食品スーパーマーケット動く、積極出店、M&Aの予感!
ウォルマートがいよいよ日本でのM&A戦略に踏み込んだ。3/1付で西友を新会社の100%子会社としたことを公表、新会社はウォルマート・ジャパン・ホールディングス合同会社であり、持株会社である。代表は西友のCEO、カレジェッスキー氏が就任し、新会社はウォルマートが間接的に100%を保有する子会社となる。これにより、今後、ウォルマートはM&Aを軌道的に実施してゆく体制が整ったことになり、いつ、ウォルマートが日本のGMS、食品スーパーマーケットへのM&Aの公表があってもおかしくない状況となった。
新会社設立の意義について、ウォルマートは「日本を戦略的に最重要なマーケットのひとつと位置づけており、新会社を通じて、西友の事業及びその他の新事業の可能性を含め、日本での事業成長を積極的に促進・支援していく計画です。」とコメントしており、いよいよ、ウォルマートが本腰を入れて、日本の小売市場の開拓に踏み込むことが確実となった。以前、ウォルマートは撤退するのではないかという観測もあったが、この新会社、ウォルマート・ジャパン・ホールディングス合同会社を設立したことにより、ウォルマートの経営戦略が明確に示されたことになり、今後、日本はウォルマートの海外事業の中核になる可能性が出てきたといえよう。
ウォルマートの海外事業の売上構成比は約25%に達しており、前期後半は為替差損の影響があり、伸び並んだが、前半は2桁の高成長であり、今後、為替変動が落ち着けば高成長が期待できる分野である。したがって、今回の新会社設立により日本もその一環として、重要な海外事業の戦略拠点と位置付けられることになろう。この新会社の設立が2/10であり、ちょうど、ウォルマート本体の2010年度の新年度を迎えてのスタートの月でもあり、ウォルマートの強い日本市場開拓の意思が表れているといえよう。
3/4の日経MJでもこのことを特集している。見出しは、「M&A戦略、強化狙う、米ウォルマート、日本で持ち株会社」というものであり、西友幹部へのインタビューも交えて伝えている。その内容を見ると、「組織や人員配置などは今後決めてゆく」とのことであり、現在、戦略を練っている最中であることがうかがわれる。また、「日本での成長をさらに追及したいという、ウォルマートの意思の表れ」とのことで、ウォルマートの日本市場開拓への強い期待があるとのことである。
一方、日本でもいくつか、積極的な新規出店への動きが出始めている。ヨークベニマルがいよいよ、怒涛の出店を開始するという。日経が3/3に報道した内容によれば、ヨークベニマルが、今後2年間で新たに20店余りを出店するという。地盤の福島県を中心に東北と北関東で既に出店用地を確保したとのことで、投資額は120億円強になる見通しであるという。2009年2月期の出店は6店だったが、建設資材の下落で出店費用を抑制できる好機とみて出店ペースを上げるという。出店ぺースは、2010年2月期は8から10店、11年2月期は12店の出店を見込むといい、すでに、宮城県、栃木県、茨城県などに約20ケ所の出店用地を確保したとのことであり、今期から本格的な新規出店が始まる見通しである。
ヨークベニマルは、今後、ヨークマートとの統合をはかる方向で現在、セブン&アイホールディングス内に設立されたSM事業サポート本部で体制を整えつつあり、2010年2月期までは統合への移行期間とし、双方の組織を簡素化し、2011年2月期にはSM事業サポート本部へ2社の本部業務を移管して、統合を完了するという。これにより、SM事業サポート本部がウォルマートの持ち株会社のようなM&Aの受け皿になることになるといえ、今回の新規出店と合わせ、急激な食品スーパーマーケット事業の積極的な拡大路線に踏み切ることになるものと予想される。
この両企業に加え、さらに、今期から本格的に新規出店を再開する食品スーパーマーケットもある。べイシア、オオゼキである。すでに、本ブログでも取り上げたが、ベイシアはここ最近、新規出店を抑制していたが、ここへ来て、スーパーセンターの出店環境が整ったとのことで、今期から新規出店を加速するという。また、オオゼキは、この4月に3年ぶりとなる新規出店を行い、今後、地元の東京、神奈川だけではなく、千葉、埼玉などへの新規出店も行ってゆくとのことである。どちらも、ここ数年、新規出店が抑制ぎみであり、なかなか思うような出店ができなかったが、満を持してといって良いと思うが、今期から本格的な新規出店へ踏み切るということである。
このように、今年は食品スーパーマーケット業界にとって転機となる激動の1年になる機運が高まってきたといえよう。消費環境は今年に入って、ますます厳しさを増しつつあり、経営環境は悪化しつつある。このような中で食品スーパーマーケットは比較的好調な経営をつづけており、ここへきて、上記のような食品スーパーマーケットが思いきった積極策を打ちだしつつあるのが現状である。今期の決算公表が真近かであるが、来期の食品スーパーマーケット各社がどのような経営戦略を打ち出すかに注目したい。
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