たばこのマーチャンダイジングを考えてみる!
食品スーパーマーケット約300社の2009年2月度のたばこのPOSデータを独自に入手した。たばこは現在、taspo効果により、日本全国のコンビニの売上を約10%ひきあげるという異常な状況を作り出している商品であるが、食品スーパーマーケットでの実態はどのようなものであるのか、そして、たばこはどのようなマーチャンダイジングがポイントとなるのかをこのPOSデータをもとに考えてみたい。
たばこは今回の約300店舗の食品スーパーマーケットで販売実績があるものを見ると271種類に及ぶ商品であることがわかる。その内、カバー率が30%以上の商品で68品、20%で90品、そして、10%で137品となり、残り134品は10%以下のカバー率であり、品揃えがかなりばらついている商品である。この中には、10個まとめた箱売りもあるが、これをざっと見ても、まず、たばこのマーチャンダイジングを考えるには、約100種類ぐらいは品揃えが欲しいところであろう。
また、たばこは国の独占事業であったために、そのほとんどは日本たばこ産業の商品であるが、1985年に専売法が解除されたために、輸入品等も増え始めた。実際、この271品の中では91品が日本たばこ産業以外の商品であり、率で33.5%である。その内訳であるが、フィリップモリスジャパンが40品、太豊通商(中国たばこ)が9品、残りが、輸入品であり、42品である。
では、このたばこの金額PI値、PI値、平均単価、すなわち、マーチャンダイジングの根幹の公式、金額PI値=PI値×平均単価に当てはめてみるとどうなるかを見てみたい。まず、全271品の金額PI値であるが、今回のPOSデータが導入店のみの数字であり、正確な客数がつかみにくいために、たばこの扱店の金額PI値、PI値のデータは正確な数字であるが、約300店舗全体の金額PI値、PI値は算出されておらず、独自に算出したおおよその数字となる。
まず、全体の数字であるが、271品全体では金額PI総店16.53円、PI総店2.10%、平均単価788円である。これはどのようなイメージかというと、食品スーパーマーケットに来店した顧客の総レシートの約2%の個数だけたばこが売れ、その売れた個数の1品当たりの平均単価は788円であり、結果、全レシート当たりでは、16.53円の売上金額となるというものである。
少しわかりにくいが、ごくおおざっぱにみれば、来店客数の2.10%がたばこを平均788円で買っているという状況であり、結果、約98%のたばこの未購入者も含めると1人当たり16.53円のたばこの平均売上となるというものである。ID分析ができれば、もっと正確なたばこの購入者のイメージを明らかにできるが、残念ながら、今回入手したPOSデータではここまでが限界であり、ここまでの指標でたばこの現状を分析し、そのマーチャンダイジングを考えてみたい。
さて、この金額PI総店16.53円が高いか低いかであるが、一般に、金額PI値が10円を超えれば食品スーパーマーケットのカテゴリーとしては高いといえ、したがって、16.53円は食品スーパーマーケットのカテゴリーとしてはトップクラスといえる。この中で、たばこの金額PI値のベスト商品を見てみると、No.1は、JTマイルドセブン・スーパーライト20本×10、金額PI値1.24円、PI値0.041%、平均単価3,013円、カバー率74.6%である。No.2はJTマイルドセブン・ライト20本×10、(1.08円、0.036%、3,011円、74.6%)、No.3はJTセブンスター20本×10(1.11円、0.037%、3,014円、74.0%)であり、そして、No.4はJTマイルドセブン20本×10(1.07円、0.036%、3,013、73.6%)である。この4品のみが金額PI値1円を超える超重点商品であり、いずれも箱売りである。No.5以下は金額PI値が0.80、070円台になるので、たばこのマーチャンダイジングはまず、箱売りのこの4品をしっかり押さえるかがポイントとなる。
以下、ベスト10までを見てみると、マイルドセブンワン100’S BOX20×10(0.83円、0.028%、3,005円、70.7%)、JT キャスター・マイルド20本×10(0.78円、0.027%、2,912円、73.0%)、JTマイルドセブンスーパーライト20本(0.74円、0.24%、302円、59.5%)、JTマイルドセブンエクストラライト20本×10(0.71円、0.024%、3,007円、71.7%)、JT セブンスター20本(0.71円、0.23%、302円、58.5%)、JTマイルドセブン・ライト20本(0.62円、0.20%、302円、59.2%)という状況である。この中には箱売りではなく、バラ売りがマイルドセブンスーパーライト、セブンスター、マイルドセブン・ライトと3品入っており、しかもPI値が約0.2%と箱売りの10倍近くあるので、いかに欠品させずに、在庫を確保するかがポイントとなる。
この10品でたばこ全品の金額PI総店の約40%であり、たばこは重点商品をしっかり押さえることに加え、残り60%の売上を確保するために、いかに品揃えを広げるかがマーチャンダイジングのポイントであるかがわかる。ちなみに、ベスト100までで、たばこ全品の金額PI総店が約90%になるので、やはり、たばこは100種類前後の品揃えが欲しいところである。
このように、食品スーパーマーケットのたばこの現状とマーチャンダイジングの課題をざっと見てみたが、たばこは、箱売りとバラ売りをバランスよく押さえることが重要であり、しかも、重点商品だけでは売上を確保するのが難しく、幅広い品揃えが決めてとなる独特な商品であるといえる。実際コンビニのたばこ売り場を見ると、どこのコンビニでもレジの上に約100種類ぐらいのたばこを品揃えしているが、今回のデータから見ると、理に適ったマーチャンダイジングであることがわかる。食品スーパーマーケットとしても、再度、たばこのマーチャンダイジングを見直したいところである。
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