マックスバリュ西日本、2009年2月期決算、過去最高!
マクスバリュ西日本の2009年2月期決算が、4/6、公表された。営業収益2,162.86億円(110.4%)、営業利益83.84億円(109.3%:営業収益比3.9%)、経常利益86.33億円(108.6%:営業収益比4.0%)、当期純利益42.85億円(110.8%:営業収益比2.0%)と、大幅な増収増益となり、営業利益、経常利益及び当期純利益では、何れも過去最高益を更新するという好調な決算となった。ここまで公表された食品スーパーマーケット業界の決算は好調な結果が少ないだけに、マックスバリュ西日本のこの決算内容は際立っている内容である。
特に、今期は14 店舗(防府東店、須磨海浜公園駅前店、ロックタウン周南店、大久保店、イオンタウン水島店、社店、熊見店、龍野店、厚狭店、イオンタウン明石店、姫路別所店、観音寺駅南店、龍野西店、野口店)と大量の新規出店に加え、既存店舗では5店舗の活性化を実施する一方で、5店舗(周陽店、滝野店、竜野西店、東二見店、太子東店)の閉鎖を行った。結果純増9店舗となり、全店は144店舗となった。この積極的な新規出店に加え、今期は既存店も対前期比103.0%で推移しており、営業収益が110.4%と2桁の数字となった。
しかも、この新規出店の開設等における投資額126.07億円は、すべて自己資金でまかなっており、キャッシュフローの流れを見るとそれがわかる。実際、今期のキャッシュフローの流れを見てみると営業キャッシュフローは74.84億円であり、投資キャッシュフローは102.40億円と投資キャッシュフローが営業キャッシュフローを上回り、フリーキャッシュフローが-27.56億円となり、営業キャッシュフローを超える多額の投資になった。
この大半は新規出店にかかわる有形固定資産の取得による支出107.90億円であるが、この超過分を財務キャッシュフローで補うのではなく、資産、特に現金及び預金で補っており、負債、特に長短借入金の増加は見られない資金繰りである。長短借入金は今期わずか2.10億円(昨年5.34億円)であり、これも削減が進み、総資産に占める割合はわずか0.3%であり、いつでも無借金経営が可能な状況である。
ただ、少し気になるのは、新規出店は自己資金でまかなっているが、フリーキャッシュフローがマイナスとなり、自己資本比率は45.0%(昨年46.4%)と意外に低い数字である点である。今期のマックスバリュ西日本の出店余力を見てみると、出店にかかわる資産、土地、建物、設備、差入保証金の合計は468.55億円(1店舗当たり3.25億円)であり、これは総資本691.06億円の67.7%であり、自己資本比率ではまかなえない構造となっており、差し引き出店余力を計算すると-22.7%となる。この分を負債に依存する出店構造となっており、長短借入金に依存せず、自己資金で賄ってはいるが、もう少し、自己資本比率を引き上げ、強固な財務基盤を築きたいところである。
今後、さらに積極的な新規出店による安定成長を目指してゆくには、今期決算のような負債に依存する出店構造から、今後は自己資本をさらに充実させ、より安定的な新規出店体制を目指すことも経営課題であるといえよう。
一方、営業利益が109.3%と好調に推移した要因であるが、原価は75.0%(昨年75.2%)と0.2ポイント下がっており、この厳しい経済情勢の中で原価削減が進んだ。これは、イオングループのPB、トップバリュの貢献度も高かったといえ、「商品開発段階の積極的な関与により、新たなラインアップも加わり、売上構成比では前期の7.4%から当期では8.6%と向上」とのことである。結果、売上総利益は25.0%(昨年24.8%)と利益が改善した。
これに対して、販売費及び一般管理費であるが、23.1%(昨年22.8%)と0.3ポイント上昇しており、結果、差し引き、マーチャンダイジング力は1.9%(昨年2.0%)と0.1ポイントであるが、下がった。そして、これに不動産収入等の営業収入が2.1%(昨年2.0%)のり、営業利益は4.0%(昨年4.0%)と昨年と同率となった。少し気になるのは、マーチャンダイジング力が、経費上昇がみられ、若干下がったことであるが、営業利益は昨年同様の4.0%を確保し、これに売上増があいまって、営業利益が109.3%と大幅増をもたらしたといえる。
この好調な決算を受けて、マックスバリュ西日本の来期の通期予想であるが、営業収益2,300.00億円(106.3%)、営業利益85.00億円(101.4%)、経常利益86.5億円(100.2%)、当期純利益43.0億円(100.3%)と、今期の急激な成長をクールダウンさせ、安定した堅調な決算予想である。また、今期決算と同時に、マックスバリュ西日本は機構改革を実施しており、これまでの営業組織を業態別にSSMとSMとに分け、業態別に食品スーパーマーケットのマーチャンダイジングをきめ細かく対応してゆくことになるという。
このように、今期のマックスバリュ西日本は、過去最高の増収増益となり、年間14店舗の新規出店という急成長を遂げた。既存店も好調で、利益も安定しており、好調な決算であったといえよう。ただ、少し気になるのは、成長戦略に投資が集中しすぎ、好決算による充実したキャッシュフローが自己資本比率の充実につながらなかった点である。これは、財務の安定よりも成長性を重視した経営判断といえるが、今後、安定成長を継続してゆくには財務の安定も重要な経営課題であり、来期以降、マックスバリュ西日本がどのような財務戦略を打ち出すかに注目したい。
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