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March 30, 2009

食品スーパーマーケット業界、M&Aはじまる、北東北!

   岩手日報が3/28報じたところによれば、「北東北最大スーパーへ、4社が業務提携締結」という見出しの中で、「食品スーパーのベルプラス(盛岡市)、伊徳(秋田県大館市)、タカヤナギ(秋田県大仙市)、スーパーマーケットマルイチ(盛岡市)は27日、2012年春をめどに資本統合することを前提とした業務提携締結を発表した。4社を合わせた店舗は78店、営業収益は1,147億円で、イオングループ(食品分野)を除き、北東北の食品スーパー業界トップ。資本統合による持ち株会社の設立を目指しており、実現すれば北東北最大級のチェーンスーパーが誕生する。・・」とのことである。

   同種の報道は、秋田魁新報社、河北新聞、そして、日経、朝日、読売、毎日等でも報じられており、記者会見も盛岡のホテルで行ったとのことで、ほぼ確実な内容であろう。いよいよ、食品スーパーマーケットもM&Aの本格的な時代に入ったといえよう。

   今回の4社業務提携は北東北の食品スーパーマーケットであるが、この4社はいずれも全国各地に約220社約3000店舗が加盟するボランタリーチェーンのCGC加盟企業であり、今後、さらに、加盟企業が加わることも予想される。実際、岩手日報によれば、今回の4社業務提携に際し、複数の企業に参画を打診したとのことである。
 
   CGCグループでは、すでに、北海道で2002年に持株会社アークスが設立され、北海道内のCGC加盟企業が経営統合した実績がある。さらに、ここ最近でも、2006年、新潟のCGCグループの中核企業、原信がナルスと持株会社、原信ナルスホールディングスを設立し、経営統合をはたしている。ナルスはその後CGCに加盟しており、ここ数年、CGCグループ内では盛んにM&Aが起こっており、今回の北東北の4社もCGCグループ内でのM&Aに発展するものといえよう。また、北東北では現在No.1の食品スーパーマーケット、ユニバースもCGCグループであり、先にブログでも取り上げた丸和を事実上M&AしたユアーズもCGCグループである。ここへきて、CGCグループの加盟各社が食品スーパーマーケット業界のM&Aに積極的に動きはじめているようである。
 
   今回の資本統合を前提にした業務提携にいたった経緯は、岩手日報によれば、「ベルプラスと伊徳が2007年12月に締結。2008年4月に共同出資会社ユナイト(代表取締役会長・遠藤須美夫ベルプラス社長、社長・伊藤碩彦(ひろひこ)伊徳社長)をベルプラス内に設立した。仕入れ、物流、システムなどを共同化することでコスト削減し、経営体質を強化している。」とのことで、まずは、ベルプラスと伊徳が2011年の春に経営統合を行い、翌年2012年にタカヤナギとマルイチがユナイトに加わるとのことである。

   ベルプラスの遠藤社長は、「営業収益が1,000億円を超えてやっと一人前。商圏でどれだけシェアをとるかが大切。チェーン展開により、短期間で高いシェアを持てる」と提携の狙いを語ったという。今回の4社のM&Aが実現すると、「営業収益の合計1,147億円は、イオングループ(食品分野)を除くと、ユニバース(八戸市、43店舗)を小差で上回り、北東北の食品スーパー業界でトップ。今後、他社の参加も視野に入れている」とのことで、遠藤社長は、さらに、「1,500億円を目指し、規模、質とも北東北一のスーパーにしたい」と抱負を語ったという。

   そのベルプラスであるが、現在38店舗を岩手を中心にチェーン展開しており、年商は430億円、傘下にはベルセンター、花北、スーパーエイト、スーパーマーケットかしむらがすでに入っており、食品スーパーマーケットチェーングループを形成している。以前から大型ディスカウント業態ビックハウスを開発し、CGC加盟企業でもアークスなどこの業態を導入する企業も多い。また、伊徳であるが、秋田県を中心に現在23店舗を展開しており、年商は384億円である。まずは、この2社が経営統合することになるというが、その後、秋田県を中心に16店舗を展開している年商220億円のタカヤナギ、岩手県を中心に23店舗(食品スーパーマーケットは12店舗)を展開している年商100億円強のマルイチが加わるという。

   こう見ると、今回は岩手県と秋田県の有力な地元食品スーパーマーケットのM&Aであり、これまで1つの県内で食品スーパーマーケットをチェーン展開していた企業が、他県へ参入して自社のエリアを拡大してゆくのではなく、他県の有力チェーンとのM&Aを行うことにより、統合メリットを追求するという形態である。東北地区には、ヨークベニマル、ユニバース、ヤマザワ、そして、イオン傘下のマックスバリュ東北と有力な食品スーパーマーケットチェーンも同様にM&Aに動いており、今回の4社統合は、東北全域でのの、しかも、格別規模の大きい1社が主導権をとるというよりも、同規模に近い企業のM&Aであるのが特徴である。

   今後、食品スーパーマーケット業界は、今回のような同規模に近い食品スーパーマーケットどうしのM&Aと、ヨークベニマル、イオン、そして、着々と体制を整えつつあるウォルマート等、大手チェーンストア主導のM&Aとが入り交えての展開がなされてゆき、まずは、全国が数10社程度に集約されてゆくものと想定される。その意味で、今回の4社のM&Aが他の食品スーパーマーケット各社へどのように波及してゆくか注目である。

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