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April 14, 2009

ヨークベニマル、2009年2月期決算、増収、純利減益!

   ヨークベニマルが4/9、セブン&アイ・ホールディングスの決算の中で、2009年2月期の決算を公表した。ヨークベニマルはセブン&アイ・ホールディングスの子会社になるまでは、四半期決算を含め、IRが充実しており、情報開示が頻繁に行われていたが、子会社になってからは、詳細な経営内容は、年1回のセブン&アイ・ホールディングスの本決算発表の時のみとなった。その結果であるが、営業収入3,488.83億円(105.7%)、営業利益117.06億円(104.3%:営業収益比3.3%)、経常利益130.65億円(104.3%:営業収益比3.7%)、当期純利益80.15億円(87.6%:営業収益比2.3%)となり、営業、経常段階では増収増益となったが、当期純利益は減益となる決算となった。当期純利益が減益となったのは、子会社株式評価損など、特別損失を計上したためである。

   ヨークベニマルは現在、東北、北関東を中心に156店舗を展開しており、今期は2009年2月にヨークベニマル日立会瀬店(茨城県)、2008年11月にヨークベニマル天童老野森店(山形県)、9月にヨークベニマル片平店(福島県)、8月にヨークベニマル東根店(山形県)、4月にヨークベニマル福島泉店(福島県)、3月にヨークベニマル鹿沼睦町店(栃木県)、そして、2月にメガステージ須賀川南店(福島県)と7店舗の新店を出店しており、今期は7店舗増となり、既存店が99.0%であったので、この新店が、売上にそのまま貢献した結果となり、105.7%の増収となった。

   一方、営業利益の方であるが、今期の原価は75.7%(昨年75.6%)となり、0.1ポイント上昇した。今期は、セブンプレミアムを積極的に各店舗に投入し、粗利改善が期待されたが、原価へのインパクトは明確に表れていないようである。結果、売上総利益は24.3%(昨年24.4%)となった。これに対して、販売費及び一般管理費であるが24.0%(昨年24.1%)と0.1ポイント削減し、結果、差し引き、マーチャンダイジング力は0.3%(昨年0.3%)と昨年と同じ比率となり、プラスとなった。ただ、プラス幅はわずかであり、原価改善ももちろんであるが、もう少し経費比率を引き下げたいところであろう。

   ヨークベニマルの現在の1店舗当たりの売上は22.3億円であり、従業員は15人強、パートタイマー60人強で回しており、パート比率は80%を超える。ただ、年間坪売上が243.2万円と、郊外型のNSCタイプの食品スーパーマーケットが多いせいか、相対的に経費比率を下げるには坪売上が低い状況である。坪売上から逆算すると、平均店舗面積は約900坪となるので、これが、500から600坪となると、坪売上が倍増し、経費比率が下がり、マーチャンダイジング力を大きくプラスにもってゆくことができるので、今後、ヨークベニマルとしては、いかに、坪売上を上げるかも課題といえよう。


   ヨークベニマルは、今期7店舗の新規出店を果たしているが、その財務的裏付けを見てみたい。まず、自己資本比率であるが、ここでは、総資産÷純資産で算出してみると、79.0%(昨年79.7%)という極めて高い数字である。負債がわずか20%であり、その主要項目である長短借入金の合計は0、無借金経営である。したがって、借入金に依存しない出店構造となっており、資産の出店にかかわる資産、土地、建物、長期差入保証金の合計は762.87億円(1店舗当たり4.9億円)であり、これは総資産の49.5%となり、自己資本比率から差し引いた出店余力は、79.0%-49.5%=29.5%と十分な余力であり、負債に依存することなく、自己資本の範囲内で出店が可能な状況である。

   ヨークベニマルの財務状況は極めて堅固な状況といえるが、では、現状のキャッシュフローで限界どこまで新規出店が可能かを見てみたい。残念ながら、キャッシュフロー計算書が公開されていないので、今期の当期純利益と減価償却費の合計を、仮に、営業キャッシュフローとすると、80.15億円+50.90億円=131.05億円となり、1店舗当たりの出店にかかわる資産がおよそ5億円であるので、25店舗強新規出店がキャッシュフローの範囲内で可能となる。もちろん、この営業キャッシュフローは投資だけでなく、財務キャッシュフローとして、配当、自社株買い、内部留保等に配分されるので、全額は無理であるが、今期の7店舗は全く無理のない営業キャッシュフローの範囲内での新規出店といえよう。ただ、今後、ヨークベニマルは、新規出店のみでの成長から、ヨークマートとの合併、そして、他チェーンへのM&Aも視野に入れた成長戦略を打ち出しており、そのためには、さらに、内部留保を増加させ、来るべきM&Aへの資金も蓄積しておく必要があろう。

   このように、2009年2月度のヨークベニマルの決算が公表されたが、営業、経常段階では増収増益となったが、特別損失が発生し、当期純利益は減益となる決算となった。少し、気になるのは、セブンプレミアムの粗利改善効果が数字上からは、読み取れない状況であり、結果、マーチャンダイジング力、商品売買から得られる粗利-経費がぎりぎりプラスの状況であったことである。今後、セブンプレミアムは一層浸透し、原価改善につながってくると思われるが、同時に、経費削減も課題といえ、そのためには坪売上の引き上げも重要といえよう。今後、ヨークベニマルはM&Aを視野に入れた積極的な成長戦略に打ってでる方針であるとのことで、堅固な財務内容を基盤に、新店の動向を含め、ヨークベニマルがどのような経営戦略を打ち出すかに注目である。

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