セブンイレブンの最新店舗、富山に出現!
月刊コンビニ(商業界)、3月号で、「セブン-イレブン北陸攻めの全貌」の特集記事が掲載されているが、この中に、富山ニ口町にオープンしたセブンイレブンの最新店舗の調査データの詳細が掲載されている。レイアウト図に加え、カテゴリー別売り場スペース配分比較表、重点カテゴリーの品揃え状況、地域食材の主な扱い商品などである。特に興味深いのはレイアウトであり、食品スーパーマーケットと比べ、コンビニ特有の工夫がこらされ、食品スーパーマーケットとしも参考になるレイアウトである。
今回、この特集記事は26ページに渡っての内容であり、その中身も、北陸攻略の全貌、フォーマット分析、コンビニ勢力図、地区MD4社比較、清酒品揃え比較、ドミナント戦略の成否、商圏潜在力激戦地区予測、地区MD戦略を問う、迎え撃つ地場コンビニの9項目に渡って、セブンイレブンの北陸攻めを分析した記事である。これだけ、セブンイレブンの北陸攻めが注目されるのは、セブンイレブンはまだ日本の都道府県で未出店地域が東北、四国、中国、九州、そして北陸など10ケ所近くあり、その残された未出店地域のひとつ、北陸への本格出店であり、しかも、2年以内に、北陸3県に200店舗の出店計画をもっての新規参入であるからである。
セブンイレブンの出店戦略はドミナト戦略を基本に据えており、一度、その地に出店をはじめると、短期間で数百店舗を出店し、いっきに採算ベースに乗せる戦略をとるのが通常である。今回の北陸への出店もすでに、50店舗が契約済であるといい、今期60店舗以上の出店を果たす計画であり、さらに、今後3年以内に200店舗の出店予定であるという。近々に北陸に工場及び物流センターもオープンし、本格的なドミナント出店の体制も整うという。
同時にセブンイレブンは情報戦略を重視しており、一昨年、完了した第6次総合情報システムでは、従来、ISDN回線、衛星回線、IP専用回線の3系統であったネットワークシステムが光ファイバーに統合されたため、この情報システムの高度化も前提となったドミナント展開を原則としているため、光ファイバーの整備の遅れていた地区にはなかなか新規出店が難しかったという背景もあり、ドミナト戦略を進めにくい地区には出店を控えてきたという背景もある。
当然、そのようなセブンイレブン未出店の地区には他のコンビニチェーン、地元のコンビニチェーンがすでに数多く出店しており、今回の北陸3県でも、ローソン、サークルKサンクス、ファミリーマート等が約1,000店舗出店しており、その競合激戦区へのセブンイレブンが満を持して、どのような戦略でのぞむかが注目されたため、今回、月刊コンビニで大々的に特集記事が組まれたといえよう。
さて、この記事の中で、最も興味深かったのは、このような激戦区へ、セブンイレブンがどのような店舗フォーマット、マーチャンダイジング戦略で参入を図ったのかということであり、その状況が今回の特集記事の中から伺うことができる。特に、食品スーパーマーケットにおいても参考になるのはレイアウトであるが、今回オープンした富山ニ口町のレイアウト図を見ると、大変興味深い。もともと、コンビニは商品分類でみれば、生鮮はほとんど取り扱いがなく、日配も重点商品のみの取り扱いであり、さらに、菓子、食品は売れ筋、新商品に絞った取扱いである。食品はこれに加え、惣菜があるが、FF(ファストフード)、弁当、おにぎりが中心であり、さらに、非食品として、雑貨、各種サービスがあるという商品構成である。
商品で見ると確かに、このような分類になるが、もうひとつ、コンビニは文字通り時間が重要なキー概念であり、商品分類を縦軸とすれば、横時に時間をとり、5分以内で食べられる商品(食品)、5分以内で使える商品(非食品)が最重点商品であり、ついで、10分以内、20分以内となってゆくのが実態である。まさに、time is money、時間に価値を置いた商品を品揃えするのが原則であり、それゆえ、価格も定価で販売しても十分に価値があるといえる。
こう見た時、まさに、今回のセブンイレブンの最新レイアウトは入口からまっすぐ、FFコーナーから、米飯、アイス、同様に、右下から雑誌、雑貨と続き、さらに入口から斜めに切って、右上が5分以内の食品、左下が5分以内の非食品となっており、どちらも最短距離(時間)で買い物がしやすく、しかもメインのFFから弁当のゾーンの向かえにアイスクリームと冷凍食品の平台を起き、たまりをつくるなど工夫が凝らされている。同時に、ゴンドラを2つに切り、エンドを10本つくり、回遊性を増すと同時に、販促ポイントを強化するなどの工夫もみられる。
このように、わずか46坪の中に約2,500品を時間というキーワードをもとに商品を最適配置するコンビニのレイアウトは食品スーパーマーケットではなかなか踏み切れない発想でもあり、興味深いレイアウトである。しかも、この内、週100品近く商品の改廃があるので、年間では5,000品を超え、品揃えが2回転する速さで動くというのであるから、ここでも時間がキーワードのマーチャンダイジングが展開されているといえる。食品スーパーマーケットも今後、単純な商品分類にこだわるのではなく、時間をはじめ、様々なキーワードで商品分類を再構築し、顧客にとって買いやすいレイアウトに改善してゆきたいところである。
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