マックスバリュ北海道、大幅減益、厳しい決算!
2009年1月度の食品スーパーマーケットの決算が公表されはじめたが、3/18、マックスバリュ北海道が3/17のマックスバリュ中部にひき続き、2009年1月度の決算を公表した。イオングループ2社目の食品スーパーマーケットの決算の公表であり、今期のイオンの動向をうらなう上でも重要な決算である。その結果であるが、営業収益774.27億円(149.4%)、営業利益1.68億円(36.0%:営業収益比0.21%)、経常利益2.13億円(41.8%、営業収益比0.27%)、当期純利益2.64億円(155.7%:営業収益比0.34%)と大幅な増収となった一方、大幅な減益となり、厳しい決算となった。大幅な増収となったのは、昨年が10ケ月の変則決算であり、しかも、2008年4月にジョイをM&Aしたためである。
大幅な減益となった理由を営業利益の面から見てみると、原価は75.8%と昨年の76.1%と比べ下がっており、結果、売上総利益は24.2%(昨年23.9%)となり、改善した。一方、販売費及び一般管理費であるが、25.8%(昨年25.0%)と0.8ポイントと大幅に上昇しており、マーチャンダイジング力、商品から得られる粗利-経費は、-1.6%と大きくマイナスとなり、厳しい結果となった。これに、不動産収入等の営業収入が1.8%(昨年2.0%)がのり、結果0.2%(昨年0.9%)とわずかにプラスになったが、経費増が重くのしかかっており、厳しい状況である。
これに対し、マックスバリュ北海道は、「ジョイ店舗において、合併に伴うシステム変更や店舗オペレーションに想定以上の時間を要したことや、合併前から実施し定着していたポイントカードを取り止めたこと等により、売上高が想定以上に影響を受けました」とコメントしており、ジョイへのM&Aが想定以上に経営を圧迫したといえよう。
その結果、キャッシュフローの流れであるが、営業キャッシュフローが17.39億円となったが、その中身は税引き前当期純利益がキャッシュフロー上はマイナスとなり、プラスとなったのは減価償却費10.88億円、仕入債務の増加18.30億円が主な項目であり、キャッシュが極めて厳しい状況である。一方、投資キャッシュフローであるが、16.05億円のマイナスであり、主な項目は有形固定資産の取得19.56億円である。結果、フリーキャッシュフローは1.34億円のプラスの順流にはなったが、当期純利益のキャッシュがマイナスとなっており、財務キャッシュフローで補わざるをえない状況である。そして、その財務キャッシュフローであるが、6.21億円のプラスであり、その中身は長期借入による収入が30.00億円と多額に上り、ここから長短借入金の返済、配当、自己株式の取得を行っており、結果、長期借入金がさらに増加する状況となった。
したがって、自己資本比率であるが、23.6%と2割台となり、負債に大きく依存する財務状況となった。その負債の状況であるが、長短借入金等の合計が72.70億円(昨年44.71億円)と約30億円増加し、総資産283.34億円に占める割合は25.6%となり、財務を大きく圧迫する状況である。また、今期は金融機関の休日と決算日が重なったことにもより、買掛金が85.32億円(昨年56.91億円)と大きく増加したため、総資産に占める割合が30.1%になったことも大きかったといえよう。ただ、それでも、自己資本比率23.6%は厳しい状況であるといえる。
一方、資産の方であるが、同様に、現金が11.95億円(昨年2.42億円)と金融機関の休日との関係で増加したが、これ以外では、出店にかかわる資産、土地、建物、敷金の合計が145.42億円(昨年114.08億円)と大きく増加しており、総資産に占める割合は51.3%となり、自己資本比率23.6%を大きく超え、差し引き、出店余力は-27.7%と大きく負債に依存する出店構造となり、財務的には今後の出店がかなり厳しい状況であるといえる。
これを受けて、マックスバリュ北海道の株価の推移であるが、3/17(1,480円)、3/18(1,530円)、そして、3/19(1,530円)と、決算結果の厳しさとは逆に上昇気味で推移している。実際、最近のチャートを見ると3月前半は1,400円近くまで下がっていた厳しい株価であったが、3/10頃から株価が上昇しはじめ、この決算の発表のあった3/18、株価は上昇し、翌日も株価を維持しており、投資家は買いと判断したようである。特に、ここ数日、本体のイオンが本格的にディスカウント路線を目指す方針が明らかになり、イオン本体の株価も上昇気味で推移しており、その動きとも連動しているとみられるが、マックスバリュ北海道のここ最近の株価は明かに上昇気味である。
このように、3/18、マックスバリュ北海道の2009年1月度の本決算が公表されたが、大幅な増収とはなったが、利益は大幅な減益となる厳しい決算となった。また、財務内容も自己資本比率が23.6%となる厳しい状況となり、財務的にも負債が重くのしかかる状況である。その要因には積極的な新規出店に加え、ジョイへのM&Aが重なり、予想以上にM&A後の財務改善に時間がかかっており、経費、負債双方を圧迫している状況であるといえる。今後、マックスバリュ北海道としては、いかに、収益性をたかめるかが急務といえ、そのためにも、一層の原価削減とM&A等で膨らんだ経費の削減が急務といえよう。今後、この決算結果を受け、マックスバリュ北海道が今期どのような経営改革を打ち出すかに注目したい。
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