ファミリーマート、ポストtaspo、CRMへ!
3/25の日経新聞に「ファミマ、お得意様優待、大手コンビニで初、ボーナスポイントやイベント招待」という記事が掲載された、前回のブログで、コンビニの2009年2月度の売上速報を取り上げたが、その中でも言及したポストtaspoへ向けたコンビニの経営戦略が動きはじめたといえよう。ちょうど、同じ、日経新聞に消費、見所、カン所という記事でもファミリマートの上田社長の「3つのマーケティング重視」というコラムが掲載されているが、これを見ても、ファミリマートがポストtaspoを強く意識して、新たな方向へ動き出したことがわかる。今後、ファミリーマートに限らず、各コンビニが様々なポストtaspoに向けて一斉に動き出すことが予想されよう。
まず、日経の記事の内容であるが、この新サービスは今週の秋からスタートとのことで、記事を引用すると、「月間の購入金額が多い顧客らに対して、買い物に使えるポイントを多く付与、商品の提供価格に差を付けるほか、発売前の商品を優先的に販売するといった特典も設ける・・」という内容である。新サービス名も、ロイヤルカスタマー優遇システムというネーミングであるといい、まさに、これはCRMそのものであり、いよいよ、コンビニでもCRMがポストtaspo戦略の本命として登場したといえよう。
この仕組みの背景には、商品情報と顧客情報が必要であり、しかも、それを瞬時にリンクし、顧客個人個人の購買履歴を分析する体制が必須となる。従来、コンビニでは商品情報はPOSシステムで把握ができ、それにもとづき、商品の売れ筋、死に筋を分析し、マーチャンダイジングにいかす単品管理が中心であった。今回のファミリーマートの仕組みを実現するには、この商品情報から得られる単品ごとの情報に誰が購入したかがわかる顧客データが必須となる。コンビニでもここ最近、セブンイレブンのnanaco、イオンのwaonなどをはじめ、Suica、edyなど電子マネーが導入され、顧客情報を把握する体制が進みつつあり、商品情報とのリンクがすすみつつあるが、まだ、今回のような活用方法は実施されてはいないのが現状といえる。今回のファミリーマートは、独自のポイントカード、ファミマTカードを活用する仕組みであり、このポイントカードの使用者が対象となるが、この対象者の購入履歴を把握し、その履歴に応じた様々な優遇策を個々の顧客ごとに実施するということであり、コンビニでは初めての本格的な試みとなる。
一般に、このようなことが起こる背景には、小売店舗同士の出店競争が極限となり、市場が飽和状態となり、新規顧客の増加が見込めなくなった時に起こるのが実態である。このような状況になると既存顧客の来店頻度をいかに引き上げるかが戦略目標となり、そのために様々な顧客へのアプローチがなされる。この時、最も一般的な手法はディスカウントであり、競合店よりも1円でも重点商品を安く販売し、既存顧客の来店頻度を引きあげる政策をとることとなる。同時に、ちらしを通じて、NBの破格の値段を訴え、競合店から新規顧客を獲得しようという政策に入る。
これに対して、もうひとつ、同じ価格政策ではあるが、既存顧客の来店頻度を引き上げるために、商品の価格をさげるのではなく、購入顧客の買い物金額全体、すなわち、顧客個々の生活の節約を支援する方法がある。ただ、この方法を実施するには顧客ごとに、何をいくら購入しているかの購買履歴が必要であり、これまでは、この購買履歴を取得することがなかなか技術的にできない状況であったが、今回のファミリーマートのようにコンビニでもこれが可能となり、この面からのアプローチもできるようになった。
この政策を採用するメリットは、従来の価格政策と違い、店頭の価格を下げることは全く必要なく、商品の値崩れが起こらないことである。商品の価格は定番価格であるが、その商品を購入した顧客が支払う時点での商品の価格が顧客ごとに、違うということであり、いわば、Everyday Low Priceに対し、Everyday Your Priceとでもいう価格となる。これによって、商品の購入価格が店頭はひとつであるが、購入時点では顧客によって過去の購入履歴に応じて変化し、競合店よりもその商品を安く購入できることになる。その結果、既存顧客の来店頻度を引きあげようという戦略である。
今回のファミリーマートの仕組みも基本的はこのような考え方であるが、この秋からスタートするロイヤルカスタマー優遇システムは、その初期段階であるといえ、一定の金額を購入していただいた顧客層ごとに一定のポイントとサービスを提供するというものである。その意味で、顧客情報を商品情報とリンクさせて活用するCRMのスタートともいえ、今後、この仕組みはさらに進化してゆくものといえよう。
このように、いよいよ、ポストtaspoへの対応がまったなしになり、taspo効果が切れる4月から5月へ向けて、コンビニ各社が本格的に動き始めたといえよう。今回のファミリーマートの新サービスはその意味で、これまでの商品情報からだけの商品政策から、顧客情報を活用しての商品政策、そして、顧客政策、すなわち、CRMへの本格的な第1歩といえ、今後のコンビニ各社の動向に注目である。
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