イオン、2009年2月期決算、増収減益、純利赤字!
イオンが4/14、2009年2月期の決算を公表した。すでに、日経新聞等で事前報道がなされていたとおり、営業収益5兆2,307.86億円(101.2%)、 営業利益1,243.73億円(79.7%:営業収益比2.3%)、経常利益1,260.30億円(75.8%:営業収益比2.4%)、当期純利益-27.60億円と、増収減益、当期純利益は赤字となる厳しい決算となった。これを受けて、イオンの株価の動きであるが、4/13(773円)、4/14(736円)、4/15(774円)と決算の公表があった4/14は下げているが、翌4/15には株価を戻しており、投資家は今回の決算を冷静に受け止めており、すでに織り込み済みといえよう。
イオンの株価は今期900円前後でスタートしたが、その後、株価は下がり続け、2月末の本決算時には、550円前後まで、株価を下げた。そして、3月中旬頃からは、株価は反転、上昇に転じ、ほぼ右上がりで推移しはじめた。さらに、4月に入り、4/14の決算が近づいても株価は上昇気味で推移し、4/15現在、774円という水準であり、売買高も500万株前後で安定している。投資家は今回の決算がイオンの経営へのインパクトは大きいとは見ていないようで、その動向を注視しているようである。
さて、イオンが今回、赤字に転じた要因であるが、これを8月移行、持株会社に移行した後の11事業部別に見てみると、専門店事業とGMS事業(国内)の2事業の当期純利益が損失となったことが大きい。特に、専門店事業ではアメリカのタルボットが571.87億円の損失に加え、コックス11.97億円、ブルーグラス5.82億円と主力専門店がすべて赤字という厳しい状況である。また、GMS事業については、イオンリテールは77.29億円の黒字となったが、イオン北海道20.40億円、サンデー9.66億円、その他53.60億円の赤字となり、GMS事業全体では6.33億円の赤字となった。イオンの売上構成比はGMSが全体の48.2%であり、この主力部門から利益が確保できない状況であり、これに、10.1%の売上構成比の専門店が大きな赤字となり、約60%近くの事業での利益が確保できない状況では、厳しい経営とならざるをえないといえよう。
これに対し、今期好調であった事業は総合金融事業とディベロッパー事業である。総合金融事業は220.92億円、ディベロッパー事業はイオンモールが好調であり、211.23億円となり、この2事業がイオンの利益の源泉となっている。ただ、この2事業の売上構成比は金融サービスが2.6%、ディベロッパーが2.7%と合計しても5.3%であり、売上と利益は事業構造が負の相関となっており、いかに、イオンの本業が利益を確保するのが厳しい状況であるかがわかる。
この2事業についで、好調な利益を上げたのはサービス事業(84.42億円)、SM事業(79.87億円)、中国事業(52.05億円)、海外事業(46.31億円)、戦略的小型店事業(35.22)であり、これに、その他事業(143.14億円)が加わる。この中で戦略的小型店事業はコンビニ、ミニストップであるが、今期はtaspo効果により、売上は106.6%と好調ではあったが、すべての利益が減益となり、厳しい状況であった。
SM事業については、マックスバリュ東北、東海は減益となったが、それ以外の西日本、中部、北海道、そして、その他は当期純利益が増益となり、イオンへの貢献度は高かかったといえよう。ただ、イオン全体の中では、売上構成比は16.8%とまだまだ低く、GMSがイオンにとっては、売上の大黒柱であることにはかわりない状況である。
ここで、これらイオントータルの連結の営業状況を見てみると、原価は71.7%(昨年71.3%)と、0.4ポイント上昇している。イオンは現在、トップバリュの各業態への導入を積極的に図っており、今期8.6%にまで小売業内の売上構成比が高まり、来期はいよいよ、10.8%と10%を超える予想である。ただ、今期の原価を見ると、まだ、効果が十分とはいえず、結果、売上総利益は28.3%(昨年28.7%)と下がった。一方、販売費及び一般管理費も36.8%(昨年36.5%)と0.3ポイント上昇し、差し引き、マーチャンダイジング力は、-8.5%(昨年-7.8%)と0.7ポイント下がっており、原価、経費双方が上昇するという厳しい営業状況であったことがわかる。これに、GMS特有のその他収入が11.2%(昨年11.2%)のり、営業利益は2.7%(昨年3.4%)となり、減益となった。
これに対し、財務状況であるが、今期の自己資本比率は21.9%(昨年24.2%)と、昨年よりも下がり、負債比率が上昇している状況である。その負債の主要項目である。有利子負債であるが、前期より、114.7%上昇し、1兆1,946.12億円となり、総資産3兆7,414.47億円の31.9%と、かなりの比率となっている。現状、イオンの出店余力を見ると、資産の土地、建物、差入保証金等の合計は1兆7,376.32億円であり、総資産の46.4%である。したがって、自己資本比率21.9%から差し引いた出店余力は-24.5%であり、負債に大きく依存する出店構造となっている。新規出店を含め、負債に大きく依存する経営構造といえ、経営戦略の選択肢が狭くなりつつあるといえよう。
このように、今期のイオンの決算結果は増収とはなったが、利益はすべての段階で減益となり、当期純利益は赤字となる厳しい決算となった。特に、専門店と国内GMSが赤字決算であり、この2部門の売上構成比が約60%であるので、経営の抜本的な見直しが急務といえよう。しかも、有利子負債は1兆円を優に超え、自己資本比率は21.9%と負債に大きく依存する財務構造となり、利益と負債の同時経営改革が必要な状況といえる。イオンが今後、この2点の経営改革をどのように打ち出すかに注目したい。
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