である。食品スーパーマーケットはこのように、両極端の製品をバランスよくマーチャンダイジングすることが、金額PI値、ひいては売上、利益を安定させるポイントであり、今回の新製品週間ランキングでも、この両極端の新製品が上位に来ているのが特徴である。

   金額PI値、Bクラス300円以上の今週の新製品を見てみると、飲料部門の1位、2位となった日本コカ・コーラゼロ500mlペットボトル、金額PI値409円、同じく、ゼロ1.5L、金額PI値164円、そして、3位のキリンビバレッジ、世界のKitchenからとろとろ桃のフルーニュ320ml、金額PI値406円である。特に、1位、2位は、まさに、PI値と平均単価の関係であり、500mlは平均単価92円、PI値0.44%、1.5Lは平均単価164円、PI値0.24円と好対照な製品である。この2品はしかも、カバー率がどちらも94.0%と対象45チェーン250店舗の大半に導入されての数字であり、今後、注目の新製品であるといえよう。

   さて、今週はこのトップ金額PI値の新製品に加え、各部門で今週初登場の新製品が随所に見られるのが特徴である。飲料部門では、11位にサントリー、白いなっちゃんレモンキス1.5l、金額PI値110円、菓子部門では、1位に不二家、カントリーマアム(バニラ&いちご)22枚、金額PI値250円、3位にチロルチョコ、三色だんご9個、金額PI値186円、19位に明治製菓、マカデミアクリスプ袋90g、金額PI値95円、その他食品では、1位が先ほどもとりあげた日清食品、どん兵衛鴨だしそば106g、金額PI値425円、4位に同じく、日清食品、どん兵衛とん汁うどん101g、金額PI値300円である。

   そして、今週もっとも多くの初登場の新製品を出した冷凍食品部門であるが、6位に日本ハム、梅薫るチキンカツ108g、金額PI値52円、10位に日本水産、ほしいぶんだけ鶏とごぼうの香り揚げ6個150g、金額PI値38円、11位に味の素、カップに入ったエビのグラタン4個120g、金額PI値33円、15位に加ト吉、おさつちゃん6個入108g、金額PI値27円、17位に味の素、プリプリのエビシューマイ12個156g、金額PI値25円、18位にマルハニチロ食品、3色野菜のロースカツ5個入(100g)、金額PI値24円、19位に加ト吉、いまどき和膳さけの磯辺揚げてりやきたれ4個入80g、金額PI値24円、そして、20位に加ト吉、新鮮卵ふっくらオムレツ4個入140g、金額PI値20円である。

   このように、今回の新製品週間ランキングもそうであるが、ここ最近、上位グループの新製品の金額PI値が高い状況で推移していることに加え、今回見たように、初登場の新製品も数多く出始めており、昨年後半から今年前半にかけての低迷していた新製品の数字と種類、双方が活性化しつつあるといえよう。特に、今週の新製品では、金額PI値の数字はいまひとつ低いが、今週初登場の新製品が8品も登場した冷凍食品部門はここへきて、食品スーパーマーケットの数字も回復しており、今後さらに各社からの新製品の登場が期待できるといえよう。消費環境はより厳しさを増し、家計の節約志向は鮮明であり、弁当、簡便食品等への需要が増し、冷凍食品へのニーズが高まりつつあることも好調な要因であろうが、今後、新製品もこれまではとは違い、いかに節約志向に合致するかが問われるといえよう。来週以降も、新製品の動向に注目である。
 
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March 07, 2009

NHK特報首都圏、激安を作り出せ、西友、THE PRICE!

   3/6、19:30からのNHKの番組、特報首都圏で「激安を作りだせ!」というタイトルで西友とTHE PRICE(イトーヨーカ堂)を取り上げた。この2社に焦点を当てたのは、まさにいま首都圏で激安戦争が起こっており、その導火線となった原点ともいうべき企業がこの2社であるからであろうと思われる。残念ながら、イオン、ダイエーは今回は取材対象にならなかったようであるが、実際、現在、この2社は、まさに首都圏で激安を真正面から掲げ、本格的な店舗活性化に踏み込んでおり、一過性のものではなく、中長期的な戦略の中で動きはじめており、NHKが取り上げのもうなずけるテーマである。

   まず、西友の取材から番組はスタートする。その象徴的な場所として、ライバルがひしめき合う津田沼駅前の西友が映し出される。津田沼は、いまから数10年前、イトーヨーカ堂とダイエーが身を削るような価格戦争をした激安地域であり、その時の激しさを彷彿とさせる価格戦争が、今度は西友と各社との間で起こっているという。映像では、西友の青果の担当者がライバル店を視察し、自店にもどり、店長にりんご78円であったことを報告する。すぐさま、店長は77円にりんごの価格変更の支持を出し、値札を切り替える場面を映し出す。現在、西友が採用している地域一番の安さを打ち出す象徴的な場面である。

   場面は切り替わり、西友のCEOカレジェッスキー氏へのインタビューがはじまる。お客さまは品質と安さを求めていると説明し、価格には自信があると答える場面である。さらに、場面は切り替わり、スタジオでNHKの司会者が西友がなぜ価格訴求に打って出たかを解説する。その中で、過去6期赤字決算が続き、厳しい経営状況に追い込まれたが、その大きな要因が食品の価格競争に勝てなかったことであるという。特に、この5年でスーパーの売上は15兆円から14兆円に減り、その1兆円が食品に新規参入したホームセンター、100円ショップ、家電量販店などに顧客を奪われたという。その顧客の奪回には価格を下げることが、西友の最重点戦略となったことを解説する。

   ついで、場面は西友のグロサリーバイヤーの商談場面となる。西友の象徴的な価格政策であるEDLP(Everyday Low Price)政策を映し出す。ちょうど、NBの象徴的な企業であるハウスのカレールウ、ハウスバーモントカレーの営業マンとの価格交渉である。これまで、西友では通常190円、日替わり特売では130円で販売していたが、これを150円でEDLPで販売したいとの商談に持ち込むが、ハウスの営業マンは首を縦に振らない。さらに、西友のバイヤーは、棚割で最良の場所での販売を提案するが、なかなか、交渉がまとまらない。結局、このカレールウの商談は継続となるが、西友がNBのEDLPに強くこだわり、これを今後とも強くおしすすめてゆく方針である象徴的な場面である。さらに、今後はウォルマートの世界調達のネットワークをも活かし、EDLPを一層推進するという。すでに、70%近い商品が西友ではEDLP化され、価格訴求が激しい勢いで進んでいるという。

   そして、場面は、THE PRICEに置き換わる。まず、やはり、激安の場面が写しだされる。これまでのイトーヨーカ堂と比べ、2割から3割安いという。その最大の理由の一つが仕入にあるとのことで、場面は築地市場への鮮魚バイヤーの買い付けとなる。これまでのイトーヨカード堂の仕入れとは違い、規格外の魚、市場で余った魚などを購入し、格安で販売するのがTHE PRICEの戦略であるという。これは、生鮮全般にいえることで、デコポンの規格外、アジの小ぶり1尾68円など、品質を維持できれば、それ以外の要素には目をつぶった仕入を行うということで、これまで大手スーパーがとらなかった仕入改革が生鮮では断行されたという。

   さらに、安さを打ち出すために、売場の商品数を通常の半分以下に、約3,500種類の売れ筋に絞り込み、在庫を店内に置き、作業時間を減らしたり、牛乳のケース販売を行い、補充頻度を減らしたりと、ありとあらゆる、通常、食品スーパーマーケットがとってきたノウハウが総動員されたコスト削減が映し出される。その結果、THE PRICEは3ケ月で客数が2倍になったという。

   番組ではセブン&アイホールディングスのCEO鈴木会長のインタビューに移り、このTHE PRICEのアイデアは鈴木会長自らが発案したものであり、これまでディスカウントの経験がなかった渡辺さんをプロジェクトリーダーに指名したという。鈴木会長はイトーヨーカ堂の数字の落ち込みに強い危機感を感じ、お客さんのニーズに合わせるために自己改革が必要であり、ただ値引きではない、品質を落とさずに激安を実現するTHE PRICEを目指す指示を出したという。今後、PBのセブンプレミアムより、さらに安い商品の投入、自社の農場を利用した規格外の商品の破格での販売可能な激安スーパーを目指し、変化対応をしながら、安さを合理的に見出すしかないと言いきる。今後、THE PRICEはプロジェクトリーダーの渡辺さんを中心に今期20店舗改装、新規出店をしてゆく方針であるという。

   そして、場面はスタジオにもどり、日本の消費者は世界一難しいといわれ、いかに価格と品質を厳しく求めるか、安かろう悪かろうでは、消費者は絶対買わないという中、安定的な品質をともなった価格訴求の商品供給が決め手になる、というまとめで番組は終わる。

   昨年後半から、食品スーパーマーケット業界も、大黒天物産に象徴されるように、明らかにディスカウント戦略を採用している企業の売上の伸びが著しい状況である。今回のNHKの特報首都圏は、ディスカウント、激安が首都圏で、しかも、日本の小売業最大手のセブン&アイホールディングス、世界最大の小売業ウォルマートの子会社西友で本格的な展開が始まったことがまさにニュースとなったものといえ、今年は、食品スーパーマーケットはもちろん、小売業全体が価格をキーワードに激しい競争、合従連衡が起こる前兆ともいえる番組であるように思う。

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March 06, 2009

ユアーズ、丸和を事実上M&A、持株比率66.42%!

   今期は食品スーパーマーケットのM&Aが本格化することが予想される1年であるとも思われるが、早くも、3/2、丸和が「第三者割当により発行される株式の募集に関するお知らせ及び親会社の異動に関するお知らせ」を公表した。事実上の親会社、ユアーズのM&Aといってもよく、この第三者割当の発行により、ユアーズの丸和に対する持ち株比率はこの3/17以降、現在の40.91%から66.42%へと大きく増加し、商法に規定される重要事項の議決が可能なほぼ2/3(66.6%)に限りなく迫り、事実上、M&Aが実現されることになった。

   商法上の重要事項は合併、営業権の譲渡、減資、解散、取締役・監査役の解任、株主以外の第三者への新株の有利発行、定款変更などであり、これらは、出席株主の2/3以上の賛成が必要となる。したがって、今回、ユアーズが丸和の66.42%の株式を取得することにより、出席者がわずかに株主数よりも少なくなれば、ユアーズの議決権が2/3を超え、重要事項を決定することが可能となり、事実上、M&Aによる経営権を掌握したといえる持株比率66.42%であるといえよう。


   ただ、今回、第三者割当増資ということではあるが、そのスキームは単純なものではなく、やや複雑な迂回増資ともいえる形での増資である。丸和の説明によれば、「本件増資においては会社法第201 条第3 項及び同条第5 項の規定により有価証券届出書の提出から払込までに2 週間の期間を設ける必要がありますが、その間の資金需要への対応を目的に、当社はユアーズより1,392 百万円の新規の借り入れ(以下「本件借入れ」という。)を本日実行致しました。」とのことで、増資は商法上3/17となるが、それまでの2週間の資金需要への対応ができないとのことで、この公表のあった3/2時点で増資相当額の13.92億円をユアーズから、借り入れたとのことである。

   これは、丸和の経営状況がまったなしの厳しい状況にあると思われ、この2週間に丸和が必要なキャッシュをユアーズが借入金という形で即日融資した形である。その借入金の使途について、丸和は、「既存借入金の返済及び運転資金に充当されることとなります。」とコメントしており、借入金と運転資金の喫緊の調達が必要となったことによると思われる。そして、増資であるが、この借入金から利子相当額を差し引いた13.91億円が3/17付けで貸付債権の現物出資という形で相殺され、丸和のバラナスシートの有利子負債が減少することになるという。その結果、丸和の自己資本比率は9.7%から13.9%に上昇し、財務基盤がこれまでよりもやや改善されることになる。

   通常であれば、ストレートに第三者割当増資を実施するところであるが、増資までの2週間の時間が丸和にとっては経営の存続に重要な時間であったため、ユアーズからの緊急融資という迂回増資というスキームをとったものといえよう。

  丸和の2009年1月期の決算内容はまだ公表されておらず、直近の財務諸表は第3四半期決算であるが、これを見ると、売上高299.84億円(101.6%)、営業利益-0.84億円、経常利益-2.93億円、当期純利益2.06億円(115.9%)と、特別利益が発生したため、当期純利益は黒字になったが、赤字決算であり、厳しい状況である。したがって、キャッシュフローの流れを見ると、営業キャッシュフローは0.09億円のマイナスであり、投資キャッシュフローは0.42億円のマイナスであり、結果フリーキャッシュフローは0.51億円のマイナスと厳しい状況である。そして、財務キャッシュフローにおいて、借入金により補い1.77億円のプラスとなり、トータル1.25億円のプラスとなったが、借入により、キャッシュを回している状況であり、資金繰りが厳しい状況にあるといえる。結果、負債の中の長短借入金等は133.84億円(昨年153.28億円)と、昨年よりは削減されてはいるが、総資産281.28億円の47.5%を占めており、経営に重くのしかかっている状況である。

  ただ今回、13.92億円が相殺されたとしても、依然として多額の借入金が残り、しかも、営業利益は厳しい状況が予想され、丸和としては、依然として財務的には厳しい状況が続くものと思われる。ユアーズとしては、事実上M&Aとなり、丸和の経営権を掌握したことにより、さらに、踏み込んだ、まさに重要事項にあたる決議を実施することが求められよう。

  そのユアーズの直近の決算内容であるが、2008年9月期は、売上高417.01億円(101.4%)、営業利益6.78億円(74.5%:売上対比1.62%)、経常利益8.10億円(77.1%:売上対比1.94%)、当期純利益1.69億円(54.6%:売上対比0.40%)という状況であり、増収減益のやや厳しい決算である。また、自己資本比率(純資産/総資産)は13.1%であり、けっして財務的に余裕がある状況ではなく、今後、さらに丸和を支援してゆくには、ユアーズ自身も思い切った経営改革が必要といえよう。

  このように、まさに、3月に入り、ユアーズによる事実上の丸和へのM&Aが実施されることが確実となり、食品スーパーマーケット業界で本格化するであろう今期のM&Aの先駆けとなる動きである。ただ、今回のユアーズの丸和への資本増強により丸和の財務が安定したわけではなく、第2、第3の支援策が必要となろう。これに対して、ユアーズが単独で支援し続けられるかどうかも現在のユアーズの財務状況を見る限り、けっして余裕があるわけではなく、今後、予断をゆるさない状況が続くものと思われる。丸和の経営権を掌握したユアーズが今後どのように自身の、そして、丸和の経営改革を断行するかに注目である。

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March 05, 2009

食品スーパーマーケット動く、積極出店、M&Aの予感!

  ウォルマートがいよいよ日本でのM&A戦略に踏み込んだ。3/1付で西友を新会社の100%子会社としたことを公表、新会社はウォルマート・ジャパン・ホールディングス合同会社であり、持株会社である。代表は西友のCEO、カレジェッスキー氏が就任し、新会社はウォルマートが間接的に100%を保有する子会社となる。これにより、今後、ウォルマートはM&Aを軌道的に実施してゆく体制が整ったことになり、いつ、ウォルマートが日本のGMS、食品スーパーマーケットへのM&Aの公表があってもおかしくない状況となった。

  新会社設立の意義について、ウォルマートは「日本を戦略的に最重要なマーケットのひとつと位置づけており、新会社を通じて、西友の事業及びその他の新事業の可能性を含め、日本での事業成長を積極的に促進・支援していく計画です。」とコメントしており、いよいよ、ウォルマートが本腰を入れて、日本の小売市場の開拓に踏み込むことが確実となった。以前、ウォルマートは撤退するのではないかという観測もあったが、この新会社、ウォルマート・ジャパン・ホールディングス合同会社を設立したことにより、ウォルマートの経営戦略が明確に示されたことになり、今後、日本はウォルマートの海外事業の中核になる可能性が出てきたといえよう。

  ウォルマートの海外事業の売上構成比は約25%に達しており、前期後半は為替差損の影響があり、伸び並んだが、前半は2桁の高成長であり、今後、為替変動が落ち着けば高成長が期待できる分野である。したがって、今回の新会社設立により日本もその一環として、重要な海外事業の戦略拠点と位置付けられることになろう。この新会社の設立が2/10であり、ちょうど、ウォルマート本体の2010年度の新年度を迎えてのスタートの月でもあり、ウォルマートの強い日本市場開拓の意思が表れているといえよう。

  3/4の日経MJでもこのことを特集している。見出しは、「M&A戦略、強化狙う、米ウォルマート、日本で持ち株会社」というものであり、西友幹部へのインタビューも交えて伝えている。その内容を見ると、「組織や人員配置などは今後決めてゆく」とのことであり、現在、戦略を練っている最中であることがうかがわれる。また、「日本での成長をさらに追及したいという、ウォルマートの意思の表れ」とのことで、ウォルマートの日本市場開拓への強い期待があるとのことである。

   一方、日本でもいくつか、積極的な新規出店への動きが出始めている。ヨークベニマルがいよいよ、怒涛の出店を開始するという。日経が3/3に報道した内容によれば、ヨークベニマルが、今後2年間で新たに20店余りを出店するという。地盤の福島県を中心に東北と北関東で既に出店用地を確保したとのことで、投資額は120億円強になる見通しであるという。2009年2月期の出店は6店だったが、建設資材の下落で出店費用を抑制できる好機とみて出店ペースを上げるという。出店ぺースは、2010年2月期は8から10店、11年2月期は12店の出店を見込むといい、すでに、宮城県、栃木県、茨城県などに約20ケ所の出店用地を確保したとのことであり、今期から本格的な新規出店が始まる見通しである。

  ヨークベニマルは、今後、ヨークマートとの統合をはかる方向で現在、セブン&アイホールディングス内に設立されたSM事業サポート本部で体制を整えつつあり、2010年2月期までは統合への移行期間とし、双方の組織を簡素化し、2011年2月期にはSM事業サポート本部へ2社の本部業務を移管して、統合を完了するという。これにより、SM事業サポート本部がウォルマートの持ち株会社のようなM&Aの受け皿になることになるといえ、今回の新規出店と合わせ、急激な食品スーパーマーケット事業の積極的な拡大路線に踏み切ることになるものと予想される。

  この両企業に加え、さらに、今期から本格的に新規出店を再開する食品スーパーマーケットもある。べイシア、オオゼキである。すでに、本ブログでも取り上げたが、ベイシアはここ最近、新規出店を抑制していたが、ここへ来て、スーパーセンターの出店環境が整ったとのことで、今期から新規出店を加速するという。また、オオゼキは、この4月に3年ぶりとなる新規出店を行い、今後、地元の東京、神奈川だけではなく、千葉、埼玉などへの新規出店も行ってゆくとのことである。どちらも、ここ数年、新規出店が抑制ぎみであり、なかなか思うような出店ができなかったが、満を持してといって良いと思うが、今期から本格的な新規出店へ踏み切るということである。

  このように、今年は食品スーパーマーケット業界にとって転機となる激動の1年になる機運が高まってきたといえよう。消費環境は今年に入って、ますます厳しさを増しつつあり、経営環境は悪化しつつある。このような中で食品スーパーマーケットは比較的好調な経営をつづけており、ここへきて、上記のような食品スーパーマーケットが思いきった積極策を打ちだしつつあるのが現状である。今期の決算公表が真近かであるが、来期の食品スーパーマーケット各社がどのような経営戦略を打ち出すかに注目したい。

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March 04, 2009

ユニバース、2009年4月期、第3四半期決算、増収増益!

   ユニバースが2009年4月期の第3四半期決算を2/25公表した。売上高726.34億円(102.0%)、営業利益28.37億円(104.5%:売上対比3.9%)、経常利益29.02億円(105.6%:売上対比3.9%)、当期純利益15.92億円(111.2%:売上対比2.1%)と、増収増益の好決算となった。ユニバースは食品スーパーマーケットでは珍しく、4月度決算であり、この時期に第3四半期決算が公表されるが、期間は4/21から1/20までの決算となる。

   この第3四半期、売上が堅調であった要因は、この8月にUマート桔梗野店(青森県弘前市)、Uマート弘大前店(青森県弘前市)を出店したことが大きく、この出店により、ユニバースの総店舗数は43店舗となった。また、このUマートは2店舗ともこの7月に破産したマルエス主婦の店から営業権を取得した店舗を改装したものであり、M&Aによる新規出店である。これに加え、10月に久慈・川崎町店(岩手県久慈市)、11月に中野店(旧ファル茶畑店、岩手県盛岡市)のスクラップ&ビルドを行い、さらに、12月には松園町店(青森県三沢市)のリニューアルしたことが大きかったといえよう。

   また、ユニバースの既存店の状況であるが、売上高100.9%、その内訳は客数が100.7%、客単価が100.2%であり、さらに、PI値は97.8%、平均単価は101.6%となった。また、実際の数字は1店舗当たり、客数が約2,500人、客単価2,224円、PI値1,160%(11.6点)、平均単価191円という状況であり、一般的な食品スーパーマーケットと比べ、客数とPI値が高いのが特徴といえよう。

   なお、ユニバースの通期予想であるが、売上高962.15億円(102.2%)、営業利益32.17億円(96.3%:売上対比3.3%)、経常利益32.89億円(95.9%:売上対比3.4%)、当期純利益17.91億円(130.0%:当期純利益1.8%)と増収減益の予想であり、やや厳しい営業利益、経常利益となるもようである。

   ユニバースの営業構造をもう少し詳しく見てみると、まず、売上原価であるが、73.9%(昨年73.6%)と若干上昇しており、この決算が1/20までであり、ここへきての経済情勢の悪化がやや影響しているようである。結果、売上総利益は26.1%(昨年26.4%)となり、若干粗利が下がった。これに対し、販売費及び一般管理費であるが、21.6%(昨年22.6%)と1ポイント改善しており、経費の削減が進んだといえる。その結果、営業利益は4.5%(昨年3.8%)と0.7ポイント改善しており、さらに売上の増加を加味し、営業利益が増加したといえよう。原価の上昇により、やや粗利は下がったが、それを大きく上回る経費の削減により、利益を生み出した構図であり、これが今期の増益の要因といえよう。

   これを受けて、ユニバースのキャッシュフローの流れであるが、営業キャッシュフローが23.13億円となった。投資キャッシュフローは21.16億円であり、フリーキャッシュフローは1.97億円のプラスとなる順流となった。主な投資は新店への投資と思われる有形固定資産の取得による支出12.55億円が最も大きく、新店への積極的な投資がなされている。そして、財務キャッシュフローであるが、18.58億円のマイナスである。これは主に長期借入金の返済による支出が15.79億円と大半を占めており、これについで、配当金4.09億円の支出が主な内容である。ただ、これにより、トータルのキャッシュフローは16.69億円の減少となり、現金及び現金同等物の四半期末残高が71.25億円から54.55億円へと減少した。理想的にはフリーキャッシュフローの範囲内で財務キャッシュフローが賄えることであるが、今期は、投資先行型となり、その分、フリーキャッシュフローが減少し、トータルのキャッシュが減少したことがやや気になるところである。

   ただ、長期借入金を削減したことにより、自己資本比率は60.4%(昨年56.0%)へと上昇しており、経営バランスは改善したといえよう。その中身を見てみると、負債の主要項目である長短借入金の合計は36.78億円(2008年4月期決算時51.27億円)と大きく減少しており、総資産362.30億円に占める割合は10.1%となり、財務的な負担が大きく軽減された。一方、これにバランスする資産、特に、出店にかかわる資産である土地、建物等を見てみると207.85億円となり、総資産の57.3%であり、自己資本比率とほぼ同じ割合となり、新規出店が自己資本の範囲内で可能な出店構造となっており、バランスの良い財務構造となったといえよう。

   これを受けてユニバースの株価の推移であるが、2/25(1,142円)、2/26(1,150円)、2/27(1,140円)、3/2(1,125円)、3/3(1,109円)とほぼ横ばいからやや下がる動きであるが、日経平均もほぼ7,300円前後で推移しており、全体の株価とほぼ連動する動きといえよう。投資家は積極的な買いも、売りも示していないといえ、静観している静かな動きである。

   このようにユニバースの2009年4月度、第3四半期決算は増収増益となり、キャッシュフローはトータルとしては減少となったが、長期借入金を返済し、自己資本比率は上昇し、出店余力が高まったといえる。今後、経済状況はますます混迷を深めつつあるといえ、今期マルエス主婦の店へのM&Aが示すように、新規出店を含め、成長戦略を軌道的にとってゆく必要があり、そのためにも財務的な安定は重要な経営戦略の要ともいえる。ユニバースが、この財務の安定を踏まえ、今後、どのような成長戦略を打ち出すかに注目したい。

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March 03, 2009

HC(ホームセンター)、2009年1月度、既存店94.7%失速!

   日経MJ、3/2にHC(ホームセンター)の2009年1月度の速報が掲載された。日本DIY協会の集計内容であるが、結果は既存店が94.7%となり、厳しい数字である。全店の結果も97.0%であり、新店開発も伸び悩んでいる状況といえよう。この集計結果は日本DIY協会の全国46社のHC(ホームセンター)の集計であり、主要チェーンを網羅し、HCの現状を表しているといえよう。ここ最近の推移を見てみると、10月度101.6%(既存店98.0%)、11月度102.5%(既存店98.8%)、12月度98.6%(95.9%)であり、1月度はここ最近では最も厳しい数字であり、今年に入り、HC(ホームセンター)業界へも不況の影響が出始めたといえよう。

   すでに、本ブログでも取り上げたが、2009年1月期の家計調査データを見ても、食品は堅調な数字であったが、全体の消費は94.1%となっており、消費環境は厳しさを増しつつある。特に、HCとも関連の深い一般家具13.94円(71.6%)、室内装備・装飾品22.35円(95.9%)、寝具類22.55円(93.4%)、家事雑貨64.55円(95.9%)などが厳しい状況であり、1月度のHCの失速を裏づけているといえよう。ただ、逆に、1月度伸びた項目もあり、ペットフード17.90円(105.1%)、家事用消耗品57.90円(103.6%)、工事その他のサービス152.23円(123.7%)等もあり、HCとしては伸びている商品を見極めたマーチャンダイジングが求められる。
  
   さらに、この1年間のHCの集計数字を見てみると、全体が昨対を割ったのは、12月度がはじめてであり、この1月度も昨対を割ったことにより、2ケ月連続での全体の昨対割れとなった。既存店に関しては、8月移行昨対を割り続けているが、12月度は極端に落ち込み、この1月度はさらに、数字が落ちており、この推移をみる限り、12月移行、HC業界に厳しさが増し、明らかに数字の落ち込みが鮮明になったといえよう。
  
   ここで、日本DIY協会が公表している2007年度であるが、会員65社のHCにおける一般的な商品分類、商品構成比を見てみると、以下のようになる。構成比の高いもの順に見てみると、DIY用具・素材21.8%(主な内訳、木材・建材4.8%、建築金物3.1%、道具・工具2.8%、電動工具2.4%、作業用品2.1%等)、園芸・エクステリア20.0%(主な内訳、ペット7.5%)、園芸用品6.5%)、園芸生物3.2%、エクステリア2.9%)、家庭用日品19.9%(主な内訳、日用消耗品12.0%、家庭用品7.9%)と、この3分類がHCの中核部門であり、合計約60%の売上構成比となる。特に、日用消耗品、家庭用品、ペット、園芸用品の構成比が高く、これらがHCの中核商品群であるといえよう。この1月度の家計調査データではこれらの消費群は伸びているので、それ以外の落ち込みが大きかったと推測される。
  
   さらに、HCの商品分類、商品構成比を見てみると、電気8.2%(主な内訳、電器・照明4.5%、家電製品3.7%等)、インテリア8.1%(主な内訳、インテリア4.1%、家具・収納用品3.8%等)、カー・アウトドア6.8%(主な内訳、カー用品2.8%、レジャー・スポーツ2.3%等)、教養・娯楽5.1%、サービス業務2.7%、その他となる。家計調査データで見ても、特にカー用品関連は自動車等部品25.81円(61.3%)、自動車等関連用品15.97円(49.5%)、自動車整備費39.71円(77.0%)と激減しており、一般家具も13.94円(71.6%)という厳しい状況にあるので、これらがHCのこの1月度の失速につながっていると思われる。
   
   また、HCの経営数値を日本DIY協会公表の会員の集計で見ると、これも、2007年度であるが、売上高チェーン合計470.6億円であり、店舗数平均が48店舗であるので、1店舗当たりは約10億円となる。したがって、1日当りは273.9万円となる。客単価が2,254円であるので、客数は逆算すると、1,215人となり、一般的な食品スーパーマーケットと比べると、客単価はやや高いが、客数がやや低いといえよう。また、粗利率は29.3%であり、これは食品スーパーマーケットと比べるとやや高めといえよう。そして、商品回転率であるが、年間4.2回であるので、食品スーパーマーケットと比べるとゆっくり商品が動いている。そして、売場面積であるが、1店舗当たり3,099平方メートルであるので、約1,000坪弱であり、これは食品スーパーマーケットの倍近い売場面積である。
   
   したがって、一般的な食品スーパーマーケットと比べると、広大な売場面積の中で顧客がゆったり買い物をしており、商品はきめ細かく豊富であるが、ゆっくり回っているイメージである。食品スーパーマーケットが狭い売場面積の中で顧客がひしめき合いながら、買い物をし、商品は売れ筋に絞り込まれ、激しく回転しているのとは対照的な業態であることがわかる。
  
   今回、この1月度のHC(ホームセンター)とすでにブログでも取り上げたSM(食品スーパーマーケット)の数字を見ると、家計調査データでもその消費状況が裏付けられたが、SM(食品スーパーマーケット)は堅調な数字であったのに対し、HC(ホームセンター)はかなり厳しい数字となり、対照的な結果となった。今後、家計調査データにも表れているように、消費環境は激変し、全体としては厳しい状況になりつつあるといえ、HC(ホームセンター)としては、ここで、思い切ったマーチャンダイジングの見直しが必要であるように思える。恐らく、2月度も厳しい数値が予想されるので、今期、決算発表と同時に、HC(ホームセンター)業界、各社がどのような経営戦略の転換を打ち出すかに注目である。

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March 02, 2009

家計調査データ2009年1月度、食品堅調、全体は厳しい!

   今年に入っての家計調査データ、2009年1月度が2/27、総務省統計局から公表された。結果は全体の消費額は実質、名目ともに5.9%の減少となり、全体としては厳しい状況となった。ただ、食品に関しては外食を含めると実質1.8の減少であるが、名目では1.4%の上昇、外食を抜いた名目では2.2%の上昇となり、堅調な数字となった。全体が落ち込んだ要因は寄与度で見ると、自動車等関係費-1.63、交際費-1.12と、この2大部門が大きく全体の消費を下げており、自動車関連の不振、交際費の減少要因が影響した月となった。これ以外では、通信-0.46、外食-0.20、保健医療サービス-0.18、ガス代-0.15、上下水道料-0.14となり、家計の節約志向が鮮明になったといえよう。
  
   ちなみに、自動車関係費であるが、名目では何と70.3%となる大幅な落ち込みであり、特に、自動車購入が54.1%となったのが大きかったといえ、明らかに、自動車の購入が大きく減少している状況が鮮明になったといえよう。これに加え、自動車維持費も76.4%と落ち込んでおり、特に、自動車等関連用品は49.5%と極端な落ち込みとなった。また、交際費も90.8%と落ち込んでいるが、関連の小遣いも84.3%とそれ以上に落ち込んでおり、その中でも世帯主小遣いが88.8%と下がっており、交際費、小遣いが一番に削られるという、家計は厳しい生活に入ったといえよう。
  
   このような中で、外食を除く食品は比較的堅調な動きとなり、名目では102.2%となった。特に、伸びた部門は果物113.1%、酒類106.0%が顕著であり、ついで、油脂・調味料103.5%、野菜・海藻102.7%、魚介類102.7%、穀類102.2%、肉類102.0%と生鮮が比較的好調であった。逆に伸び悩んだ部門は、調理食品99.3%、飲料99.8%と昨対を切った部門はこの2部門であり、しかも、下げ幅はわずかであり、全体として、食品は堅調であったといえよう。
   
   さらに、好調な項目、特に名目で110%以上伸びているものを見てみると、果物では、この時期No.1の果物であるいちごが19.00円(111.8%)と大きく伸びた。さらに、ここ数ケ月好調さが続いているバナナが依然として、異常に伸びており、13.68円(163.1%)という数字である。バナナの伸びた要因を見てみると、購入世帯のみの数字が19.87円(141.0%)と大きく伸びていることに加え、購入世帯の割合も68.8%(115.6%)と伸びており、バナナの新規購入顧客を増やし、購入顧客の消費額も増やしており、バナナが果物全体を大きく牽引しているといえよう。また、この時期特有の項目であるみかんも21.39円(108.3%)とよく伸びている。これ以外でも果物は金額は小さいが、キウイフルーツ1.61円(131.6%)、ぶどう0.19円(120.0%)と伸ばしている。これを見ても、果物は、この1月度、絶好調といえ、食品全体を大きく牽引したといえよう。
  
   ついで、酒類であるが、金額は大きくはないが、ウィスキーがここのところ絶好調であり、2.87円(158.9%)という数字である。特に、購入世帯のみでは99.00円(115.6%)、購入世帯の割合は何と2.9%(137.4%)という高い数字であり、ウィスキーを自宅で愛飲する家計が大きく増えている状況といえよう。また、焼ちゅうも18.71円(116.9%)と良く伸びており、酒は、この2項目が大きく全体を牽引したといえよう。
  
   この2部門についで、伸びたのは油脂・調味料、野菜・海藻、魚介類、穀類、肉類であるが、この中で110%以上消費額を伸ばした項目を見てみると、カレールウ4.48円(114.9%)、キャベツ6.55円(126.9%)、もやし2.90円(118.4%)、れんこん2.48円(116.7%)、レタス5.00円(116.5%)、はくさい4.13円(115.3%)、きゅうり6.32円(111.4%)、さんま1.65円(127.5%)、ほたて貝4.03円(119.0%)、いわし1.32円(113.9%)、さしみ盛合わせ18.52円(112.5%)、ちくわ4.90円(110.1%)、即席めん4.68円(139.4%)、中華めん11.03円(122.1%)、スパゲッティ3.45円(120.2%)、乾うどん・そば2.48円(114.9%)、カップめん8.55円(111.3%)、生うどん・そば11.32円(110.7%)、合いびき肉5.29(112.3%)、鶏肉35.90円(111.2%)である。これを見ても、明らかに内食需要といえ、消費構造が大きく変化している様子がわかる。
   
   これに対して、この1月度、消費が厳しかった調理食品、飲料であるが、調理食品(惣菜)では、サラダは、7.68円(110.2%)と良く伸びたが、うなぎのかば焼き2.97円(73.6%)、おにぎり・その他7.94円(92.8%)、調理パン8.42円(92.9%)となった。また、飲料では、紅茶2.19円(113.3%)、ココア・ココア飲料 2.03円(112.5%)、炭酸飲料5.61円(110.8%)は好調であったが、果実・野菜ジュース17.19円(91.4%)、コーヒー 13.00円(95.7%)、緑茶11.65円(96.3%)等が伸び悩んだ。
   
   このように、この1月度の家計調査データを見ると、全体の消費は明らかに下降線をたどり、厳しい状況となったが、こと、食品に関しては堅調な数字となっており、家計は食費以外の消費を削り、食費に関しては、生鮮品、調味料等が好調なことから、明らかに内食志向となり、家庭での調理が増えているといえよう。昨年の1月度のちょうど原油、資源エネルギー高により、食品の値上げが本格化しはじめた時期と比べると様変わりした消費状況になったといえ、家計の消費状況に大きな変化が見られる。今後、この傾向はますます強くなると思われ、食品スーパーマーケットとしても、家計の消費動向をしっかり見極めた対応が課題となろう。来月以降の消費状況がどのように変化するかに注目である。

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March 01, 2009

消費者物価指数2009年1月度、下げ気味、100.7%!

   消費者物価指数(CPI)、2009年1月度が2/27、総務省統計局から公表された。概要は以下の通りである。(1) 総合指数は平成17 年を100 として100.7 となり、前月比は0.6%の下落。前年同月と同水準となった。(2) 生鮮食品を除く総合指数は100.5 となり、前月比は0.6%の下落。前年同月と同水準となった。(3) 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は98.7 となり、前月比は0.8%の下落。前年同月比は0.2%の下落となった。いずれの段階でも安定した数値になり、特に、(3)の食品はむしろ下げに転じており、ここへきて、物価も安定、そして、下げに転じはいじめたともいえる動きである。
  
   昨年後半までの物価上昇がうそのような状況となり、経済の失速に追随するかのように、物価(CPI)も下げに転じはじめたといえよう。この状況は、同時に公表された(1)から(3)までの図表を見るとさらに明らかである。図表では過去4年間の月別年間数値が折れ線グラフで表されているが、すべてのグラフの線が右下に動いている。特に(3)の食品は過去4年間の中で最も低い数字となっており、このままさらに下降すると、この4年間の中で月次では最も低い物価指数(CPI)となる可能性が高いといえ、ここへ来て、明らかに物価が下がり始めたといえよう。

   では、10大費目でみた場合、この1月度は、12月と比べ、どのような状況であったかを見てみたい。総合指数は100.7、前月比-0.6%の下落であるが、前月比-0.6%となった要因を寄与度、すなわち、相乗積で見てみると、最も寄与度が大きかったのは、-0.39の被服及び履物である。これは小売業の売上速報を見てもGMSのここ最近の衣料品の動きが鈍いこととも連動しているといえる。本来であれば、価格が下がれば、需要が増え、売上は上がるといえるが、ここ最近の動向は、売れないから価格を下げ、それでも売れないので、さらに価格を下げるという悪循環が起こっており、まさに、この消費者物価(CPI)は下落は、これを物語っているといえよう。

   ついで、交通・通信の-0.19であり、教養娯楽の-0.17と続く。この3つの費目が最もこの1月度消費者物価指数(CPI)が下がった費目である。これに対して、逆に、上がった費目を見てみると、光熱・水道が0.10、生鮮食品が0.10とこの2つの費目がプラスになったが、その被服及び履物、交通・通信、教養娯楽ほどではなく、全体としては、-0.60となり、前月比では-0.60となった。

   同様に、前年同月比で見てみると、総合では0.0%であるが、寄与度で最も大きな動きを示したが、-0.90の交通・通信であり、単独では-6.3%と大幅な下落となった。これについで、教養・娯楽が-0.14であり、単独では-1.4%となり、この2費目がこの1月度は昨年と比べ、大きく下落した。これに対し、上昇した費目もあり、わずかではあるが、光熱・水道0.04、生鮮食品0.02である。この費目が最も上昇した数値であり、これを見てもこの1月度は明らかに、物価が安定し、むしろ、下落傾向にあるといえよう。

   では、このような中で、食品関係はどのような状況であったかを見てみてみたい。その前に、昨年後半まで異常な上昇率を示し、物価全体を押し上げてきた要因となったエネルギー関連であるが、前月12月度よりもさらに、同年前月比で下落し、-8.2%となった。何といってもガソリンが-30.9%となったことが大きく、ガソリンの寄与度はエネルギー全体の-0.85よりも大きく下げている。ただ、電気代8.1%(寄与度0.24)、都市ガス代10.0%(寄与度0.10)と、この2項目が上がっているのが気になるところであるが、その上昇を吸収し、全体をガソリンが押し下げており、これまで、ガソリンがいかに物価上昇に大きな影響を与えていたかがわかる。

   そこで、食品であるが、依然として、生鮮食品以外の上昇率は高い傾向が続いている。全体では前年同月比3.7%の上昇であり、12月度の4.0%よりはやや下がってはいるが、まだ高い上昇率であるといえよう。その中身は、チーズ31.4%、マーガリン27.2%と乳製品関連が大きく上昇している。これについで、ひじき23.0%、ちくわ22.5%と海産関連が続き、ついで、小麦粉21.1%、ビスケット21.4%と小麦粉関連が続く。さらに、チョコレート20.5%、揚げかまぼこ19.2%、スパゲティ19.1%、うなぎかばやき18.9%となる。こう見ると、まだ、昨年の資源エネルギー高、そして、原料高の影響が続いているようである。ただ、すでに、昨年異常な上昇を続けたいずれの相場も大きく下落しているので、ガソリン同様、時間差があるとは思われるが、これらは徐々に下がることが予想されよう。

   このように、この1月度も消費者物価指数(CPI)は下降気味で推移しており、昨年の異常な物価上昇はひとまず沈静化したといえよう。逆に、この数ケ月、混迷を増しつつある経済環境の悪化を見ると、今後、値崩れが起こる可能性を否定できず、今年は、昨年度と正反対となる、インフレからデフレへと大きくシフトする懸念があるといえ、ここ数ケ月、注意深く、消費者物価指数(CPI)を見てゆく必要があろう。

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